明日の株式相場に向けて=トランプ台風で大手金融と海運株に潮流
きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比99円安の3万9381円と小反落。前日は良い意味でトランプ台風がマーケットを席巻した。自国の石破新総裁誕生では急落した東京市場だが、米国のトランプ新大統領誕生に際しては諸手を挙げての株高歓迎というアイロニカルな展開である。もっとも前日に先物主導ではしゃぎ過ぎたきらいもあり、きょうは上値が重かった。とはいえ値上がり銘柄数がプライム市場全体の77%を占めるなど物色意欲は旺盛で、TOPIXの方は3連騰と気を吐いている。
前日の欧州株市場は主要国の株価が軒並み売られる展開となった。トランプ氏の大統領選勝利で少なくとも欧州は警戒ムード一色だったことが分かる。関税強化や安全保障面での不透明感というのはグローバルで一致する懸念材料だが、トランプ政権だった2019年10月に貿易協定を締結している日本と、対米貿易で先鋭的に対立したままの関係にある欧州とでは事情が違う。だが、日本もそれほど楽観的な状況とはいえない。当時の日本は安倍政権であり、トランプ氏との信頼関係を個人レベルで築き上げた安倍元首相の功績が大きい。石破首相がトランプ大統領の不興を買うとは言わないが、トランプ氏ならではのディールに翻弄される可能性は十分にあり、今後の展開を注視したい。
ともあれ、相場の潮流に大きな変化が出ていることは間違いがない。トランプトレードの東京市場への波及という点では確かな方向性が見えているわけではないが、一つ言えるのは米長期金利の上昇圧力が今後更に強まるという流れだ。国内でも新発10年債利回りが1%台に乗せてきた。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>などメガバンクや第一生命ホールディングス<8750.T>などの大手生保株は押し目買いを念頭に継続注目の対象となる。このほか、高配当利回りが際立ち、円安進行も追い風材料となる川崎汽船<9107.T>や商船三井<9104.T>など海運大手に改めて目を配っておきたい。
一方、“暴落時の赤札銘柄に注目”というが、株価が先物主導で乱高下するような乱調相場でも、全体の地合いに関係なく淡々と我が道を行く上昇株は、その銘柄固有の評価ポイントが必ず存在する。全体相場がムード先行で右往左往している時に、チャート面から強さを発揮している個別銘柄をチェックしておくことは肝要である。
直近紹介した銘柄では、愛知製鋼<5482.T>が目を見張る陽線の連打で新値圏を快走している。足もとの業績は低調ながらトヨタ系の自動車向け特殊鋼大手として確固たる地位をキープしているが、PBRが依然として0.3倍台にあることは自社の株式価値に無頓着と思われても仕方がない。そこに旧村上ファンド系アクティビストが着目し、株式買い増しに動いていることが株価を突き動かす原動力となった。仮にPBR1倍復帰を目指すのであれば、前期実績ベースの1株純資産1万2700円程度まで買われてもよい理屈だ。ともあれ、株主還元の強化や成長投資への取り組みは必須課題ということになる。また、トヨタ系で自動車部品を手掛ける住友理工<5191.T>も連日の年初来高値更新。時価はリーマンショック前の08年2月以来16年9カ月ぶりの高値圏を走る。
このほか、ITソリューション大手のJBCCホールディングス<9889.T>は2000年春先のITバブル期以来の高値水準で実質的な青空圏を舞う展開にある。システムインテグレーターとしては草分け的存在だが、収益体質向上になお前向きに取り組んでいる。また、決済サービス大手のウェルネット<2428.T>も強いチャートを形成中。こちらは10年タームでみるとまだ底値ゾーンと言ってもよく、配当性向をベースに株主還元に前向きで1000円未満は押し目買いで報われそうだ。番外になるが、内需の消費関連株では飲食やホテル事業などを手掛けるDDグループ<3073.T>をマーク。株価は中段で目先調整モードにあるが、1300円台は打診買いを入れて面白い水準といえる。
あすは株価指数オプション11月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほか、9月の家計調査、10月上中旬の貿易統計、対外・対内証券売買契約がいずれも朝方取引開始前に発表され、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。午後取引時間中には9月の特定サービス産業動態統計、9月の景気動向指数速報値のほか、日銀から消費活動指数が開示される。海外では11月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、ボウマンFRB理事が米大学主催討議に参加し発言内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
前日の欧州株市場は主要国の株価が軒並み売られる展開となった。トランプ氏の大統領選勝利で少なくとも欧州は警戒ムード一色だったことが分かる。関税強化や安全保障面での不透明感というのはグローバルで一致する懸念材料だが、トランプ政権だった2019年10月に貿易協定を締結している日本と、対米貿易で先鋭的に対立したままの関係にある欧州とでは事情が違う。だが、日本もそれほど楽観的な状況とはいえない。当時の日本は安倍政権であり、トランプ氏との信頼関係を個人レベルで築き上げた安倍元首相の功績が大きい。石破首相がトランプ大統領の不興を買うとは言わないが、トランプ氏ならではのディールに翻弄される可能性は十分にあり、今後の展開を注視したい。
ともあれ、相場の潮流に大きな変化が出ていることは間違いがない。トランプトレードの東京市場への波及という点では確かな方向性が見えているわけではないが、一つ言えるのは米長期金利の上昇圧力が今後更に強まるという流れだ。国内でも新発10年債利回りが1%台に乗せてきた。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>などメガバンクや第一生命ホールディングス<8750.T>などの大手生保株は押し目買いを念頭に継続注目の対象となる。このほか、高配当利回りが際立ち、円安進行も追い風材料となる川崎汽船<9107.T>や商船三井<9104.T>など海運大手に改めて目を配っておきたい。
一方、“暴落時の赤札銘柄に注目”というが、株価が先物主導で乱高下するような乱調相場でも、全体の地合いに関係なく淡々と我が道を行く上昇株は、その銘柄固有の評価ポイントが必ず存在する。全体相場がムード先行で右往左往している時に、チャート面から強さを発揮している個別銘柄をチェックしておくことは肝要である。
直近紹介した銘柄では、愛知製鋼<5482.T>が目を見張る陽線の連打で新値圏を快走している。足もとの業績は低調ながらトヨタ系の自動車向け特殊鋼大手として確固たる地位をキープしているが、PBRが依然として0.3倍台にあることは自社の株式価値に無頓着と思われても仕方がない。そこに旧村上ファンド系アクティビストが着目し、株式買い増しに動いていることが株価を突き動かす原動力となった。仮にPBR1倍復帰を目指すのであれば、前期実績ベースの1株純資産1万2700円程度まで買われてもよい理屈だ。ともあれ、株主還元の強化や成長投資への取り組みは必須課題ということになる。また、トヨタ系で自動車部品を手掛ける住友理工<5191.T>も連日の年初来高値更新。時価はリーマンショック前の08年2月以来16年9カ月ぶりの高値圏を走る。
このほか、ITソリューション大手のJBCCホールディングス<9889.T>は2000年春先のITバブル期以来の高値水準で実質的な青空圏を舞う展開にある。システムインテグレーターとしては草分け的存在だが、収益体質向上になお前向きに取り組んでいる。また、決済サービス大手のウェルネット<2428.T>も強いチャートを形成中。こちらは10年タームでみるとまだ底値ゾーンと言ってもよく、配当性向をベースに株主還元に前向きで1000円未満は押し目買いで報われそうだ。番外になるが、内需の消費関連株では飲食やホテル事業などを手掛けるDDグループ<3073.T>をマーク。株価は中段で目先調整モードにあるが、1300円台は打診買いを入れて面白い水準といえる。
あすは株価指数オプション11月物の特別清算指数(オプションSQ)算出日にあたる。このほか、9月の家計調査、10月上中旬の貿易統計、対外・対内証券売買契約がいずれも朝方取引開始前に発表され、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。午後取引時間中には9月の特定サービス産業動態統計、9月の景気動向指数速報値のほか、日銀から消費活動指数が開示される。海外では11月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、ボウマンFRB理事が米大学主催討議に参加し発言内容が注目される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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