米ドル/円、「閉会中審査」と「ジャクソンホール会議」が相場動意となりそう

著者:津田隆光
投稿:2024/08/23 10:10

上値の重い相場付きが継続しそう

米ドル/円・日足・複合チャート
米ドル/円・日足・複合チャート出所:トラリピFX/CFDチャート

【注目ポイント】「147.800円」を上抜けブレークするか否か
【シナリオ①】同レート超えなら、「151.500円」付近までの上昇を想定
【シナリオ②】同レートで上値抑制なら、「142.250円」割れを模索する動き
【当面の“主戦場”(コアレンジ)】「142.250~151.500円」
【注目材料】植田日銀総裁発言(@閉会中審査)、パウエルFRB議長講演(@ジャクソンホール会議)


今月5日のいわゆる“植田ショック”時に直近安値となる「141.630円」を付けた後、 往って来いの相場付きとなっている米ドル/円。

上図の各メルクマールをそれぞれ見ていくと、1) 21日MA(移動平均線)が右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の下方にあること、3) ローソク足の上方に赤色雲(=先行スパン、抵抗帯)があること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして5) DMI(方向性指数)で-DIと+DIが収斂し、ADXが右肩下がりでの推移になっている(上図青色点線丸印)ことから、現在の米ドル/円・日足チャートは、上方硬直性を伴うレンジ相場を示すチャート形状であると判断します。

その他メルクマールでは、BB(ボリンジャーバンド)・±2σラインが収縮する“スクイーズ”になっていることを加味した上で勘案すると、足もとの米ドル/円は相場の力を溜め込みつつ、今後の方向感を模索する時間帯/局面と言えそうです。


そんな中、注目すべきポイントは・・・約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MAをメドとする「147.800円」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜けブレークするか否か。

筆者が想定する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
この先、「147.800円」を終値ベースで上抜けブレークした場合は、「基準線超え」→「もう一段の上値切り上げ」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンのローソク足への近接」や「(心理的な節目である)150.000円超え」、また「+DI>-DIへの変化」なども伴いながら、200日MAおよび赤色雲の上辺である先行2スパンをメドとする「151.500円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇を想定すべきでしょう。ただし、現状では赤色雲が分厚い形状(=強い上値抵抗帯)となっていることから、上値余地は限定的となりそうです。

[シナリオ②]
一方で、「147.800円」付近で上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の強まり」→「下押し」となりそうです。当該ケースでは、「遅行スパンのさらなる下放れ」や「SARの売りサインへの転換」、また「-DI>+DIへの変化」なども伴いながら、BB・-2σラインをメドとする「142.250円」(上図Ⓑ水色線)割れを模索する動きとなりそうです。


上記シナリオ①および②を概括すると、現下の米ドル/円は上値の重い相場付きが継続するとの想定の下、当面※は「142.250~151.500円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。 (※ここでの「当面」は、1~2週間のスパンを想定しています。)


足もとでは、日本時間本日衆参両院※で開催される閉会中審査における植田日銀総裁の発言内容とともに、同午後11時からのジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演内容が、米ドル/円の相場動意となりそうです。(※午前9時30分から衆院財務金融委員会、午後1時から参院財政金融委員会)

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想