*12:44JST ヤマノHD Research Memo(4):積極的なM&Aでライフスタイル領域を事業ドメインとする領域拡充目指す(1)
■事業概要
1. 経営環境
国内の人口減少、少子化・高齢化の流れを受け、ヤマノホールディングス<7571>の展開する美容・和装宝飾・DSM・教育・リユース事業の市場自体に大きな自然成長を期待することは難しい反面、一定の需要が確実に見込まれる市場であり、同社の各事業の規模から判断して、今後、市場の占有率を一段と高め成長していくことは十二分に期待できる。同社は、創業以来「山野愛子」のブランドで蓄積してきた顧客ネットワークをはじめ、果敢なM&Aを遂行する力とその対象企業の事業運営力をグループ内でシナジー効果を出しながら最大化していく力が強みで、資産にもなっており、成長していくためのリソースを既に保有していると言ってよいだろう。各事業においては、新規出店しても人財の確保が難しい状況下で、M&Aにより後継者がいない同業種の中小企業等を買収してグループ化していくことは、人財の確保を図るという観点からも重要な施策となる。また、新たな事業をM&Aで取り込み、グループ内の人財を強化していくことも選択肢の1つだ。同社のM&A戦略は、創業以来M&Aの歴史を有する同社独自の特徴ある成長戦略と位置付けることができる。
美容業界においては、美容師に顧客が付いており、美容師の独立意欲が昔から根強い。加えて、研修生等の労働時間が長いなどの業界的課題もあり、人材の確保・定着は難しくなっている。一方で店舗の倒産も多く、インボイス制度の導入に伴いフリーランスの美容師の負担も増加している。今後の職場の環境整備、従業員によるFC化等店舗運営の改善によって従業員のエンゲージメントを向上させることができれば、円滑な人財確保が可能となろう。また、同社が買収してきたブランドは、それぞれが地域を限定したドミナント展開をしており、それが人財の確保や顧客確保に有利に働くとともに、従業員にとっても異動範囲が限定され、ワークライフバランスが確保しやすい環境にあると言えよう。これは和装店舗についても同様で、ほかにNC(ナショナルチェーン)が進出していない沖縄県では6店舗を出展しており、市場占有率が高い状況にある。和装業界、DSM事業においては、顧客、従業員とも高齢化が進んでいることが大きな課題であり、幅広い顧客層を確保していく施策が喫緊の課題であろう。
2. 事業概要
(1) 美容事業
同社グループの美容事業は、首都圏、関西圏を中心に全国74店舗を展開する美容室と、「手足手入れの専門店」という高い品質で都内好立地に4店舗を展開するネイルサロンで構成している。美容室は、顧客の年齢や価格に応じた「My jStyle」「PLAZA HAIR」「La Bonheur(ラボヌール)」の3ブランドを運営する。「MY jSTYLE」は中高年層を中心としたアンチエイジングサロンとして、低価格帯で関東を中心に地域をドミナントする形で店舗展開している。アンチエイジングとして天然食材使用の『山野式ヘッドスパ』を提供する。美容室ではスタイリストに顧客が付いて回るケースが多いが、「MY jSTYLE」は地域密着型であり店舗に顧客が付いているところが強みとなっている。「PLAZA HAIR」は小さい子どもが遊べるキッズルームと子どものカットも行うキッズコーナーを店舗内に設置したファミリーサロンとして、ファミリー層をターゲットに商業施設内において中価格帯で店舗展開をしている。2019年10月にL.B.Gを買収することでグループ入りした「La Bonheur」は、20代~30代の女性をターゲットにして顧客のライフスタイルに合わせた個性的なヘアスタイルを提案するサロンを東京、埼玉を中心に11店舗を展開するほか、ヘアトリートメントなど美容商品を販売するWEB SHOPも手掛けている。高価格帯であるほか、ホットペッパーから効率的に誘客している点が強みだ。同社グループとしては、「La Bonheur」が加わったことで全年齢層を顧客化し、各価格帯を網羅することができた点が強みとなったが、今後は店舗数が少ない「La Bonheur」への業態転換を進める方針だ。
「NAIL CARE SALON miura」は約30年の営業実績があり、本業界の先駆けとしてのブランドを構築している。ネイルと手足ケアのサロンを東京都吉祥寺と荻窪、大阪・南港ポートタウンで展開する。荻窪店は「MY jSTYLE」店舗に併設、大阪・南港ポートタウン店は「PLAZA HAIR」店舗に併設する。井の頭通り店では有機ゲルマニウム手足温浴やアロママッサージをリラクゼーション・スパメニューに加えているほか、各店舗でフェイシャルエステも開始している。
美容事業は、従来は同社が「MY jSTYLE」「PLAZA HAIR」を、L.B.Gが「La Bonheur」を、みうらが「NAIL CARE SALON miura」を、3部門でそれぞれ個別に運営していた。しかし、事業環境の変化に伴い美容店舗内での着付サービスの拡充、2022年1月「MY jSTYLE」とみうらのコラボ店の出店(2023年7月には「PLAZA HAIR」とコラボ出店)、2022年7月「MY jSTYLE」「PLAZA HAIR」から「La Bonheur」への業態変更等、部門を横断した施策を進めてきた。その事業変革を加速するため、2022年10月に同社と子会社2社で運営していた美容事業の営業部門はヤマノプラスに集約・統合、店舗開発・経営企画・総務人事などの管理部門は同社に集約し、機動的かつ迅速な意思決定を行う組織体制を再編整備した。これにより、美容事業を取り巻く事業環境の変化への対応力を強化するとともに、各部門が持つ特色を互いに活かした人財交流を活性化することで新たなサービス創出を促す。また、人財採用の一元化と育成プランのナレッジ・ノウハウ共有を進め、人財配置の最適化を図る体制整備を行うことで、美容師の確保という美容事業の重要課題をクリアすることとしている。さらに、マーケティング力や販促企画力強化も図る方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<SO>
1. 経営環境
国内の人口減少、少子化・高齢化の流れを受け、ヤマノホールディングス<7571>の展開する美容・和装宝飾・DSM・教育・リユース事業の市場自体に大きな自然成長を期待することは難しい反面、一定の需要が確実に見込まれる市場であり、同社の各事業の規模から判断して、今後、市場の占有率を一段と高め成長していくことは十二分に期待できる。同社は、創業以来「山野愛子」のブランドで蓄積してきた顧客ネットワークをはじめ、果敢なM&Aを遂行する力とその対象企業の事業運営力をグループ内でシナジー効果を出しながら最大化していく力が強みで、資産にもなっており、成長していくためのリソースを既に保有していると言ってよいだろう。各事業においては、新規出店しても人財の確保が難しい状況下で、M&Aにより後継者がいない同業種の中小企業等を買収してグループ化していくことは、人財の確保を図るという観点からも重要な施策となる。また、新たな事業をM&Aで取り込み、グループ内の人財を強化していくことも選択肢の1つだ。同社のM&A戦略は、創業以来M&Aの歴史を有する同社独自の特徴ある成長戦略と位置付けることができる。
美容業界においては、美容師に顧客が付いており、美容師の独立意欲が昔から根強い。加えて、研修生等の労働時間が長いなどの業界的課題もあり、人材の確保・定着は難しくなっている。一方で店舗の倒産も多く、インボイス制度の導入に伴いフリーランスの美容師の負担も増加している。今後の職場の環境整備、従業員によるFC化等店舗運営の改善によって従業員のエンゲージメントを向上させることができれば、円滑な人財確保が可能となろう。また、同社が買収してきたブランドは、それぞれが地域を限定したドミナント展開をしており、それが人財の確保や顧客確保に有利に働くとともに、従業員にとっても異動範囲が限定され、ワークライフバランスが確保しやすい環境にあると言えよう。これは和装店舗についても同様で、ほかにNC(ナショナルチェーン)が進出していない沖縄県では6店舗を出展しており、市場占有率が高い状況にある。和装業界、DSM事業においては、顧客、従業員とも高齢化が進んでいることが大きな課題であり、幅広い顧客層を確保していく施策が喫緊の課題であろう。
2. 事業概要
(1) 美容事業
同社グループの美容事業は、首都圏、関西圏を中心に全国74店舗を展開する美容室と、「手足手入れの専門店」という高い品質で都内好立地に4店舗を展開するネイルサロンで構成している。美容室は、顧客の年齢や価格に応じた「My jStyle」「PLAZA HAIR」「La Bonheur(ラボヌール)」の3ブランドを運営する。「MY jSTYLE」は中高年層を中心としたアンチエイジングサロンとして、低価格帯で関東を中心に地域をドミナントする形で店舗展開している。アンチエイジングとして天然食材使用の『山野式ヘッドスパ』を提供する。美容室ではスタイリストに顧客が付いて回るケースが多いが、「MY jSTYLE」は地域密着型であり店舗に顧客が付いているところが強みとなっている。「PLAZA HAIR」は小さい子どもが遊べるキッズルームと子どものカットも行うキッズコーナーを店舗内に設置したファミリーサロンとして、ファミリー層をターゲットに商業施設内において中価格帯で店舗展開をしている。2019年10月にL.B.Gを買収することでグループ入りした「La Bonheur」は、20代~30代の女性をターゲットにして顧客のライフスタイルに合わせた個性的なヘアスタイルを提案するサロンを東京、埼玉を中心に11店舗を展開するほか、ヘアトリートメントなど美容商品を販売するWEB SHOPも手掛けている。高価格帯であるほか、ホットペッパーから効率的に誘客している点が強みだ。同社グループとしては、「La Bonheur」が加わったことで全年齢層を顧客化し、各価格帯を網羅することができた点が強みとなったが、今後は店舗数が少ない「La Bonheur」への業態転換を進める方針だ。
「NAIL CARE SALON miura」は約30年の営業実績があり、本業界の先駆けとしてのブランドを構築している。ネイルと手足ケアのサロンを東京都吉祥寺と荻窪、大阪・南港ポートタウンで展開する。荻窪店は「MY jSTYLE」店舗に併設、大阪・南港ポートタウン店は「PLAZA HAIR」店舗に併設する。井の頭通り店では有機ゲルマニウム手足温浴やアロママッサージをリラクゼーション・スパメニューに加えているほか、各店舗でフェイシャルエステも開始している。
美容事業は、従来は同社が「MY jSTYLE」「PLAZA HAIR」を、L.B.Gが「La Bonheur」を、みうらが「NAIL CARE SALON miura」を、3部門でそれぞれ個別に運営していた。しかし、事業環境の変化に伴い美容店舗内での着付サービスの拡充、2022年1月「MY jSTYLE」とみうらのコラボ店の出店(2023年7月には「PLAZA HAIR」とコラボ出店)、2022年7月「MY jSTYLE」「PLAZA HAIR」から「La Bonheur」への業態変更等、部門を横断した施策を進めてきた。その事業変革を加速するため、2022年10月に同社と子会社2社で運営していた美容事業の営業部門はヤマノプラスに集約・統合、店舗開発・経営企画・総務人事などの管理部門は同社に集約し、機動的かつ迅速な意思決定を行う組織体制を再編整備した。これにより、美容事業を取り巻く事業環境の変化への対応力を強化するとともに、各部門が持つ特色を互いに活かした人財交流を活性化することで新たなサービス創出を促す。また、人財採用の一元化と育成プランのナレッジ・ノウハウ共有を進め、人財配置の最適化を図る体制整備を行うことで、美容師の確保という美容事業の重要課題をクリアすることとしている。さらに、マーケティング力や販促企画力強化も図る方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
<SO>
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