円の買い戻しが続く ドル円は155円台半ばまで一時下落=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/07/24 05:50
円の買い戻しが続く ドル円は155円台半ばまで一時下落=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、円の買い戻しが強まり、ドル円は155円台半ばまで一時下げ幅を広げた。9月のFRBの利下げ期待が高まる中、円キャリー取引の巻き戻しが続いており、ドル円は下値模索が続いている。

 来週のFOMCが目先の注目だが、円相場に関しては日銀の決定会合も来週に予定されている。日銀の予告通りに国債購入減額の具体策を発表してくると見られているが、その減額幅について様々な見方が出ているようだ。決定会合前までにマスコミなどを通じで何らかの観測気球を上げてくる可能性もあり、それらが注目される。いまのところ、現在の月6兆円から3兆円程度まで半減との見方がコンセンサスとなっているようだ。

 それ以上に利上げ実施の見方も一部では根強い。先日の河野デジタル相に続いて、本日は茂木自民幹事長が「金融政策を正常化する方向で着実に政策を進める方針をもっと明確に打ち出すことが必要」と語っていた。

 自民党内からも日銀への利上げ要請が暗示されているが、市場では今回は利上げに言及はするが、実施は先との見方が有力視されている模様。短期金融市場では0.1%の利上げを45%程度で織り込んでいる状況。国債購入減額と同時の利上げは金利の急上昇リスクがあり、日銀は避けるとみられている。

 ユーロドルは緩やかな売りに押されており、1.08ドル台半ばに値を落とした。ユーロドルは戻り売りが続いており、1.10ドルから徐々に下放れる展開が続いているが、目先は1.08ドル台前半に、200日線を始め、21日線、100日線が混在しており、下値メドとして意識される。
 
 ECBは先週の理事会で9月の追加利下げにコミットはしなかったものの、否定もしなかった。市場には思ったほどハト派な印象ではなかったとの見方も広がっていたが、短期金融市場では80%の確率で9月の追加利下げが織り込まれている。

 一方でストラテジストからは、市場の2025年のECB利下げに対する見方は少し慎重すぎるとの見解が出ている。年内のECBの利下げに関する市場の価格設定は概ね妥当だが、それ以降については慎重すぎるという。ECBは年内にさらに四半期ごとに2回の利下げを実施し、来年9月までには中銀預金金利が2.00%に達すると予想しているという。仮にECBがより緩やかな利下げを選択したとしても、中銀預金金利は2.25%だという。短期金融市場では2025年末の中銀預金金利を2.40%と予想している。

 ポンドドルは一旦1.28ドル台に値を落とす場面が見られたものの、1.28ドル台に入ると押し目買いも見られた。ただ、全体的にポンドドルは上値が重くなって来ており、調整の動きが続いている。市場では来週の8月1日に英中銀が利下げを開始するかで見解が分かれている。短期金融市場では利下げに踏み切ると見ている確率は40%程度となっている。直近発表のインフレ指標でサービスインフレが依然としてインフレ鈍化を示していないことがその背景にある。

 一方、例え英中銀が利下げに踏み切ったとしても、ポンドの堅調さは失われないとの見方も出ている。理由として、内需が総じて底堅いこと、そして総選挙後のEUとの関係改善への期待が利下げの有無にかかわらず、ポンドをサポートする点を挙げている。8月の利下げは有り得ると予想しているが、先週の英インフレ・データが予想をやや上回った点に着目し、最近のマクロ経済のニュースが利下げの見方を疑念の要素で覆い隠しているという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。

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