*15:07JST テノックス Research Memo(7):技術開提案と「折り込む力」でストックを拡大
■テノックス<1905>の中期経営計画
2. 事業別戦略
事業別では、土木事業(国内)、建築事業(国内)、海外事業、土木建築コンサルティング事業の各事業で戦略を展開し、2027年3月期に土木事業(国内)で売上高88.5億円、経常利益4.0億円、建築事業(国内)で売上高164億円、経常利益10.4億円、海外事業で売上高12億円、経常利益0.45億円、土木建築コンサルティング事業で売上高7億円、経常利益0.35億円を目指す。
土木事業(国内)では、多発・激甚化する自然災害を想定した防災・減災及び国土強靭化などのプロジェクトに対し、「折り込む力」によって案件を確保しストックの増加につなげる方針である。事業の拡大に向け、社会資本メンテナンスへの「折り込み」戦略と杭工事の収益力強化の2つを軸に成長戦略を展開する。前者では、老朽化した重要土木構造物(道路、河川、港湾、農水、空港土木施設、官庁施設など)をターゲットに、自社工法の技術提案を「折り込む」ことに注力する。具体的には、リダンダンシー整備プロジェクトにおいて、災害発生時の人流や物流を確保するため交通ネットワークの多重化整備が課題となっているが、道路や鉄道などの交通インフラ整備事業に同社工法が採用され、中期経営計画の中核となっている。また、大型台風や局地的大雨による水害などを防止する風水害対策工事では、水門や排水設備などの構造設計の技術提案を進めている。後者については、省力化を目的としたDX化の推進や施工現場におけるKPI(目標効率)の徹底管理など、新しい働き方に沿った施策を展開することで、杭工事の収益力を強化する。なお、新中期経営計画期間中に施工完了予定の北海道新幹線延伸事業の受注残が多いこと、また、リニア中央新幹線関連の事業を折り込んでいないことから、同社想定はやや保守的と言え、上振れて着地する可能性もあると弊社は考える。
建築事業(国内)では、新開発した工法や研究技術を駆使して複合提案を推進し、変化・多様化する建築ニーズにキャッチアップする方針である。事業の拡大に向け、杭工事では、新たに営業を開始した高支持力コンクリートパイル工法により物流施設やデータセンターなどへの設計提案力を増強する。地盤改良工事では、従来の深層混合改良工法に加え、浅層改良工法や新たな技術を組み合わせた複合的な提案を推進する。具体的には、都市圏郊外でデータセンターの増設需要が拡大していることから、同社の高支持力工法ラインナップを提案する。また、大規模地震によって発生する液状化現象に対して、機能継続を担保できる杭と地盤改良工法の複合提案を推奨する。
海外事業では、ベトナム経済の成長政策(社会資本整備計画)に基礎技術で貢献していく方針である。事業の拡大に向け、機材・労務の両面でTENOX ASIAの自社施工体制を増強して現地での施工基盤を強化し、現地企業とのアライアンスによるローカル化を促進する一方、国内設計業務の現地委託に向けてグループシナジーを活用した技術者の育成を推進する。具体的には、社会資本整備事業が加速するなかで交通インフラ整備が最優先されていることから、高速道路建設や治水計画に基礎構造技術や施工技術で貢献する。また、現地での基礎コンサルティング体制も構築する。現地資本の大型製造工場の基礎工事を受注したことを機に技術提案を強化しており、次期工事や同種構造物など新たな受注につなげる。
土木建築コンサルティング事業(複合技術研究所)では、グループでプロジェクトと戦略を共有し、複合技術研究所内の戦略企画室を活用してシナジーを創出する方針である。具体的には、地震・液状化、津波、斜面崩壊などの自然災害に対する拡大防止対策や大型インフラ整備事業など、多様化・高度化する顧客ニーズに対し、土木・建築コンサルティングのメニューである試験・実験・解析に基づく合理的技術提案と最適設計により、カスタマーソリューションを高度化させる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2. 事業別戦略
事業別では、土木事業(国内)、建築事業(国内)、海外事業、土木建築コンサルティング事業の各事業で戦略を展開し、2027年3月期に土木事業(国内)で売上高88.5億円、経常利益4.0億円、建築事業(国内)で売上高164億円、経常利益10.4億円、海外事業で売上高12億円、経常利益0.45億円、土木建築コンサルティング事業で売上高7億円、経常利益0.35億円を目指す。
土木事業(国内)では、多発・激甚化する自然災害を想定した防災・減災及び国土強靭化などのプロジェクトに対し、「折り込む力」によって案件を確保しストックの増加につなげる方針である。事業の拡大に向け、社会資本メンテナンスへの「折り込み」戦略と杭工事の収益力強化の2つを軸に成長戦略を展開する。前者では、老朽化した重要土木構造物(道路、河川、港湾、農水、空港土木施設、官庁施設など)をターゲットに、自社工法の技術提案を「折り込む」ことに注力する。具体的には、リダンダンシー整備プロジェクトにおいて、災害発生時の人流や物流を確保するため交通ネットワークの多重化整備が課題となっているが、道路や鉄道などの交通インフラ整備事業に同社工法が採用され、中期経営計画の中核となっている。また、大型台風や局地的大雨による水害などを防止する風水害対策工事では、水門や排水設備などの構造設計の技術提案を進めている。後者については、省力化を目的としたDX化の推進や施工現場におけるKPI(目標効率)の徹底管理など、新しい働き方に沿った施策を展開することで、杭工事の収益力を強化する。なお、新中期経営計画期間中に施工完了予定の北海道新幹線延伸事業の受注残が多いこと、また、リニア中央新幹線関連の事業を折り込んでいないことから、同社想定はやや保守的と言え、上振れて着地する可能性もあると弊社は考える。
建築事業(国内)では、新開発した工法や研究技術を駆使して複合提案を推進し、変化・多様化する建築ニーズにキャッチアップする方針である。事業の拡大に向け、杭工事では、新たに営業を開始した高支持力コンクリートパイル工法により物流施設やデータセンターなどへの設計提案力を増強する。地盤改良工事では、従来の深層混合改良工法に加え、浅層改良工法や新たな技術を組み合わせた複合的な提案を推進する。具体的には、都市圏郊外でデータセンターの増設需要が拡大していることから、同社の高支持力工法ラインナップを提案する。また、大規模地震によって発生する液状化現象に対して、機能継続を担保できる杭と地盤改良工法の複合提案を推奨する。
海外事業では、ベトナム経済の成長政策(社会資本整備計画)に基礎技術で貢献していく方針である。事業の拡大に向け、機材・労務の両面でTENOX ASIAの自社施工体制を増強して現地での施工基盤を強化し、現地企業とのアライアンスによるローカル化を促進する一方、国内設計業務の現地委託に向けてグループシナジーを活用した技術者の育成を推進する。具体的には、社会資本整備事業が加速するなかで交通インフラ整備が最優先されていることから、高速道路建設や治水計画に基礎構造技術や施工技術で貢献する。また、現地での基礎コンサルティング体制も構築する。現地資本の大型製造工場の基礎工事を受注したことを機に技術提案を強化しており、次期工事や同種構造物など新たな受注につなげる。
土木建築コンサルティング事業(複合技術研究所)では、グループでプロジェクトと戦略を共有し、複合技術研究所内の戦略企画室を活用してシナジーを創出する方針である。具体的には、地震・液状化、津波、斜面崩壊などの自然災害に対する拡大防止対策や大型インフラ整備事業など、多様化・高度化する顧客ニーズに対し、土木・建築コンサルティングのメニューである試験・実験・解析に基づく合理的技術提案と最適設計により、カスタマーソリューションを高度化させる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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