ADXの向きにも要注目!
【注目ポイント】「172.000円」で下値サポートされるか否か
【シナリオ①】同レートで下値サポートなら、「176.000円」付近までの上昇
【シナリオ②】同レート割れなら、「170.000円」付近までの下押しを想定
【当面の“主戦場”(コアレンジ)】「170.000~176.000円」
昨日(11日)発表された米6月CPI(消費者物価指数)の結果を受け、米ドル/円が短時間で4円以上の円高フローに。一部報道では、「本邦当局による米利下げ期待に便乗した不意打ち介入」との観測記事も出る中、対円通貨は全般的に下押し主体の動きに。同日、99年のユーロ導入以降の最高値となる「175.391円」を付けたユーロ/円についても、米ドル/円の下落に歩調を合わせる形で、同時間帯に4円弱の下落フローとなりました。
ユーロ/円の各メルクマールをそれぞれ見ていくと、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方で推移していること、3) ローソク足が青色雲の上辺である先行1スパン付近での推移となっていること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の上方で点灯していること、そして5) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が縮小し、ADXが高位置での横ばい推移(上図赤色点線丸印)になっていることから、現在のユーロ/円・日足チャートは、「上昇トレンド一服」→「下値固めの時間帯/局面」を示すチャート形状であると判断します。
足もとにおける注目ポイントは・・・約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MAをメドとする「172.000円」(上図黄色矢印および黒色線)で下値サポートされるか否か。
筆者が想定する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)
[シナリオ①]
これからの時間にかけて「172.000円」で下値サポートされた場合は、「(サポート帯での)下値固め完了」→「反発/上昇フロー」となりそうです。当該ケースでは、「上昇バンドウォークの再開」や「SARの開催への転換」、また「+DI>-DIの乖離拡大」なども伴いながら、BB(ボリンジャーバンド)・+2σラインをメドとする「176.000円」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇となりそうです。
[シナリオ②]
一方で、「172.000円」を終値ベースで割り込んだ場合は、「下値基準線割れ」→「もう一段の下押し」となる可能性も。当該ケースでは、「遅行スパンのローソク足への近接」や「SARの売りサイン継続」、また「+DIと-DIの収斂」なども伴いながら、青色雲の下辺である先行2スパンをメドとする「170.000円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下押しを想定すべきでしょう。ただし、ⅰ) 青色雲が分厚い形状(=強い下値サポート帯)であること、さらにはⅱ) 200日MAが右肩上がりでの推移となっていることから、下値余地は限定的となりそうです。
上記シナリオ①および②を概括すると、現下のユーロ/円は下値固め模索の相場付きとなる中、当面※は「170.000~176.000円」を“主戦場”(コアレンジ)とする動きになりそうです。 (※ここでの「当面」は、1~2週間のスパンを想定しています。)
相場のトレンド強弱を示唆する指標であるDMI(方向性指数)を組成するADX(平均方向性指数、上図赤色三角印)に着目すると、本稿執筆(12日午前8時)時点では「50.00」(上図赤色四角枠)以上の領域での横ばい推移となっています。「50.00」以上の領域は「非常に強いトレンド」を示唆する一方で、「相場の過熱感」を示唆する領域と捉えることもできます。よって、今後ADXが横ばい基調継続ないしは下降基調となったケースでは、方向感を模索するレンジ主体の相場付きとなりそうです。
今後のユーロ/円の動向に関しては、上述した2つのシナリオとともに、ADXの動向にも着目すべきでしょう。
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