大阪ガス実験集合住宅「NEXT21」504住戸改修の概要発表

配信元:PR TIMES
投稿:2024/06/21 13:47
大阪ガス株式会社(社長:藤原正隆、以下「大阪ガス」)は、実験集合住宅「NEXT21」において、504住戸(床面積134.64平方メートル )の改修を決定しました。


 「NEXT21」は1993年の竣工以来、「環境」「エネルギー」「暮らし」の面から、住まいながら実験を継続し、エネルギーシステムの構築や住戸の改修を行っています。2024年4月に居住実験30周年を迎え、今後の発展に向けたテーマとして「和の居住文化の継承・発展」を掲げた住戸改修を実施します。

 従前の日本の住まいには、風や太陽の光、熱などの自然の力を取り入れる「パッシブデザイン(※¹)」の先駆的な考えがありました。本改修において、環境シミュレーションを実施し、現時点での自然環境に加え、計画中の建物の影響なども含めた自然環境への影響も可視化することで、最適な「パッシブデザイン」を実現します。
 また、資源を循環する「サーキュラーデザイン(※²)」も、伝統的な日本の住まいにおいて当たり前に行われてきました。本改修では、既存住戸の材料を可能な限り利活用し、新規に導入する材料には、周辺地域で発生する「ゴミ」を活用し、改修における建材調達・施工~解体・廃棄に係るエネルギーを減らします。
 「パッシブデザイン」「サーキュラーデザイン」を和の居住文化ととらえ改修することで、現代に求められるサステイナブルな暮らしを実現していくとともに、NEXT21を起点とした地域スケールの資源循環ネットワークの構築を目指します。

 Daigasグループは、今後も引き続きこれからの暮らし方の研究・提案により、低・脱炭素社会の実現に貢献し、暮らしとビジネスの”さらなる進化”のお役に立つ企業グループを目指します。

(※1)太陽の熱や光などの自然のエネルギーを、機械を使わずに建物に利用する設計手法のこと。
(※2)サーキュラーエコノミー(循環型経済)実現のため、経済活動のあらゆる段階(設計、製造、消費、使用、廃棄、再資源化など)で循環系へのシフトを促しつつ、モノやエネルギーの消費を低減することで、新たな経済的価値の成立を目指すデザインの考え方。

<実験集合住宅「NEXT21」の概要>

所 在 地  大阪市天王寺区清水谷町6-16
      (最寄り駅:地下鉄谷町線谷町六丁目)
規 模  地上6階、地下1階
建築面積  896平方メートル
延床面積  4,577平方メートル
住 戸 数  18戸
竣 工  1993年10月

<今回の改修住戸の概要>
対 象 住 戸 | NEXT21 5階 504住戸(134.64平方メートル )
ス ケ ジ ュ ー ル |  2025年4月 解体開始予定
         2026年2月 竣工予定 
               (竣工後、公開見学を実施する予定です)
改 修 テ ー マ | 和の居住文化の継承・発展
伝統的な日本の住まいにおいて、自然の力を活用する「パッシブデザイン」や、身の回りの資源を循環活用する「サーキュラーデザイン」は当たり前に行われていました。住まいに付属する蔵や納屋には資材がストックされ、生ごみや糞尿の堆肥化も行われていました。また、「核家族」以外のメンバーも共に暮らすことも多く、包容力のある住まいだったと言えます。このような和の居住文化を改修住戸に継承することで、人新世と言われ、地球環境危機に直面している現代に求められる新しいサステイナブルな暮らしを実現していきます。

改修コンセプト | 
1. パッシブデザイン
NEXT21は立体的で緑豊かな「都市環境」であり、そこには多様で快適な微気候が存在しています。この微気候を丁寧に読み解き、環境シミュレーションを活用しながら、ダイレクトゲイン(日射取得)/日射遮蔽/蓄熱/昼光利用/自然通風/断熱・気密といった自然の力を活用できる建築計画とし、その上でその空間特性・ライフスタイルに合った高効率な設備システムを構築していきます。その際、中間領域や、建具をはじめとする伝統的な和の居住文化を取り入れていきます。
        
2. サーキュラーデザイン
NEXT21は建築の長寿命化をねらいスケルトン・インフィル方式が採用されていますが、本改修では「インフィル」自体の建材調達・施工~解体・廃棄に係るエネルギーも減らす試みをします。そのために、既存住戸の材料を可能な限り利活用し、改修時の廃棄物量を減らすと同時に、新規に導入する材料を減らします。新規に導入する材料には、周辺地域や都市の中で日々発生する「ゴミ」や、大地に還せる「自然素材」の活用も試みます。また、将来的に改修や解体が容易に行えたり、転用が可能になるような構工法を採用することで、NEXT21あるいは地域の住民も施工プロセスに関わり、住民自らメンテナンスできるようにします。これは、愛着につながり、永く使われ続けることにもつながるはずです。また今後、設備の小型化・個別化により、NEXT21地下の機械スペースの空きは増大していくと想定しています。このスペースを活用し、NEXT21を起点とした地域スケールの資源循環ネットワークを構築していきます。住戸のテラスには畑をつくり、雨水タンクとコンポストボックスを設置し、堆肥化させた生ごみを畑の土壌改良材として利用します。畑でとれた作物をテラスやキッチンですぐに調理し、食べることができます。

3. 多様なライフスタイルに対応可能な新たな一室空間の実現
高齢夫婦二人/夫婦二人+子ども二人/友人三人といった複数の家族像を想定し、そのいずれにも対応できるフレキシブルなプランを検討しています。一般的な〈nLDK〉のプランでは、リビングがひとつの中心的な居場所として位置付けられることが多いですが、本計画では、複数のリビングが連なるような多中心な一室空間とします。複数のリビングは、それぞれ設えを変えることで、色々な姿勢/活動ができ、それぞれの人が好きな場所で思い思いの時間を過ごせることにします。また、可動建具により一室空間の繋がり方/分節を調整し、外から他者を招き入れることも可能にしています。


設   計 | 川島範久+株式会社川島範久建築設計事務所
<川島範久氏プロフィール>
1982年生まれ。2005年東京大学工学部建築学科卒業。07年同大学院工学系研究科建築学専攻修士課程修了後、日建設計勤務。12年UCバークレー客員研究員。16年東京大学大学院博士課程修了。東京工業大学助教などを経て、現在、明治大学准教授。株式会社川島範久建築設計事務所代表取締役。博士(工学)。14年「NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)」にて日本建築学会賞(作品)、23年「環境シミュレーション建築デザイン実践ガイドブック-自然とつながる建築をめざして」にて日本建築学会著作賞、24年「GOOD CYCLE BUILDING 001|淺沼組名古屋支店改修PJ」にて日本建築学会作品選奨を受賞。
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