【QAあり】Link-Uグループ、「ゆれしる」のユーザー獲得が好調に推移 体制強化のための投資によりコスト増加も、前年比で増収

投稿:2024/06/21 13:00

目次

松原裕樹氏:本日はお集まりいただき、ご視聴いただきまして誠にありがとうございます。代表取締役グループCEOの松原裕樹です。それではさっそく決算説明を始めます。

今回は4つのパートに分けてご説明します。1つ目は、今四半期の立ち位置についての我々なりの解釈です。2つ目は今四半期の業績について、3つ目はサービス別の業績と具体的な取り組みについてご説明します。4つ目は、来四半期に何をしていくのかについて、大枠をご説明できればと思います。

グループパーパス

パーパス達成に向けた今四半期の取り組みと立ち位置についてです。3月に「あらゆる価値を解放し、ココロ震える体験を世界に。」というパーパスを設定しました。こちらの実現を目指して日々事業を行っています。

パーパスの意味としては、我々は今さまざまなコンテンツを取り扱うことが多いですが、あらゆるサービスやコンテンツの価値を今ある価値に限定せずに、本当に価値が最大化できているのか常に自分たちに疑問を投げかけます。そして、価値を最大化し、新しい体験や驚きをユーザーのみなさまに世界規模で与えていきたいと考えています。届け方や見せ方次第で価値は十分変わるのではないかということを常に我々の中で検証しながら、そこを我々自身も楽しんでいくという意味で、このパーパスを設定しました。

パーパス達成プロセス

パーパスを具体的にどのように達成していくのかについてです。今回、パーパスと同時に、我々が「Torch」と呼ぶ行動規範を定めました。Torchは大きく4項目で、チャレンジ、誠実、チームワーク、スピードと置いています。

スライドの中核事業戦略のところに我々の事業の特徴を書いていますが、この行動規範を大きな基盤として、それぞれのサービスや特徴を使い、まずは中期経営計画を達成していきます。そして、計画を達成することにより、パーパスに近づいていくことを目指しています。

具体的には、すでに発表していますが、中核事業戦略にさまざまなシナジーを使い、まずは財務面で売上高60億円、営業利益12億円の達成を目指します。また、世の中に起こす社会的なインパクトとして、グローバルなコンテンツプラットフォームやその流通網を作ることで、日本のアニメ・マンガ業界および文化をどんどん海外出していき、日本自体を盛り立てていく一端を少しでも担うことができるよう、取り組んでいきます。

今QにLink-Uグループが取り組んだこと

パーパスに向けた大きな枠組みの中で、2024年第3四半期に実際に何をしてきたかについてご説明します。大きく5つのポイントで取り組んできました。

1つ目は、グループ内でのマーケティング機能の確立です。今まではプロダクトごとに、そのプロダクトに合わせたマーケティングをスポットで行っていたのですが、今回は完全に独立した事業会社として、グループ内にマーケティング会社を設立しました。

現在、マーケティングのトレンドもかなり変わってきています。今までのようにお金をかけて広告を出稿し、ユーザーを獲得していくこと以外にも目を向けないと、なかなか世の中の変化についていけません。また、我々がグローバルでコンテンツ流通を獲得した後にユーザーを集めてくるノウハウが内部にないと、成長速度に厳しいものがあると考えています。

そのため、マーケティングをかなり強化し、機能の拡充に力を入れてきました。具体的には、我々のグループ会社の中で、独立した事業会社としてLink-U Marketingを設立し、機能を補う部分としてRomanzという会社がグループ入りしました。

2つ目は新規プロダクトと販路拡大です。「ゆれしる」という地震予測サービスで培ってきた販路に新しいプロダクトを乗せていきます。こちらは以前からお伝えしていますが、より具体的にサービスが提供できる段階まできています。そちらについてはまた後ほどご説明します。

3つ目は国内マンガサービスです。マンガ・雑誌の読み放題サービスを展開している株式会社ビューンをグループに迎え入れました。これにより、我々が中期経営計画でも注力している総合書店系のマンガサービスにおいて、ポートフォリオを拡充できました。

4つ目は海外マンガサービスです。中長期の流れでは、海外での大きなマンガプラットフォームや、大きな意味での翻訳から流通、販売まで手がけることを計画しています。そこに付随して、現地にマンガ文化をしっかり根づかせるための打ち手として、マンガ投稿・公開サービス事業を譲り受けたことが大きなトピックになっています。

5つ目は、Webtoonの流通・制作です。『俺だけレベルアップな件』というWebtoonの大型タイトルの日本流通を手がけました。この実績を使い、オリジナルWebtoon作品のリリースや、Web流通・制作部門での売上・影響力の拡大を狙っていく大きな一手を打てたと考えています。

総論

第3四半期の総論です。中期経営計画の達成という大一番の勝負に向けて、まずは仲間集めの真っ最中だと捉えています。

ビューンやRomanzのグループ参画もそうですが、社員や社内のリソースの拡充も含めて、新規事業や海外事業によりトライしていけるよう、まずは仲間集めを行っている段階です。そのため、大一番の勝負となる中期経営計画の達成に向けて、短期的な数字だけでなく、いかにきちんと達成していけるか、そして次の中期経営計画につなげるための土台をいかに作ってけるかという意味でも、まだまだ仲間集めの段階だと捉えています。

数字としてしっかり出てくるのは、来期または再来期がメインになってくると考えています。そのため、第3四半期の位置づけはこのようになっています。

連結業績概要

それを踏まえて、連結業績のご説明に移ります。第3四半期の連結業績は、売上高7億9,100万円、前年比3.8パーセント増となりました。全体としては、売上はほとんど変わらない水準となっています。

大きな内訳としては、マーケティングサービス、特に「ゆれしる」の販路が好調に推移しています。ユーザーの獲得が前年比で20パーセント伸びているため、マンガサービスの微増の部分と、制作での微減の部分が相殺されているようなイメージです。

全体としては増収となっていますが、3月のホールディングス化に向けて、内部のコストや人材に対していろいろと投資を行ってきた関係もあり、営業利益としては減収となっています。

予算進捗

今期の予算進捗についてです。売上高は74パーセントの進捗で、ほぼ予定どおりとなっています。営業利益は先ほどのご説明のとおり、ホールディングス化のコストや仲間集めの部分で人材採用のコストが乗ってきているため、少し乖離していますが、概ね想定の範囲内と考えています。

営業利益分析

営業利益の内訳の分析です。コストとしては、体制強化に伴うスポットのコストや人材採用費がメインになっており、その内訳をスライドのグラフに記載しています。増えてきたリソースを、新しいことや今予定していること、またはグループ入りしてくれた会社とのシナジーといった売上を伸ばしていく部分に投下できるよう、準備している段階です。

マンガサービス業績

サービス別の業績と取り組みについてご説明します。まず、マンガサービスの業績です。スライドのグラフには、マンガサービスの四半期の売上推移と、中期経営計画の最終の四半期で目指していきたい数字を記載しています。第3半期の実績は売上高4億2,200万円ですが、中期経営計画の最終四半期は7億円という水準を目指したいと考えています。

大きなトピックとしては、今回ビューンがグループ入りしたことで、第4四半期から連結の数字になっていきます。また、それに伴うシステム改修やリニューアルによる収益力改善も予想されます。

また、国内案件のほか、海外の案件はスライドにほとんど記載していないため、次の中期経営計画で大きく寄与してくる想定で動いています。当然、来期および再来期の中期経営計画にも入ってくる数字です。そこをしっかり合わせて、7億円に到達したいと考えていますし、十分に到達できる数字だと今は捉えています。

ビューン

ビューンのグループ参画について、より深掘りしてご説明します。今回の子会社化にはいくつかの狙いがあります。ビューンは法人向けの読み放題の導入実績ナンバーワンの会社です。Link-Uグループとしては、法人への営業販路をほとんど持っていない状況のため、ビューンが持つ販路を活用していきたいと考えています。

今、自社プロダクトとしていくつかサービスを企画・開発しています。今はBtoCメインですが、BtoBにもしっかり出ていくことで、より安定した収益基盤を作っていきたいと考えています。ビューンが持つBtoBの営業販路や実績は非常に魅力的です。

また、ビューンの営業範囲をそのまま使って営業するだけではなく、ビューン自体とのバンドルでの組み合わせで販売するなど、方法もいろいろとカスタマイズできる可能性が十分あると思っています。そこを工夫しながら、チャネルのユーザーに一番合うかたちでサービス設計をしていきたいと考えています。

「ブック放題」はかなり長く続いているサービスですので、今のトレンドや技術に合わせたサービス設計に関しては我々が寄与できる部分です。コストダウンやサービス自体のレスポンスの高速化、デザインのブラッシュアップ、マンガのマネタイズの新しいモデルの導入などは、お互いに十分シナジーを出していける部分だと考えています。

加えて、「ブック放題」はマンガと雑誌の両方を取り扱うサブスクリプション型サービスです。今後、世の中がサブスクリプションに移行していった場合に、しっかり基盤となってくれるサービスだと考えています。

仮に、現在のようなチャプター売りの時代が終わり、サブスクリプションに移行した時に、我々がまたゼロからユーザーを集めて投資を行っていくのは、なかなか難しいと思っています。実績もない中どのようにコンテンツを獲得するのか、投資やマーケティングの費用をどのように捻出するかは、非常に厳しいと考えています。

最終的に「ブック放題」はその基盤にも十分なり得るものだと考えています。そのようなさまざまなメリットがLink-Uグループにもあり、今回グループ入りとなりました。

次のアクションとしては、実際に「ブック放題」を「ゆれしる」の販路で販売していくことです。まず、販売・売上成長をより加速させることが次の目標になっています。そのため、中長期でのマンガ業界の変遷への対応に加えて、短期的に我々の今のBtoCの販路での売上拡大も十分できると考えており、短期・中期両方でメリットがあると捉えています。

MANGA Plus Creators by SHUEISHA

マンガサービスの海外における取り組みについてです。今回、「MANGA Plus Creators by SHUEISHA」というマンガ投稿サービスを譲り受けました。こちらは、基本的には海外の方が自分で描いたマンガを投稿するサービスです。このサービスからヒット作を創出していきたいと考えています。

現在は日本の人気コンテンツを翻訳し、現地の流通に乗せて、もしくは自分たちでプラットフォームを作って届けていくことがメインです。しかし、最終的にマスに対してマンガやWebtoonを読む文化を根づかせるためには、やはり現地のクリエイターからヒット作が出ることが必須だと考えています。

競合にあたるNAVERでも、「NAVER Webtoons」というサービスで投稿にかなり力を入れ、リソースを割いています。現地ヒットは業界でマストだと、どの会社も重要性を認識していると考えています。我々もそこに取り組んでいくためには、プラットフォームだけに目を向けるのではなく、現地でヒットを作るための仕組みを準備する必要があると考えました。

投稿サービスをLink-Uグループのブランドで作っても、なかなか投稿されません。クリエイターに対するメリットが小さい、もしくはブランドの認知度が低い、つまり最終的なアウトプットのイメージが湧かないということだと思います。

一方「MANGA Plus Creators by SHUEISHA」に投稿された人気作品は「MANGA Plus by SHUEISHA」「少年ジャンプ+」という集英社の大きなコンテンツに掲載する権利が付与されています。これは非常に大きな魅力となっており、作品の投稿数もすでに1万件以上あるなどアクティブなサービスになっているため、今回こちらを譲り受けました。

したがって、こちらは通常の投稿サービスとは異なり、我々のグループの中でも重要な基盤になってくると考えています。海外のクリエイターが日本のスタイルのマンガやWebtoonを作り、さまざまなところに投稿することは今のところイメージできません。数ある中から絞り込み、知名度や人気のあるサービスに投稿するだろうと思います。

「MANGA Plus Creators by SHUEISHA」は少ない選択肢の1つになると考えていますので、今後、力を入れて成長させていきます。最終的にはグローバルプラットフォームと連携し、投稿も販売もできる唯一無二の存在にしたいと考えています。

チャレンジ領域進捗

海外マンガサービスにおいて第3四半期で取り組んできたことについて、前回の説明会でお示ししたフェーズの部分と、どこまで進行したのかをスライドでご説明します。フェーズ3まで記載していますが、フェーズ1は着実に進行していると理解しています。

現在、毎月1,000話以上を翻訳しており、作品の大量翻訳については軌道に乗せることができました。また、「Kindle」等ですでに配信できているため、海外電子書店でも流通が行われています。

フェーズ2は進行が始まったところです。現在ブラジルとインドに現地法人を設立し、コンテンツやグッズの販売に取り組んでいます。自社プラットフォームを展開し、マーケティングデータを蓄積し始めたばかりですので、今後より深掘りしていきたいと考えています。

マーケティングサービス業績

マーケティングサービスについてです。中期経営計画では最終四半期に売上高5億円まで持っていくとしており、現在の立ち位置は約1億5,000万円となっています。こちらは十分に達成できると考えており、プロダクト数の増加、販路の強化に加え、新しいマーケティング手法を追加し、販売所を複数にするなどの施策で達成を目指しています。

自社プロダクト第2弾

新しいプロダクトについてですが、第2弾として広告ブロックアプリのリリースを予定しています。広告のブロックだけでなく、悪質な広告も増えているため、安心してスマートフォンを使ってもらうサポートをするプロダクトを作ることが今回の企画です。

自社プロダクトのマーケティングチャネル

以前からお伝えしているとおり、「ゆれしる」で実際に伸びている部分にそのまま新しいプロダクトを乗せていきます。「ゆれしる」と組み合わせて販売し、いろいろカスタマイズしながら垂直に立ち上げを実現していこうと考えています。

具体的には「クマモリ」のほか、ビューンの「ブック放題」も販路に乗せます。販売開始については第4四半期でしっかり準備をし、来期の第1四半期から本格的に数字として出てくる計画です。開発は終盤を迎えており、次のステップで販売の準備に入ります。

「ゆれしる」は今も伸びている状況ですので、「クマモリ」と「ブック放題」はかなり再現性が高いと考えています。

マーケティング会社の設立と孫会社

マーケティング部門のトピックとしては、Link-U Marketingの設立が大きいです。Link-U Marketingの特徴として、マーケティングユニットは海外におけるマーケティングの実績を持っています。日本語のコンテンツを読み、現地の言葉でどのようにマーケティングを展開するかに特化したマンガの代理店がなかなか海外に存在しないため、これは大きな武器になると考えています。

通常の広告代理店ではなく、自分たちのプロダクトを持ち、それを使ってPDCAを回し、より良いマーケティング手法を探すのが我々のユニットです。海外での実績と自社のプロダクトがありながらマーケティング部門として特化するという部分が、そもそもの特色となっています。

しかし、これだけでは弱い部分があるのも事実です。トレンドが従来の趣向から変わってきているため、新しいチャネルにチャレンジできるRomanzが今回グループ入りしたことで、オプションやサービスの幅が広がりました。

株式会社Romanzについて

Romanzはファン共創型プロモーションにも力を入れており、ファンと一緒に盛り立てて、ユーザーを連れてくるところが特徴です。実際にどのような事業を展開しているかというと、主にVTuberを活用したキャスティングやイベントのプロモーション、VTuberを管理するサポートエージェンシーといった事業を展開しています。

メインはイベントプロモーションのため、いろいろなデータを分析し、熱量の高いファンがいるVTuberをキャスティングし、そこに合うイベントを計画します。つまり、新しいかたちのマーケティング手法を展開している会社です。

Link-U Marketingとしては、海外案件にも対応でき、プロダクトを持ちながら最新のWebマーケティングにおいてPDCAを回しながらサービスを提供できます。そして、広告出稿にとらわれず、ファンの熱量を使い、世の中を巻き込んだファン共創型マーケティングが可能です。

今後はこのようなマーケティング活動をさらに増やし、最終的にはグローバルにプラットフォームを展開していく中で、その国やターゲットに合わせて使い分けながら、社内のプロダクトのグロースに寄与したいと考えています。

制作・流通業績

制作と流通についてです。中期経営計画の最終四半期で売上高4億円を目指しており、現在は2億2,000万円となっています。

スポットの開発や、コンテンツのヒットにより少しでこぼこした数字になるのですが、制作に関しては基本的に作品数をKPIにしながら、中期経営計画の達成を目指していきます。また、開発については、リソースを追加しながら提案できる規模を上げていき、案件の獲得につなげていきたいと考えています。

『俺だけレベルアップな件』の国内流通代理

作品制作については、元来の目的であった流通網の確立として最初の案件を実行することができました。Webtoonにおいて、『俺だけレベルアップな件』という大型タイトルを国内唯一の代理店として流通を開始しました。これにより実績だけでなく、電子書店とのいろいろな条件、関係値、今後の展開について議論でき、これからいろいろな作品を流通させていく準備ができたと考えています。

オリジナルコンテンツ

実際に、先月からオリジナルのWebtoon作品をこの販路に乗せてリリースしており、こちらについては今後もリリースを続けていく予定です。

『俺だけレベルアップな件』で終わるのではなく、第2弾、第3弾と既存の人気作品の展開も行い、流通網をより強くしていきながら、オリジナル作品を積極的に出していきたいと考えています。流通網を強くしていく部分と、作品がヒットする確率を高める部分の両輪で進めていきます。

リリーススケジュール

こちらのスライドには、今後のリリース予定を記載しています。

チャレンジ領域進捗

Webtoonの制作・流通においては、3つに分けた中期のフェーズに対し、フェーズ1は今回達成できました。ヒット作品の日本流通により、独自の販路も確立できています。

現在はフェーズ2に進んでおり、オリジナル作品の最初の3作品をリリースしました。これから他の作品も制作・流通していく予定です。また、現在は日本だけで流通を開始していますが、韓国での配信も予定しており、こちらも引き続きフェーズ2を進めていきます。

次Qに予定しているLink-Uグループの主な取り組みの一例

次の四半期に向けてどのようなことをしていくかご説明します。1つ目はマンガサービスの機能拡充です。グループインしたビューンとの連携強化により、サービスの機能拡充を図ります。UI/UXをはじめとしたユーザビリティの改善、コスト削減、レスポンス速度の向上などについては総合的に対応していきます。

2つ目は新規プロジェクトの販路拡大です。先ほどお伝えした「クマモリ」をリリースすることで、実際の売上を作っていく段階にあると考えています。また、リリースと同時に第3弾の企画に取り組む予定です。すでに企画自体はかなり練り上げていますので、開発要件の定義に入っていくところからプロジェクトに着手していきます。

3つ目はマンガ・Webtoonの制作・流通です。引き続き、既存作品の流通とオリジナル作品のリリースの両輪で進めていく予定です。

4つ目はシステム開発の受注です。今回、人材採用もきちんと強化しましたので、今後の成長につながるリカーリングが増えていくような新しい案件の受注に向けて、これから動いていきます。

第4四半期にはこれらのことを実行し、3月に設定したグループのパーパスの達成、そしてみなさまに提示している2026年度中期経営計画を必ず達成するために一つひとつ進めていこうと考えています。今後も達成に向けた進捗がきちんとトラックできるように、できるだけ数字を開示しながらご説明しようと思っています。引き続き、ご支援をお願いできますと幸いです。

質疑応答:新規アプリのリリース売上について

「第2四半期の決算資料には、新規アプリのリリース売上計上は第3四半期からと記載されていましたが、今回は来期の第1四半期の予定となっていました。これは新規アプリの開発が遅れているということでしょうか?」というご質問です。

こちらは保守的に記載しており、プラットフォームの審査が必要な部分が少し残っています。したがって、場合によっては販売開始の準備が遅れる可能性もありますが、販促用のパンフレットやチラシのような付随する部分や、販売員への共有など、進められるところは同時進行しています。そのため、ここ自体の遅れがそのまま中期経営計画や予算に対して大きくビハインドすることはないと捉えています。

来期を待たずにできるだけ早く、しっかりと売上計上していきたいとは思っていますが、まとまった数値として出てくるのは来期の第1四半期になると考えています。しかし、全体の予算としては影響がないと認識していますので、審査の状況等を含めて、わかり次第ご報告します。

質疑応答:第3四半期の原価増加の理由について

「営業利益分析について、人件費やスポットでのホールディングス化費用の増加は理解しましたが、原価増もけっこうな減益要因になっています。かつ第2四半期では原価増による利益の下押しもなかったため、第3四半期で何がそこまで原価増となったのか気になっています」というご質問です。

原価増の部分がスライドのグラフと連動していないため、わかりづらかったかと思います。こちらは今、サービスによって伸びている部分と減収になっている部分があります。原価としては、例えば「ゆれしる」の販売手数料やライセンス料が原価として上がっています。

また、「ゆれしる」以外で売上が下がった場合に、原価の増加のほうが上回ることは要因としてあると思っています。しかし、そのリカバリーに関しては、今後の案件でしっかり対応できると考えています。また、「クマモリ」や「ブック放題」の販売も開始されますので、原価増が計画達成を阻害する大きな要因にはならないと認識しています。

質疑応答:ビューンの収益貢献による通期予想の上方修正について

「ビューンによる収益へのシナジー効果に期待しています。予想を見る限り、収益にかなり貢献しそうだと思っていますが、子会社化に伴う通期予想の上方修正などはあり得るのでしょうか?」というご質問です。

今期に関しては、利益はそこまで読んでいません。シナジーはたくさんありますが、販売開始自体は第4四半期からで、収益貢献としては来期第1四半期からになります。また、コスト削減に向け、技術的な協力体制の構築など、いくつかできることがありますが、それらは逆に初期コストがかかってくる部分でもあるため、ある程度は織り込んでいます。

本格的に販売を開始して、利益がたまってきた時にコストを解消していき、売上が伸びるタイミングを合わせていきたいと考えています。そのため、まずは足元のいろいろな取り組みに収益を割いていこうと計画しています。

質疑応答:来期以降の株価について

「来期から本格的に動いていくとのことですが、株式公開されているため耳が痛いと思われるでしょうが、株価に関しても気にしてほしいです」というご意見です。

ご指摘のとおりで、日々応援してくださっている株主さまに対して、きちんと報いていかなければいけないと考えています。株価でお応えする部分もそうですが、プライム市場を選択していることもありますので、しっかりと動きを作って、数字も出していきます。上場している以上、きちんと株価を上げて資金調達をし、またその投資によって株価を上げるサイクルに乗っていかないと、株主さまに応援していただいた意味がないと考えています。

中期経営計画達成の中でいろいろアクションを起こしていこうと思っています。そのため、もう少し待っていただいて、その取り組みを見ていただければ幸いです。いつも応援していただき、ありがとうございます。

質疑応答:M&Aや事業譲渡による売上高およびマンガ事業の成長鈍化について

「意欲的な中期経営計画を掲げていますが、売上高60億円のうち、M&Aや事業譲渡などで子会社化した会社による売上はいくらで想定していますか? また、既存のマンガサービス事業と制作・流通事業の業績はほとんど成長していませんが、この状況についてどうお考えでしょうか?」というご質問です。

60億円のうちM&Aのみの部分は分けて算出していません。今はビューン自体を伸ばしていくことや、シナジーを組み合わせることができるものをM&Aの対象として考えていますので、正確に分けては考えていません。しかし、この中期経営計画での中心は、やはり総合書店系のマンガサービス「ブック放題」および「ゼブラック」とマーケティング事業であり、業績を引っ張っていくと考えています。

制作・流通事業ももちろん伸ばしていくのですが、作品の本数はKPIにしながら、いかにヒット作を生んでいくかが重要です。開発の部分も数字は作っていくのですが、初期開発を含めて、スポットで上がったり、それに伴い翌年に反動が来たりすることもあります。そのため、プラスアルファで伸びた部分を上振れとして捉えておきながら、マンガサービス事業、そしてマーケティング事業で伸ばしていきたいと考えています。

マンガサービス事業は、短期的に海外を追加して伸ばすのは現実的ではないと考えていますので、海外についてはしっかりと中期で取り組んでいきます。そして具体的な流れを、残りの2年で作っていくことをお約束します。

短期的には、国内の「ブック放題」の販売や、足元の「ゼブラック」を伸ばしていきます。またそれ以外で国内のサービス開発、例えばWebtoonのアプリや海外向けのサービスを作りたいと思っています。需要はかなり高まっていますので、それらを少し取り込むことによって、60億円の達成を考えています。

質疑応答:今後のAI翻訳事業への取り組みについて

「最近、マンガ業界でAI翻訳事業が注目されていると思います。マンガの海外サービスを展開している御社とは相性がかなり良いと思いますが、今後、AI翻訳事業への参入、またAI翻訳事業を展開している企業との協業などは想定しているのでしょうか?」というご質問です。

AI翻訳を事業とするかは、まだ見定めている状況です。ただし、AI翻訳自体は、よりスピードを上げていくため、あるいはコストダウンするため、必ず各社が使っていくと考えています。実際に現段階でも、文字を読み取って自動翻訳をして、写植することができます。オノマトペ以外の部分は十分誰でもできる技術水準になっており、それは社内でもテストを行い、確認済みです。

これを事業として展開していくのか、それともツール自体をインフラとして提供していき、業界として海外向けのコンテンツが出ていく数を増やしていくかは、似ているようで大きく違うと考えています。私としては、業界自体が、海外にコンテンツを出していける量を増やすことのほうが重要だと認識しています。したがって、出版社に限らず、作家個人が自分で使ったり、アマチュアの作家でも、それを使ってパブリッシュできたりするかたちが理想的だと今は考えています。

まだ固まりきってはいないのですが、AI自体は使っていく必要が十分にあると思っています。最終的には人の手でカスタマイズして、それを事業として展開するかは、今お伝えしたとおり、少し検討している段階です。

質疑応答:時価総額の向上施策について

「プライム市場の維持は難しい状況ですが、時価総額の向上施策は検討していないのでしょうか?」というご質問です。

我々としても、ただ決算を四半期ごとに出していくだけでは、何も変わらないと考えていますので、しっかりここに対してアクションしていきたいと考えています。しかし、短期的に株価を上げる施策だけを打ち、株価を操作しても、当然良くはありません。しっかりとストーリーと一緒に、我々が行っていること、そして思い描く未来について具体的な事例と合わせて出していかないと、株価向上を達成しても、その後の維持は難しいと考えています。

今、そこにしっかり取り組んでおり、みなさまに発表できるものを作っている最中ですので、もう少しご辛抱いただければと思います。少なくとも四半期ごとにただ決算発表をするだけでは数字は上がりませんので、それ以外の動きをしていくこともしっかり計画しています。

質疑応答:VTuber事務所とのシナジー効果について

「本社の1つ下のフロアがVTuber事務所だと思うのですが、Romanzとのシナジー効果がそこで生まれることはないのでしょうか?」というご質問です。

以前、同じオフィスにカバーが入っていましたが、今は引っ越してしまいました。当然、業界としていろいろと取り組めるところはありますので、カバー以外もシナジー効果はあると思っています。逆に、マーケティングの面ではVTuber事務所だけではなく、いろいろな業界と相性が良いと考えていますので、特にこの業界にとどまらず、シナジーの部分はしっかりと見据えて動いていくつもりです。

質疑応答:ビューン買収によって拡大するサービスについて

「ビューンの買収によって、『法人向け』『読み放題』『カスタマイズ』というキーワードがありましたが、具体的にはどのようなサービス拡大イメージをお持ちなのでしょうか?」というご質問です。

まず、法人向けとしては「ゆれしる」「クマモリ」に続く第3弾の企画も考えています。法人に販売できるサービスも、ここで作っていく想定です。

具体的に何かというのは、企画段階のためお伝えできないのですが、「ゆれしる」も機能を拡大していく予定です。例えば、地震の予測と安否確認をつけてBtoBで販売していく、あるいは予測に合わせて短期的な地震保険をつけて販売していくなど、いくつか方法はあると思っていますし、アイデアもあります。ただし、法人向けのプランを作った時に、実績がないため導入が難しいと考えていますが、法人向けナンバーワンの実績があるビューンの販路を使って、BtoCのサービスをBtoB向けにカスタマイズして出していきます。

読み放題については、まだ全然見えていない話ですが、少なくともマンガアプリが乱立している現状のままいくとは想定していません。どこかの段階で、さらに集約されていく、あるいはグローバルと国内がマージされた本当のグローバルサービスができ、国内もチャプター売りではなくサブスクリプションになっていくようなタイミングが、変遷としては考えられると思っています。仮に、我々が読み放題をゼロから始めるのかという時に、「ブック放題」は1つ基盤になり得る機能と実績があると考えています。

そして、カスタマイズについては、「ブック放題」に寄与できる部分があると思っています。まずは、コンテンツです。制作しているマンガやWebtoonを、「ブック放題」限定の作品として読み放題で出していくことも、我々グループとして応援できることだと思っています。また、今はシンプルに月額いくらというサービス展開ですが、ここにチャプターで買える機能を入れるなど、売り方も今まで実績が良かったものも含めて共有していきながら、いろいろ検証できると考えています。

さらに、技術面でもサーバーのコストやコンテンツの読み込み速度を、しっかりカスタマイズすることで、ユーザー体験を上げていきます。コンテンツの部分でも、サービスのレスポンスといったユーザー体験を上げることが、グループとしても生きてくると思っています。これらが3つのキーワードを挙げた理由です。

配信元: ログミーファイナンス

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