ドル円は159円手前まで上昇 介入警戒感が高まりそうな位置に=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2024/06/21 05:50
ドル円は上値追いが続き159円手前まで上昇 介入警戒感が高まりそうな位置に=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、ドル円は上値追いが続き、159円手前まで上昇している。4月の財務省による介入直前の水準を回復して来ており、介入警戒感も高まりそうな位置に来ている。しかし、非常に落ち着いた値動きでの上昇で、財務省の言う「過度な変動」にはあたらない。

 朝方発表の米経済指標は概ね弱い内容となり、特に米住宅着工件数は2020年6月以来の低水準となっていた。FRBの年内利下げ期待を裏付ける内容ではあったものの、米国債利回りが上昇しており、ドル円も追随した模様。

 また、根強い円安がドル円をサポートしている状況に変化はない。株式市場が堅調に推移し、リスク回避の雰囲気もないことや、日銀は先週の決定会合で国債購入減額の方針こそ示したものの、具体策は次回に持ち越しており、利上げも含めて、市場が考えているほど、正常化に前のめりでもなさそうだ。

 きょうはカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁の発言が伝わっていたが、インフレが2%目標に戻るには1-2年はかかるとの見通しを示していた。同総裁はこれまでタカ派な発言をしていたが、先週のインフレ指標とFOMCを境にタカ派トーンはやや後退させているものの、利下げには慎重な姿勢を垣間見せている。

 ユーロドルは戻り売りが優勢となり、1.07ドルちょうど付近に値を落とした。今週に入って買戻しが見られていたが、きょうの下げで6月以降の下げトレンドの継続が確認されている格好。ユーロ自体の売り材料は見当たらないが、本日の英中銀の金融政策委員会(MPC)で利下げの可能性が暗示されていたことや、スイス中銀が予想外の利下げを実施したこともユーロを対ドルで圧迫している面がありそうだ。

 IMFはきょうユーロ圏経済に関するレビューを発表。IMFはその中で、EUの新たな財政ルールは高水準の債務と大幅な財政赤字を抱える国々が財政再建のために実質かつ政治的な努力をしなければ機能しないと指摘した。

 新しいEUのガバナンスの枠組みは多くの加盟国に大幅な財政調整を要求し、想定通りに実施されるには持続的な政治的支援が必要だと言及している。なお、フランス、イタリアをはじめとする5カ国は多額の財政赤字を抱えているとしてEUからけん責処分を受けていた。

 ポンドドルは売りが優勢となり、1.26ドル台に再び下落。前日は21日線の回復を試す動きも見られたものの上値を抑えられた格好。100日線が1.2640ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。

 きょうは英中銀が金融政策委員会(MPC)の結果を公表していたが、予想通りに政策を据え置いた。ただ、9名の委員のうち、ディングラ委員とラムズデン副総裁の2名が利下げを主張していたほか、据え置きを支持した委員の間でも、ベイリー総裁を含む、一部の委員は据え置きがぎりぎりの決定だったことが示唆されている。

 前日の英消費者物価指数(CPI)でサービスインフレが驚くほどの強さを示していたものの、総選挙後の8月には利下げ支持に回るメンバーが増える可能性がありそうだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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