“ポジション調整”主体で組み立てたい局面…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2024/06/05 11:12

◆ 誤算だった「インド株急落」 - “リスク回避姿勢”台頭


もう一段下があった…。
『日銀、早ければ今月会合で国債買入減額を具体的に検討も』との日銀関係者コメントが伝わったこともありますが、想定外だったのは「インド株急落」…。

インド総選挙では想定通り「与党勝利」となったものの、「単独過半数割れ」となりました。
この想定外の結果にマーケットは「インド株急落」で反応し、“リスク回避姿勢”が台頭しました。
この影響にて安全資産とされる“米国債に買い圧力”がかかり、“利回り低下”をもたらしました。
こうした中で報じられたのが前記「日銀関係者発言」であり、金利面での“ドル売り”に加えて“円買い”も並立する格好となりました。
さらに注目の「JOLTS雇用動態調査」が“予想を下回った(805.9万件)”ことで加速する格好となり、NYタイム序盤にかけてドル円は“154.527円”へと値を落とすに至りました。

ただ今朝方に発表された「毎月勤労統計」で実質賃金は“25カ月連続の前年割れ(△0.7%)”を記録しており、前記「日銀緩和策解除」への思惑は緩みつつあります。
こうしてドル円は“155円半ば”へと押し戻されつつあるなど、“下値はしっかり”という印象は否めないものがあります。

◆ ただそれ以外は“想定内”…


本日も「米年内利下げ」「日銀緩和策解除」への思惑が、マーケットを揺れ動かすと見られます。
ただ少なくとも前者に関しては“方向感定まらず”というのが実状であり、今週行われる「雇用関連の米経済指標」を一つ一つ確認するというフローになりやすいと見るのが自然です。
特に本日は「ADP雇用統計(予想は前月比+17.3万人)」「ISM非製造業景況指数(同50.8)」の2つが予定されているとあっては、結果を見るまで“一方向への動意”は抑制されると見るのが妥当といえます。

そうなると後者への思惑ということになりますが、冒頭で記したように、昨日反応したのは“リスク回避姿勢”という援軍があったと考えるのが妥当といえます。
“織り込み済”ということでそれが緩みつつある以上は、ここからさらに下値を模索するには“相応以上”の材料が必要ということに・・・?

見誤った直後ではありますが、米経済指標を見極めるまでは少なくとも“様子見”、やや往き過ぎた昨日の下落に対する“ポジション調整(買い戻し)”を主体と考えたいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

157.468(6/3高値)
157.259(ピボット2ndレジスタンス)
157.027(+1σ、大台)
156.488(6/4高値、5/29~6/4の61.8%戻し)
156.255(20日移動平均線)
156.121(5/29~6/4の50%戻し、日足・一目均衡表転換線)
156.051(日足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット1stレジスタンス、大台)
上値5:155.883(週足・一目均衡表転換線)
上値4:155.745(5/29~6/4の38.2%戻し)
上値3:155.421(-1σ)
上値2:155.177(5/16~5/29の61.8%押し)
上値1:155.000(大台)
前営業日終値:154.878(日足・一目均衡表基準線)
下値1:154.795(50日移動平均線)
下値2:154.621(-2σ)
下値3:154.527(6/4安値、5/16~5/29の76.4%押し水準)
下値4:154.107(ピボット1stサポート)
下値5:154.000(大台)
153.608(5/16安値)
153.339(日足・一目均衡表先行スパン下限、ピボット2ndサポート)

《10:45》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想