*13:00JST スカラ Research Memo(10):大規模な事業構造改革実施により、2024年6月期業績は未定に修正
■今後の見通し
1. 2024年6月期の業績見通し
スカラ<4845>は2024年6月期の連結業績について、期初計画では増収増益を見込んでいたが、前述の通り主力のDX事業の収益が大幅に悪化したこと、また、その他の事業についても堅調に推移しているものの全体としては当初計画に比べて進捗が遅れ気味となっている。こうした状況を踏まえて、徹底的なコスト見直しと更なる事業の整理を行うとともに、DX事業の回復に大きく注力する必要があると判断し、2024年1月より大規模な事業構造改革に着手しており、一時的に多額の費用計上が発生することから、2024年6月期の業績見通しについてはある程度の見込みが固まるまで未定とすることにした。
事業構造改革の具体的な内容としては、本社スペース縮小に伴う賃借料並びにシステム利用料や専門家報酬などの固定費削減を実施するほか、不採算事業の整理(子会社売却含む)とそれに紐づく固定費の削減を期末までに実施する。これら取り組みによって発生する一時費用(賃借契約に関する違約金など)や事業整理に関わる手数料(コンサルティング費用など)など合わせて最大で10~15億円のコスト増が営業利益段階及び税引前利益段階で発生すると見込んでいる。また、事業整理に伴うのれん及び固定資産の減損処理、株式売却損、その他の資産評価損が発生し、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益に、キャッシュアウトを伴わない会計上の損失が最大20~30億円発生する見通しだ。
一方、これら事業構造改革の効果として、2025年6月期には事業整理による効果として年間約2億円、固定費削減効果として年間約6億円の増益効果を見込んでいる。同社では主力事業でこれまで収益性の高かったDX事業に、開発及び営業リソースを傾注することで、同事業の収益力を強化し成長軌道に乗せていくことを最重要課題として取り組んでいく方針だ。なお、事業構造改革の進捗状況については2024年3月末までに開示する予定にしている。
なお、各事業セグメントの事業戦略として、DX事業については引き続き官民共創プロジェクトなどの大型案件の受注獲得に注力していく。人材・教育事業では新規に立ち上げた中途転職支援や学生向けキャリア教育事業などを育成することで事業拡大を目指す。EC事業は、流通額拡大施策としてSEOの継続改善によるECサイトへの流入数拡大、ロイヤルティの高い会員増加に向けたUI/UXの改善をはじめとするECサイトの継続リニューアル、商品ラインナップ拡充のための買取の強化などに取り組んでいく。また、配送作業の効率化とコスト削減に向けて画像認識AIシステムを導入し、テスト運用を開始している。同取り組みの効果が顕在化してくれば収益性の向上が見込まれる。インキュベーション事業においては引き続き「逆プロポ」など官民共創プロジェクトに注力していく。なお、ファンドによる投資事業に関しては新規の投資を凍結し、既存の投資案件で満期まで運用していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SO>
1. 2024年6月期の業績見通し
スカラ<4845>は2024年6月期の連結業績について、期初計画では増収増益を見込んでいたが、前述の通り主力のDX事業の収益が大幅に悪化したこと、また、その他の事業についても堅調に推移しているものの全体としては当初計画に比べて進捗が遅れ気味となっている。こうした状況を踏まえて、徹底的なコスト見直しと更なる事業の整理を行うとともに、DX事業の回復に大きく注力する必要があると判断し、2024年1月より大規模な事業構造改革に着手しており、一時的に多額の費用計上が発生することから、2024年6月期の業績見通しについてはある程度の見込みが固まるまで未定とすることにした。
事業構造改革の具体的な内容としては、本社スペース縮小に伴う賃借料並びにシステム利用料や専門家報酬などの固定費削減を実施するほか、不採算事業の整理(子会社売却含む)とそれに紐づく固定費の削減を期末までに実施する。これら取り組みによって発生する一時費用(賃借契約に関する違約金など)や事業整理に関わる手数料(コンサルティング費用など)など合わせて最大で10~15億円のコスト増が営業利益段階及び税引前利益段階で発生すると見込んでいる。また、事業整理に伴うのれん及び固定資産の減損処理、株式売却損、その他の資産評価損が発生し、当期利益及び親会社の所有者に帰属する当期利益に、キャッシュアウトを伴わない会計上の損失が最大20~30億円発生する見通しだ。
一方、これら事業構造改革の効果として、2025年6月期には事業整理による効果として年間約2億円、固定費削減効果として年間約6億円の増益効果を見込んでいる。同社では主力事業でこれまで収益性の高かったDX事業に、開発及び営業リソースを傾注することで、同事業の収益力を強化し成長軌道に乗せていくことを最重要課題として取り組んでいく方針だ。なお、事業構造改革の進捗状況については2024年3月末までに開示する予定にしている。
なお、各事業セグメントの事業戦略として、DX事業については引き続き官民共創プロジェクトなどの大型案件の受注獲得に注力していく。人材・教育事業では新規に立ち上げた中途転職支援や学生向けキャリア教育事業などを育成することで事業拡大を目指す。EC事業は、流通額拡大施策としてSEOの継続改善によるECサイトへの流入数拡大、ロイヤルティの高い会員増加に向けたUI/UXの改善をはじめとするECサイトの継続リニューアル、商品ラインナップ拡充のための買取の強化などに取り組んでいく。また、配送作業の効率化とコスト削減に向けて画像認識AIシステムを導入し、テスト運用を開始している。同取り組みの効果が顕在化してくれば収益性の向上が見込まれる。インキュベーション事業においては引き続き「逆プロポ」など官民共創プロジェクトに注力していく。なお、ファンドによる投資事業に関しては新規の投資を凍結し、既存の投資案件で満期まで運用していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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