*13:01JST キューブ Research Memo(1):2023年12月期は前年同期比68.1%の営業減益だが、想定の範囲内
■要約
キューブ<7112>は、富裕層に特化したラグジュアリーゴルフウェアの販売を主力事業としている。自社でデザイン・企画した商品を外部へ製造委託するファブレス型の事業モデルで、主力ブランド「MARK&LONA(マークアンドロナ)」は日本及び韓国では深く浸透しており、ラグジュアリーゴルフウェア市場のトップランナーと言える。販売チャネルは、国内リテール(テナントインの実店舗での販売)、国内及び海外向けEC、韓国・海外(イタリア及び米国等)・国内向けの卸がある。また中期ビジョンの成長戦略として「グローバル展開」「ブランドの深化」「コラボレーションによるブランド開発」を掲げている。
1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の業績は、売上高4,857百万円(前期比12.6%減)、営業利益289百万円(同68.1%減)、経常利益292百万円(同67.5%減)、当期純利益190百万円(同68.7%減)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で前期に大きく増加した韓国卸がその反動で大幅な減収となったことに加え、国内リテール及び国内卸で猛暑の影響により秋冬商材の立ちあがりが遅れ、計画を下回った。この結果、売上高は前期比で2ケタの減収となった。韓国卸の売上高比率が低下したことで、売上総利益率は改善したが、減収により売上総利益は同6.2%減となった。経費においては、業容拡大による人件費増加や「MARK&LONA」青山店(以下、青山店)開店に伴う経費増などから販管費が同21.5%増となり、結果として営業利益は前期比で大幅減となった。ただし、既に上期の時点で大幅な下方修正を行っていたので、想定内の結果だったと言える。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の業績は、売上高5,120百万円(前期比5.4%増)、営業利益236百万円(同18.2%減)、経常利益230百万円(同21.0%減)、当期純利益151百万円(同20.8%減)と予想されている。販売チャネル別では国内リテール、国内EC、海外EC、海外卸は堅調に推移する見込みであるが、韓国卸は急回復は見込めず横ばい予想、国内卸も代理店の在庫水準がまだ高いことなどから減収を見込んでいる。この結果、売上高は小幅増にとどまる見通しだ。売上総利益率は若干改善する予想だが、引き続き店舗リニューアルや人員増などの経費増が続くことから、営業利益は同18.2%減と予想されており、業績の本格回復にはもう少し時間がかかりそうだ。経営方針としては前期に引き続き、「グローバル戦略」「ブランディング」「コラボレーション」の強化を掲げている。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2023年2月に、中期ビジョン(2023年12月期~2025年12月期)を策定し、成長戦略として「グローバル展開」「ブランドの深化」「コラボレーションによるブランド開発」を掲げている。「グローバル展開」ではデジタルB2Bツールを用いた合同展示会やOMO※ストアなどからのデータ分析を通じた出店展開を、「ブランドの深化」では店舗開発、カテゴリー強化・新規ジャンルの開拓を、「コラボレーションによるブランド開発」ではブランド・プロダクトコラボレーション、環境に配慮した新規商品の開発などを推進する計画だが、この基本方針に変更はない。なお、2022年12月期から2023年12月期にかけての減収と2024年12月期の成長率の鈍化を踏まえ、定量的な中長期成長目標を見直した。従来の計画を実現するまでには多少時間がかかる見込みだが、進行中のグローバル展開を着実に推進することで、売上高はCAGRで20%以上、営業利益はCAGRで40%以上、営業利益率は20%以上、ROEは15%以上を目標にして取り組んでいくとしている。達成時期にズレはありそうだが、会社が目指す方向及び体質には変わりはないようだ。
※On-line Merges with Off-lineの略で、実店舗とオンラインストアが融合した店舗のこと。
■Key Points
・富裕層向けラグジュアリーゴルフウェアに特化したアパレルメーカー
・2023年12月期は前期比68.1%の営業減益、2024年12月期も経費増が続き同18.2%の営業減益予想
・中長期成長目標として、CAGRで売上高20%以上、営業利益40%以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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キューブ<7112>は、富裕層に特化したラグジュアリーゴルフウェアの販売を主力事業としている。自社でデザイン・企画した商品を外部へ製造委託するファブレス型の事業モデルで、主力ブランド「MARK&LONA(マークアンドロナ)」は日本及び韓国では深く浸透しており、ラグジュアリーゴルフウェア市場のトップランナーと言える。販売チャネルは、国内リテール(テナントインの実店舗での販売)、国内及び海外向けEC、韓国・海外(イタリア及び米国等)・国内向けの卸がある。また中期ビジョンの成長戦略として「グローバル展開」「ブランドの深化」「コラボレーションによるブランド開発」を掲げている。
1. 2023年12月期の業績概要
2023年12月期の業績は、売上高4,857百万円(前期比12.6%減)、営業利益289百万円(同68.1%減)、経常利益292百万円(同67.5%減)、当期純利益190百万円(同68.7%減)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で前期に大きく増加した韓国卸がその反動で大幅な減収となったことに加え、国内リテール及び国内卸で猛暑の影響により秋冬商材の立ちあがりが遅れ、計画を下回った。この結果、売上高は前期比で2ケタの減収となった。韓国卸の売上高比率が低下したことで、売上総利益率は改善したが、減収により売上総利益は同6.2%減となった。経費においては、業容拡大による人件費増加や「MARK&LONA」青山店(以下、青山店)開店に伴う経費増などから販管費が同21.5%増となり、結果として営業利益は前期比で大幅減となった。ただし、既に上期の時点で大幅な下方修正を行っていたので、想定内の結果だったと言える。
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の業績は、売上高5,120百万円(前期比5.4%増)、営業利益236百万円(同18.2%減)、経常利益230百万円(同21.0%減)、当期純利益151百万円(同20.8%減)と予想されている。販売チャネル別では国内リテール、国内EC、海外EC、海外卸は堅調に推移する見込みであるが、韓国卸は急回復は見込めず横ばい予想、国内卸も代理店の在庫水準がまだ高いことなどから減収を見込んでいる。この結果、売上高は小幅増にとどまる見通しだ。売上総利益率は若干改善する予想だが、引き続き店舗リニューアルや人員増などの経費増が続くことから、営業利益は同18.2%減と予想されており、業績の本格回復にはもう少し時間がかかりそうだ。経営方針としては前期に引き続き、「グローバル戦略」「ブランディング」「コラボレーション」の強化を掲げている。
3. 中長期の成長戦略
同社は、2023年2月に、中期ビジョン(2023年12月期~2025年12月期)を策定し、成長戦略として「グローバル展開」「ブランドの深化」「コラボレーションによるブランド開発」を掲げている。「グローバル展開」ではデジタルB2Bツールを用いた合同展示会やOMO※ストアなどからのデータ分析を通じた出店展開を、「ブランドの深化」では店舗開発、カテゴリー強化・新規ジャンルの開拓を、「コラボレーションによるブランド開発」ではブランド・プロダクトコラボレーション、環境に配慮した新規商品の開発などを推進する計画だが、この基本方針に変更はない。なお、2022年12月期から2023年12月期にかけての減収と2024年12月期の成長率の鈍化を踏まえ、定量的な中長期成長目標を見直した。従来の計画を実現するまでには多少時間がかかる見込みだが、進行中のグローバル展開を着実に推進することで、売上高はCAGRで20%以上、営業利益はCAGRで40%以上、営業利益率は20%以上、ROEは15%以上を目標にして取り組んでいくとしている。達成時期にズレはありそうだが、会社が目指す方向及び体質には変わりはないようだ。
※On-line Merges with Off-lineの略で、実店舗とオンラインストアが融合した店舗のこと。
■Key Points
・富裕層向けラグジュアリーゴルフウェアに特化したアパレルメーカー
・2023年12月期は前期比68.1%の営業減益、2024年12月期も経費増が続き同18.2%の営業減益予想
・中長期成長目標として、CAGRで売上高20%以上、営業利益40%以上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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