藝大×小学館×JR東日本がアートでつながる!藝大アートプラザ・アートアワード授賞式を上野駅13番線 『PLATFORM 13』で開催
○国立大学法人東京藝術大学(以下 東京藝術大学)と株式会社小学館(以下 小学館)が共同で運営する「藝大アートプラザ」は年に一度、東京藝術大学の学生を対象としたアートコンペ「藝大アートプラザ・アートアワード」を開催しています。
○18回目となる本年度(2023年度)は美術部門(平面、立体作品)に加え、東日本旅客鉄道株式会社(以下 JR東日本)も参画し、あらたにデジタルアート部門を創設しました。
○本年度の授賞式は、3月21日(木)、審査を務めた日比野克彦・東京藝術大学長ならびに箭内道彦・東京藝術大学美術学部教授/藝大アートプラザ所長、各受賞者などが列席し、上野駅13番線『PLATFORM13』で開催します。
なお、現在、上野駅13番線『PLATFORM13』にて藝大アートプラザ・アートアワードデジタルアート部門の入選作品を投影しております。
1.授賞式の概要
日時:2024年3月21日(木)11時00分~
場所:上野駅13番線「PLATFORM13」
2.受賞作品
美術部門、デジタルアート部門の両部門合わせて70点以上の藝大生の作品が応募され、厳正な審査の上、大賞、準大賞、小学館賞、JR東日本賞、審査員特別賞の各賞※が選出されました。
※受賞作品、受賞者、および、審査の模様は下記URL藝大アートプラザHPをご参照ください。
https://artplaza.geidai.ac.jp/column/22350/
3.三者の取り組みについて
東京藝術大学と小学館は2018年から藝大アートプラザを共同で運営し、2022年には包括連携協定を結び、若手クリエイターの支援、および、アートを通じて共生社会をつくるための共同事業を手がけています。
また、JR東日本は2023年に東京藝術大学と包括連携協定を締結し、「アート」を軸とした新しいサービス・価値の提供を目指し、上野駅13番線ホームを「PLATFORM13」として、13 番線地平ホーム壁面にプロジェクターを用いてデジタルアート映像を大きく投映し、お客さまが気軽に芸術に触れ合える機会を提供します。
東京藝術大学と小学館が運営する藝大アートプラザのアートアワードの授賞式をJR東日本の駅ホームで開催することは、三者がそれぞれの枠を超えて連携し、アートの新しい可能性や役割を探るための第一歩になると考えています。
【参考】
〈各賞受賞作品、および、受賞者>
美術作品部門:
デジタルアート部門:
<審査員コメント>
日比野克彦 東京藝術大学長
東京藝大にはさまざまな学部・専攻があり、学生たちはそれぞれ素材や材料、技法をベースに学んでいるが、アーティストとしての「生きる力」を考えるならば、大学での学びを生かして、あるいは習得した技法なりを発展させて、自分にしかできない挑戦をすることがやはり必要になる。そのために自分の世界観を常に探り続けることは非常に重要だし、私はそうした挑戦の連続がアーティストとしての生きる力になると考えている。
今回の藝大アートプラザ・アートアワードでは、そのような文脈から、作者が自らの表現形態や表現方法をつかんでいると感じられるもの、あるいは探求しようとしているものを主に選んだ。
箭内道彦 東京藝術大学美術学部教授/藝大アートプラザ所長
世界を変える創造の源泉、東京藝術大学。その最前に浮かぶ出島、藝大アートプラザ。既成のフォーマットから解放された新しい芸術の可能性がこのアワードに満ち溢れて行くことを願って止みません。
【小学館賞 審査員】
○美術作品部門
清水芳郎 株式会社小学館社長室顧問/小坂眞吾 株式会社小学館取締役文化事業局担当
今回の藝大アートプラザ・アートアワードは、全体的に技術的な高さに驚かされた。一方で、作者の「内なるもの」を社会に発信するという意味でのフィルターが明快である作品と、そうでないものの差も感じられた。
技術的に一定の範疇にあることは当然として、そこからどうジャンプするかという視点で各作品を鑑賞したとき、白井雪音「Susan」は、彫刻の技の確かさをベースにしながら、自らの内面を確かに掘り下げていった爪痕が感じられた。単に内省的・メルヘンチックなのではなく、社会に向けてどのようなフィルターで発信すればよいかという点において、作者には明快な思想があるのだろう。他の作品にはない作者の「声の大きさ」があり、その点を評価した。
○デジタルアート部門
嶋野智紀 株式会社小学館ユニバーサルメディア事業局チーフプロデューサー/XR事業推進室室長
デジタルアート部門には諏訪葵「ガラス玉をひとつ」を選んだ。視覚が光と影のバリエーションに過ぎないとしたら、そこから得られる「懐かしさ」に似た感情は、記憶もまた電気信号の組み合わせだからだろうか。フィジカルとデジタルの間に表現の可能性を感じる。この部門は今回が初であったが、今後は動画以外の作品も見てみたい。
【デジタルアート部門 JR東日本賞・審査員特別賞 審査員】
高木浩一 東日本旅客鉄道株式会社 マーケティング本部 まちづくり部門長
Day Tripper(2023)は、光のコントラストと動きが表現されており、応募作品の中では、長大な展示空間特性に最もマッチした作品でした。誰しもが見慣れた夜の日常の車窓風景を題材にしていることで、例え、アートに造詣のない人にも、ある種の既視感を抱かせ、没入追体験をさせる優れたアート作品として高く評価します。
エプソン販売株式会社 VPMD部
デジタルアート部門における第一回目の公募に審査員特別賞という形でご一緒でき、光栄に存じ上げます。
気軽にアートに触れることができるPLATFORM13を通じて、お客様がアートと出会い、手にすることができる体験が身近になること、プロジェクターがアーティストにとって絵筆やキャンバスのように身近になることを願ってやみません。
磯谷香代子 カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社CCCアートラボ ディレクター
受賞した作家の皆さんおめでとうございます。今回が1回目のデジタルアート部門の公募という、前例が無い中で作品作成するということで色々な迷いがあったり、準備不足の作家も多かったのではないでしょうか。作品作成に当たる意図は良い内容の物でも、表現として、唐突な印象や私的すぎる印象を抱くものがありました。作品を客観的に見て、作家自身がどう感じるのか今一度確認し、今後の作品制作に生かすことを期待しています。
中村志保 エディター・ライター/元ARTnews JAPANエディトリアルディレクター
限られた制作期間、30秒~1分程度の再生時間などの制約・制限がある中での制作であったことを考慮しても、概して際立った表現が見られなかったのは少々残念だった。身近な体験や私的な思いから外部や社会事象へ接続を試みる作品が多く見受けられ、やや唐突、あるいは内的なままに完結してしまったように感じるものの、身近な体験が異なる世界へと繋がる想像力を掻き立てるだろう。このたび新設されたデジタルアート部門の今後として、ぜひ学生達には、作品が他人の目に触れる状況を深く掘り下げて、リサーチと思索に基づく制作を行うことを期待したい。
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