*15:56JST propetec Research Memo(6):注文請負住宅を中心に建築、顧客からの信頼も厚い
■property technologies<5527>の事業概要
3. 戸建住宅事業
戸建住宅事業は、注文住宅請負を主力にファーストホームとサンコーホームが行っている。ファーストホームは在来軸組工法を得意とし、地元の不動産業者や建築業者とのネットワークを背景に、取引先などからの紹介による受注が60%と一般的な住宅会社の約4倍超となっている。サンコーホームは、祖業の宮大工に現代の技術・材料を組み合わせた高機能性(耐震性・耐久性・省エネルギー性)やデザイン、安心保証を強みとしている。いずれも高機能のハイエンド住宅からコスト重視の規格住宅までを展開しており、工事は安定した工程管理とクオリティが特徴の協力会社が行っている。また、メンテナンス工事や大型リフォームなども丁寧にこなすため顧客からの信頼も厚く、既存顧客からの新規顧客の紹介も多いようだ。
ネットワーク、データ、テクノロジーなどに強み
4. 同社の強み
同社の強みは、リアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化という独自の優位性を構築しているところにある。
同社は、全国に17拠点(うち戸建住宅事業2拠点)を有し、年々数多くの仕入契約や販売契約を積み上げ、累計でマンションを約6,200件、戸建を約5,700棟を引き渡してきた実績があり、しかも業界でも数少ない地方都市をカバーするサービス展開を特徴としている※。このため取引する仲介会社数は5,543社、その拠点数は8,563拠点、営業員数は23,015名、取引金融機関は84行に達している※。しかもこのリアルなネットワークは年々拡大しており、これにつれ査定数は、2016年11月期以降7年間平均で25.8%成長、「KAITRY」の査定数が加わったここ2年は35%を超える成長となるなど、ネットワークの強みが強く反映された状況となっている。なお、日々積み重なるこうしたネットワークからの情報が、同社の仕入物件や査定価格などのデータ起点にもなっているのである。
※数値は2023年11月期。取引金融機関はホームネットの取引先数。
同社は、リアルビジネスで構築してきた成約価格※など独自のデータベースと全国規模のネットワークを生かすため、システムを独自開発するなど長年テクノロジーの強化を進めてきた。その結果、2013年に仲介会社が情報を入手できる仲介会社向け物件公開システム、2018年に案件や仲介会社の情報を一元化した案件管理システム、2019年に物件の進捗状況を見える化した物件管理システム、2020年には現場・同社・仲介会社で情報共有する現場管理システム、受電を効率化する受電対応システム、同社の膨大なデータを活用したAI査定システムを開発・導入してきた。特に2020年に欧州企業と組んで開発したAI査定システムは、仲介会社の新人営業員が従来4時間~5時間(データベースが揃っていない一般の再販業者は1日~2日)かけて行っていた査定価格の算出を約30分に短縮、同社内向けには5秒で査定価格を提示できるなど、業務の効率化に大きく貢献した。そればかりでなく、新型コロナウイルス感染症拡大のなか、同業他社を上回る業績を上げた要因の1つとされるほど競争力を発揮したため、同社成長の基盤と見なされ、iBuyerビジネスやSaaSサービスのキーシステムとなっている。
※成約価格:広告などでよく目にする交渉前の売出価格と違って、交渉後売買契約書に記載された最終価格。どの企業も外部に公表しておらず、非常に希少性が高い。
組織文化も強みといえる。組織文化を収益創出の仕組みに直結して説明することは難しいが、同社は特に社員がテクノロジー活用の本質を理解し、機械(テクノロジー)と人の分業によって創り出した時間を顧客目線のタスクに注力するとともに、テクノロジーが得意とする高付加価値のサービス開発に全社を挙げて取り組む体制が構築されているところが特徴的である。不動産取引で一般的に必要とされる知識経験についてもテクノロジーで補完できるので、より柔軟な対応やチーム力、風通しの良い環境といった組織風土、新卒や未経験者が育つ採用・育成方法、一貫対応や顧客目線、DX対応といった社内の体制を組むことができ、リアルなネットワークとデータとテクノロジーの強みに実効性を持たせているのである。また一貫対応は特徴的で、担当者が物件の仕入からリノベーション、販売まで一貫して対応している。このため顧客目線になるし、新卒や中途社員の早期活躍にもつながり、採用や育成、組織風土にもよい影響を及ぼすなど、組織力の向上が好循環するポンプの役割も持っているといえる。また、仲介会社の対応や、リノベーションの際の同社仕様の適用、施工する工務店のコントロールなどにも一貫して対応できるため、仕入~リノベーション~販売のプロセスがスムースに進行しやすくなっている。この結果、顧客一人ひとりのライフスタイルに適した提案が可能となり、販売用不動産の着実な販売につながっているのだと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<HH>
3. 戸建住宅事業
戸建住宅事業は、注文住宅請負を主力にファーストホームとサンコーホームが行っている。ファーストホームは在来軸組工法を得意とし、地元の不動産業者や建築業者とのネットワークを背景に、取引先などからの紹介による受注が60%と一般的な住宅会社の約4倍超となっている。サンコーホームは、祖業の宮大工に現代の技術・材料を組み合わせた高機能性(耐震性・耐久性・省エネルギー性)やデザイン、安心保証を強みとしている。いずれも高機能のハイエンド住宅からコスト重視の規格住宅までを展開しており、工事は安定した工程管理とクオリティが特徴の協力会社が行っている。また、メンテナンス工事や大型リフォームなども丁寧にこなすため顧客からの信頼も厚く、既存顧客からの新規顧客の紹介も多いようだ。
ネットワーク、データ、テクノロジーなどに強み
4. 同社の強み
同社の強みは、リアルなネットワーク、データとテクノロジーによる仕組み、組織文化という独自の優位性を構築しているところにある。
同社は、全国に17拠点(うち戸建住宅事業2拠点)を有し、年々数多くの仕入契約や販売契約を積み上げ、累計でマンションを約6,200件、戸建を約5,700棟を引き渡してきた実績があり、しかも業界でも数少ない地方都市をカバーするサービス展開を特徴としている※。このため取引する仲介会社数は5,543社、その拠点数は8,563拠点、営業員数は23,015名、取引金融機関は84行に達している※。しかもこのリアルなネットワークは年々拡大しており、これにつれ査定数は、2016年11月期以降7年間平均で25.8%成長、「KAITRY」の査定数が加わったここ2年は35%を超える成長となるなど、ネットワークの強みが強く反映された状況となっている。なお、日々積み重なるこうしたネットワークからの情報が、同社の仕入物件や査定価格などのデータ起点にもなっているのである。
※数値は2023年11月期。取引金融機関はホームネットの取引先数。
同社は、リアルビジネスで構築してきた成約価格※など独自のデータベースと全国規模のネットワークを生かすため、システムを独自開発するなど長年テクノロジーの強化を進めてきた。その結果、2013年に仲介会社が情報を入手できる仲介会社向け物件公開システム、2018年に案件や仲介会社の情報を一元化した案件管理システム、2019年に物件の進捗状況を見える化した物件管理システム、2020年には現場・同社・仲介会社で情報共有する現場管理システム、受電を効率化する受電対応システム、同社の膨大なデータを活用したAI査定システムを開発・導入してきた。特に2020年に欧州企業と組んで開発したAI査定システムは、仲介会社の新人営業員が従来4時間~5時間(データベースが揃っていない一般の再販業者は1日~2日)かけて行っていた査定価格の算出を約30分に短縮、同社内向けには5秒で査定価格を提示できるなど、業務の効率化に大きく貢献した。そればかりでなく、新型コロナウイルス感染症拡大のなか、同業他社を上回る業績を上げた要因の1つとされるほど競争力を発揮したため、同社成長の基盤と見なされ、iBuyerビジネスやSaaSサービスのキーシステムとなっている。
※成約価格:広告などでよく目にする交渉前の売出価格と違って、交渉後売買契約書に記載された最終価格。どの企業も外部に公表しておらず、非常に希少性が高い。
組織文化も強みといえる。組織文化を収益創出の仕組みに直結して説明することは難しいが、同社は特に社員がテクノロジー活用の本質を理解し、機械(テクノロジー)と人の分業によって創り出した時間を顧客目線のタスクに注力するとともに、テクノロジーが得意とする高付加価値のサービス開発に全社を挙げて取り組む体制が構築されているところが特徴的である。不動産取引で一般的に必要とされる知識経験についてもテクノロジーで補完できるので、より柔軟な対応やチーム力、風通しの良い環境といった組織風土、新卒や未経験者が育つ採用・育成方法、一貫対応や顧客目線、DX対応といった社内の体制を組むことができ、リアルなネットワークとデータとテクノロジーの強みに実効性を持たせているのである。また一貫対応は特徴的で、担当者が物件の仕入からリノベーション、販売まで一貫して対応している。このため顧客目線になるし、新卒や中途社員の早期活躍にもつながり、採用や育成、組織風土にもよい影響を及ぼすなど、組織力の向上が好循環するポンプの役割も持っているといえる。また、仲介会社の対応や、リノベーションの際の同社仕様の適用、施工する工務店のコントロールなどにも一貫して対応できるため、仕入~リノベーション~販売のプロセスがスムースに進行しやすくなっている。この結果、顧客一人ひとりのライフスタイルに適した提案が可能となり、販売用不動産の着実な販売につながっているのだと思われる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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