【QAあり】チノー、脱炭素化関連の設備投資を中心に需要が拡大したこと等により2Qは増収増益 通期業績予想も上方修正
2024年3月期第2四半期決算説明
豊田三喜男氏:みなさま、こんにちは。代表取締役社長の豊田でございます。本日は、ご多用のところ当社のWEBセミナーにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは早速になりますが、これから当社の事業内容と2024年3月期第2四半期の決算について説明させていただきます。当社の事業をご理解いただくための簡単な動画を用意いたしましたで、ご覧ください。
目次
それでは、ここから目次に沿って説明してまいります。
1. チノーグループの概要
まず最初に、先ほどの動画と重複しますが、当社グループの概要についてご説明いたします。
会社概要
当社は、温度を軸とした計測・制御・監視に関わるセンサや機器と、それらを組み合わせてお客さまの課題を解決する計装システムの開発・設計・製造・販売をしているメーカーでございます。
創業が1913年、株式会社として設立したのが1936年で、今年で創業110年、設立して87年になる会社でございます。
当社の生産拠点・販売拠点 国内グループ会社
国内の生産拠点が、群馬県の藤岡市、埼玉県の久喜市、山形県の天童市にございます。販売拠点としては、全国に16の営業所と1つの出張所、1つの分室を設けております。また、国内には6つのグループ会社がございます。
海外グループ会社
海外のグループ会社は、中国に販売会社と生産工場の2社の他、韓国、インド、タイ、アメリカにあり、また欧米・台湾・アセアン地域にも代理店がございます。世界に向けても当社の製品や技術をお届けしております。
沿革
当社の沿革になります。冒頭にもお話ししましたが、1913年に創業し、徐々に事業を拡大しながら今日に至っております。
1986年の設立50周年のタイミングで、千野製作所からチノーへと社名を変更しております。また、2011年には藤岡事業所に生物多様性の保全を目指した、ビオトープを開設いたしました。そして、2022年4月には東証市場の第一部より東証プライム市場に移行しております。
企業理念と経営ビジョン
当社の事業ドメインとしては、企業理念で示しておりますように、「計測・制御・監視」の分野で、お客さまにおける課題解決でお役に立つことにより、産業の発展に寄与し、社会に貢献していくことであります。
この経営ビジョンは、2021年度から2026年度の中期経営計画において策定したものになります。共創・特長・信頼のコアバリューでビジョンを示して活動しているところでございます。
2. 事業の概要
次に、当社事業の概要についてご説明いたします。先ほど申し上げましたとおり、当社は温度を軸に「計測・制御・監視」のセンサや機器、およびシステムを開発・生産・販売している会社でございます。
温度計測というと、身近なところでは体温計などを思い浮かべるかもしれませんが、当社の扱っている製品は、ものづくり現場や研究・開発向けのBtoBが主力となります。
当社グループの事業セグメント
これは当社グループの事業セグメントになりますが、計測制御機器、計装システム、センサ、その他の大きく4つに分類しております。これから各セグメントの製品について説明いたします。
<計測制御機器>
まず、計測制御機器ですが、このセグメントには、温度などを記録・監視する記録計やグラフィックレコーダ、温度制御などに使われる調節計、調節計からの制御信号でヒータなどの熱源を操作する電力調整器(サイリスタレギュレータ)、そして温度などを収録するロガーなどのラインナップがございます。
<計装システム>
次に、計装システムです。当社はお客さまの目的に合わせて、計測・制御・監視機器・センサをアプリケーションソフトも含めてコーディネートする計装システムをご提供しております。
特長ある技術を活かし、車などで使われている燃料電池を評価する試験装置や、最近では水から水素を生成する装置を評価する水電解評価装置、そして車や家電のエアコンで使われるコンプレッサの性能を試験する装置、「ものづくり」における温度制御・温度管理システム、また生産現場の温度・湿度や機械の稼働率・異常などをモニタリングするシステムをはじめ、機器・センサなどを組み合わせて、30年以上にわたってお客さま現場の課題を解決するためのシステムをご提供しております。
<センサ>
続きまして、センサです。当社のセンサには、物体に接触して温度を測定するセンサや、物体から放射している赤外線エネルギーを捉えて温度に変換する非接触の放射温度計、熱を2次元で捉えて画像化する熱画像装置(サーモグラフィ)、また赤外線技術を利用した水分計・成分計、そのほか湿度計やCO2濃度計、水素濃度計などがございます。また、測定値の正しさを検査・確認・補正するための校正装置なども取り揃えております。
セグメント別売上高
このスライドは、2022年度の計測制御機器、計装システム、センサのセグメント別の売上状況です。年度によって多少の変動はありますが、それぞれが約30パーセントずつを占めております。
地域別売上高
この円グラフは、2022年度の地域別売上高の内訳です。日本での売上高が約80パーセント、海外はアジアのウェイトが大きく、特に中国と韓国が占めておりまして、約15パーセントとなっております。
当社製品のシェア(2022年国内販売金額ベース<単体>)
ちなみに、当社製品の計測制御機器関係の製品別のシェアにつきましては、ただいまご紹介した製品のうち、記録計・調節計・電力調整器において富士経済が調査をされており、2022年の販売金額等について公表されていますので、ご紹介しておきます。
国内の販売金額でのシェアになりますが、記録計は上位3社でほぼ90パーセントになり、当社は国内市場シェア14.5パーセントで国内3位となっています。
調節計は数多くの企業がそれぞれの得意分野で展開していますが、7社でほぼ90パーセントとなっており、当社のシェアは4.5パーセントで国内5位となっています。
電力調整器は、こちらも7社ほどで90パーセントのシェアになり、当社の市場シェアは18.9パーセントで国内2位となっています。
ただ、これらの製品を扱っている企業によって、それぞれ得意としている市場・分野の違いがございますので、この結果はそのような視点でご覧いただければと思います。
3. チノーの強み
次に、事業展開する上での当社の強みについてご説明いたします。
事業の特長 ループソリューションによる顧客価値の創造
当社のお客さまは製造業が主であり、自動車産業では金属部品などの熱処理工程での温度管理、航空機産業では航空機部品・部材に使用する新素材の製造工程における温度管理、エネルギー産業では水素のエネルギー利用の研究・開発、半導体・電子部品産業では製造プロセスでの温度管理、そのほか医療・医薬、鉄鋼、食品、農業など、さまざまなお客さまの現場の課題解決のためのセンサ・機器・システムでソリューションをご提案・ご提供しております。
お客さまの生産や試験・研究の場においては、計測・制御・監視されているいろいろな物理量がございますが、特に温度は品質向上や生産性向上、安心安全の面でしっかりと管理しなければなりません。
当社は、その温度を計測するセンサ、制御・記録・監視する機器や、またシステム化する技術をすべて持ち合わせておりますので、お客さまの課題を解決する最適な、いわば温度に関わるループソリューションをワンストップでお客さまにお届けできるということが、当社の強みの一つと言えると思っております。
ループソリューションとは
そのループソリューションについて説明を加えておきますと、電気炉といった、たとえば金属・セラミック等の熱処理や焼成を行う炉がありますが、スライドは、ある材料を炉で熱処理しているところを示しております。
このような現場においては、単に温度を測定するだけでなく、品質良く作るための温度制御、正しくモノができているかの監視・管理と、このスライドのように、お客さまは計測・制御・監視のループで操業することになります。
このお客さまの温度に関わる課題に対する解決策となる一連のソリューション機能を「ループソリューション」と言っております。
世界29か国の国家標準機関に標準温度センサが採用
また、海外においても、当社の温度に関する技術に信頼を置いていただいている証として、正確な計測結果を担保するための温度標準に当社のセンサや機器をご利用いただいており、世界29か国で標準温度センサが採用されております。このように信頼していただける温度に関する技術力も当社の強みの一つであると思います。
当社の強み
ということで、当社の強みとしては、-270度近辺の極低温から3,500度の超高温まで計測・制御・監視することができるセンサ・機器のご提供や、それらを組み合わせたシステムのご提供、そして先ほどのスライドでご説明した標準温度センサなどのご提供、またGXに関する燃料電池や水電解の研究開発用装置・システムのご提供など、温度に関する技術力・信頼性が当社の強みとなっております。
4. ソリューション事例
それでは、どのような場面で当社の製品が使われているかについて、いくつか事例をご紹介します。
産業別ソリューション
先ほどお話ししたように、温度はさまざまな現場で管理されますので、当社のお客さまは多岐にわたっております。温度に関する課題解決は、それぞれの現場でそれぞれの課題がございます。
半導体関連(製造プロセスの温度管理)
まず、半導体分野の事例です。半導体の製造プロセスは、さまざまな工程から成り立っております。ご案内のように、半導体の基としてシリコンウェハがありますが、さらにその基になるシリコンの結晶を作る上では厳密な温度管理が必要になります。
当社はこのような超高純度のシリコン単結晶の製造現場に、以前より赤外線放射温度計をご提供しております。DXやIoT化・AIが進む中、半導体や電子部品はますます需要が拡大しております。
航空機・自動車関連(金属熱処理温度管理)
次に、航空機・自動車産業における事例になります。航空機の部品・部材を作る時には、溶接・熱処理などの特殊工程がありますが、その工程の温度管理基準を定めた「AMS2750」という規格がございます。
また、「IATF 16949」という、自動車産業に特化した品質マネジメントシステムに関する国際規格がありますが、その中に熱処理設備の高温計測に関する「CQI-9」という規格がございます。
この両規格ともに、センサの校正精度やデジタル記録であることなど、品質管理上のルールが定められております。当社は、自動車・航空機部材のサプライヤーがそれらの規格に対応することができる機能を搭載した記録計(グラフィックレコーダ)をいち早く販売開始し、各現場で採用いただいております。
水素関連①(水素を「作る」・「使う」)
次は、水素社会実現に貢献するシステム例になります。当社は長年、水素を燃料として使って電気を起こす燃料電池の試験・研究の場でご協力させていただいておりますが、現在では、特に水素を作る場面に関しての研究・開発や事業化が活発化しております。
このスライドの左にある水電解評価装置は、水から水素を作り出すところにおいて、その効率や触媒の研究などにおける評価試験の基本システムです。実際にはもっと大掛かりなシステムになりますが、水素を作る上での試験・研究などで当社は多くの企業さまにご協力させていただいており、今後もその需要に対応してまいりたいと思います。
水素関連②(水素を「運ぶ」)
さらに、水素を作る・運ぶ・貯める・使う場面における-253度という極低温である液体水素の管理には、当社グループのセンサ技術がお役に立てますので、お客さまがご要望するセンサ技術もさらに高度化してまいります。当社グループの明陽電機のセンサ技術により、揺れが多い海上輸送においても-253度の液体水素を正確に温度管理することができます。
医薬品関連(血液保管庫の温度監視)
また、医療・医薬品関連の保管管理では確実かつ正確に行うことが必要です。特に血液関連などの温度管理には当社の温度のモニタリングシステムが重宝されており、各所で数多く採用いただいております。また、コロナワクチンの保管・管理にも利用いただいております。
DX関連(製造現場の遠隔監視)
次に、各企業におけるDX関連ということで、現場の自動化・効率化・見える化・働き方改革などを目的としてデジタル化が進められています。現場のIoT化でもあります。
当社の計測・制御・監視用のセンサや機器を、無線・有線でネットワーク化することにより、今申し上げた目的などを達成するための集中監視システムをご提供しております。
このような案件では、お客さまによって要望が異なりますので、当社のエンジニアリング力を生かしたシステム構築により、それらの要望に対応させていただいております。
熱中症対策関連
次の事例になります。今年の夏も酷暑と呼ばれる日が続きました。みなさまご存じのとおり、今年5月に政府は熱中症による死者の数を2030年までに半減させることを目標に定めた計画を閣議決定し、今年の夏から熱中症対策を強化しております。
当社の「暑さ指数WBGT監視システム」は、先ほどのスライドでご紹介した監視システムの一つでもありますが、測定した気温・湿度等より暑さ指数(WBGT)を算出することで、熱中症の予防監視を行うことができるため、学校をはじめ企業にも導入されております。
環境関連(コンプレッサ性能試験装置の自然冷媒対応)
続いて、コンプレッサ性能試験装置です。異常気象が続き、今やエアコンは生きていく上でなくてはならないものとなりました。一方で、エアコンはエネルギー問題の圧迫要因となっておりますので、エアコンメーカーは高効率で省エネなエアコンが普及するよう注力されています。
エアコンの性能は、冷媒と呼ばれるものが決め手であり、室内の暑さを外に運ぶ役割をします。エアコンメーカーは、長らく冷媒に性能の良いフロンガスを用いていましたが、フロンはオゾン層を破壊するということもあり、自然由来の冷媒へ移行しつつあります。チノーの評価装置もそのような新しい研究開発にご協力させていただいています。
その他のソリューション事例
その他のソリューション事例につきましては、当社HPにも数多く掲載しておりますので、ぜひ御覧いただければと思います。
5. 決算概要
32ページからは、2024年3月期第2四半期の決算についてご説明いたします。当上期の日本経済は、5月に新型コロナウイルス感染症が感染症法上の5類に移行されるなど、正常な状態を取り戻して経済活動の正常化が進んだものの、一方で長期化するウクライナ情勢、米中問題、エネルギー価格高騰、各国の金融政策変更に伴う景気の減速懸念や不安定な為替相場など、不透明な状況が続きました。
決算ハイライト
そのような状況の中、当上期の連結業績につきましては、当社グループの事業全般に関係する製造業の設備投資が堅調に推移したことや、脱炭素化関連分野として水素のエネルギー利用における研究・開発に関する需要が拡大したことなどにより、売上高は120億円(前年同期比16.8パーセント増)となりました。
一方、受注高は前年同期に大型の受注があったこともあり、130億900万円(前年同期比8.3パーセント減)となりました。
損益面につきましては、部材価格の高騰やエネルギーコストの上昇等の影響はありましたが、増収効果および販管費の抑制等により、営業利益9億1,400万円(前年同期比69.7パーセント増)、経常利益10億6,400万円(前年同期比38.2パーセント増)、当期純利益(親会社株主に帰属)6億1,800万円(前年同期比38.4パーセント増)と増益となり、増収増益となりました。
売上高の四半期別推移
このグラフは、当社の四半期ごとの売上高推移を示しております。当社の特徴としましては、大きな売上となるシステム案件がお客さま都合などで第4四半期に集中することもあり、毎年度このグラフのように第4四半期に売上高が大きくなる傾向がございます。
セグメント別業績
35ページは、セグメント別のまとめになっております。受注高は前年同期と比べ、センサで僅かに増加しましたが、計測制御機器、計装システムで減少しました。計装システムにつきましては、前年同期の実績が高水準だったこともあり減少となっております。
また、セグメント別の売上高と営業利益につきましては、前年同期と比べて全セグメントにおいて増収増益となりました。詳細については、この後ご説明いたします。
業績動向 計測制御機器
まず、計測制御機器セグメントの実績は、売上高45億2,400万円、セグメント利益5億9,800万円と増収増益となりました。半導体・電子部品の製造設備や熱処理装置向けを中心に需要が堅調であったこと、また海外市場、特に中国、韓国において需要が伸長したことから増収となりました。
利益面では、増収効果を主因として増益となりました。また、前期の第2四半期は中国のロックダウンによるサプライチェーン混乱のため、一部製品の生産・売上に影響がございました。
業績動向 計装システム
次に計装システムですが、売上高34億8,600万円、セグメント利益5億3,200万円と増収増益となりました。内容としては、繰り返しで恐縮ですが、脱炭素化関連として自動車向けなどの燃料電池評価試験装置や、水素エネルギー利用での研究・開発用途の水電解評価装置の需要が大きく拡大したこと、コンプレッサ性能試験装置が自然冷媒対応エアコンの需要により拡大していることなどから、売上高が回復・増加し増収となりました。
また、利益面でも増収効果などにより増益となっております。
業績動向 センサ
センサセグメントは、売上高35億3,700万円、セグメント利益6億2,200万円と増収増益となりました。内容としましては、放射温度計、温度センサともに半導体関連の製造装置向けを中心に需要が好調であったことや、先ほどご説明したAMS規格に対応した温度センサの需要が堅調であったことなどにより増収となりました。
また、利益面では増収効果などにより増益となりました。
通期業績予想(2023年11月10日修正発表)
次に、2023年度の業績予想の修正についてです。当上期業績の進捗および下期についても、主要顧客である自動車やエネルギー分野等における脱炭素化に向けた、特に水素関連等の分野で引き続き需要が見込まれる状況を勘案し、2023年11月10日に通期業績予想を修正いたしました。
2023年5月12日に公表しております当初の業績予想と比較して、売上高は4億円増加の264億円、営業利益は2億7,000万円増加の24億2,000万円と予想しております。
6. 今後の取組み
次に、40ページから当社の今後に向けた事業活動における方針・方向性について簡単にご説明いたします。
2023年度の設備投資(大企業)の状況
当社の業績はお客さまの設備投資動向に大きく影響されます。2023年度の設備投資状況は、日本政策投資銀行の調査による今年8月のデータになりますが、全産業で前年比20.7パーセントの大幅増の計画となっています。
2023年度の設備投資の特徴
2023年度の設備投資の特徴としては、デジタル化の加速による半導体の製造能力強化、コロナ5類移行に伴う人流拡大を受けた鉄道の安全対策や航空機導入、GX関連が牽引している点です。
政府の「水素基本戦略」をはじめ、最近は「戦略物資生産基盤税制」の創設などもあり、昨年度から投資が大きく増加している半導体・EV関連や脱炭素関連につきましては、当社が貢献できる、赤線の太枠の領域が広がっています。
水素社会に向けた事業活動
その領域としては、水素関連分野もあり、水素を「作る・運ぶ・貯める・使う」といった場面では、生産性・コスト・効率など、解決していかなければならない課題がまだ数多くあります。
当社としても、サプライチェーンの高度化を目指す各研究機関や企業のイノベーションをご支援するかたちで、かねてから数多くのシステムやセンサ・機器を提供してまいりました。今後も脱炭素社会実現の軸となる水素利用に関して、当社がこれまで培ってきた知恵・知識や新たな技術で貢献してまいりたいと思います。
成長市場拡大にむけて
水素以外の領域でも、例えば、DX化やIoT化、AI関連では半導体や電子部品関係の需要の拡大が見込まれますし、また自動車の電動化に伴って、次世代電池の開発や車体の強靭化、軽量化で新素材などの開発もGXと同期して活発化しており、ここに示しております分野などにおける動きはさらに加速すると予想されます。
このような新たな成長市場・分野に向けて、当社としても特徴あるソリューションをグローバルにお届けできるよう、活動してまいりたいと思います。
海外戦略(2026年度海外売上70億円に向けて)
海外戦略につきましては、各地域・市場ごとにこのような戦略を立てております。大きく2つございます。
1つ目は、海外市場のマーケットニーズ・課題を把握し、それに合致したグローバル専用製品を開発し、販売を拡大することを推進しており、そのためのマーケティング機能を現地と連携して高度化しているところでございます。
2つ目としては.現在、機器のASEAN地域向けの販売については、中国の製造子会社の生産能力を向上させ、そこから海外市場に直販することにより価格競争力を強化し、販売を拡大させるといった、先ほどのマーケティング機能強化と地産地消化を並行して進めております。
このような活動を促進することなどにより、中期経営計画の最終年度である2026年度の海外売上高70億円の達成に向けて取り組んでまいりたいと思います。
7. トピックス
次に、トピックスとして、みなさまへのお知らせになります。
プライム市場の適合状況等(2023年9月末)
まず、当社のプライム市場の適合状況です。2021年6月の一次判定時ではプライム市場の上場基準のうち、2項目(流通株式時価総額、1日平均売買代金)が未達でありましたが、2023年3月末時点に引き続き、2023年9月末時点においても、その基準をクリアしております。今後も基準に適合した状態を継続するよう、企業価値向上に向けて努力してまいりたいと思います。
「チノーレポート2023」を発行
2つ目のお知らせになりますが、2023年10月に財務・非財務情報を統合した「チノーレポート2023」を発行しました。当社のホームページに掲載しておりますので、みなさまにもぜひご一読いただき、さらに当社についてご理解いただければと思います。
8. 株主還元等
続きまして、株主さまへの還元施策についてです。
株主還元
当社は、株主さまに対する利益還元を経営の最重要課題の1つと考え、当該事業年度の業績および将来の事業展開を考慮して必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30パーセントを目安に安定配当を継続することを基本方針としております。
また、当期より株主のみなさまへの利益還元の機会を充実させるため、上期業績の利益水準を考慮の上、中間配当を実施することとし、当期の中間配当については20円の配当を行いました。
また、2023年度の年間配当は、2022年度より8円増配し、1株当たり60円と予想しております。
株主優待制度①
また、株主のみなさまの日頃からのご支援に感謝するとともに、当社株式への投資魅力を一層向上させ、より多くの株主さまに中長期的に保有していただくことを目的に、2022年3月期より株主優待制度を導入しております。
毎年3月末現在の株主名簿に記載または記録された、当社株式3単元(300株)以上を保有する株主さまを対象に、保有株式数に応じてポイントを贈呈させていただき、ウェブサイト「チノー・プレミアム優待倶楽部」において、食品、電化製品等、5,000種類以上の商品と交換できるようになっております。
株主優待制度②
株式数と付与ポイントはこのようになっております。例えば、700株保有の場合は25,000ポイントが付与され、利回りが良くなっております。
株価推移(過去10年間)
こちらのグラフは、当社株価の過去10年間の推移になります。当社の株式は11月30日の終値で2,066円、売買最低代金は20万6,600円となりますので、ぜひ当社株式の保有をご検討いただければと思います。
当社ホームページのご案内
最後に、当社ホームページのご案内です。当社の事業紹介、サステナビリティに対する取り組みのほか、トピックスやIR情報も随時開示しておりますので、お気軽にアクセスしていただければと思います。
なお、説明資料にはAppendixとして、財務データ、サステナビリティ関連、新製品等を記載しております。
私からの説明は以上となります。本日はご清聴いただき、ありがとうございました。
質疑応答:非接触のセンサにおける仕組みについて
質問:センサ事業の説明で「非接触で温度が測れる」とのことでしたが、物体に接触せずに温度を計測できるのは、どのような仕組みなのでしょうか?
回答:あらゆる物体が赤外線を発していますが、赤外線も電磁波・光ですので、エネルギー量を持っていることになります。その物体から出ている赤外線のエネルギーを、赤外線を検知するセンサ部に光学的に集光して熱や量子エネルギーに変化させ、それを電気信号に変換して温度値に変換する仕組みになります。
また、この赤外線技術を応用し、温度だけでなく水分、フィルムの厚さ、塗工量などを計測することもできます。
質疑応答:温度ループソリューションのメリットについて
質問:スライド18ページで説明のありました「温度ループソリューション」について質問させてください。御社は温度ループソリューションをワンストップで提供できることが他社にはない特長とのことでしたが、ワンストップで提供できるとどのようなメリットがあるのですか?
回答:一言で言えば、当社は計測、制御、監視に関するノウハウを持っているため、お客さまの工場やプラントの課題解決を、機器センサなどの最適な組み合わせでご提供できることが、お客さまにとってのメリットになると思います。
ノウハウという部分については、正確に測るためには、センサをどこにどう配置するか、赤外線放射温度計をどう設置するか、また制御については、センサの位置をどうするか、どのような制御パラメータをどうすれば制御が上手くいくかなど、計測・制御ループで検討していくことによって、お客さまの課題をスピーディに解決していくことができる場面が沢山あります。
ワンストップのメリットは、センサや機器を別々でご提供するのではなく、トータルでお客さまの課題解決をお手伝いできるということになりますし、お客さまにも喜んでいただけます。
質疑応答:燃料電池評価試験装置について
質問:スライド25ページで説明のありました燃料電池評価試験装置について2点教えてください。この装置の役割について具体的に教えてください。また、この装置はどのような企業でどのような用途で使用されるのでしょうか?
回答:まず役割についてですが、燃料電池は水素と酸素を化学反応させることで電気と水を発生させる電池であり、温室効果ガスを出さずに発電する有効な手段として注目されています。
近年、燃料電池は自家用車のみならずフォークリフトや鉄道・バス・エネファームなどでも利用されていますが、その燃料電池が効率よく電気を起こしているかどうか、耐久性はどうか等を評価する装置になります。燃料電池を利用した脱炭素の動きは今後ますます加速されるものと思われます。
燃料電池評価試験装置は、主に自動車関連メーカー、家電メーカー、素材メーカー、エネルギー関連企業などの研究開発用途などでご利用いただいております。
質疑応答:水電解評価装置について
質問:水電解評価装置について2点教えてください。この装置の役割について具体的に教えてください。また、燃料電池評価試験装置とどう違うのでしょうか? この装置はどのような企業でどのような用途で使用されるのでしょうか?
回答:みなさまは、中学校の理科の実験で水の電気分解を行ったことがあるかと思います。水電解評価装置は、簡単に言えば、水を水素と酸素に電気分解して効率よく水素を取り出せるかどうかを評価する装置です。
前の質問にありました燃料電池が水素と酸素から電気を起こすのと反対に、水を電気分解して水素を取り出すことになります。燃料電池の逆の流れになりますが、燃料電池評価試験装置で培った技術を応用したものになります。水素は脱炭素時代の有望なエネルギーであり、当社はその生成で重要な役割を担っていると思っております。
また、このような装置の納入先としては、主に車、電力、ガス、石油等のエネルギー関連の企業をはじめ、数多くの企業の研究開発や事業化などで利用されています。脱炭素の動きとしては、太陽光発電などの自然エネルギーを使って水電解し、生成された水素を燃料として燃料電池で電気に変えていくといったことも各方面で取り組まれております。
質疑応答:極低温から超高温までの温度計測について
質問:御社の強みのご説明で、極低温から超高温までの温度計測ができることが挙げられておりましたが、どのような場面で御社の製品が使用されているのでしょうか?
回答:極低温計測の例ですと、このスライドでご説明した液体水素(マイナス253度)の輸送時の温度管理などに、当社グループ会社の「液体水素用測温抵抗体」が使用されます。
また、超高温側ですと、鉄鋼やガラスの製造、熱処理、ファインセラミックスの焼成(半導体)などで使用されます。温度レンジは1,400度から2,000度になりますが、接触式のセンサでは測れない高温域で、非接触式の放射温度計が数多く使用されております。
質疑応答:健康経営に対する取り組みについて
質問:御社の健康経営に対する取り組みを教えてください。
回答:こちらは説明資料のAppendix61ページのスライドでご説明させていただきます。当社は人的資本の充実に注力しておりますが、その中で、このスライドにある健康経営に対する取り組みを強化しておりまして、2022年12月に従業員の健康づくりに積極的に取り組む企業として、健康企業宣言東京推進協議会より、「金の認定」を取得いたしました。
トップメッセージとして健康経営宣言を発信し、従業員およびその家族を含めた健康増進活動の充実を通じ、個人の幸福、会社の発展、社会への貢献を実現する企業となることを目指しており、従業員が安心・安全な環境で、かつ健康で能力を発揮できる環境作りを推進してまいりたいと思います。
質疑応答:気候変動リスクへの対応状況について
質問:御社の気候変動リスクへの対応状況について教えてください。
回答:こちらは説明資料のAppendix65ページのスライドでご説明させていただきます。気候変動リスクへの対応ですが、2022年5月に当社グループは気候変動関連情報開示の重要性を踏まえてTCFD提言への賛同を表明しました。このスライドにありますように、2022年度までに生産事業所では電力調達の再生可能エネルギー化が完了しています。
また、Scope1、Scope2については、「2026年度のGHG排出量実質ゼロ」「2040年度のGHG排出量完全ゼロ」という中長期目標を設定し、各種の取り組みを進めております。Scope1、Scope2の2022年度の排出量は、基準である2020年度実績より83パーセント削減となり、目標としていた70パーセント削減を上回ることができました。また、Scope3につきましては、2022年度にその集計体制を整備しました。
今後はサプライチェーン全体のGHG排出削減に向けた目標と取り組み策を定め、脱炭素社会の実現に向けて、グループを挙げて取り組んでまいります。
質疑応答:他社と共同の研究開発について
質問:御社の企業理念には「計測・制御・監視技術の限界に挑戦し」とありますが、新製品等の研究開発を自社だけで行うのは大変かと思います。他社と協力して研究開発を行うことはあるのでしょうか?
回答:こちらは説明資料の69ページと70ページのスライドでご説明させていただきます。かねてから当社は、産業技術総合研究所にいろいろとご指導を受けながら共同研究を行っており、その成果の1つとして2023年3月に高放射率平面黒体炉を発売しました。
点ではなく面で正確な温度基準を示すことはかなり難しいことで、それを実現したことになります。これはサーモグラフィや放射温度計の測定温度の精密かつ正確な校正作業に利用いただけることになります。
回答:また、最近では、極低温から超高温までの温度計測との共同研究で電気自動車関連でリチウムイオン電池の製造工程における赤外線計測技術を応用し、「スラリー(電極に塗布する合成塗料)」の塗布が異常なものを検知する方法を開発しております。
また、その他、大学や企業とも、社会やお客さまに対して価値を創造するための協力・共創に取り組んでおります。
質疑応答:身近な製品について
質問:御社の製品は産業用向けが多いとのご説明がありましたが、我々の身近なところで目にするような製品はございますでしょうか?
回答:こちらは説明資料のAppendix71ページのスライドでご説明させていただきます。当社のビジネスはBtoBですので、日常でみなさまが目にするような製品がほとんどないのですが、このスライド右側にあるような装置・カメラを見たことはないでしょうか? これは当社の製品名では「サーモビュー」といいまして、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、不特定多数の中から発熱の疑いがある人を特定する製品になります。
当社は主に産業用の分野に、マイナス20度あたりから2000度を超える温度を測れる赤外線放射温度計やサーモグラフィー・熱画像装置をご提供しておりますが、コロナ感染者など、発熱者の検知用に、温度測定範囲を体温付近がしっかりと測れるように仕様・機能を変えてご提供してきました。これは、産業用で培った信頼置ける品質や技術で日常生活にも貢献している例になります。
最後に
本日はWEBセミナーに出席賜りましてありがとうございました。みなさまには引き続きまして、ご支援のほど重ねてお願い申し上げます。ご視聴いただき、ありがとうございました。
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