*16:46JST タクマ Research Memo(6):経常利益は目標の3ヶ年累計360億円からさらなる上積みを目指す(2)
■タクマ<6013>の今後の見通し
(3) 基本方針と進捗状況
同計画では、「人材」「パートナーシップ」「デジタル技術」「設備投資」「コンプライアンス」「研究開発」「ものづくり力」「エンジニアリング力」に注力した経営基盤の強化を掲げている。それを基に、一般廃棄物処理プラント・水処理プラント・エネルギープラント・新電力事業・海外事業・新規事業・民生熱エネルギー・設備システムなどの様々な商品・サービスにおいて、顧客や社会の課題解決に基づく事業活動を展開している。
a) 経営基盤の強化
基本方針に基づく事業活動の結果、「人材」に関しては、同社の最大の強みである技術力の伝承や経営資源の拡大のため、人材採用・育成を強化してきた。施工部門のほか、技術部門・メンテナンス部門を中心に採用・育成を継続し、連結グループ全体の従業員は前期比102人増加の4,247人となり、単体では69人を採用した。「研究開発」に関しては、既存技術のブラッシュアップに加え、脱炭素社会の実現に向け、CCUS・カーボンリサイクル技術を中心に排ガス浄化によるCO2の農業利用、固体炭素化、バイオメタネーションなどの具体的なテーマについて研究開発を継続して進めており、2024年3月期は前期比8.5億円増の20億円の投資を予定している。「設備投資」においては、2023年1月に播磨新工場が稼働を開始し、2024年3月期は旧工場の解体工事や倉庫棟の建設を行うため、前期比35億円減の36億円の投資を予定している。「パートナーシップ」に関しては、脱炭素社会の実現に向けたオープンイノベーションビジネスプラットフォーム「C2X」プロジェクトに参画し、異業種連携によるCCUS技術の事業化を目指し、提案力・研究開発を継続して強化している。2023年10月、同社子会社である(株)タクマエナジーは、広島県北広島町との間で、同町が目指す2050年ゼロカーボンタウンを実現し地域社会の持続可能な発展に寄与するため、包括連携協定を締結し、本協定に基づき、同町の地域エネルギーマネジメント事業体の設立支援をはじめとする各種取り組みの検討を開始した。また2023年11月、イオン<8267>直営農場の運営及び農産物の生産委託に取り組むイオンアグリ創造(株)と同社は、一般廃棄物処理施設で発生する燃焼ガスに含まれるCO2を施設園芸に供給・利用する技術の実用化を目指し、町田市バイオエネルギーセンターの熱回収施設及びバイオガス化施設から出る燃焼ガスを用いて、イチゴ栽培の実証を行うことに合意した。この技術の実現により、一般廃棄物処理施設で生み出される電気、熱、CO2を大規模施設園芸に利用するトリジェネレーションシステム※の実用化を目指す。また「デジタル技術」の活用に関しては、燃焼画像や運転データを基に、今後発生する燃焼の変動を予測し必要な操作を行うAI燃焼制御システム「ICS」の開発により、プラントの省力化・高付加価値化を引き続き推進している。
※発電において発生する電力・熱に加えて、燃焼ガスに含まれるCO2を植物の育成促進に有効活用するエネルギー供給システムで、電気・熱・CO2の3つ(トリ:tri)を利用する仕組みを意味する。
b) セグメント別の進捗状況
セグメント別の進捗状況を見てみる。主力である環境・エネルギー(国内)事業においては、一般廃棄物処理プラント及びエネルギープラントに注力している。一般廃棄物処理プラントでは、多様化するニーズに応えた総合的な提案により、継続的な受注を獲得している。その結果として、EPC・O&Mを着実に受注し受注残高の長期O&M(契約期間10年以上)比率は約60%となり、EPC事業の維持・拡大に加え、ストック型ビジネスを拡大することにつながった。引き続き、技術力を軸に提案力の強化を図り、年間2~3件の更新案件の継続的な受注を目指す。またO&M提案の強化を通じ、ストック型ビジネスによる持続的成長を目指してきた結果、2024年3月期の期初時点で長期O&Mを25施設で受注し、うち19施設が運営中で、残り6施設は順次運営開始予定である。エネルギープラントでは、2012年のFIT制度開始以降、全国で78基を受注し、納入した多くの案件でメンテナンスまで受注を獲得した。なかでも長期O&Mは3件受注し収益拡大に貢献している。今後もバイオマス発電プラントを中心に継続的な受注獲得を目指す予定だ。他に水処理プラント、新電力事業でも継続的に受注を進めている。
環境・エネルギー(海外)事業においては、タイのSiam Takuma Co., Ltd.、台湾の臺田環工股フン有限公司(Taiden Environtech Co., Ltd.)の2つの現地法人を中心に、各国にてプラント建設とメンテナンスサービスの実績(累計で、タイにてエネルギープラント158基(うち、バイオマスが120基)、世界各国にて廃棄物処理プラント16施設)をあげている。その実績を基に受注獲得に向けた体制を整備し、2022年3月期から2023年3月期にかけて廃棄物処理プラント2件(台湾・ベトナム)、エネルギープラント1件(タイ)の合計3件の受注を獲得した。民生熱エネルギー事業においては、国内市場は成熟しているものの、当面は更新等一定の需要が継続すると見ている。高効率化・電化空調・バイオマスボイラーなどの省エネや脱炭素ニーズへの対応や海外事業により、引き続き受注規模の拡大を目指す。設備・システム事業においては、建築設備事業分野で人材確保・育成による営業力、施工能力のさらなる強化を図り、受注規模を拡大する。半導体産業用設備の分野では、デジタル化の潮流により市場は拡大しており、大学や顧客と共同でカスタマイズした商品開発を行い、競争力の向上を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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(3) 基本方針と進捗状況
同計画では、「人材」「パートナーシップ」「デジタル技術」「設備投資」「コンプライアンス」「研究開発」「ものづくり力」「エンジニアリング力」に注力した経営基盤の強化を掲げている。それを基に、一般廃棄物処理プラント・水処理プラント・エネルギープラント・新電力事業・海外事業・新規事業・民生熱エネルギー・設備システムなどの様々な商品・サービスにおいて、顧客や社会の課題解決に基づく事業活動を展開している。
a) 経営基盤の強化
基本方針に基づく事業活動の結果、「人材」に関しては、同社の最大の強みである技術力の伝承や経営資源の拡大のため、人材採用・育成を強化してきた。施工部門のほか、技術部門・メンテナンス部門を中心に採用・育成を継続し、連結グループ全体の従業員は前期比102人増加の4,247人となり、単体では69人を採用した。「研究開発」に関しては、既存技術のブラッシュアップに加え、脱炭素社会の実現に向け、CCUS・カーボンリサイクル技術を中心に排ガス浄化によるCO2の農業利用、固体炭素化、バイオメタネーションなどの具体的なテーマについて研究開発を継続して進めており、2024年3月期は前期比8.5億円増の20億円の投資を予定している。「設備投資」においては、2023年1月に播磨新工場が稼働を開始し、2024年3月期は旧工場の解体工事や倉庫棟の建設を行うため、前期比35億円減の36億円の投資を予定している。「パートナーシップ」に関しては、脱炭素社会の実現に向けたオープンイノベーションビジネスプラットフォーム「C2X」プロジェクトに参画し、異業種連携によるCCUS技術の事業化を目指し、提案力・研究開発を継続して強化している。2023年10月、同社子会社である(株)タクマエナジーは、広島県北広島町との間で、同町が目指す2050年ゼロカーボンタウンを実現し地域社会の持続可能な発展に寄与するため、包括連携協定を締結し、本協定に基づき、同町の地域エネルギーマネジメント事業体の設立支援をはじめとする各種取り組みの検討を開始した。また2023年11月、イオン<8267>直営農場の運営及び農産物の生産委託に取り組むイオンアグリ創造(株)と同社は、一般廃棄物処理施設で発生する燃焼ガスに含まれるCO2を施設園芸に供給・利用する技術の実用化を目指し、町田市バイオエネルギーセンターの熱回収施設及びバイオガス化施設から出る燃焼ガスを用いて、イチゴ栽培の実証を行うことに合意した。この技術の実現により、一般廃棄物処理施設で生み出される電気、熱、CO2を大規模施設園芸に利用するトリジェネレーションシステム※の実用化を目指す。また「デジタル技術」の活用に関しては、燃焼画像や運転データを基に、今後発生する燃焼の変動を予測し必要な操作を行うAI燃焼制御システム「ICS」の開発により、プラントの省力化・高付加価値化を引き続き推進している。
※発電において発生する電力・熱に加えて、燃焼ガスに含まれるCO2を植物の育成促進に有効活用するエネルギー供給システムで、電気・熱・CO2の3つ(トリ:tri)を利用する仕組みを意味する。
b) セグメント別の進捗状況
セグメント別の進捗状況を見てみる。主力である環境・エネルギー(国内)事業においては、一般廃棄物処理プラント及びエネルギープラントに注力している。一般廃棄物処理プラントでは、多様化するニーズに応えた総合的な提案により、継続的な受注を獲得している。その結果として、EPC・O&Mを着実に受注し受注残高の長期O&M(契約期間10年以上)比率は約60%となり、EPC事業の維持・拡大に加え、ストック型ビジネスを拡大することにつながった。引き続き、技術力を軸に提案力の強化を図り、年間2~3件の更新案件の継続的な受注を目指す。またO&M提案の強化を通じ、ストック型ビジネスによる持続的成長を目指してきた結果、2024年3月期の期初時点で長期O&Mを25施設で受注し、うち19施設が運営中で、残り6施設は順次運営開始予定である。エネルギープラントでは、2012年のFIT制度開始以降、全国で78基を受注し、納入した多くの案件でメンテナンスまで受注を獲得した。なかでも長期O&Mは3件受注し収益拡大に貢献している。今後もバイオマス発電プラントを中心に継続的な受注獲得を目指す予定だ。他に水処理プラント、新電力事業でも継続的に受注を進めている。
環境・エネルギー(海外)事業においては、タイのSiam Takuma Co., Ltd.、台湾の臺田環工股フン有限公司(Taiden Environtech Co., Ltd.)の2つの現地法人を中心に、各国にてプラント建設とメンテナンスサービスの実績(累計で、タイにてエネルギープラント158基(うち、バイオマスが120基)、世界各国にて廃棄物処理プラント16施設)をあげている。その実績を基に受注獲得に向けた体制を整備し、2022年3月期から2023年3月期にかけて廃棄物処理プラント2件(台湾・ベトナム)、エネルギープラント1件(タイ)の合計3件の受注を獲得した。民生熱エネルギー事業においては、国内市場は成熟しているものの、当面は更新等一定の需要が継続すると見ている。高効率化・電化空調・バイオマスボイラーなどの省エネや脱炭素ニーズへの対応や海外事業により、引き続き受注規模の拡大を目指す。設備・システム事業においては、建築設備事業分野で人材確保・育成による営業力、施工能力のさらなる強化を図り、受注規模を拡大する。半導体産業用設備の分野では、デジタル化の潮流により市場は拡大しており、大学や顧客と共同でカスタマイズした商品開発を行い、競争力の向上を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)
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