【QAあり】ICDAホールディングス、「伊勢オートモール」は2024年3月に完成予定 蓄電できるEVスタンドなどが注目
会社概要
向井弘光氏(以下、向井弘):みなさまこんにちは。本日はお暑い中、私どもの会社のIRセミナーにご参加いただき、誠にありがとうございます。ICDAホールディングス代表取締役社長の向井弘光でございます。まず私より、当社グループの会社概要、市場環境、強み、決算概要、業績予想についてご説明いたします。
私どもの会社は、本田技研工業の本拠地といわれる鈴鹿市で創業し、ホンダのディーラーからスタートしました。
社名の由来
ICDAホールディングスという社名は、「インターナショナル コングロマリット オブ ディストリビューション フォー オートモービル」の頭文字から来ています。これは自動車に関わる国際的流通複合企業体という意味です。新車4ブランドから中古車、リサイクルまで、幅広く扱っています。
我々は、日本で初めて複合型店舗「オートモール」を作った会社です。
国際的には中古車のリユースパーツをこれまで世界8ヶ国に輸出しております。また正規ディーラーとして本田技研工業のホンダ、VW、アウディを、特約店としてはスズキの、計4ブランドを扱っています。
中古車は、今6ヶ所ある「オートモール」の中で販売していますが、直販では三重県で8年連続でナンバーワンです。リサイクルについては、自動車リサイクル法に基づき31条の資格を有する法人が4,200法人ある中で、トップ10内に表彰されています。
我々ICDAホールディングスは、創業はホンダであるため、ホンダ四輪販売三重北は今、息子の向井俊樹が代表取締役社長となっています。
代表取締役社長 向井 弘光の経歴と沿革
経歴と沿革ですが、私は車が大好きで、独身の24歳の時、鈴鹿市でレースに参加していました。なんでも1番になりたいという精神の男です。
市場環境
今、市場環境は大変厳しいです。周知のとおり、地球環境における温暖化問題が押し寄せており、SDGsを踏まえた脱炭素型の企業経営へ転換しないと、存続は許されない状況にあります。そのため、構造改革を急ピッチで進めています。
ホンダも、2030年に工場の9割はEVカーになると言っており、VWやアウディは、ヨーロッパでEV化を既にどんどん進めています。100年に1度の大変革の時代が訪れていると捉えており、収益が上がらなくても、これに対応しなかったら存続は許されないという気持ちで、環境問題や安全への対策においてナンバーワンの評価が得られるように取り組んでいます。
市場環境
環境負荷ゼロの循環型社会を目指すという社会の流れのおかげで、我々の鈴鹿オートリサイクルセンターが、凄い注目を浴びており、驚いています。ホンダ以外にも鈴鹿製作所がありますが、よそのリサイクルセンターとの違いは、組み立てとか逆張りを、全部手バラシで取り組んでいるところです。
加えて、当社には整備士の資格を持った社員が数名いるため、精緻な解体ができます。ハイブリッド車のモーターからレアアースを回収する技術を確立し、表彰されたという企業で、さらに全部再資源化を推進し、ゴミもほとんど出さないリサイクル技術ができているため、環境負荷ゼロ対策の目線で、大変評価されています。
今後も新車販売への電動化にも100パーセント対応できますし、今みなさまが乗っているガソリン車を販売することもできます。ガソリン車やディーゼル車の価格の暴落など十分認識しながら、お客さまと対峙している企業です。
市場環境
CO2の排出の要因について、メーカーの本田技研工業は全販売量の8割が、スズキは84.5パーセントが、販売しているガソリン車によると言っています。その状況下、ディーラーである我々が、脱炭素経営に向けて対応しないわけにはいきません。このため、急ピッチで脱炭素対策に取り組んでいます。
市場環境
国内での電動車の販売を2030年までに9割にさせる目標で市場は動いており、さまざまなメーカーから我々に要望や指摘を受けています。
市場環境
こちらの記事にあるように、今後、EVの時代は間違いなく収益性が悪化するだろうという懸念が広がっています。そこで、新たなモデルに活路を見出していく必要があり、むしろこのような時代こそ、いろいろなかたちのビジネスを広げるチャンスがあると思っています。
我々は、収益が上がるか上がらないかという今の状態の中での投資は、非常に慎重に、しかし避けずに考えています。
ICDAのバリューチェーンクロス・ミックスビジネスとは
我々は、日本で初めてバリューチェーンクロス・ミックスビジネスという、新車販売から中古車販売・中古車買取・アフターサービス・リサイクルまで対応できる流通経路を構築しました。車は作らず、最後のリサイクルまで対応できる企業です。
さらに日本で初めて「オートモール」という自動車の街を作りました。既に6ヶ所あり、今7ヶ所目を建設中です。
他社との違いは、販売する形態と敷地面積です。他社は一般的に1拠点1ディーラーというかたちで、大体広くて1,000平方メートル強の敷地での販売ですが、我々は1万平方メートル以上でないと「オートモール」と言いません。
また、複数のディーラーと中古車を兼ね備えている姿が、我々のオートモール事業で推進しているところです。
バリューチェーンクロス・ミックスビジネスのフロー
バリューチェーンクロス・ミックスビジネスのフローの中で、新車販売からリサイクルのユースパーツまで作ったりして、流通経路を網羅することで、お客さまに向けての商品やサービスの付加価値を最大化しています。
さらに、例えば店舗を作る際、鉄鋼メーカーに材料を供給しており、店舗作りのコストも非常に安くなっています。
バリューチェーンクロス・ミックスビジネスの強み
そのようなかたちで、バリューチェーンを自社グループで構成できています。結果、収益化へのノウハウが随所で得られ、収益機会を増加させています。加えて、独自の中古車流通経路を持ち、リユースパーツの活用も可能となり、店舗開発のノウハウも獲得できています。
これらはすべて、お客さまに教えていただいて、自然にできたビジネス形態で、お客さまのおかげで現在があると思っています。
①収益機会の増加
バリューチェーンクロス・ミックスビジネスの効果の1つ目、収益機会の増加について、一般的な新車ディーラーのバリューチェーンとの比較を載せています。新車販売からリサイクルまでという、新しいバリューチェーンクロス・ミックスビジネスのかたちを、お客さまからさまざまに提案していただける会社になりました。
②独自中古車流通(グループ内流通でバリューを追求)
スズキの特約店であり、新車は4ブランドが売れるようになっています。
中古車については、下取り車・買取り車は、ホンダ車、「オートモール」、リサイクルセンターへと、車種や状態等に合わせ、グループ内の最適な経路で、効率よく流通させています。
ホンダ車であれば「ユーセレクト」、ホンダ車以外は「ヴァーサス」、低年式・多走行車は「POINT⑤」、事故車・スクラップは「マーク・コーポレーション」に分けられます。
買取センターの「POINT⑤」では、車であれば不動車でも、事故車・スクラップなどなんでも買っています。このように、お客さまが車を売りやすい仕組みがあるため、潤沢な中古車の確保が可能となっています。
③リユースパーツの活用(顧客満足度の向上)
高品質なリユースパーツを提案しています。コロナ禍でお断りしていましたが、大体常に、みなさま年間多い時で2,500人くらい、見学者が訪れるようなリサイクルセンターになっています。
④店舗開発ノウハウ
当社はマーケットに合わせた店舗展開を進めており、投資の魅力がないと映るかもしれません。しかし地元で、モビリティの世界に貢献してたく、かなりゆっくりとしたかたちで店舗展開を進めていることも事実です。
スライドに示したように、我々の進めるメーカーとの取引、そして我々の手掛けているバリューチェーンクロス・ミックスビジネスも、日本初の「オートモール」事業も、いろいろなかたちの中で評価されています。
複合型店舗(オートモール)
特に先ほどお伝えしたリサイクルセンターについては、本田技研工業の関連会社、三菱マテリアル、住友電装が出資していただいており、さまざまな企業からも評価されている企業になっています。
出店状況・店舗展開
三重県の中北部エリアで出店し、店舗を展開しています。まだ狭く、もっと広げる目線でM&Aの話もあるわけですが、一切お断りして、我々独自に新しい自動車の流通業を展開しています。
伊勢オートモール 2024年3月完成予定
「伊勢オートモール」についてです。ここには自家発電ができるEVスタンドがあり、こちらに行けば1週間ぐらいの停電になっても充電ができます。屋根にはソーラーパネル、廃バッテリーを利用した蓄電設備が用意されています。
ここの太陽光発電設備や蓄電設備等の設置を中部電力にお願いしたら、代表取締役専務が、「あなたのところと組みたい」と来るようになり、驚いています。2024年4月のオープンを目指して、今建設中です。
おそらく中部電力においても、停電は必ず無いとは言い切れないということで、我々の蓄電できるEVスタンドは注目を浴びていますし、これが成功したら三重県の伊勢街道にずっとEVスタンドを提供していきたいと考えています。
伊勢オートモール 2024年3月完成予定
こちらの写真の隅のほうがトヨタのディーラーですので、いかに我々の「オートモール」が広いか分かっていただけるかと思います。ホンダや日産プリンスなどのディーラー街とは大きさが全然違います。それだけに我々は、かなり広い場所だからこそ、太陽光発電もソーラーの蓄電も、設置しがいがあります。
1,000坪くらいでは、限られた蓄電しかできないということで、これだけの広さを持っているというのも「オートモール」の強みだと考えています。
自動車販売関連事業の展開業態
このように、今後とも我々は偏らず、幅広い顧客層に向けて、これから展開していきたいと思っています。
業績推移(2016年3月期→2023年3月期)
業績推移です。ぜんぜん大したお話ではありませんが、今回の脱炭素経営への転換に5年間で60億円の投資が必要ですと銀行にお話をすると、収益を無視して貸してくださると、即返事をしてくださる流れの中におり、新しい時代の到来を感じています。
我々は100年に1度の大転換の時期にいるという認識で、事業を進めています。株主のみなさまには本当に申し訳ないですが、みなさまの理解を得て未来投資というかたちで進めても、本当に利益は少ないかもしれません。
主な経営指標の推移
しかし自動車ディーラーは普通の会社で売上高の3パーセントであるところ、4パーセントから5パーセントでは、「よい会社」といわれています。そのような中で、その水準を保ったかたちで経営できています。
国内新車販売台数の推移
国内新車販売台数の推移です。新車や輸入車の販売については、輸入車は納車時期は今から2年後とか1年半後という状態で、新車販売は「今回は車検を受けるわ」や「中古車のよいものを買うわ」という顧客反応で、大変制限を受け、苦戦しています。ホンダもそうです。
今までは半導体不足とコロナ禍による物流困難ということで、世界から調達部品がいっぱい手に入るようになったため、少しでも輸送が遅れたり、1つのラインで組み立てが終わらないと全部が止まってしまうなどの状況がありました。トヨタも発表している通り、ホンダ、VW、アウディも一緒です。そのような点では新車の販売では大変苦戦しています。
このような業況下、経営指数としてはそこまで誇れたものではありませんが、同業他社と比べると、そこそこ健闘していると見ています。みなさまから見れば、このような会社に投資できるかと思われるかもしれませんが、モビリティの世界では、我々は大変自信を持って進めている企業です。
約490社ぐらいあるホンダのティーラーの中で、大体4位か3位という販売実績を誇っています。輸入車もほとんど、100法人中後発の部類で販売を開始しましたが、実績は真ん中にいます。我々のバリューチェーンクロス・ミックスビジネスは評価されていると認識しています。
国内の新車販売台数は、コロナ禍以降、半導体が不足して業績は大変厳しくなっています。景気のバロメーターは大体500万台ですが、残念ながら2020年からずっと落ち続けています。
我々に投資していただいているみなさまには本当に申し訳ないですが、ディーラーは車を作っているわけではなく、メーカーも、車作りにおいて、全ての部品を自分のところで作っているわけではありません。そのため、惨憺たる決算になっています。ただし、2022年ぐらいからやっと、目鼻がつきだしたかのような回復傾向も見られます。
販売状況の推移(四半期比較)
販売状況の推移ですが、ご覧のとおり右肩上がりではない状態です。
以上、決算概要をご説明しました。上向いているならよいのですが、業績はみな下向いており、先ほどお話ししたように、新車販売もかなり厳しい中、経常利益を出しています。
そのような現状ですが、我々は先ほどお話ししたように、2023年4月から脱炭素に向けての60億円の投資を始めています。ホンダはどうやら少しだけ売上が上がっているみたいですが、輸入車販売もそう甘くはありません。大変厳しい情勢の中で、リサイクル事業にしても1万台を超えたいと、月1,000台、年間で1万2,000台を超えたいと、今のところは考えているところです。
セグメント別売上高構成
2023年3月期の売上高は304億9,600万円です。車の単価が高い割には売上高が少ないというお叱りを受けるかもしれません。セグメント別売上高の構成は新車部門(国産車)が38.6パーセント、中古車部門が37.7パーセント、サービス部門が12.1パーセント、新車部門(輸入車)が7.1パーセントとなっており、我々にはまだ伸びる余地があります。リサイクル事業は4.5パーセントで依然として低い状態です。
連結業績推移
連結業績です。現在、新車のような1台の単価の高いものは売上高が確保できないということで大変厳しい状態です。
自動車販売事業 売上高推移
自動車販売の売上高推移です。2023年の後半から徐々に車が入荷するようになり、業績が回復していく期待感もありますが、率直にお話しすると、株主のみなさまはまだ確認してからお買いになったほうがよいとお伝えしたいです。
自動車リサイクル事業 売上高推移
リサイクル事業もこのように推移しています。
連結貸借対照表
連結貸借対照表もスライドをご覧のとおり、すべてがプラスという結果ではありません。
連結キャッシュ・フロー計算書
我々は創業以来、手形を1回も切ったことがない稀有な会社です。資金が足りない時は、銀行が貸してくれていました。ディーラーというのは製造会社の販売部門として、資格がある、信用があると認識されています。
2024年3月期 連結業績予想
2024年3月期の業績予想です。そう甘くなく、大きくプラスにはならない大変厳しい予想としていますが、徐々に車の供給は回復してきているため、後半は業績も回復する兆しがあります。
伊勢オートモールは桁外れな投資となります。過去の倍近い投資額となりますが、ここで手を抜くわけにはいかないと、投資を実行しています。
成長戦略については向井副社長よりご説明します。
成長戦略
向井俊樹氏(以下、向井俊):副社長の向井です。本日はお忙しい中、誠にありがとうございます。私の簡単な経歴をご紹介します。中学校から全寮制の学校に通っていました。もともとはホンダの営業として現場で働いており、現状はICDAの副社長を務めていますが、ホンダカーズ三重北の社長としてもがんばっています。グループの成長に寄与できるよう期待に応えていきたいです。
成長戦略についてです。マーケットの環境ですが、労働人口の大幅な減少が予測され、人財の採用や教育が、中期において非常に重要視されてきます。ホンダカーズの店舗においても、人財不足や後継者の問題で、どんどん統合が進んでいるという現状があります。こちらに関しては現状の強みでもありますので、引き続き維持すべくがんばっていきます。
また、CO2削減に向けたEV化戦略はディーラーが果たさねばならない責任だと考えており、そこに向けて店舗投資を始めていくことが課題だと思っています。
ESGの取り組み
ESGについてです。環境に関しては、EV化の店舗作りやリサイクル事業が我々にとって大きな武器だと考えており、これらの強化に取り組んでいます。
また、社会の部分についてですが、ディーラーは男性を中心に経営されていることが多いため、「女性活躍推進プロジェクト」として女性が活躍できる会社作りに注力しています。すでにプロジェクト化もしながら、生き残りに向けて取り組んでいるところです。
企業統治についてですが、現在の自動車業界はイメージがあまり良くありません。そのため、企業統治において女性の力やきめ細かさを質の領域で活かすべく取り組んでいます。また、お客さまの声を非常に重視し、敬意を持って運営する取り組みをしています。ディーラーにとっては、量の拡大とともに質の強化が非常に重要であり、現在グループをあげて行為平準化というかたちで取り組んでいます。
リサイクル事業についてご説明する前に、言葉だけではわかりにくいため、動画の短縮版を見ていただく中で、少し補足します。
(動画が流れる)
このようなかたちで、見学者に5分ほどの動画を見ていただきます。もともと自動車リサイクル法は、車の不法投棄が非常に問題となり、法律制定されたものです。今なおその不法投棄で環境が破壊されているという状況が、事業立ち上げの理由となっています。
ご覧いただいたように1台の車をプレス機に入れ、すべてを再資源化します。動画のとおり70センチ角という大きさに縮まっていくのですが、それを鉄鋼メーカーに戻します。再資源化ということが非常に着目されており、日本自体が資源不足と言われているため、我々の持つ可能性について、このような動画を視聴することで感じていただきたいと思っています。
ESGの取り組み ①環境への取り組み
リサイクル事業についてです。自動車リサイクル部品に関しては、日本車はやはりブランド力が高いため、海外に向けてもかなりの数を輸出し、再利用してもらう事業を展開しています。
ESGの取り組み ①環境への取り組み
教育への貢献という意味合いでは、特に小学生のお子さまに車や環境へ関心を持っていただくことが非常に大事だと考えています。小学生を対象に工場見学を無償で開催し、我々社員がプレゼンをしています。
ESGの取り組み ①環境への取り組み
今後は大手のホンダトレーディング、さらに三菱マテリアルも加えながら、このような環境事業に力を入れ、我々グループの強みとして活かしていきたいというのが、成長戦略になります。
ESGの取り組み ②社会貢献への取り組み
マイカーラン走行会に関しては、コロナ禍により3年ほど開催していませんでした。以前は株主総会でマイカーラン走行会があるということで車をご購入いただいただいたものの、今はもう車を売ってしまったというようなお声もいただいています。
モータースポーツの町で上場していることもあり、鈴鹿サーキットというF1の開催コースが身近にあることから、ふだん車との接点がない方にも車に関心を持っていただくいい機会提供ということで、サーキットとタイアップしながら株主総会を開催しています。株主さまを含めたいろいろな方からのコメント動画がありますのでご覧ください。
(動画が流れる)
基本的にお客さまの車で走行してもらうのですが、ふだん車に乗らない方もいらっしゃいますので、我々でも3ブランドの車を用意しています。
この時は、株主総会後ということで平日に開催しました。ご夫婦のいい思い出になったり、小さなお子さまも連れて家族で楽しんでいただけたりする機会です。株価も大事ですが、思い出というものを我々にできる範囲内で提供したいと思い、ずっと開催しています。
コロナ禍の影響もあり、鈴鹿サーキットとのタイアップに関して課題も見えてきました。ただし、これだけたくさんの喜びの声をいただいているため、我々としては今後も開催していく方向で考えています。また開催できた際には、みなさまに楽しんでいただけると思っています。
ESGの取り組み ③人財戦略の取り組み
人財戦略についてです。現在強化を進めています。私は野球が好きで中日ファンなのですが、プロ野球においてはドラフトが非常に大切なイベントだと思います。人を採ることで、チームは非常に変わっていきます。採用についてはここ7、8年、1回目からすべて参加しています。
他の企業では、社長が一発目から出てくることは少ないとは思いますが、スカウト活動にも力を入れながら人財育成を進めています。特に人間力の大切さは、私自身が地域ディーラーで営業をしながら感じたことですので、そこを重視して採用活動に取り組んでいます。
人財育成
そのような取り組みを進める中で、ホンダカーズ三重北が全国の営業領域において2年連続で日本一の営業を誕生させることができました。また、拠点の部や法人の部においても日本一を勝ち取ることができました。
また、質の領域では、査定技術に関して全国の全メーカーが集まる中で我々のスタッフが勝ち得ました。さらにはモーター技術コンテストについても、我々が1位を勝ち得たということで、人財採用、育成の力を発揮できる体制に少しずつ変わってきているのではないかと実感しています。
私自身も営業として働く中で夢や目標を持ってがんばってきました。同じようにセールスとして働く社員たちに我々が環境を提供して夢や目標を叶えさせてあげられるという体制作りが、この効果に結びついたと思っています。
人財育成
表彰を受けているシーンです。こちらは、日本でNo.1になったホンダの男性営業スタッフです。
人財育成
こちらは拠点の部および法人の部の表彰風景です。法人代表として私自身がいただきました。
ESGの取り組み ④
女性活躍推進プロジェクトについてです。こちらに関しても、ガバナンスや質の強化に欠かせないため、総力を挙げて取り組んでいます。
災害協定については、停電になった際に供給できるものはないかということで、役所と災害協定を結び、みなさまのお役に立てるようなディーラー作りを進めていきたいと考えています。
また現在、社長が三重県スポーツ協会の会長を務めているのですが、我々は日本ハンドボールリーグ(女子)を応援しています。まだ日本一になれてはいませんが、社員2人を受け入れながら、スポンサーとともに地域スポーツの応援にも注力しています。
当社のマーケット
今後の三重県のマーケット状況です。三重県における1人あたりの車の保有台数は、非常に多いです。交通網があまり発達しておらず、車が必要となる県のため、家族の保有台数が多いということです。家族4人であれば4人とも持っているため、非常に保有台数が多いのです。まだこれからの成長が期待できるマーケットです。
今後の戦略
今後、磐石の体制を固めて広域展開していきたいと思っています。すでに後継者問題を含め、メーカーからもM&Aを含めたお話は出てきています。
我々がきちんと対応できるかたちであれば、成長するためにM&Aは必要だと思っています。そのようなことも含めて東海3県、愛知、岐阜に関してはきちんと進出し、さらに広域展開していきたいと考えています。
EV・PHV・HV車の市場動向
自動車のマーケットでは、EV化がますます加速していく見込みです。CO2削減に向けて、店舗対応を含めたリサイクルセンターをより目立たせていきたいと思っています。転換期をチャンスに変えられるように、成長を遂げていきたいと考えています。
アフターサービスで顧客を囲い込み
新車供給問題については、これだけ半導体を含めた影響が出てくる中で、新車に依存しない収益構造を作るべく積極的に取り組んでいます。当然、収益が安定しないと社員の生活を守れず、株主さまの配当政策も打てないと思っています。新車販売に依存しない体質作りも並行して進めていきたいと思ってます。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
最新のPBRですが、こちらはまだ低迷中です。資本施策を少し見直す時期に来ているとも感じています。成長戦略への投資ももちろん大事ですが、前回の株主総会を含めて指摘もあったため、資本施策についても見直しが必要だと思っています。
株主還元策
配当についてです。1株50円というかたちで、ずっと安定配当していきます。ただし、配当性向率が少し低いのではないかという声もあるため、その点については今後考えていかなければならないと思っています。
株価推移(月足ベース 2020年4月~2023年8月)
株価についてです。現在基準が2,709円で、27万900円が最低投資金額となっています。スライドの記載のPBR、PERにも現状の数字です。
質疑応答:伊勢オートモールについて
司会者:「2024年3月完成予定の伊勢オートモールについて、もう少し詳しく教えてください。他のオートモールとの違いなどはありますか?」というご質問です。
向井弘:オートモールというかたちの中で初めて自家発電付きのEVスタンドを設置していることから大変注目を浴びています。これからEVカーへの急激なシフトが起こると、既存のガソリン車のEVへの切り替えが考えられるため、POINT⑤も併設し、買取を行うこともできます。
また、「車の値段が暴落している」とのお話がありますが、我々は世界に中古車を輸出しています。インフラの整っていない国では、ガソリン車や今日本で使っている車が欲しいわけです。また、驚いたことにエンジンなどは、アメリカなどから多くのオファーが来ます。
日本では、走行距離が10万キロメートルを超えると「過走行車」となりますが、アメリカでは50万キロメートルを超えても乗っているわけです。したがって、中古のエンジンには非常に高いオファーがあります。日本におけるEVカーへのシフトはまだ緩やかですが、ここでは将来のEV化に向けての買取を進めていきます。
また、ショールームではアウディ、フォルクスワーゲン、ホンダなどいろいろなEVカーを展示し、新しい時代をここで提案していきたいです。さらには、停電しても発電できるというような新しい時代のサービスです。こちらが好評であれば、即座に他のオートモールにも付加していきたいと思っています。
司会者:他のオートモールとの違いは、そのようなところでしょうか?
向井弘:そうですね。面積の違いというものはあると思います。現在、我々の敷地面積を理由に、ソーラーにしても設備にしても、「御社と組みたい」というオファーが多くいただきます。
やはりオートモールの良さが我々の強みです。周りはメーカーのディーラー街ですが、その中でも際立った大きさを誇るのが我々の新しい伊勢オートモールです。数十年前から進めているオートモールの展開が良かったと考えています。
いろいろなところから、13万坪を超える土地を自社物件で、固定資産として持っているという点がすごいと評価されています。その土地に、EVカー対応の新しい施設を設置していくという、その始まりが伊勢です。
質疑応答:具体的な人財育成の施策について
司会者:「人財にかなり重点を置き、セールスや査定のコンテストで優秀な賞を多く獲得していらっしゃいますが、具体的にはどのような施策をとっているのでしょうか?」というご質問です。
向井俊:自分自身も長くディーラー経営に関わる中でお話ししますと、商品も大事ですが、人と人とのお付き合いでお車をご購入いただくということが多く発生するため、長くしっかりと続けるというのが非常に大事だと私は思っています。
人財育成においては、中長期的にどのような夢や目標を持っているかを重視しながら育成していることが、結果として「思えば叶っていく」ということにつながり、少しずつ成果として表れていると思っています。社員が夢や目標を持つことと、その実現をお手伝いするのが会社の役割だと捉えて力を入れています。
特に不景気ですとトップセールスが強いため、いつまでも応援いただけるように、育成を今後継続して進めていきたいと思っています。また、このような賞をいただくとお客さまにも非常に喜んでいただけますし、そのような効果もあると実感しています。
司会者:具体的に、例えばなにか研修会を開催するといった取り組みはされていますか?
向井俊:賞を受けるような社員が若手含めた中堅に教える会を盛んに開いています。従来であれば店長が教えていくところを、現場の指導で高めることに舵を切っており、そのような部分が強みだと思います。
質疑応答:ビッグモーターについて
質問者:社長、副社長のお話を聞き、感動したのは高い精神性がある方々だということです。このような方々が会社を経営していればなんの問題も起きないと思うのですが、現在起きているビッグモーターの問題に対するお二人のお考えをお聞きしたいと思います。
向井弘:あのようなことはとてもできませんが、油断もできません。企業の規模を急拡大する時には、どうしても収益など数字を追う必要があります。我々は人財育成に急激に力を置いていますが、収益など数字だけに向かっていくことが絶対にないとは言えないというふうに思っています。
ご承知のとおり、ホンダ四輪サービス技術コンクールにおいて、我々は3回1位を取った経験があります。ドイツで開かれたアウディの世界大会でも優勝しました。このように、コンクールに出場したり、成績を残したりすることは時間がかかるものです。しかし、人財育成があってこそ、モビリティの世界に貢献できるのではないかと考えています。
「そもそもお宅の収益は大したことないじゃないか」と言われるかもしれませんが、このように評価の機会をもらい、理解していただくことで、モビリティの世界において「あそこの会社はきちんと取り組んでいるな」と思っていただいています。その責任はどこにあるかと言えば、社員とオーナー一家がかなりの株を所有し、しっかりと見定めて、長いお付き合いをいただくということが人財育成につながります。
しかし、社員数500人程度の会社ですが私自身も完璧だとは言えません。ですので常に「正直が一生の宝」だと考えています。「何かあったらどうしよう」という中で、このような規模の会社ですが、社員に求めすぎると問題ではないかと思います。
今発表されている中で、私どもに「M&Aしてくれないか?」と持ちかける会社も来ました。しかし、我々は拡大だけを追いたくないと考えています。
ディーラーという存在を再度見直され、驚かれることもあるかもしれません。しかし、メーカー資本の会社は、高い理想を持ってモビリティの世界に貢献し、時代の流れに沿って、お客さまを見てお仕事していくことが肝要です。ご回答になったかどうかはわかりませんが、このように考えています。
向井俊:私自身も長年、数字を追う世界の中で生きてきて、一番意識しているのは、やはり経営陣の責任の重さです。きちんとした説明責任を果たしていかなければ、現場は数字を追いたがるというのが現実の姿ではないかと体感しています。
現在はきめ細かく発信していくことを念頭に置いており、特にお客さまのご意見をきちんと反映するようにしています。お小言も非常に多いですが、そのような声こそ、逆に我々の質の強化につながるのではないかと、私自身も真摯に受け止めて活かしています。そのような体質を維持・継続できるように、今のご質問をいただいたことを忘れずに事業の経営を進めていきたいと思います。
質疑応答:今後の戦略について
質問者:スライド57ページの今後の戦略についてです。こちらに各ステージの絵がありますが、数字としてはどのようなものを描いておられるのでしょうか? このくらいの売上高をあげる、我々に対してはこれくらいの配当をするなどといった、夢・目標があるようでしたら教えてください。
向井俊:これまで社長から「夢を持て」と強く教えられてきました。確かにここで現実的なお話をしたとしても、株主のみなさまの視点に立って見ると「会社の魅力はあるのかな?」と感じると思います。
目標ですが、社長からは「売上高500億円、さらに1,000億円を目指せ」と叱咤激励いただいています。できる・できないではなく、私自身がそう思って、会社を引っ張っていくというのが重要だと思っていますので、そのラインに到達できるように経営していきたいと思います。
本当は岐阜に出店するチャンスがあったのですが、最終的にメーカーに断られて断念した経緯もあります。この図は未来図であると思って提示をさせていただいています。早く期待に応えられるように、人財育成を含めて社員の夢に賭けて、我々の顧客を大事にするという信念のもと、車の販売に寄与していきます。また、環境事業を持っていますので、そのようなかたちで社会に貢献していけるような、成長を描いていけたらとご理解いただけたればと思います。
資本施策はかなり指摘をいただいていますので、期待に応えられるようにがんばっていきたいと思います。我々、オーナーに関しても株をかなり持っているため、配当を上げれば我々の収入も増えるのですが、成長戦略のほうにお金の分配を振らせていただきました。我々も長いこと我慢してきましたので、少し舵を切りたいと思っています。
質疑応答:株式の流動リスクについて
質問者:本日のコーポレートデータを単純に見ると、これを見た限り、株式の流動リスクがどうなのか非常に気になります。
また、現状の株主数は500名強ですが、いわゆる純投資家はどれくらいでしょうか? 500名前後の企業ですと、いわゆる持ち株会や金融機関、この会社に関係する方が、単元株で取得するケースが多いと思うのですが、純投資家の数がどれくらいおられるのでしょうか?
向井俊:流動リスクについては、おっしゃるとおりです。上場維持基準に迫ってきているというご指摘は野村証券さまからもいただいています。どのように流動性を高めていくかが私の世代の課題だと思っています。
我々はお客さまを大事にしていく視点で、株主さまに晒していくことをせず身内で固めてきたのですが、そこにも問題が出てきているとは思っています。どの段階で切り替え、流動性を高めていくかということをしっかり考え、会社の経営メンバーとも喋りながら、今後増やしていきたいと考えています。
また、先ほどお話しした株主総会のマイカーラン走行会について、多くの株主の方に参加していただいており、私たちにとって株主さまの声を実際に聞く接点になっていると思っていますので、この機会を増やしていかないと開催する価値もないのではないかと思っています。
ご指摘いただいた案件については、引き続き私もしっかりと考えていきたいと思います。
話者:管理部で部長をしています、ハットリです。株主の数についてですが、現在は約580名ぐらいで、7割から8割が固定だと考えています。個人のお客さまが多く、純投資家はだいたい100人から200人ぐらいの間ぐらいなのではないかという推定はしていますが、正式に数字を持っているわけではありません。
主幹事証券さまといつも話していますが、ここは一番の課題であり、今後どうしていくかというお話はだいぶ煮詰まってきています。今後、なにか具材的な策を打っていきたいと考えています。
質疑応答:EV化について
質問者:EV化についてお尋ねです。日本政府はEV化を進めていますが、海外ではEV化推進を玉虫色にしており、シフトが遅れると発表されています。こちらについて、社長はどのようにお考えでしょうか? 日本政府はEV化を無理やり進めているように感じており、また昨今、渋滞で車が止まった際にEVカーがどうなるかということはみなさまわかっていると思うのですが、そのあたりを社長からどう思いますか?
向井弘:EV化についてはみなさま方がご心配のとおりだと思います。今、どちらがいいかと言われると、我々も水素カーなどもありますので化石燃料由来のほうがよいと思います。しかし、地球温暖化を鑑みると早急にさっき言ったEV化が進んでいきます。
インフラが整うと、コンピュータ管理で「あなたの車の電気は今これくらいで、充電しなければいけません」と情報がいち早く伝わるようになります。2030年以降、ガソリン車とEVカーの保有コストを比べた時には間違いなくEVカーのコストが安くなります。
保有コストが安くなるということは、急激なEVカーへのシフトにつながります。今のガソリン車は排気ガスを排出する上、ガソリン代が250円、300円になった時には、急激なEV化が始まると思います。その予測はやはり持っていなければいけません。
アメリカでもテスラがあれほど批判されていたのに、現在は世界のリーダーになっています。地球温暖化、SDGs、脱炭素というところに焦点を当て、みなさまにご理解いただき、モビリティの世界を変化させていかなければなりません。
みなさま方も、ぜひとも新しい時代を予測し、EVカーの保有を考えていただきたいです。この4,700万台の車が、どれくらいの化石燃料を排出しているかということも、ぜひとも一緒に考えてほしいです。我々は現場のプロとしてみなさま方にそのようなふうにお伝えしたいと思います。「今だ、急げ!」とは言いません。「まだインフラが整っていないのに、そんなこと言えるか」と思います。
しかし今後、間違いなくインフラが整い、EVカーの保有コストは安くなります。その時にはみなさま方が一気に変化していくと思っています。今日EVカーに出会われて、「おい、世界を駆け巡っているぞ、あの会社」ということで、心に留めておいていただければ、我々業界人としては大変嬉しく思います。
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