【QAあり】ランドネット、販売用不動産が前期末比で大幅増 今後の売上拡大への助走として引き続き商品数の増加を図る
会社概要
榮章博氏(以下、榮):ランドネット代表の榮です。本日は、2023年7月期の通期決算説明を行います。
まずは、当社についてご紹介します。当社は1999年に創業し、不動産データベースを中心に、不動産流通業とDXに力を注いできました。現在は、中古区分マンションの売買事業・賃貸事業・リフォーム・リノべーション事業を展開しています。現在強化しているのは、戸建て・アパートへの取扱物件の拡大と新規クラウドファンディングの開発です。
1999年9月設立、拠点は東京本社、横浜支店、大阪支店、福岡支店があり、資本金は7億円です。従業員数は581名で、アルバイトも含めると700名を超えています。
事業構成は、売上高の98.6パーセントが不動産売買事業、1.4パーセントが不動産賃貸管理事業です。
私は株式会社大京という分譲会社に入社し、株式会社大京住宅流通で不動産流通業を勉強したのち、ランドネットの社長に就任しました。
2023年7月期業績① 連結損益計算書 概要(P/L)
榮:2023年7月期の業績をご説明します。スライドは連結損益計算書(P/L)です。売上高は前期比122.7パーセントの636億円となりました。営業利益は前期比101.0パーセント、経常利益は前期比98.1パーセント、税引前利益は前期比103.2パーセントです。売上は伸びたのですが、経常利益は前期比でマイナスとなっています。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):2022年7月期は売上から最終利益まで、すべて増益ですが、2023年7月期は経常利益のみ、若干へこんでいる理由を教えてください。
榮:上場して2年経つ中で人の採用が非常にしやすくなり、まずシステム関連で採用人数を増やしました。加えて、営業社員も数多く雇用しており、それに伴って増床等、拠点の拡大も行っています。これらの先行投資が少しかさんだと考えています。
最大の要因は物件の仕入れです。当社は物件を購入して、それを販売していきます。その中で、2023年7月期第2四半期の売上高は168億7,700万円、経常利益は6億9,000万円となっています。このタイミングで物件を大きく販売する必要があり、販売した結果、在庫が少なくなりました。
その調整のため、金融機関とコベナンツについての打ち合わせを進めていましたが、こちらがクリアできたため、第3四半期、第4四半期は業績を伸ばしています。経常利益も追いつくように努力しましたが、少し間に合わなかったという具合です。こちらは今期がんばりたいと思っています。
2023年7月期業績② 売上高割合と平均販売単価
榮:売上高割合に関しては、今ファミリータイプが増えてきており、平均販売単価も増加傾向にあります。
坂本:ファミリータイプがどんどん増えてきているとはうかがっておりましたが、実際にワンルームとファミリータイプが半々くらいになってきている状況です。今後ファミリータイプをどのくらいまで伸ばしていきたいのか、イメージがありましたら教えてください。
榮:粗利ベースでは、現時点で6割がファミリータイプ、4割がワンルームです。件数では逆転します。当社としては全国の区分マンションを全部扱いたいと考えています。今、戸建てとアパートが増えてきているため、そこを広げることで7割くらいまでいくと思っています。ただし、何割にするかというよりも、世の中にあるファミリータイプとワンルームの比率と同等くらいまで伸ばすことができればという考えです。
2023年7月期業績③ 販管費推移
榮:販管費は人件費と、事務所の地代家賃が増えています。業務委託料・システム関連費も増えてきており、このような状況で経常利益が少し圧迫されたと考えています。租税公課については、昔は不動産を販売した時に消費税を納めれば良かったのですが、今は物件を買い取るときに消費税を納めなければいけないことが影響しています。
2023年7月期業績④ 連結貸借対照表 概要(B/S)
榮:連結貸借対照表(B/S)です。販売用不動産が2022年7月期の75億円から約40億円増えて114億円となっており、今後、一層の売上拡大を目指しています。
有形固定資産は、クラウドファンディングを見据えて増やしています。来年早々にはクラウドファンディングにリリースでき、商品として出てくると思います。
また、決算短信について補足します。先ほどお伝えした特定の金融機関1社との交渉においてDCRを150パーセント以下に維持するという規定があり、それに対して第2四半期に物件をかなり売却しました。いろいろと交渉する中で、規定はクリアできなかったのですが、お金はいつでも返済できる状況です。足元では約4億5,000万円の残高だと思います。
ほかの金融機関にはこのようなことは一切言われていないため、アクセルを踏んで物件を買い取り、販売していきたいと思っています。もちろん売れなければ意味がないため、きちんと回転率を見て、現在の回転率(約2ヶ月)を保ちながら商品を増やしている状況です。
坂本:けっこう厳しい条項ですね。
榮:いろいろと交渉は試みました。
坂本:上場してしばらく経ちますので、今後は利益も売上も伸びて、それもなくなるのではないでしょうか?
榮:ほかの金融機関ではこのような条項はないため、今、思い切りアクセルを踏んで物件商品を増やしています。
2023年7月期業績⑤ 売上高と経常利益 5期分推移
榮:過去5期の売上高の推移です。2022年7月期は518億円、2023年7月期は636億円となっており、先ほどお伝えしたように、物件商品が増やせれば実際はもっと伸びると思っています。経常利益が前期を若干下回ったことについては、今後努力します。
不動産流通市場とDX① 拡大する不動産流通市場
榮:不動産流通市場の状況です。日本における流通比率は今40パーセントくらいですが、海外に目を向けると7割、8割が中古の不動産売買となっています。日本の市場もそれくらいまで増えると予想しているため、当社は中古区分マンションに一生懸命取り組んでいる状況です。また、戸建てとアパートにも力を入れていきたいと思っています。
古い物件を扱う時に一番気になるのは、瑕疵のある物件が使えないということですが、契約不適合責任に関しては、最長3年の手厚い保証を入れながら売買しています。このようにしてシェアを拡大していきたいと考えています。
不動産流通市場とDX② 首都圏の中古マンション成約坪単価と成約件数の推移
榮:スライドは首都圏の中古マンションの成約坪単価と成約件数の推移で、青い折れ線グラフが坪単価、オレンジ色の棒グラフが成約件数です。坪単価は2012年くらいを底にして右肩上がりに伸びており、コロナ禍の中で上がってきております。
新聞には、首都圏の新築マンションの平均価格が億を超えたという記事も出ていますが、それは中古マンションにも直接的に影響しており、市場は非常に活況を呈していると言えます。その中で当社は、中古区分マンションに関して、北は札幌から南は石垣島まで全部扱っているため、そのシェアをどんどん取っていければと考えています。
不動産流通市場とDX③/創業の想い DX→システム開発のスピードと拡がり
榮:先ほど「クラウドファンディングのシステムを作った」とお話ししたように、当社は創業当初からITを思い切り活用し、中古の不動産を扱いたいと考えています。ITを使うことに関しての苦労話も過去にしたことがあります。
私自身がマニュアルを買ってきて「Windows 2000 Server」や「SQL Server」を実際に作り、動かなくなったら初期化して動くようになったというお話をしました。今回はそれ以前の、ITに全力を出したことの動機について少しお話しします。
日本は昔から、1543年の鉄砲伝来の翌年にはもう鉄砲を作り、ペリー来航の翌々年くらいには蒸気船を作っていたと言います。私は「Microsoft Windows 95」の「Office」を見たときに「これは使える」と感じ、思い切り使いたいと思ったのです。「Office」を活用することによって、ほかの不動産会社と競合した時に勝てるのではないかと考えました。
営業社員が50万円から5億円くらいまでの物件を、どれでも扱うことができ、有利になるような仕組みができれば、非常に仕事がしやすく、自己実現にもつながり、また、会社も伸びると思いました。このような理由からITに注力しており、不動産流通業の市場とDXの2つが当社を構成する大きな要素となっています。
不動産流通市場とDX④/創業の想い DXにより人・物・金・情報の経営の4要素全てを再構築
榮:DXについてご説明します。1つ目に「モノの革命」として、ダイレクト不動産があります。インターネット上で登記簿謄本を取得することができ、さらにストリートビューがあることで売主に直接アプローチして不動産が仕入れられ、買主に直接アプローチして不動産を売却できます。これにより、一層スピード感をもってお客さまにサービスが提供できると思っています。
2つ目に「お金の革命」として、クラウドファンディングがあります。金融機関を通さずに資金を集め、その資金を不動産に投資し、お客さまに利回り配当を受け取ってもらうことができると思っています。
3つ目は「情報の革命」です。国や自治体が出す公的な統計データに直接アプローチして情報を集め、投資家に対して発信しています。これにより、判断が可能になると考えています。
この3つに力を入れていきたいと思っています。4つ目の「人の採用の革命」に関しては検討中ですが、「YouTube」を使いながら何かできないかと考えています。
事業内容/特徴① 基幹システム「RCP」による業務の効率化
榮:当社事業の特徴についてです。基幹システムの「RCP(リアルエステートクラウドプラットフォーム)」は、かなり大きな名前をつけました。こちらは、売買・賃貸・リフォーム・リノベーションという不動産に関わるすべての仕組みを当社の中で作ってしまおうというものです。
その中で、特に物件の仕入れが得意な仕組みを作っています。スライドの右下をご覧ください。特徴として、インターネット上で登記簿謄本の取得ができ、すべての物件情報を手に入れることができます。
また、取引事例・売出事例・貸出事例・成約事例の全部の情報を持っており、営業社員全員がそれらの情報を確認して物件を仕入れることができます。そのため、良い物件が仕入れられ、良い買主が集まってくる仕組みです。
区分マンションに関してはだいたい揃ってきたため、今は戸建てやアパートに広げているところです。
事業内容/特徴② 即時の情報共有と体制による早期戦力化
榮:最もお伝えしたいのは、「RCP」を通した取り組みによって、新入社員の育つスピードが早いということです。とはいえ、今期はけっこう人員を増やしたため、営業社員1人当たりの売上高は、2022年7月期の2億1,100万円に対して、2023年7月期は2億600万円です。しかし、2億円の体制は維持できており、人員を増やしている中でも、このような営業社員が育ってきています。
また、今回データとしては出せていませんが、2023年7月期における営業社員の離職率は8.9パーセントでした。10パーセントを切っており、営業社員の定着率としては高いと考えています。営業社員ともよく話しますが、当社のデータベースはかなり考えられているため使い勝手が良く、仕事がしやすいと言っていました。この仕組みを使いながら、いろいろと拡大していきたいと思っています。
事業内容/特徴③ ダイレクト不動産
榮:ダイレクト不動産についてです。不動産の所有者から当社が直接仕入れる割合は72パーセント、不動産会社を通す割合は28パーセントとなっています。不動産会社を通さず、直接仕入れることで、より安く物件を購入できます。
販売については、現在、不動産業者が購入してもらう割合が43パーセント、一般のお客さまに購入してもらう割合が57パーセントです。ダイレクトが少しずつ増えてきていますが、不動産業者と協力しながら、当社が仕入れた物件を売りたいと思っています。
事業内容/特徴④ ダイレクト不動産
これにより、どのようなことが起こるかというと、売主さまは適正価格より少し高めの価格で売ることができ、買主さまは少し安めに買えるようになります。
権利関係が複雑な案件(相続等)についても、当社が直接丁寧にコンサルティングすることができます。当社には、宅地建物取引士の上位資格である、不動産コンサルティングマスターを取得している者が10名ほどいるため、このような複雑な案件(相続等)にもすべて対応することが可能です。こちらを含めて、お客さまにサービスを提供したいと考えています。
スライドに記載の図のとおり、他社の場合は関わる人物が多いのですが、当社では、ダイレクトの場合、ランドネットと売主と買主だけですので、その分経費が安くなります。
事業内容/特徴⑤ 競争優位性
榮:競争優位性です。独自の不動産データベースに基づいた営業システムがあるため、物件入手が得意です。業界トップクラスの直接仕入れ比率で、在庫回転数も非常に短く、2ヶ月くらいで売り切っています。
KPI/各種指標① 営業人員推移
榮:各種指標についてです。2022年7月期に243名、2023年7月期に304名と、営業人員をかなり増やしました。2022年7月期に福岡支店の開設、および、本社と大阪支店の増床をしています。
前期には横浜支店を増床しており、開設したばかりの福岡支店ですが今期の秋くらいには増床予定です。渋谷支店は渋谷ヒカリエの近隣に200坪くらいの事務所を借りて開設予定です。
坂本:今は池袋に本社があり、首都圏を中心に展開されていますが、渋谷支店ができた場合の棲み分けは、どのようになるのでしょうか? 渋谷支店の位置づけを教えてください。
榮:基本的に当社はテリトリー制をとっていませんが、渋谷は商圏として大きいエリアです。池袋・横浜にも拠点はあるものの、池袋はどちらかというと埼玉県寄りであり、横浜は神奈川県です。したがって、東京都の南部や西部を抑えるには渋谷が必要かなと思っています。
会社としては多様性のある人材を採用したいと思っており、その意味で渋谷は重要な拠点であると考えております。当社では拠点間の異動の際には本人の了承を100パーセントもらっています。ただ、「渋谷で働く人と、私たちは少し違うのかな?」という気持ちもありました。
坂本:渋谷で働きたい人のために、オフィスを構えるのも1つということですね?
榮:おっしゃるとおりです。横浜と池袋の真ん中である渋谷なら、拠点間の異動もしやすくなるだろうと思っています。さらに言うと、首都圏における営業をより強力にするなら、渋谷しかないだろうと考えて選びました。
KPI/各種指標② 取扱不動産種別/取引件数
榮:取引件数は2022年7月期が5,295件、2023年7月期は5,960件です。伸びが少し弱く見えるのは、単価が上がってきているためです。
KPI/各種指標③ 棚卸資産推移・在庫回転日数
榮:販売用不動産が2023年7月期に約114億円とかなり伸びていますが、もう少し伸ばせると思っています。在庫回転日数は「買取リフォーム販売」が増えると長くなっていきますが、そのこともわかった上で約64日を維持しながら販売用不動産を伸ばすチャレンジをしたいと思っています。
KPI/各種指標④ 管理戸数推移
榮:賃貸管理戸数も、2022年7月期は6,320戸、2023年7月期は7,279戸と、前期末比で959戸増加しました。1,000戸近く伸びていますので、こちらも力を入れて増やしていきます。
KPI/各種指標⑤ 入居率推移
榮:賃貸管理住戸の入居率の推移です。コロナ禍の影響はあるものの、99パーセントに近い水準でなんとか維持しています。不動産を買ってもらえれば、入居者もきちんと入ってくるということです。
坂本:非常に高い入居率ですが、理由があればいくつか教えてください。
榮:台湾、香港、また中国大陸の方へ、多言語で接客しているところです。
坂本:日本人以外も受け入れる体制をとっていることが大きいのですね。
榮:こちらのデータは、築10年、20年を超えるいわゆる築古物件や、アパート、シェアハウスも含む入居率ですので、かなり高いほうだと思います。
KPI/各種指標⑥ 従業員数推移
榮:従業員数の推移です。2023年7月期は715人まで増えています。内訳はシステム部門が23パーセント、事務部門が21パーセントです。システム部門の拡大に伴い、事務部門は効率化が進んでいくため、事務部門の割合を減らしながら、システム部門をどのようにコントロールしていくかが今の当社の課題です。
もともと私が「Microsoft Access」でシステムを作っていたため、要件定義にはすべて入っています。ただし、もう少し入り込んでコントロールしていきたいと思っています。
坂本:このくらいの人数が適性でしょうか? あるいは、まだ増やしていく想定ですか?
榮:現在の仕組みの中での新規開発や運用であれば、この人数でおそらく足りると思います。しかし、さらに違うこと、例えばシステムの外販などを考えるのであれば、もう少し人が必要です。人員については、見極めの最中です。
KPI/各種指標⑦ 地域別取引件数の割合
榮:地域別取引件数の割合についてです。一番下の棒グラフが最新で、首都圏は59.5パーセントと、前期比で少し増えています。基本的に全国で展開しますが、首都圏や近畿圏でも負けることのないように、シェアを伸ばしていきます。
成⻑戦略① 拠点の拡大
榮:拠点の拡大に関しては、2022年4月に東京本社を増床し、同年5月に大阪支店を増床移転しました。こちらは先ほどご説明しましたので、割愛します。
成⻑戦略② 渋谷支店の新規開設
榮:2024年の秋頃、渋谷ヒカリエの隣に新築ビルが完成しますので、そこを200坪ほど借りて、渋谷支店を新規開設します。
成⻑戦略③ 取扱種別の拡大
榮:取扱種別の拡大についてです。今まではファミリータイプの築浅やアパート、戸建てをあまり扱っていませんでしたが、現在、一生懸命拡大しているところです。将来的には一棟のマンション・ビルも含め、すべてを取り扱いたいと思っています。
成⻑戦略④ 個人投資家向け販売を強化
榮:個人投資家向けの販売を強化するため、オウンドメディア上ではマイページと呼んでいる、SNSのような仕組みを開発している最中です。リリースまでもう少々お待ちください。
坂本:自社で開発されているのですか?
榮:そのとおりです。お客さまとの電子契約、買取契約、販売契約などにおけるさまざまな書類のやり取りのすべてを、マイページで行えるというものです。例えば賃貸のマイページであれば、毎月の収支明細書、年間の収支明細書、お客さまのクレームなども含めたすべてを、管理できるようにしたいと思っています。
成⻑戦略⑤ ファミリータイプの販売を強化
榮:ファミリータイプの販売強化として、リフォームやリノベーションを推進していきます。
成⻑戦略⑥ 中⻑期成⻑イメージ
榮:中長期の成長イメージです。3年後の2026年7月期には、売上高1,000億円を突破したいと考えて動いています。
坂本:現在はスライドの中央部分だと思います。今後は「グローバル不動産テックカンパニーへ」とありますが、海外の展開はどのようになるのかを、いくつかおうかがいしたいです。米国やアジアにも日本の登記簿のようなものがあり、すでにデータベース化され、御社が得意なシステム展開がすぐに導入できる状況なのでしょうか?
榮:台湾は日本が統治していた時代があるため、登記簿の世界はおそらく日本と似ているのではないかと思っています。台湾以外については探りながらではありますが、まずは米国の不動産を日本の投資家に紹介する仕事ができないだろうかと考えています。
先行企業も多くありますが、当社が考えているのは2,000万円くらいまでで、利回りが6パーセント、7パーセントあるものの、築年数はけっこう古い物件です。
坂本:海外は意外とそのような物件が普通ですよね?
榮:おっしゃるとおりです。しかし、そのあたりは慎重にいきたいと思っています。まずは、中央部分に記載した目標を実現することで売上高1,000億円突破を目指します。海外については、情報を集めながら進めていきたいと思っています。
坂本:ITプラットフォームの収益化とは、構想として外販も入っているのですか?
榮:外販も入っていますが、まだ構想というか、考えている段階です。市場に需要があればチャレンジしたいと思っています。
現在社内では、いろいろな仕組みを作っています。上場するまではシステム担当者がなかなか採用できませんでしたが、今では可能になりました。彼らといろいろな打ち合わせをしながら、システムをうまく運用できればと思っています。当社のように、仕組みを作りながら、売買、賃貸、リフォーム・リノベーションの電子契約をトータルで長く対応している会社はなかなかありません。
業績予想① 連結業績 概要(P/L)
榮:連結業績の概要です。2024年7月期の売上高は、738億5,700万円と見込んでおり、経常利益は15億6,500万円を狙いたいと思っています。
業績予想② 重要な指標(KPI)
榮:重要な指標(KPI)についてご説明します。営業人員は、2023年7月期の304名から、2024年7月期は396名と、約100名増やしたいと思っています。取引件数も同様に、5,960件から6,833件まで増やしていく予定です。
業績予想③ 重要な指標(KPI)
榮:賃貸の管理戸数も7,279戸から8,515戸と、前期末比で1,236戸の増加を目指したいと思っています。
サービス/保証① クラウドファンディング
榮:現在、クラウドファンディングを一生懸命開発しているところです。要件定義はほぼ終わり、開発は最終局面を迎えています。ファミリータイプの賃貸中の物件を想定しており、配当利回りは3パーセントくらいを予定しています。
出資したお金をすぐに取り戻したいという方には、3年くらいの運用期間中に取り戻せるような仕組みを考えて作っているのが、当社の特徴です。
サービス/保証② お客様満足度向上への取り組み
榮:中古不動産を全般的に広げるための取り組みとして、契約不適合責任を2年から3年に拡充しました。
設備保証の内容として、例えばユニットバスの交換には50万円から60万円程度かかりますが、もし交換した場合には当社が30万円ほど保証します。また、賃貸中の物件売買も多いため、家賃の滞納も保証するかたちです。これにより、安心して買ってもらえると思っています。
坂本:この保証はどこかのサービスを使っているのですか? もしくはシステム上で行っているのでしょうか?
榮:どこかの保険を使っているわけではなく、統計をとって、このあたりであればこのくらいあれば足りるだろうと、いろいろな積立をしながら社内で対応しています。今は区分マンションだけですが、戸建てとアパートにも広げるべく、件数を増やしてさまざまな統計をとっている最中です。
サービス/保証③ 買主・売主アンケートによる評価
榮:売主・買主アンケートを実施し、サービスの質向上に努めています。また、お客さまからの高評価は営業社員の自信にもつながります。アンケート対象を、賃貸にも広げようとしています。
質疑応答:首都圏特化型の他社と比べた強みについて
坂本:「地方の投資向けワンルームを扱っている不動産会社は珍しい気がするのですが、首都圏に特化している他社等と比べた強みを教えてください」というご質問です。
榮:入居率は98パーセント後半を維持しており、これには札幌や福岡の物件も含まれています。多言語対応をしながらスピーディに動けば、地方の物件も十分に賃貸管理できるため、 全国の買主のニーズに応えられると思っています。
区分マンション価格はだいぶ上がってきていますが、日本は今、賃金を上げながらインフレに向かおうとしています。したがって、200万円、150万円といった価格帯の地方物件も少し伸びてくるだろうと思います。そのような想定のもと、地方も力を抜くことなく拡大していきたいと思っています。ランドネットとしては、ファミリータイプもワンルームも、日本全国の不動産をすべて扱うことが目標です。
坂本:地方の不動産を扱える理由としては、一般的には「地域密着」や「情報が命」とよく言われます。しかし、御社の場合はシステムを整えて、どちらかというとプッシュ型というか、持ち主に電話したり、「売りませんか?」とハガキを送ったりといった営業も行うため、全国どこでも取り扱いができるし、そのため、拠点以外の地域でも業務できるということですね。
榮:システムがあり、守りではなく攻めの営業を行っているおかげで、札幌から石垣島まで、事業を行うことができます。最近は戸建てとアパートの取扱物件を拡大していますが、ここは攻めの営業に関してはブルーオーシャンなのかもしれないと思っています。
坂本:購入された方は、意外と販売した企業とのお付き合いしかないと思います。そのオーナーに対して「どうですか?」と言うと少し揺らぎますよね。「今ならいくらくらいで売れますよ」と言うと「え、そうなの?」と驚かれます。また、木造のコーポなどは、償却がもう終わってしまった方もいると思います。そこの提案などをできれば相当なブルーオーシャンの可能性がありますね。
榮:特に戸建てとアパートは扱いが難しい部分があり、一度に拡大すると営業社員が追いつけません。もちろん、できる営業社員もいますので、彼らの情報を集めつつ、全員で教育研修をし、少しずつ広げていきます。
今、確実に広げられるのは築浅のファミリータイプです。ダイレクト不動産のかたちであれば、競合他社にも勝てる場面が多いため、攻めの営業を継続しながら全国で展開しようと考えています。
質疑応答:中古マンション市場の伸び率について
坂本:価格については伸びているとうかがいましたが、「御社の属する中古マンション市場の伸び率はいかがでしょうか?」というご質問です。
榮:商品が増えている話をしましたが、「中古のワンルームマンションをまとめて買わないか?」などの話はけっこう多いです。
1億円から2億円規模の、中古マンション(ファミリータイプ)の「買取販売」も増えてきています。当社としても単価の上昇や、件数の増加は実感しています。その中でいろいろなことを考えながら、努力している最中です。特に戸建てとアパートは本当におもしろいと思っています。
DMを出しているのですが、神奈川県のとある市では、所有者の方に「ここに30年住んでいるが、このようなDMはもらったことが1回もない」と言われました。
坂本:昔買った時は地下鉄が通っていなかった地域の方は、買い値が安かったはずですので、確かに良いかもしれません。
榮:戸建てであれば、更地にして新築を建てて売ることもあるかもしれませんが、当社は賃貸に出し、シェアハウスにして投資用不動産として販売するという方法もとっています。例えば、練馬に接道義務を満たしていない違法建築がありますが、新しく建て替えることはもちろんできません。
坂本:リノベーションはできますか?
榮:可能です。そのような売り方もできます。物を大切にし、販売できるように動いていきたいと考えています。
質疑応答:クラウドファンディングの事業化について
坂本:「クラウドファンディングはいつくらいから事業化するのか、スケジュール感を教えてください」というご質問です。
榮:私自身が先頭に立ち、準備を進めてきました。免許権者とのいろいろな打ち合わせがある中で、おそらく来年の1月くらいにはスタートできると思っています。商品は集まってきています。足元を見ながらですが、始めることができれば、毎週のペースで募集することも可能だと思っています。
坂本:御社には物件がありますよね。
榮:クラウドファンディングは、1物件1プロジェクトではなく、3物件から5物件まとめて1プロジェクトにもできると思っています。
坂本:そもそも空室率はかなり低いですよね。
榮:当社のクラウドファンディングの最大の特徴は、お部屋が空いたら売却します。
坂本:売却して、そこのお金は1回返しますか?
榮:当社の方法で有形固定資産に戻します。お客さまへの配当利回り3パーセントに関しては絶対に守ります。絶対という言葉はクラウドファンディングでは使えませんが、要するに、賃貸付きのままで3パーセントの配当を回し、お部屋が空いたらそこから外すため、空室や家賃が下がるリスクはありません。
坂本:このシステムも自社開発なのでしょうか?
榮:おっしゃるとおりです。実は1回目も一生懸命作りました。2回目となる今回はかなり入り込んで、いろいろ作っています。
坂本:これは募集も他社ではなく、全部自社で回すということですね。広告など結構大変そうですが、いかがでしょうか?
榮:クラウドファンディングの広告に関しては、あまり苦戦していないと聞いています。やはり、配当の利回り3パーセントが維持できればと思っています。
坂本:他社さんを見ていて、どのようにしたら、あれほど会員が増えるのかと思っていました。興味を持っている方が多いのでしょうね。
榮:当社の場合は取引先が非常に多いため、ダイレクトメールや電話営業などを入れようと考えています。
坂本:ダイレクトメールのコストは安そうですね。ネットで集めると1リスト数千円ですので、それは良いと思います。
質疑応答:営業スタッフの構成割合について
坂本:「営業社員の構成割合が低いようにお見受けしますが、営業を増やせば売上が上がるビジネスモデルはないのでしょうか?」というご質問です。システム部門をある程度増やして、事務部門を減らすお話と、営業社員が効率良く仕事できるようにシステム開発に力を入れるとご説明がありましたが、実際はどうでしょうか?
営業社員をたくさん入れると、より売上が伸び、利益も伸びていくイメージですが、それに値する方がまだあまりいないのか、管理・選考を絞っているのか、それも含めて教えてください。
榮:営業社員を増やすと売上が伸びるモデルだと思っていますが、今はハイペースで来ているため、これ以上ペースを上げると教育するのがなかなか難しいです。
しかしシステムがある以上、より増やしていけるとは思っています。戸建てとアパートの取り扱いがどのくらい増えるかを見ながら、慎重に増やしていきたいと考えています。システムに関して言いますと、外販しないのであれば、このままの人数で固定してもまったく問題ありません。
そうすると営業社員だけが増えていくかたちになりますが、いずれはシステムの外販も検討したいため、慎重に判断していきたいと思っています。
質疑応答:ガイダンス未達部分について
坂本:「前期のガイダンスは増収増益でしたが、ガイダンス未達部分があります。ここについてのコメントをいただけますでしょうか? また、今年の自信度合いを含めて教えてください」というご質問です。
榮:悔しかったのですが、第2四半期が終わった段階で、DCRを150パーセントではなく100パーセントまで落としてしまいました。それによって商品が減り、消費税がかからなかったために、第2四半期の業績は良くなりました。一方、第3四半期、第4四半期は、物件の商品を増やしたため、消費税が先行して発生し、若干苦労しました。
現在、商品が入ってきており、それを売っていくことに対してはかなりの自信を持っていますが、経常利益は少し慎重に設定し、それを超えるような数字を残せるような努力をしたいと思っています。
質疑応答:配当や優待について
坂本:私の意見としては、成長企業は、配当や優待にそこまで力を入れなくても良いと思っていますが、期待している方がいらっしゃるようですので、どのようなお考えなのかお聞かせください。
榮:今回は、1株いくらと配当の金額を出しました。今まで配当性向で10パーセント程度とお話ししてきましたので、今回は少し10パーセントを超えています。お約束はお約束として決めた1株あたりの金額で配当しました。
現在、やはり会社を大きくし、利益を上げることが重要で株主さまにも資することだと思っており、その視点を持ちながら、今後も配当金を決めていきたいと思っています。
いろいろなところに顔を出しながら、ランドネットのことをわかってもらおうとお話をしています。10月末には次回の株主総会がありますが、そのあと、株主のみなさまと少しお話ししたいと考え、懇親会を設けました。10月であれば、何ヶ月か経っているため、そのような場で話していただければと思います。
坂本:社長も参加されるのでしょうか?
榮:もちろんです。株主のみなさまに情報等を正確にお伝えしていますが、伝え方がまだ拙いと思う時もあります。そこは一生懸命学びながら、応援してもらえる会社にしていきたいと思っています。
荒井沙織氏:「投資家との向き合い方に対する方針を教えてください」というコメントもありましたが、それにも通じますね。
榮:当社が何を考え、どのように動いているのかをきちんとお伝えすることが、応援していただけるポイントだと思っています。当社はこの点がまだ不十分だと思っており、実は今日もお話をしながらいろいろ学ばせてもらっています。
質疑応答:営業社員の採用・維持について
坂本:流動的な業界でもありますので、営業社員の採用・維持はけっこう難しいのではないでしょうか? 中途採用についても教えてください。
榮:先ほど営業社員の離職率は8.9パーセントだとお話ししました。毎朝、日経新聞の読み合わせを5分間行い、ビジネス書を10分間読み、みんなで議論しています。これを続けることにより、課長クラスや係長クラス、また、ある程度仕事ができる人は、円高や円安など今の日本の政治状況や中国の状況がわかるようになります。そうなると仕事がとてもおもしろくなります。
それは不動産を扱うおもしろさだけではありません。そのような社会・経済の中に自分たちがいるというおもしろさを、みんな持ってくれています。不動産という仕事は知識と経験、いわゆるノウハウが必要です。税金などいろいろあるため、身に付いてくるとおもしろいと思ってもらえるのではないかと思います。これは、中途も新卒も同じだと思っています。
坂本:おもしろいですね。僕ももう1回新卒で入社できるのであれば、おそらく株ではなく不動産業に行っていると思います。やはりスケールが大きいのと、しっかりしたマージンが残っていることは非常に魅力的です。
質疑応答:中期経営計画について
坂本:「中期経営計画をきちんと示して経営されないのですか?」というご質問です。社内には中期経営計画があるのかもしれませんが、そのあたりの考え方を教えていただければと思います。
榮:今回は「2026年7月期までに1,000億の売上を目指す」と目標を掲げています。今後についてもコンサルティングを受けて検討している最中です。おそらく9月中にも打ち合わせをすると思いますが、どのようなかたちで示していくのか、その中で考えていきたいと思っています。
質疑応答:在庫回転日数について
坂本:在庫回転日数はかなり短いとご説明がありました。その時の指標などにもよりますが、どのくらいでキープしたいか、効率的に動かしたいものがあれば教えてください。
榮:基本的に90日間で売り切ろうと話をしています。さらに言えば、「買取リフォーム販売」で90日であり、普通の物件やリフォームしない物件に関しては、1ヶ月から1ヶ月半くらいで売り切りたいです。その平均が、64日です。売れ残り物件は期間損益だと思っており、その期間の中で売れなければ、赤字を出しても売るように指示を出しています。
榮氏からのご挨拶
DXの視点から、不動産流通業を継続的に進めています。「ITを思い切り使いながら、どこまでいけるか」の挑戦です。ライバルは多いですが、日本の不動産流通会社として1番を目指したいと、愚直に毎日努力しています。これからも応援をよろしくお願いします。
関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
---|---|---|
2991
|
1,124.0
(12:58)
|
+75.0
(+7.14%)
|
関連銘柄の最新ニュース
-
<11月13日の年初来高値更新銘柄> 11月14日 11/14 07:30
-
本日の【上場来高値更新】 スタティアH、ムゲンEなど16銘柄 11/13 20:10
-
東証スタンダード(大引け)=値下がり優勢、アグロカネシがS高 11/13 15:32
-
東証スタンダード(前引け)=値下がり優勢、メディアLがS高 11/13 11:32
-
ランドネット(2991) 2024年10月度 月次業績速報 11/11 14:00
新着ニュース
新着ニュース一覧-
今日 13:18
-
今日 13:18
-
今日 13:18
-