*19:10JST 来週の相場で注目すべき3つのポイント:米CPI・PPI、米中小売売上高、ECB定例理事会
■株式相場見通し
予想レンジ:上限33000円-下限31700円
来週の東京株式市場は上値の重い展開か。高止まりしている米長期金利や調整色を深めている米ハイテク株の動向に神経質な商状が予想される。米10年債利回りは7日に一時4.30%まで上昇し、8月22日に付けた4.36%を窺う水準にまで再び上昇してきた。債券対比でみた際の株式の割高感が意識されやすく、日米ともに株式市場は当面上値の重さが意識されやすい。米長期金利が高値を更新してきた場合には足元で調整しているハイテク株を中心にリスク回避的な売りが強まりやすく、株式市場全体の調整も避けられないと思われる。
こうしたなか、13日には米8月消費者物価指数(CPI)が発表される。直近の米雇用関連の指標は揃って労働市場の逼迫緩和を示唆しているが、米供給管理協会(ISM)が公表する製造業・非製造業の景況指数はともに予想を上回ったほか、雇用と価格の項目が揃って上昇し、インフレ収束が一筋縄ではいかないことを示している。このため米CPIの注目度は高い。米CPIは食品・エネルギーを除いたコア指数で前年同月比+4.3%と7月(+4.7%)から鈍化が予想されている。一方、全体を示す総合CPIは同+3.6%と7月(+3.2%)から加速が予想されている。モメンタムを示す前月比ではコア指数が+0.2%と7月(+0.2%)から横ばい、総合は+0.5%と7月(+0.2%)から加速する見通しだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)がより重視する指標はコア指数だが、足元では、サウジアラビアの想定以上の減産延長の発表を受けて原油市況が昨年11月中旬以来の水準にまで上昇している。原油市況の上昇が警戒されているなか、市場はコアCPIの鈍化よりも総合CPIの加速の方をネガティブに捉える可能性があり、米金利上昇が誘発する株安には注意を払いたい。
ほか、米国と中国では小売売上高や鉱工業生産が発表される。最新の米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったこともあり、即座に個人消費の減退が懸念される可能性は低いだろうが、今回の米小売売上高の結果は、前回が強い結果だったこともあり、伸びの鈍化が予想されている。自動車・ガソリンを除くベースでは8月は前月比+0.0%と7月(+1.0%)から大幅に失速する見通しだ。
可能性としては高くないが、仮に米CPIが予想を上回る一方で米小売売上高が予想を下回るといったネガティブな組み合わせ結果となった場合には、追加利上げ観測が高まる一方で景気減速が意識される。この場合、米債券市場では短期金利が上昇する一方で、長期金利は低下することが予想され、為替は円高に振れる可能性がある。あまりに悲観的過ぎるかもしれないが、この場合には日本株はダブルパンチに見舞われることになる。
仮に米国の物価・景気の指標が無難な結果に終わったとしても、翌週には米連邦公開市場委員会(FOMC)や日本銀行の金融政策決定会合を控えているため、大幅な株価の上昇は期待しにくい。また、14日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会が一足先に開催される。スタグフレーション(インフレと景気減速の併存)的な状況に陥っている欧州経済の金融政策運営は厳しい状況に置かれており、ECBの決定やラガルド総裁の発言に注目したい。
ほか、テクニカル面で気がかりな点がある。連騰劇を見せていた日経平均だったが、今週末にかけての下落により、7月3日、8月1日、9月7日の高値を結んだ上値切り下げトレンドが形成されている。東証株価指数(TOPIX)ではまた見え方は異なるが、米国でもS&P500種株価指数やナスダック総合指数が50日移動平均線を再び下回っており、総じて世界の株式市場の地合いは良好とは言い難いようだ。
個別では決算発表を予定している三井ハイテック<6966>、ラクスル<4384>、ANYCOLOR<5032>、マネジメントソリューションズ<7033>などに注目だ。米長期金利が高止まりしているなか、ハイテク・グロース(成長)株にとってはまだ厳しい状況だが、三井ハイテックの決算で再び電気自動車(EV)関連の物色が強まるかを見極めたい。また、後の3社についてはグロース株に対する投資家のセンチメントを推し量る材料として注目だ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めは長期間継続されるとの見方は変わっていないが、ただ、1ドル=150円レベルが視野に入っており、市場参加者は日本政府・日本銀行による為替介入を警戒している。米CMEのFedWatchツールによると、今月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利が据え置きとなる確率は90%を超えているものの、11月以降に利上げが行われる可能性は残されている。
来週の注目材料は米インフレ関連指標か。9月13日発表の8月消費者物指数(CPI)は前年比+3.6%程度、同コア指数は+4.3%程度と予想されている。全体の物価指数は7月実績を上回るため、コア指数が市場予想を上回った場合、ドル売り・円買いを抑制する可能性はあろう。また、15日発表の小売売上高やNY連銀製造業景況感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数も材料視されそうだ。市場予想を上回る内容だった場合、連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め方針を後押しする材料となり、金利高・ドル高が見込まれる。ただし、円安が急速に進行する局面では日本政府から円安けん制が相次ぐことも予想される。実際に円買い介入が行われる可能性は低いものの、円安けん制を受けて投機的なドル買い・円売りはやや縮小する可能性がある。
■来週の注目スケジュール
9月11日(月):日・工作機械受注(8月)、欧・欧州委員会(EC)が経済見通しを発表、など
9月12日(火):日・ライズ・コンサルティング・グループが東証グロースに新規上場、独・ZEW期待指数(9月)、米・10年物国債入札、米・アップルがイベント開催、など
9月13日(水):日・景況判断BSI大企業全産業(7-9月)、国内企業物価指数(8月)、米・消費者物価コア指数(8月)、米・財政収支(8月)、英・アームのIPO価格決定の予定、など
9月14日(木):日・コア機械受注(7月)、日・鉱工業生産(7月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、米・小売売上高(8月)、米・生産者物価コア指数(8月)、英・アームが取引開始の予定、など
9月15日(金):日・第3次産業活動指数(7月)、中・1年物中期貸出ファシリティ金利、中・新築住宅価格(8月)、中・鉱工業生産指数(8月)、中・小売売上高(8月)、中・固定資産投資(都市部)(8月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(9月)、米・鉱工業生産指数(8月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(9月)、など
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予想レンジ:上限33000円-下限31700円
来週の東京株式市場は上値の重い展開か。高止まりしている米長期金利や調整色を深めている米ハイテク株の動向に神経質な商状が予想される。米10年債利回りは7日に一時4.30%まで上昇し、8月22日に付けた4.36%を窺う水準にまで再び上昇してきた。債券対比でみた際の株式の割高感が意識されやすく、日米ともに株式市場は当面上値の重さが意識されやすい。米長期金利が高値を更新してきた場合には足元で調整しているハイテク株を中心にリスク回避的な売りが強まりやすく、株式市場全体の調整も避けられないと思われる。
こうしたなか、13日には米8月消費者物価指数(CPI)が発表される。直近の米雇用関連の指標は揃って労働市場の逼迫緩和を示唆しているが、米供給管理協会(ISM)が公表する製造業・非製造業の景況指数はともに予想を上回ったほか、雇用と価格の項目が揃って上昇し、インフレ収束が一筋縄ではいかないことを示している。このため米CPIの注目度は高い。米CPIは食品・エネルギーを除いたコア指数で前年同月比+4.3%と7月(+4.7%)から鈍化が予想されている。一方、全体を示す総合CPIは同+3.6%と7月(+3.2%)から加速が予想されている。モメンタムを示す前月比ではコア指数が+0.2%と7月(+0.2%)から横ばい、総合は+0.5%と7月(+0.2%)から加速する見通しだ。
米連邦準備制度理事会(FRB)がより重視する指標はコア指数だが、足元では、サウジアラビアの想定以上の減産延長の発表を受けて原油市況が昨年11月中旬以来の水準にまで上昇している。原油市況の上昇が警戒されているなか、市場はコアCPIの鈍化よりも総合CPIの加速の方をネガティブに捉える可能性があり、米金利上昇が誘発する株安には注意を払いたい。
ほか、米国と中国では小売売上高や鉱工業生産が発表される。最新の米ISM非製造業景況指数が予想を上回ったこともあり、即座に個人消費の減退が懸念される可能性は低いだろうが、今回の米小売売上高の結果は、前回が強い結果だったこともあり、伸びの鈍化が予想されている。自動車・ガソリンを除くベースでは8月は前月比+0.0%と7月(+1.0%)から大幅に失速する見通しだ。
可能性としては高くないが、仮に米CPIが予想を上回る一方で米小売売上高が予想を下回るといったネガティブな組み合わせ結果となった場合には、追加利上げ観測が高まる一方で景気減速が意識される。この場合、米債券市場では短期金利が上昇する一方で、長期金利は低下することが予想され、為替は円高に振れる可能性がある。あまりに悲観的過ぎるかもしれないが、この場合には日本株はダブルパンチに見舞われることになる。
仮に米国の物価・景気の指標が無難な結果に終わったとしても、翌週には米連邦公開市場委員会(FOMC)や日本銀行の金融政策決定会合を控えているため、大幅な株価の上昇は期待しにくい。また、14日には欧州中央銀行(ECB)定例理事会が一足先に開催される。スタグフレーション(インフレと景気減速の併存)的な状況に陥っている欧州経済の金融政策運営は厳しい状況に置かれており、ECBの決定やラガルド総裁の発言に注目したい。
ほか、テクニカル面で気がかりな点がある。連騰劇を見せていた日経平均だったが、今週末にかけての下落により、7月3日、8月1日、9月7日の高値を結んだ上値切り下げトレンドが形成されている。東証株価指数(TOPIX)ではまた見え方は異なるが、米国でもS&P500種株価指数やナスダック総合指数が50日移動平均線を再び下回っており、総じて世界の株式市場の地合いは良好とは言い難いようだ。
個別では決算発表を予定している三井ハイテック<6966>、ラクスル<4384>、ANYCOLOR<5032>、マネジメントソリューションズ<7033>などに注目だ。米長期金利が高止まりしているなか、ハイテク・グロース(成長)株にとってはまだ厳しい状況だが、三井ハイテックの決算で再び電気自動車(EV)関連の物色が強まるかを見極めたい。また、後の3社についてはグロース株に対する投資家のセンチメントを推し量る材料として注目だ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めは長期間継続されるとの見方は変わっていないが、ただ、1ドル=150円レベルが視野に入っており、市場参加者は日本政府・日本銀行による為替介入を警戒している。米CMEのFedWatchツールによると、今月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で政策金利が据え置きとなる確率は90%を超えているものの、11月以降に利上げが行われる可能性は残されている。
来週の注目材料は米インフレ関連指標か。9月13日発表の8月消費者物指数(CPI)は前年比+3.6%程度、同コア指数は+4.3%程度と予想されている。全体の物価指数は7月実績を上回るため、コア指数が市場予想を上回った場合、ドル売り・円買いを抑制する可能性はあろう。また、15日発表の小売売上高やNY連銀製造業景況感指数、ミシガン大学消費者信頼感指数も材料視されそうだ。市場予想を上回る内容だった場合、連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め方針を後押しする材料となり、金利高・ドル高が見込まれる。ただし、円安が急速に進行する局面では日本政府から円安けん制が相次ぐことも予想される。実際に円買い介入が行われる可能性は低いものの、円安けん制を受けて投機的なドル買い・円売りはやや縮小する可能性がある。
■来週の注目スケジュール
9月11日(月):日・工作機械受注(8月)、欧・欧州委員会(EC)が経済見通しを発表、など
9月12日(火):日・ライズ・コンサルティング・グループが東証グロースに新規上場、独・ZEW期待指数(9月)、米・10年物国債入札、米・アップルがイベント開催、など
9月13日(水):日・景況判断BSI大企業全産業(7-9月)、国内企業物価指数(8月)、米・消費者物価コア指数(8月)、米・財政収支(8月)、英・アームのIPO価格決定の予定、など
9月14日(木):日・コア機械受注(7月)、日・鉱工業生産(7月)、欧・欧州中央銀行(ECB)が政策金利発表、米・小売売上高(8月)、米・生産者物価コア指数(8月)、英・アームが取引開始の予定、など
9月15日(金):日・第3次産業活動指数(7月)、中・1年物中期貸出ファシリティ金利、中・新築住宅価格(8月)、中・鉱工業生産指数(8月)、中・小売売上高(8月)、中・固定資産投資(都市部)(8月)、米・ニューヨーク連銀製造業景気指数(9月)、米・鉱工業生産指数(8月)、米・ミシガン大学消費者信頼感指数速報(9月)、など
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関連銘柄
銘柄 | 株価 | 前日比 |
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4384
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1,307.0
(15:30)
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-9.0
(-0.68%)
|
5032
|
2,880.0
(15:30)
|
-38.0
(-1.30%)
|
6966
|
828.0
(15:30)
|
+3.0
(+0.36%)
|
7033
|
1,658.0
(15:30)
|
-62.0
(-3.60%)
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