山田コンサル Research Memo(2):グループ16社で構成される国内最大級の独立系コンサルティングファーム

配信元:フィスコ
投稿:2023/08/02 12:02
*12:02JST 山田コンサル Research Memo(2):グループ16社で構成される国内最大級の独立系コンサルティングファーム ■事業概要

1. 会社概要
同社グループは、現在山田コンサルティンググループ<4792>及び子会社15社で構成されており、2023年3月末時点で755名(総合コンサル職577名、専門コンサル職178名)のコンサルタントが在籍する国内最大級の独立系コンサルティングファームである。子会社は、コンサルティング事業において、国内2社、海外9社(シンガポール、インドネシア、上海、タイ、マレーシア、インド、アメリカ)、投資事業においては4社である。海外コンサルティングに関しては、シンガポールを拠点とするアジアを統括する企業を立ち上げ、アジア・中国・アメリカの3つに体制を変更予定である。

同社は、「健全な価値観」「社会貢献」「個と組織の成長」を基本理念に、高付加価値情報を創造・提供し、顧客・社会の発展に貢献することで、「存在する意義のある組織」であり続けることを目指している。2023年3月期から、「経営コンサルティング事業」「不動産コンサルティング事業」「教育研修・FP関連事業」「投資・ファンド事業」の4つのセグメントを「コンサルティング事業」「投資事業」の2つのセグメントに集約し、展開している。

2023年3月期のプロジェクト数は3,340件(前期は2,967件)、顧客数は1,967件(同1,868件)となった。2023年3月期のプロジェクトごとの顧客売上規模の割合では、500億円超えが15%、100億円超え500億円が16%、50億円超え100億円が10%、10億円超え50億円が29%、10億円以下が30%となった。売上500億円超え企業のプロジェクトが前期の12%から15%に増加した要因として、比較的規模の大きい上場会社からの海外事業に関する案件が増加したこと、及び同社におけるFAS※業務が充実してきたことがある。同社は、今まで中堅・中小企業に対するコンサルティングを主体としていたが、受注が増加しつつある比較的規模の大きい上場企業にも対応し、顧客層の幅を広げていく考えだ。

※ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスの略で、具体的にはM&A業務などを指す。


2. 沿革
1989年7月にファイナンシャル・プランナーの教育・研修及びファイナンシャルプランニングに関するコンサルティングを目的として、東京都文京区音羽に(株)東京ファイナンシャルプランナーズ(現 山田コンサルティンググループ)を設立した。1995年6月には、本社を東京都新宿区へ移転し、1997年11月には経営・財務・資金調達コンサルティング事業立ち上げを目的として、ティー・エフ・ピーベンチャーキャピタル(山田ビジネスコンサルティング(株)に商号変更、2018年に吸収合併)を設立した。2000年10月には、大阪証券取引所ナスダック・ジャパン市場(現 東京証券取引所(以下、東証)スタンダード市場)に株式を上場した。2010年11月には、本社を東京都千代田区丸の内へ移転し、同12月には商号を「山田コンサルティンググループ」に変更した。2016年4月にはアジア地場の市場リサーチファームSpireを買収し子会社とし、それをきっかけに海外コンサルティングを本格的にスタートした。2019年2月には、東証市場第一部に市場変更し、2022年4月には東証市場再編成により東証プライム市場に移行した。

3. 事業内容
同社グループは、様々な事業分野のコンサルタントが連携を取り合いながら、経営課題の解決のための提案から実現までワンストップのコンサルティングサービスを提供する。

2023年3月期より総合的なコンサルティングサービスのクロスセル等を行い、顧客生涯価値(Life Time Value)を最大化することを戦略とし、従来の「経営コンサルティング事業」「不動産コンサルティング事業」「教育研修・FP関連事業」「投資・ファンド事業」の4つのセグメントを「コンサルティング事業」「投資事業」の2つのセグメントに集約し、展開している。

(1) コンサルティング事業
2023年3月期からのセグメント変更により、コンサルティング事業は、持続的成長、IT戦略&デジタル、組織戦略、コーポレート・ガバナンスなどの「経営コンサルティング事業」、企業の本業の改善や財務の安定化を図る「事業再生コンサルティング事業」、他事業と連携し、成長戦略の一環としてのM&A戦略を立案する「M&Aアドバイザリー事業」、オーナー企業経営者の課題解決を支援する「事業承継コンサルティング事業」、顧客の不動産に関する課題解決を支援する「不動産コンサルティング事業」の5つの事業分野となった。

(a) 経営コンサルティング事業、事業再生コンサルティング事業
「経営コンサルティング事業」においては、企業の持続的成長を実現するために、経営戦略策定から業務プロセス改善まで経営課題解決を一貫してサポートする持続的成長分野、IT戦略立案・構想、実行計画、実行支援、実行後の業務定着化までのソリューションをワンストップで提供するIT戦略&デジタル分野、組織・人材に関する課題について専門的かつ総合的なソリューションを提供する組織人事分野、企業の持続的成長や中長期的な企業価値向上に向けたコーポレート・ガバナンスの取り組みを支援するコーポレート・ガバナンス分野等へのコンサルティングサービスを提供する。「事業再生コンサルティング事業」においては、事業・財務の再構築にあたり収益力強化・財務状況の適正化を実現し、再生に向けたスキームの構築から実行手続きまで総合的に支援する。

(b) M&Aアドバイザリー事業、事業承継コンサルティング事業、不動産コンサルティング事業
「M&Aアドバイザリー事業」においては、永続的に企業・事業が発展し続けるM&Aの実現のため、事前準備からM&A実行後のフォローまでワンストップで顧客をサポートする。「事業承継コンサルティング事業」においては、経営・財務・税務・法務等の課題を明確化し、あらゆるパターンのシミュレーションの中から、最良の策の検討・実行を支援する。「不動産コンサルティング事業」においては、顧客が保有する不動産の調査・分析、有効活用の提案、売買・賃貸の仲介など多岐に渡るサービスを提供する。

(2) 投資事業
経営承継・株主構成・分散株主など様々な資本政策上の課題に対し、各種コンサルティングとともに資金的なソリューションを提供する。コンサルティング事業とシナジー効果があり、他社と競合しない厳選した案件のみに投資することを方針としている。

同社の投資事業は、顧客企業の資本政策・事業承継等の課題解決の1つとして企業の株式に投資する「未上場株式投資事業」、底地や共有持分となっている物件など換金性の低い不動産に投資する「不動産投資事業」の2つに分かれる。「未上場株式投資事業」では、株式の分散化防止、経営の承継、持続的成長や経営の安定化、株式の資金化などへの支援を行う。「不動産投資事業」では、個人が所有する底地、共有持分(原則収益物件に限る)、古アパート、築年数が長い自宅など次世代に承継する際に敬遠されがちな不動産を同社グループが取得し、時間をかけて資金化を図るといった支援を行う。

なお、2023年4月に同社の子会社であるキャピタルソリューション(株)と(株)プラトン・コンサルティングが合併し、商号を山田インベストメント(株)に変更した。「未上場株式投資事業」と「不動産投資事業」を一体的に行い、管理体制等を強化することが目的である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

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