ランドネット、3Q売上高は前期比+23.8% グローバル不動産テックカンパニーへの成長を加速させる
会社概要
榮章博氏(以下、榮):よろしくお願いいたします。2023年7月期第3四半期の個人投資家向けのIRセミナーを始めさせていただきます。
はじめに、当社について簡単にご説明します。1999年9月に不動産DATAを中心とする不動産流通・不動産DXの会社を設立しました。ITをどんどん使う会社を作ろうということで、最初の1ヶ月間は「Access」でソフトの開発を行っていました。それを使いながら、不動産流通業の仕事を始めました。
現在は、中古区分マンションを中心に売買事業・賃貸事業・リフォーム・リノヴェーション事業を実現しています。今後としては戸建てアパートへ取扱物件を拡大しながら、クラウドファンディングの開発に注力している最中です。
代表取締役社長は私、榮です。設立は1999年9月29日で、実は「9」が多く並んでいる日のため「苦しい」道のりになるのではないかと思う一方で、このようなところからスタートしたほうが大きくなれると考え、あえてこの日付を選びました。
豊島区南池袋に本社があり、事業拠点は横浜支店、大阪支店、福岡支店になります。資本金は7億60万6,000円で、少し半端な数字なのはストックオプションの関係によって端数が出ているためです。従業員数は正社員が577名です。
不動産売買事業と不動産賃貸管理事業がメインとなります。スライド右側の円グラフが示すとおり、不動産売買事業の売上が98.6パーセント、不動産賃貸管理事業は売上の1.4パーセントと、圧倒的に不動産売買事業の割合が多いです。
設立当初は、投資用不動産として30平米以下のワンルームマンションの賃貸管理を主体に行っていました。しっかりと賃貸管理を行い、ワンルームマンションを買っていただいたお客さまへ家賃を送金するという目標を持っているため、全体の1.4パーセントとはいえ、お客さまへの約束として賃貸管理事業を維持、拡大していきたいと考えています。
グループ会社として特徴的なのは、台湾と香港にそれぞれ現地法人を持っていることです。現地法人を起点に、台湾や香港の方に向けて日本の不動産を売買しており、加えて賃貸管理も行っています。
私は1987年に株式会社大京に入社して、そこで不動産に関するあらゆることを学ばせていただきました。本当に感謝しています。その知見のもと、1999年にランドネットを立ち上げました。
2023年7月期第3四半期業績① 連結損益計算書 概要(P/L)
榮:今回の事業の結果について、損益計算書のご説明をします。スライドに記載の①について、第3四半期は売上高は前年同期比で23.8パーセント増、経常利益は0.3パーセント増となりました。売上は伸びているのですが、経常利益が0.3パーセント増と少し伸びていません。
こちらについては後ほど詳しくご説明しますが、当社商品である在庫を35億円ほど増やしたため販管費が増大しました。経常利益は減っているものの、売上は伸びてきています。
②についてです。第2四半期に比べて対前年比は下降傾向ですが、売上高から税引後純利益までのすべてにおいて、対前年比でプラスをキープしています。
③については、通年の予算に対する第3四半期時点での売上高進捗率は77.1パーセントとなっており、販売ペースは引き続き順調に推移しています。売上総利益が71.7パーセントと、進捗率からはやや遅れていると思いますが、今月、来月で取り戻すべく一生懸命がんばっているところです。今のところ予算は変更せず、達成すべく努力している最中になります。
④について、販管費が前年同期比で増加した要因は、人件費・地代家賃が増加したためです。2021年の上場以降、継続的に全拠点の拡大を進めているため地代家賃が増えています。加えて、4月入社でまだ戦力化していないのですが、新卒社員も大量に採用したため、人件費も増えています。
それ以外に、営業社員数・拠点拡大・取扱商品の拡大・販売用不動産の仕入強化を行ったために、仕入消費税が少し増えています。今は取扱商品の戸建てとアパートを拡大しようということで、さまざまな工夫をしています。
2023年7月期第3四半期業績② 連結貸借対照表 概要(BS)
榮:次に連結貸借対照表についてです。スライドの①について、販売用不動産が前期末よりも34億円増加しました。取扱商品の増加により、今後の売上の一層の拡大を目指しています。今月は、がんばっている最中になります。
②の賃貸用不動産(有形固定資産)も順調に増えてきており、ファミリータイプの賃貸住宅も、長期的にはいろいろな面で利益に上がってくると思っています。
③については、販売用不動産・賃貸用不動産が順調に増加する中でも、取扱金融機関・融資枠を拡大することによって、資金調達力の強化をしています。金融機関とさまざまな調整を取り、その了解の中で現金及び預金は一定をしっかり維持しながら、販売用不動産、いわゆる在庫・商品を増やすことができたと考えています。この傾向は、6月、7月および来期8月以降にも良い影響が出ると思っています。
2023年7月期第3四半期業績③ 売上高と経常利益の過去4期の推移と今期予算
増井麻里子氏(以下、増井):今回は販管費も増えていて、バランスシートでも資産が少し拡大していますが、この増え方は今後も続く見込みでしょうか? それとも、今は集中的に先行投資を進めているのでしょうか?
榮:商品を増やして以降、販売用不動産はだいたい110億円をずっと維持しています。どこかの段階でまた拡大する際には120億円などに増えていくと思いますが、当社としては平均2ヶ月くらいで物件を売り切るようにしているため、増え続けることはないと思っています。今後としては、若干数増えながら、販売もしっかりと行っていくという流れだと思っています。
つまり販売用不動産が増え続けると在庫だらけになり、売り残しにもなってしまいますので、それは避けながら2ヶ月のうちに売り切るということです。ファミリータイプの物件を増やしてきているため、2ヶ月が2.5ヶ月になる可能性はあると思いますが、その期間が大きくなりすぎないことを当社のKPIの目標としています。
最終的に今期の売上高600億円の目標は達成できると思いますし、経常利益の17億円についても達成すべく全力で努力している最中です。
事業内容/特徴① DX→システム開発のスピードと拡がり
榮:先ほど、会社を立ち上げた時に最初の1ヶ月間くらいシステムの開発をしていたということをお話ししました。
坂本:その後もシステムにかなり力を入れて、今現在も事業をされていますよね。
榮:そうですね。「ITをフル活用した自己実現できる組織を作る」という言葉について、私はもともと前の会社で経営企画の部署にいましたので、どんな会社を作りたいかということをいつも考えていました。やはり事業がどんどん伸びていく会社でなければ、あらゆる面で大変だろうと考え、ITを使いこなすことでより大きな利益が出て稼げる組織になると思いました。
もう1つとして、私は法学部でしたので法律を勉強していました。憲法の理念で「幸せとは何か」というところに「自己実現」と書いてありました。「国に自分の幸せを決められるのは嫌だな」と思いながらも、「自己実現」という言葉は、自分が本来やりたいことを実現できるということだと思いました。それがどのようなものかは見えませんが、仕事する中で「これをやりたい、あれをやりたい」という環境を作って、どんどん新しいことにチャレンジする職場であれば、自己実現ができるのではないかと考えました。
幸せの定義には、「お金持ちになる」など他にもいろいろなものがあると思いますが、「自己実現」はかなりまともで良い言葉だと思ったため、素直にそれを実現できる組織を作りたいと思いました。この2つを実現するために、ITをフル活用した組織を作りたいと考え、事業を始めました。
この後も同じことを何度もご説明していきたいと思うのですが、ITを活用するために一番重要だと思っていることが「自ら作ること」です。作る人と使う人が同じであれば、意思決定が非常に速いのです。
私自身は法学部出身ですのでコードは書けませんが、「Access」のウィザードという機能を使って作りました。作るには作れましたが、ノートPCをサーバ代わりにして3台つなげると動かなくなったのです。
いろいろと調べると、サーバが必要だと言われて、Dellのサーバーを10万円で買ってきました。「Windows 2000 Server」と「SQL Server」を買って「Access」をつなごうとしたのですが、マニュアルどおりに進めてもつながりません。自分で作りたいのですが、つながらないのです。
そこで投げ出すこともできたのですが、どうしたかというと、つながらなくなればすぐに初期化して、また一から進めるのです。その際に、「昨日はAを選んだから、今日はBを選ぶ」といったように異なる選択していくわけです。
朝9時に会社に行って、気がつくと夜11時という生活を1ヶ月間続けました。そうすると、つながるようになり、非常にうれしかったです。その後、事務所を移転して70台や80台のパソコンがつながっているのを見て、非常にうれしかったことを今も覚えています。この方法を今も続けています。
昔は私が作る人だったので、「こうしてほしい」という要件定義も必要なかったのですが、今は70名から80名のエンジニアがいますので、彼らと話しながら説得して作らなければなりません。また、彼らのできる・できないもあるため、それをどのように評価するか、誰をリーダーにするか、どのような組織を作るかといったことも、一つひとつ取り組んでいる最中です。
ここ3年から4年、特に上場してから2年くらいで本物の技術者が入るようになったと思います。悪戦苦闘しながら今も取り組んでいます。
システム開発には、ITを活用した自己実現できる組織を作ることが必要だと思っています。そのため、当社のDXとしてクラウドファンディングのシステムを一生懸命作成しているところです。
坂本:クラウドファンディングについても自社で作られているのですか?
榮:自社で作っています。おそらく、どこにもないクラウドファンディングになると思っています。区分マンション、戸建て、アパートへと物件種別を拡大していますので、それらの情報の取得やレインズとの絡み、加えて契約書の作成についても今まさに作り出したところです。マイページと電子契約のシステムについても一緒に作っています。
坂本:実は私もユーザーと言いますか、不動産投資をけっこう行っていますので、御社から営業がいつもかかってきて、少しずつ進んでいるというのがよくわかります。
私が一般媒介で出した時の連絡も、以前は紙で送られてきたのですが今は電子メールで送られてくるようになっていて「おお、これは進化しているな」と思いました。
また、電話がかかってきて折り返すと、普通は誰が電話をかけたのか確認に時間がかかるのですが、御社では「かけた人を確認します」と言って、すぐつながりますので「おお、すごい」となります。そのあたりの使い勝手の良さは、自社で作っているからできることなのだろうと、ユーザーとして感じました。
榮:ありがとうございます。そのようなお話はなかなか直接聞けないのでうれしいです。
今は営業担当者が300名を超えたのですが、例えば今後600名、900名、1,000名と増えていくはずですので、彼らをどのように育てるか、どのようにトラブルを防ぐか、すべてを含めてITをもっと使っていきたいと思っています。その開発に関しては、本当に日々取り組んでいます。
私が座っている席の左斜め前にお客さま相談室という部署の者がいます。そのようなトラブルに関するご意見もすべて直接入ってくるため、聞くたびにより良いシステムを作りたいと思っています。
事業内容/特徴② DXにより人・物・金・情報の経営の4要素 全てを再構築
増井:そうしますと、御社の営業の方はみなさまパソコンが得意なのでしょうか?
榮:得意だと思います。パソコンを使えないと、たぶん何もできないです。
増井:そうですよね。
榮:こちらのスライド9ページには「DXによって人・物・金・情報の経営の4要素すべてを再構築」と記載しています。
①には「モノの革命 -ダイレクト不動産-」と格好良く記載していますが、簡単に言いますと、物件の仕入をどのように強化するかということです。私自身が前の会社で物件の仕入が非常に得意でしたので、それを機械化しました。
私は1992年に32歳で営業へ異動し、その後1995年に「Windows 95」が発売になりました。システムが大好きですので、営業として仕事をしながらも、「Access」を見た時には「これを使えば、とても仕入に有利な仕組みが作れるのではないか」「ここに座ることによって、すべての情報が手に入るのではないか」と考えたのです。
不動産の仕入れのためにお客さまとお話しすると、結局「いくらで売れるのか?」が一番ポイントとなります。そのため、物件の内容を一目ですべて見られるものが作れないかとずっと考えていました。
会社を立ち上げて、実は変化が2つありました。1つは法務局がインターネット化したことです。昔は現地でしか取得できなかった登記簿謄本が、現在はインターネットですべて取ることができます。
もう1つはストリートビューです。昔は現地に行かないとわからなかった街並みが、Googleのストリートビューならばすべてわかります。この2つに私の発想が結び付くと、東京にいながら石垣島や札幌の物件もすべて把握することができます。
そのような中で物件の仕入れ強化として、「ダイレクト不動産」という売主に直接アプローチして全国の不動産を扱うことができるような仕組みを作りました。
②の「お金の革命」は、クラウドファンディングになります。不動産投資が怖いと思われる方でも、例えば10万円でも100万円でもお金を預けていただいて、そこから定期的に利回り配当が入ってくれば、少しは安心できると思います。少額から始めて怖さを払拭し、最終的に不動産投資に進んでいただければと思います。
最近は「新NISA」なども登場したりと、国も投資を推進しています。特に20代、30代の方は投資に寛容なうえ、かなり興味を持っていると思います。そのような意味で、クラウドファンディングを考えています。
③の「情報の革命」についてです。例えば、少し前に「悪い円安」という言葉がありましたが、私が集めた情報では円安に進んだほうが日本企業は元気になると分析していました。媒体を通した何かを見るのではなく、企業統計などの基本となるデータを見ながら判断してきました。
なぜそれができるのかというと、政府が発信する情報をリアルタイムですべて手に入れ、いつも月次で折れ線グラフを作って分析しているからです。このような統計データを直接手に入れて、情報発信し続けています。
④の「人の採用の革命」として、これまで媒体を通して採用を行ってきましたが、最近は学生に直接アプローチしています。トヨタなどの事例を参考にしつつ、当社でも積極的に取り組んでいます。以上4つが当社のDXの戦略です。
事業内容/特徴③ 基幹システム「RCP」による業務の効率化
榮:物件の仕入れに関してもう少し詳しくご説明します。当社の基幹システム「RCP」は物件の仕入れ、買取をいかにスムーズに行うかを基底に置いており、そのための便利な機能がたくさん入っています。スライド右下に、その具体例を①から⑥まで挙げています。
①の「インターネット上で登記簿の謄本取得」については、当社ではすでに機械化しています。②は、駅徒歩何分なのか、面積がどのくらいなのか、といったすべての物件情報がわかった上でいつでも査定できるということです。③は、「レインズ」という不動産流通機構によって取引事例、売出事例、貸出事例、成約事例などを連動して見ることができます。
④として、ストリートビューにより街並みや環境がわかります。⑤の交渉履歴の共有では、お客さまとのこれまでの会話の内容を共有することで、営業担当が交代しても交渉しやすくなります。例えば、以前に大阪出身のお客さまが、今度は東京の原宿で物件を探される際にも、これまでの経緯や会話を把握した上で物事を進めることができます。これは、後ほどご説明する成長の加速化につながります。
最後に、⑥の電子契約はそろそろできあがってくると思います。こちらが完成すると、マイページを通じてお客さまへさまざまなものが提供できるようになると思います。
事業内容/特徴④ 即時の情報共有と体制による早期戦力化
榮:当社では、新卒や中途採用の早期戦力化が可能になっており、だいたい半年間ぐらいで損益分岐点を超えると思います。
先ほど「自己実現できる組織」というお話をしましたが、実は営業に関しても、500万円のワンルームから、5,000万円、7,000万のファミリータイプのマンションや戸建て、1億円、2億円の1棟ビルやマンションまですべて取り扱えますし、どんな物件を取り扱っても構いません。
自分でいろいろな情報を集めて、さまざまな工夫をして、階段をステップアップしていきます。10年、20年経っても尽きないぐらいの不動産の仕事のおもしろさを、当社の「RCP」を使って学ぶことができます。実際の営業範囲も、北は札幌から南は石垣島までどこを扱ってもよいですし、例えば、自身が沖縄出身だからか、石垣島や沖縄の物件を多く扱う社員もいます。
坂本:実は私も、横浜支店の方から福岡の物件について電話がかかってくることがあります。
榮:そのような姿勢から1人あたりの売上高も順調に伸びてきています。
事業内容/特徴⑤ ダイレクト不動産
榮:先ほどお話ししたダイレクト不動産についてです。売主さまに直接アプローチするため、ダイレクトで物件を仕入れる確率が73パーセントとなっています。また、よい物件が集まると買主も自然と集まりますので、ダイレクトで販売している割合が個人・法人合わせて57パーセントになっています。
昔は50パーセント対50パーセントぐらいで、不動産販売業者のほうがやや多かったのですが、現在はダイレクトでエンドユーザーの方に売るパーセントが少し伸びてきています。それによって利幅も取れますし、43パーセントの不動産販売業者がいることで、あらゆる営業活動をしても売れない場合には相談することもできます。両方とも大事にしながら仕事をしたいと思っています。
KPI/各種指標① 営業人員推移
榮:KPIについてご説明します。先期は福岡支店の開設、本社の増床、大阪支店の増床などを行い、今期は横浜支店を増床しています。営業人員は順調に増加しており、現在307名まで伸びています。
坂本:非常に順調だと思いますが、新卒者は何名ぐらい増えましたか?
榮:45名ぐらいですね。
坂本:新卒者が結構な割合を占めることになりますね。
榮:採用活動は会社の業績を見ながら計画的に行っています。現在は完全週休2日制で、毎日10時から15分間の勉強会を行い、10時15分から朝礼を始めます。終業が19時の8時間労働なのですが、19時に私が必ず終礼をして締めますので、社員は帰りやすいのではないか思っています。
実際に、1時間から2時間ぐらい残業して帰ることはあるものの、「不動産会社はどこもブラックだ」という声も聞こえてくる中で、当社は大丈夫だと思います。この点がやはり定着率につながっていると思います。
出産される女性に関してもリモートワーク等でフォローしていますし、より定着率を上げられると思っています。
坂本:システムもリモートワークで使えるようになっているということですね。
榮:はい、そうです。
KPI/各種指標② 取扱不動産種別/取引件数
榮:取扱不動産種別と取引件数についてです。ワンルームが59パーセントで、ファミリータイプが41パーセントと、ファミリータイプが若干増えてきているのが特徴です。件数ではワンルームが多いのですが、実は粗利ベースでは逆転しており、ファミリータイプが59パーセント、ワンルームタイプが41パーセントというイメージになります。
KPI/各種指標③ 棚卸資産推移・在庫回転日数
榮:昨年の棚卸在庫は75億円で、今年は109億円まで増えました。現在は109億円ぐらいを維持するかたちになっていますが、これは在庫回転日数が63.93日のためです。
坂本:ずいぶん短いですね。
榮:全体の平均ではこのぐらいの数字となっていますが、ファミリータイプが増えてくるとリフォームする時間が必要になるため、もう少し伸びてくると思います。
坂本:仕入れ環境についておうかがいしたいのですが、ファミリータイプが最近増えてきたことによる難しさなどはありますか?
榮:仕入れに関しては実は順調です。DMなどを送っているのですが、反響率も伸びてきています。
坂本:私にも丁寧なメールが来ます。
榮:ありがとうございます。もう少しDMの量を増やしても良いのかなとも思います。
坂本:そうですね。来ていない物件もまだまだありますからね。
榮:いろんな情報を正規の手続きで集めています。
坂本:よく他社は「この物件を幾らでお買い求めしたい方が何名いらっしゃいます」なんて書いてありますが「本当か?」と思います。
榮:DMの内容として我々は現在の不動産価格の状況、経済の見通しから1次情報をグラフ化して、お客さまにご説明しているものもあります。例えば「オリンピックが終わったら不動産価格が下がる」という話があったと思いますが、当社ではそのような話はしていません。その中で、お客さまが売る、買う、貸すお手伝いをしたいと思っていますので、その一環としてDMも出しています。
実はDMを気に入ってくださるお客さまがけっこういらっしゃいます。売りたいという相談の際に、昔送ったDMを5通も10通も持ってこられて「頼むなら御社だと思っていた」という話を聞くと、私も非常に嬉しいです。
KPI/各種指標④ 管理戸数推移
榮:賃貸の管理戸数も順調に増えてきています。当社で物件を買っていただいて、賃貸管理を受けることも増えていますが、反対に、他の賃貸会社に頼んでいたものを当社に頼みたいというご相談も増えてきています。今後は両方で増やしたいと思っています。
KPI/各種指標⑤ 入居率推移
榮:管理戸数は増えていますが、入居率も現在だいたい99パーセントに近づいてきています。築古の物件やアパート、シェアハウスもすべて入れた入居率が99パーセントに近づいており、かなりがんばっていると思います。
坂本:入居率はすごく高いですね。
榮:やはり一番大きな要因は、お客さまとのコミュニケーションと多言語対応です。多言語対応には昔から取り組んでおり、私も台湾出身の従業員の結婚式に台湾に行って出席するなど、良い信頼関係が築けていると思います。
KPI/各種指標⑥ 従業員数推移
榮:従業員数も順調に増えており、システム部門が22パーセント、事務部門が21パーセント、事業部門が57パーセントとなっています。システム部門が増えることにより、事務部門は電子契約などの電子化が進み、非常に効率が上がっています。
坂本:昔は何回も書類をやりとりしていましたからね。
榮:おっしゃるとおりです。お客さまから依頼を受けた広告を載せたかどうかのチェックも、電子化してしまえば一発でわかりますので、効率化が図れていると思います。今後はさらに効率を上げるためにも、事務部門の割合をもう少し減らして、事業部門を60パーセントくらいに拡大していきたいと思います。
KPI/各種指標⑦ 地域別取引件数の割合
榮:地域別取引件数については、全国に展開しているため、どうしても首都圏以外が増えてきています。たまたま今期は首都圏が先期に比べて増えていますが、地方は今後も増えていくと考えています。
KPI/各種指標⑧ 拠点の拡大
榮:拠点の拡大についてです。東京本社は5階と7階に事務所があったのですが、増床して、現在は10階も借りています。横浜支店もフロアを変え増床しました。大阪支店は「グランフロント」という有名なビルに移転してフロアが広くなり、社員全員喜んでいます。福岡支店も新設したのですが、少し手狭になってきているため、移転も検討しています。
成長戦略① 取扱種別の拡大
榮:成長戦略についてお話しします。まずは取扱種別の拡大についてです。スライドにも、「これからはファミリー(築浅)」と記載していますが、これまで区分マンションに関しては、築年数20年以内で50平米より大きいものは、大手企業と競合した場合にどうしても負けると思っていました。しかし、上場以降は勝てるという自信を持っています。
実は、「買取リフォーム販売」が非常に増えています。仲介会社を通してリフォーム販売業者に物件を買ってもらうより、当社で直接買ったほうが実は物件の価値も高まりますし、売主、買主も得をすると思います。こちらは思いっきりアクセルを踏んでいるところです。
それと同時に、アパートや戸建てなどさまざまな市場調査をしながら試行錯誤して、何とか拡大できないかと取り組んでいます。今年と来年ぐらいでおおよその方向性が見えると思っています。
将来的には1棟ビル、1棟マンションはもちろんのこと、例えば、私は現在千駄ヶ谷にいますが、このあたりにある不動産をすべて我々が扱うようなイメージになると思っています。今はまだ夢ですが、実際にそこまで行きたいと思っています。
成長戦略② 個人投資家向け販売を強化
榮:個人投資家向けの販売の強化として、電子契約やSNSのマイページなどを作っている最中です。
成長戦略③ ファミリータイプの販売を強化
榮:ファミリータイプの販売の強化として、先ほども少しお話ししましたが、現在は築年数が15年、20年と経ちますと、簡単なリフォームではなく、フルリフォームやリノベーションを施してから住む方が非常に多いです。なぜかというと、ウォシュレットや対面式キッチンの普及など、設備関連が建築当時と比較して一新していることが考えられます。ほかにもITやAIの進歩により、液晶画面がますます大きくきれいになっています。
坂本:インターホンなどの液晶も、おっしゃっているような進歩がありますね。
榮:そのとおりです。汚れたトイレや風呂は使いたくないと言う方が増えており、フルリフォームしなくてはなりませんので、そういった場面で既存のリフォーム事業を拡大したいところです。
坂本:壁紙の流行などもあります。少し前にはキッチンの壁紙に木目模様が流行っていましたね。そのようなのもすべて今の流行に変えるということですよね?
榮:おっしゃるとおりです。私が住んでいるマンションは築15年くらいですが、フルリノベーションした部屋を他業者から購入しました。けっこう良いマンションですが、築15年でも住んでいると共用部分のトイレなどはやはり古いと感じます。また、インターホンは変えられませんので古いままです。
ただ、それ以外のお風呂のリモコンや、トイレに入ると便器の蓋がすぐに開くといったような設備については最新の設備が整いました。
成⻑戦略④ 中⻑期成⻑イメージ
榮:中長期の成長イメージについてです。これまでの内容にも含めつつお話ししてきましたが、さらに詳しくご説明します。
冒頭にお伝えしたとおり、当社は「どのように物件を仕入れるか」から始まります。なぜ物件の仕入を最重要とするかというと、良い物件があれば買主さまが多く集まりますし、在庫回転率もよくなるだろうと考えているためです。
これまでも良い物件を集めることに集中し、区分所有マンションの買取販売モデルを確立してきました。それにより、先ほどお話ししたように、例えば石垣島の物件であっても、東京にいながらすべての情報が手に入りますし、お客さまと連絡を取る際にも、どのようなことでも答えられるかたちを作ってきました。
今後は取り扱う物件を広げていこうと考えています。元々はワンルームから取り扱い始めましたが、これは他社と競合しない、つまり大手と競合した時に負けるかもしれないというリスクを避けるためです。
最初は私1人がワンルームマンションで仕事をしていたのですが、当時お客さまから電話が来て会いに行ったところ、「60平米くらいのマンションを売りたい」と言われました。そのため、いろいろな資料を作り一生懸命ご説明しましたが、なしのつぶてでした。
お客さま側に立って考えると、初めて買った物件を売る時に、ワンルームマンションで一人で仕事をしている私よりも、やはり大手会社の方を信頼されるのだろうと思います。ですので、ワンルーム、築年数の古い50平米から始めました。これは安くて大手があまり扱わないためです。
このように当社が扱うことのできる物件を広げ続け、現在まさに一番の本命だったファミリータイプの築浅、いわゆる築10年や築20年、そして70平米、80平米の物件まで取り扱える物件を広げてきました。今は積極的にこちらの物件の取り扱いに取り組んでいます。
あらためて上場することは本当にすごいことなのだと実感しますが、上場したことがブランドとなり、より話を聞いてもらえています。さらに、先ほどお話しした築15年のマンションは、どちらかというとまだ新しい物件です。
坂本:特に最近の物件は新しいと感じますね。
榮:そのようなマンションですらフルリフォームが必要になる時代の流れを考えると、当社のような買取販売業者が参入できる規模を拡大できるのではないかと考えています。
同様に、最近は築古ワンルームマンションの販売も考えています。もちろん物件の仕入は得意ですので、以前は業者に多く卸していました。しかし、今はエンドの方も多く買われていますので、ここを拡大したいと思っています。以上が区分マンションについてです。
区分マンションを見ながら戸建て・アパートも軸にしようと努力しています。私自身も戸建て・アパートですと「いくらで売れるのか」が一番重要になりますが、その情報を戸建てやアパートに連動して見やすいかたちにしていく取り組みを進めています。
また、どのような戸建て・アパートの物件があるかという情報も必要です。区分マンションの場合は東京カンテイという会社から新築時のパンフレットがすべて手に入り、知ることができます。一方で、戸建てやアパートはわかりませんので、それらをわかるようにする取り組みを進めています。この2つの工夫を乗り越えれば、お客さまの問い合わせに対して確実な内容を答えられるようになるだろうと思っています。
日本は新築不動産の流通が多くなっています。後ろ向きな話になりますが、築20年や30年を超える中古の戸建てですと、建物は木造だから無価値であり、土地のみの値段になると言われてしまいます。しかし、中古の区分マンションを扱っていますと決してそのようなことはないと感じます。
坂本:そのとおりです。償却期間も一番長くて47年ありますからね。
榮:それでは、戸建てに価値がないのかと考えると、手法によって価値が出るのではないのかと思っています。
実は、長年アメリカに行きたいと思っており、7年くらい前に実際に行ってきたことがあります。その際はエアビーアンドビーで戸建てに住み、1週間くらいかけてアメリカのいろいろな場所にある不動産を見て回ってきました。エアビーアンドビーで住んだ戸建ては、日露戦争が終わってから3年、4年後に建てられたものでした。窓は多少開かないところがありましたが、キッチンだけはフルリフォームされており、素敵だと思ったものです。
私としては、できれば国内で中古の不動産物流を実現したいのです。現在、当社は日本の中古不動産流通ビジネスとしてマンションを取り扱っています。しかし、将来は戸建てに関してもしっかりと流通させることができないかと考えています。20年、30年経ったからといって無価値になるわけがないと思うのです。
坂本:日本もメーカーによって躯体が非常にしっかりしているものもありますので、そのような会社の戸建てにとっては非常に良いことだと思います。
榮:そのようなところが当社の目標になるかと思います。
次の段階の話となるのは、1棟マンションのところでもお話ししましたが、「アメリカに関してはどうなのか?」というお話がいろいろと聞こえてきています。私としては1年後くらいに、自身が実際にアメリカへ赴き、現地の不動産をしっかり見てきてから、グローバル不動産テックカンパニーの具体的なあり方を考えていきたいと思っています。
ただし、アメリカと中国の対立があるため、今は台湾と香港で日本の不動産を紹介していますが一定の状態が続いており、減っても増えてもいない状況です。当社が順調に大きくなっていますから割合としては減っていますが、それでも米中対立を見つつ慎重に進めたいと考えています。
私も含め、日本人はどこかにアメリカへの憧れがありますので、アメリカの不動産を扱うことができる会社になりたいと考えています。その先にはヨーロッパもあるかもしれませんが、まずはアメリカからだと思っています。私からのご説明は以上です。
質疑応答:業績予想の変更予定について
坂本:「今期の業績予想についてですが、実際に変更予定はありませんか?」というご質問です。変更しなくてはいけない状況になれば変更されるものだと思いますが、足元までの業績に対するイメージも含めて教えていただければと思います。
榮:第2四半期には在庫、つまり商品がだいぶ減りましたので、第3四半期で商品を増やし、先ほどお話ししたように、6月と7月の2ヶ月間で積極的に売ろうとしています。そのため6月はそれなりの売上が立ってきています。6月と7月の両方を見ながら、今の時点でギブアップする必要はないと判断しています。全力を挙げて、なんとか予算を達成しようと挑戦している最中です。
業績予想の変更をお伝えしなければいけない場合はお伝えしますが、今は伝える段階ではありません。せっかく立てた予算ですので、実行すべく全力を挙げたいと思っています。
質疑応答:国内拠点の新たな開設候補地域について
坂本:「現在国内の拠点は東京、大阪、福岡、横浜と4拠点ですが、今後は支店開設や増床予定といったお話もいただきました。他地域において興味があるところはありますか?」というご質問です。
榮:来年あたりに東京で支店の出店を検討している最中です。検討段階まではまだ進んでいませんが、仙台、広島、福岡などの地域が候補にあがっています。特に、半導体関連で注目されている地域に注目しています。
坂本:熊本のあたりですね。
榮:おっしゃるとおりです。福岡支店から「熊本が活況を呈している」と聞いています。不動産も非常に売れています。くわえて学生関連の動きが色めき立っており、学校や学部の開設を進めているようです。そのような状況を含めた上で検討したいと思っています。福岡に関しては、まだ具体的な話は出てきていませんが、半導体の流れには乗りたいと思います。
坂本:おそらくアパートも需要があると思いますし、戸建ても需要が出てきそうですね。
質疑応答:仕入金額の上昇について
増井:「仕入の金額はどのくらい上昇したと感じていますか?」というご質問です。地域にもよるかと思いますが、いかがでしょうか?
榮:地域と物件によります。お伝えできることをお話ししますと、当社はお客さまに直接アプローチして物件を仕入れています。他社は相当金額が上がってきていると思いますが、当社はそこまで金額を上げずに物件を仕入れられているかと思います。
一方で、販売は前年対比で5パーセント、7パーセントと伸びてきていますが、「仕入の金額が伸びてきているか?」というご質問には、「物件によります」としかお答えすることができません。ご理解いただけますと幸いです。
質疑応答:人材の採用基準について
坂本:自前でシステム構築されていたという件についてですが、「高度な技術を作り込むほど人材を要すると思いますが、どのような基準で採用しているのでしょうか? システムに関しては、即戦力の中途採用が多いのでしょうか?」というご質問です。
榮:現在も含めて上場以降は、即戦力の人材がそれなりに入ってきています。もちろん即戦力も大事にしますが、新卒も同様です。最近はいろいろとハッカー対策などがあり、新卒でも即戦力になる方が多くいらっしゃいます。
坂本:情報系の学生もいますね。
榮:おっしゃるとおりです。ですので、その2つの選択肢から良い人材を採用したいと思っています。上層部とは、ソニーの『設立趣意書』にある「自由闊達にして愉快なる理想工場」のような会社、システム部を作りたいと常々話しています。
先ほど自己実現の話をしましたが、やはりシステムの先端に立ちながら使いこなすことにより、ますます会社が発展していくイメージを訴えながら採用活動をしています。
また、オンプレミスで1,000万円くらいのサーバーを買ったとしても、AWSのほうがよければ柔軟に切り替えるような会社だということも伝えています。資金はもちろん大事ですが、時代の流れに応じて臨機応変に素早く対応したいと思っています。
坂本:一般的にオンプレミスからAWSに切り替えるのは難しいと聞きますが、御社の技術があれば簡単にできるレベルなのでしょうか?
榮:まったく問題なく切り替えることができました。
坂本:すばらしいですね。
榮:GCPを使っていた事業もありました。GCPはGoogleのプラットフォームですが、AWS、EWS、パソコンも切り替えており、実は両方を使っています。
坂本:各社で「あの分野の技術者が足りない」「あの処理が難しい」といった話をうかがうことがあるので、すごいことだと思いました。
質疑応答:他社との差別化における新たな取り組みについて
増井:大きな話題になりますが、他社との差別化における新たな取り組みなどがあれば教えてください。
坂本:最近の取り組みではクラウドファンディングになるでしょうか?
増井:その他にも、DXをはじめとしたいろいろな取り組みがあるかと思います。
榮:他社との差別化において最も大きなところは、物件の情報を網羅的にすべて集めているところです。例えば、港区は良い場所ですので、港区の不動産の中でも築何年と限定した情報を集めている会社は相応にあるかと思います。
一方で、当社ではすべての場所の情報があるのです。「すべて」というところが、いろいろな面において利点となります。
先ほど「仕入価格が上がっているか?」というご質問がありました。これについては、物件によって安く仕入れられる場合もありますし、競合して高くしないといけない場合もあります。ただし、当社は網羅的に取り扱っていますので、他社が取り扱っていないところもできるかたちになります。
ここまでの話は区分マンションについてでした。これを戸建て・アパートにまで広げれば、いろいろな物件がありますので際限なく広がります。当社はそれすらもすべて扱います。この部分をしっかり取り組み、1棟売り主としても広げていく中でクラウドファンディングへとつながるのです。
位置づけから言うと、物件の情報を集めている方がメインとなります。これが当社の独壇場で、「ダントツ経営」といったような言葉を聞いたことがあるのですが、それにあたります。
増井:コマツ(小松製作所)の「ダントツ経営」ですね。
榮:当社もそのようになりたいと思っています。
増井:大変よくわかりました。
質疑応答:クラウドファンディングの物件への考えについて
坂本:クラウドファンディングに興味がある視聴者は非常に多いと思いますが、中に入る物件のイメージはどのようなものになるのでしょうか? 御社が得意とされている中古の区分マンションをまとめて運用するのでしょうか? それとも、検討している1棟マンションを入れるようなイメージでしょうか?
榮:当社としては、お客さまには2つの要望があると考えています。1つ目に5年、10年、20年と預け続けていき、複利でずっと回していくことで資金を順調に増やしていく需要です。2つ目に必要があれば少し引き出したいという需要です。まずはこの2つの需要に応えられるものを作りたいということです。
投資用不動産ですから保証はできませんが、いろいろな状況下において大丈夫だろうと思ってもらえるような説明ができる商品を作りたいと考えています。
現在はその2つについて一生懸命に知恵を絞っています。新しいところに関してはもう少しお時間をください。その上でまたご説明したいと思います。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:在庫増加スピードはQonQで何パーセントくらいが適正だとお考えですか。
回答:会社の成長パーセントを落とさないよう、ただし財務状況を常に注視しながら販売用不動産(在庫)を増やしてまいります。
※「当日寄せられたその他の質問と回答」は、企業ご提供の内容となります。
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