藤商事 Research Memo(5):自己株式取得の実施と合わせて第三者割当による新株予約権を発行

配信元:フィスコ
投稿:2023/06/26 12:25
*12:25JST 藤商事 Research Memo(5):自己株式取得の実施と合わせて第三者割当による新株予約権を発行 ■業績動向

3. 財務状況と経営指標
藤商事<6257>の2023年3月期末の総資産は前期末比5,756百万円増加の51,160百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産は受取手形、売掛金及び契約資産が1,595百万円、現金及び預金・有価証券が923百万円、棚卸資産が1,731百万円それぞれ増加した一方で、電子記録債権が931百万円、未収還付法人税等が304百万円減少した。棚卸資産の増加については「Lゴブリンスレイヤー」の4月本格出荷に向けた在庫の増加が主因となっている。固定資産は減価償却の進展に伴い有形固定資産が597百万円減少した一方で、ソフトウェアが161百万円、投資有価証券が2,096百万円、繰延税金資産が1,042百万円増加した。投資有価証券の増加は保有している上場株式銘柄の株価上昇が主因となっている。

負債合計は前期末比2,594百万円増加の11,372百万円となった。流動負債で未払法人税等が650百万円、買掛金が648百万円、未払金が549百万円、賞与引当金が294百万円それぞれ増加したことが主な増加要因となる。固定負債では繰延税金負債349百万円がなくなった。また、純資産は同3,162百万円増加の39,788百万円となった。自己株式の取得2,361百万円及び配当金支出1,119百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益5,296百万円の計上や、その他有価証券評価差額金が1,465百万円増加したことによる。

財務指標を見ると、自己資本比率は自己株式取得を実施したことなどにより77.8%と若干低下したものの、引き続き高水準を維持しており、無借金経営で手元キャッシュも200億円超と潤沢なことから、財務の健全性は確保されているものと判断される。なお、同社は資本効率の向上と機動的な資本政策を遂行することを目的に、2023年2月28日付で150万株、2,361百万円の自己株式取得を実施し、合わせて自己株式を活用した第三者割当による行使価額修正条項付き第1回新株予約権を2023年3月17日付で発行した(行使期限:2026年3月19日)。新株予約権の総数は15千個(株式数で150万株相当)で行使価額は直前取引日の終値の90%とし、下限行使価額を1,574円と今回の自己株式取得単価と同値に設定した。下限行使価額ですべて行使されれば同社は自己株式取得費用を回収できることになる。今回の自己株式取得150万株のうち、139万株は大株主でもある同社代表取締役会長及びその親族、並びに代表取締役副会長から取得しており、新株予約権が行使されれば流通株式比率が5.7%上昇することになる。今回の自己株式取得は将来のプライム市場への上場を見据えた布石と見ることもできる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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