*16:43JST テックポイント Research Memo(3):2022年12月期は車載カメラ分野の新機種向け・新規顧客向け販売が好調
■業績動向
1. 2022年12月期業績の概要(米国基準)
テックポイント・インク<6697>の2022年12月期業績(米国基準)は、売上高65,083千米ドル(8,636百万円:前期比0.6%増)、営業利益19,348千米ドル(2,567百万円:同2.7%減)、税引前当期純利益19,594千米ドル(2,600百万円:同1.6%減)、同社株主に帰属する当期純利益17,663千米ドル(2,343百万円:同2.2%増)となった。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標は19,297千米ドル(2,560百万円:同2.2%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。
監視カメラ・車載カメラ両分野でメーカー過剰在庫が半導体部品の追加調達を抑制する向かい風の事業環境において、車載カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、出荷数の増加や製品構成の変化により前期比21.6%増収となった。一方、監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、製品構成の変化による平均売価の増加以上に出荷数減少の影響が大きく、同20.0%減収となった。なお、同社の製品価格は、製品製造費用の上昇に伴い両市場において上昇している。
売上原価は前期比475千米ドル(同1.6%)減少した。また、製品構成及び市場構成の変化に伴い、売上総利益率は54.2%から55.2%に上昇した。研究開発費は同1,430千米ドル(同22.4%)増加した。これは主に、テープアウト(半導体製造工程における、設計の最終段階)及びデザイン費用が1.7百万米ドル増加した一方、人件費が0.2百万米ドル、ソフトウェア費用が0.1百万米ドルそれぞれ減少したことによる。販売費及び一般管理費は前期比で横ばいとなった。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は26,098千米ドルとなり、前期比20.0%減(前期は32,636千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多く所在する中国本土において、上期にゼロコロナ政策の影響を受けたほか、同政策解除後もメーカーの過剰在庫により低調な推移となっている。弊社では、少なくとも2023年12月期上期まではメーカーの在庫調整の影響を受けるものの、下期以降は徐々に回復傾向になると予想している。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は38,985千米ドルとなり、前期比21.6%増(前期は32,071千米ドル)だった。既存機種向けは在庫調整の影響を受け減少したものの、新機種向け・新規顧客向けの販売が伸びたことから、売上構成比率は同10.3ポイント上昇し59.9%となった。在庫調整の影響が足元で続くと見られるものの、自動車の安全機能の高度化の流れのなかで、ドライブレコーダー、リアカメラ、カーナビ等の需要は根強い。複数チャンネルドライブレコーダー、カーナビ、サラウンド・ビューモニター製品は、アジアの車載カメラシステム用アフターマーケットにおいて、同社が大きな市場占有率を保持している。同社の半導体製品を搭載し、アジアで生産されたドライブレコーダー、カーナビ、サラウンド・ビューモニター製品は、中国を中心としたアジアのユーザー(自動車の保有者)だけでなく、顧客企業によって製品化された完成品などが世界のほかの地域のユーザーにも販売されている。また、これまで主力であったアフターマーケット品に加え、BYD Autoの純正HDドライブレコーダーに採用されるなど、メーカー純正品での採用も伸ばしつつある。今後、電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野においても、大きな成長が見込まれると弊社では考えている。
4. 地域別売上比率
地域別売上比率については、同社の出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーがアジア地域に集中していることがわかる。オーディオ機能搭載ISPなどの監視カメラシステム向け半導体は中国のゼロコロナ政策の影響を受けたものの、メーカーが遍在する中国の比率は69%と前期比横ばいだった。一方で、車載用途のメーカーを中心とする台湾は前期の16%から15%、韓国は11%から10%に低下しており、日本は3%から4%に上昇している。日本の上昇によって台湾、韓国の地域別売上比率が低下した格好ではあるが、全地域でコロナ禍やメーカーの在庫調整の影響を受けた。また、中国では完成品にしてほぼ100%海外に輸出していることもあって、グローバルな需要を映している面もある。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
<NS>
1. 2022年12月期業績の概要(米国基準)
テックポイント・インク<6697>の2022年12月期業績(米国基準)は、売上高65,083千米ドル(8,636百万円:前期比0.6%増)、営業利益19,348千米ドル(2,567百万円:同2.7%減)、税引前当期純利益19,594千米ドル(2,600百万円:同1.6%減)、同社株主に帰属する当期純利益17,663千米ドル(2,343百万円:同2.2%増)となった。また、財政状態、財務業績、キャッシュ・フロー、その他を対象とする指標であり、米国で広く浸透しているNon-GAAP指標は19,297千米ドル(2,560百万円:同2.2%増)だった。なお、同社は一時的な変動要素と非現金損益項目のなかで、株式報酬費用のみをNon-GAAP指標の調整項目としている。
監視カメラ・車載カメラ両分野でメーカー過剰在庫が半導体部品の追加調達を抑制する向かい風の事業環境において、車載カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、出荷数の増加や製品構成の変化により前期比21.6%増収となった。一方、監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は、製品構成の変化による平均売価の増加以上に出荷数減少の影響が大きく、同20.0%減収となった。なお、同社の製品価格は、製品製造費用の上昇に伴い両市場において上昇している。
売上原価は前期比475千米ドル(同1.6%)減少した。また、製品構成及び市場構成の変化に伴い、売上総利益率は54.2%から55.2%に上昇した。研究開発費は同1,430千米ドル(同22.4%)増加した。これは主に、テープアウト(半導体製造工程における、設計の最終段階)及びデザイン費用が1.7百万米ドル増加した一方、人件費が0.2百万米ドル、ソフトウェア費用が0.1百万米ドルそれぞれ減少したことによる。販売費及び一般管理費は前期比で横ばいとなった。
2. 監視カメラシステム
監視カメラシステム市場向け半導体製品の売上高は26,098千米ドルとなり、前期比20.0%減(前期は32,636千米ドル)だった。監視カメラメーカーが多く所在する中国本土において、上期にゼロコロナ政策の影響を受けたほか、同政策解除後もメーカーの過剰在庫により低調な推移となっている。弊社では、少なくとも2023年12月期上期まではメーカーの在庫調整の影響を受けるものの、下期以降は徐々に回復傾向になると予想している。
3. 車載カメラシステム
車載カメラシステム市場向け半導体の売上高は38,985千米ドルとなり、前期比21.6%増(前期は32,071千米ドル)だった。既存機種向けは在庫調整の影響を受け減少したものの、新機種向け・新規顧客向けの販売が伸びたことから、売上構成比率は同10.3ポイント上昇し59.9%となった。在庫調整の影響が足元で続くと見られるものの、自動車の安全機能の高度化の流れのなかで、ドライブレコーダー、リアカメラ、カーナビ等の需要は根強い。複数チャンネルドライブレコーダー、カーナビ、サラウンド・ビューモニター製品は、アジアの車載カメラシステム用アフターマーケットにおいて、同社が大きな市場占有率を保持している。同社の半導体製品を搭載し、アジアで生産されたドライブレコーダー、カーナビ、サラウンド・ビューモニター製品は、中国を中心としたアジアのユーザー(自動車の保有者)だけでなく、顧客企業によって製品化された完成品などが世界のほかの地域のユーザーにも販売されている。また、これまで主力であったアフターマーケット品に加え、BYD Autoの純正HDドライブレコーダーに採用されるなど、メーカー純正品での採用も伸ばしつつある。今後、電子ミラーやモバイルDVR製品などの車載カメラシステム市場の新しい分野においても、大きな成長が見込まれると弊社では考えている。
4. 地域別売上比率
地域別売上比率については、同社の出荷先である監視カメラメーカー、ドライブレコーダー等の車載カメラメーカーがアジア地域に集中していることがわかる。オーディオ機能搭載ISPなどの監視カメラシステム向け半導体は中国のゼロコロナ政策の影響を受けたものの、メーカーが遍在する中国の比率は69%と前期比横ばいだった。一方で、車載用途のメーカーを中心とする台湾は前期の16%から15%、韓国は11%から10%に低下しており、日本は3%から4%に上昇している。日本の上昇によって台湾、韓国の地域別売上比率が低下した格好ではあるが、全地域でコロナ禍やメーカーの在庫調整の影響を受けた。また、中国では完成品にしてほぼ100%海外に輸出していることもあって、グローバルな需要を映している面もある。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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