*15:11JST アーバネット Research Memo(1):2023年6月期は下期偏重予算により通期では増収増益を確保する見通し
■要約
1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、キャッシュ・フローの安定した投資用ワンルームマンションに対する人気は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層、潤沢な資金を確保したファンドやリートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業へも参入した。さらには、首都圏初(同社調べ)となるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様マンションの開発にも着手し、2023年2月に完成した。今後もZEH仕様マンションの開発を継続し、脱炭素社会への貢献と新たな事業機会の創出を目指している。
2022年9月28日からは社長交代※を含む、新しい経営体制へ移行した。2022年7月に設立25周年を迎え、厳しい環境をチャンスと捉えて飛躍できる体制を整備し、持続的成長と企業価値の向上を図ることに狙いがある。
※服部信治(はっとりしんじ)氏に代わって田中敦(たなかあつし)氏(前取締役副社長)が代表取締役社長に就任するとともに、服部信治氏は代表取締役会長兼CEOへ就任した。
2. 2023年6月期上期の業績概要
2023年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比6.6%減の5,826百万円、営業利益が同49.4%減の202百万円と下期偏重の予算編成により減収減益となったが、売上高・利益ともに計画どおりに推移している。主力の「不動産事業」における販売戸数が4棟149戸(前年同期比52戸減)に留まったのは、竣工時期(売上計上時期)が下期に集中していることに起因する。一方、「ホテル事業」については、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加により、客室単価・稼働率が大きく改善し増収を確保した。利益面でも、減収による収益の下押しに加え、人件費の増加等により営業減益となったが、通期では増益を確保するとともに、利益率も大きく改善に向かう想定となっている。また、今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、都心好立地の用地8件の取得を実現しており、来期(2024年6月期)以降の販売予定分として1,400~1,500戸程度(弊社推定)を確保しているようだ。
3. 2023年6月期の業績予想
2023年6月期の業績について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比2.0%増の20,000百万円、営業利益を同3.5%増の2,300百万円と増収増益を見込んでいる。「不動産事業」における販売戸数は586戸(前期比72戸減)を計画しており、戸数では前期比で減少するものの、利益極大化のために販売決定を遅らせたことや都心の優良物件が含まれていることにより増収増益を確保する見通しである。なお、販売計画586戸は既に契約済みとなっていることから、建設工期の遅れ等による期ずれがない限り、達成の可能性は極めて高いと判断できる。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、これまで以上に選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す方針である。また、「サステナビリティ基本方針」を制定し、持続可能な社会実現への貢献を企業価値の向上に結び付けていく姿勢を明確に示しており、パートナーとの様々な価値共創にも意欲的である。
■Key Points
・2023年6月期上期は下期偏重の予算編成により減収減益となったが、売上高・利益ともに計画どおりに推移
・将来に向けても都心好立地の用地を積極的に購入し、新たに8件の用地取得を実現
・2023年6月期業績予想を据え置き、都心の優良物件の売却等により増収増益を確保する見通し
・今後は既存事業の拡大に加え、パートナーとの様々な価値共創の可能性を含めた、事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
アーバネットコーポレーション<3242>は、東京23区、駅から徒歩10分以内の立地にこだわった投資用ワンルームマンションの開発・1棟販売(卸売:BtoB)を基軸事業としている。用地取得からプラン・意匠設計、開発を行い、マンション販売会社・ファンド・富裕層等への1棟販売を手掛けており、「ものづくり」に特化しているところに特徴がある。設計事務所からスタートしたデベロッパーとして、モノトーンを基調とした外観、機能性やデザイン性、開発立地へのこだわりが入居者からの高い支持を受け、空室率の低さを誇っている。都心における不動産開発環境は、用地取得の困難な状況や開発コストの高止まり、建設工期の長期化などが課題となっているが、キャッシュ・フローの安定した投資用ワンルームマンションに対する人気は根強く、国内外の不動産投資家、将来の資産形成目的の若年層や相続税対策目的の富裕層、潤沢な資金を確保したファンドやリートからの需要に支えられ、業績は堅調に推移している。また、ストックビジネスの強化にも取り組んでおり、賃貸収益物件の取得に加えて、新たにホテル事業へも参入した。さらには、首都圏初(同社調べ)となるZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様マンションの開発にも着手し、2023年2月に完成した。今後もZEH仕様マンションの開発を継続し、脱炭素社会への貢献と新たな事業機会の創出を目指している。
2022年9月28日からは社長交代※を含む、新しい経営体制へ移行した。2022年7月に設立25周年を迎え、厳しい環境をチャンスと捉えて飛躍できる体制を整備し、持続的成長と企業価値の向上を図ることに狙いがある。
※服部信治(はっとりしんじ)氏に代わって田中敦(たなかあつし)氏(前取締役副社長)が代表取締役社長に就任するとともに、服部信治氏は代表取締役会長兼CEOへ就任した。
2. 2023年6月期上期の業績概要
2023年6月期上期の業績は、売上高が前年同期比6.6%減の5,826百万円、営業利益が同49.4%減の202百万円と下期偏重の予算編成により減収減益となったが、売上高・利益ともに計画どおりに推移している。主力の「不動産事業」における販売戸数が4棟149戸(前年同期比52戸減)に留まったのは、竣工時期(売上計上時期)が下期に集中していることに起因する。一方、「ホテル事業」については、国内旅行需要の回復やインバウンドの増加により、客室単価・稼働率が大きく改善し増収を確保した。利益面でも、減収による収益の下押しに加え、人件費の増加等により営業減益となったが、通期では増益を確保するとともに、利益率も大きく改善に向かう想定となっている。また、今後の成長につながるパイプライン(開発物件)の状況については、都心好立地の用地8件の取得を実現しており、来期(2024年6月期)以降の販売予定分として1,400~1,500戸程度(弊社推定)を確保しているようだ。
3. 2023年6月期の業績予想
2023年6月期の業績について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比2.0%増の20,000百万円、営業利益を同3.5%増の2,300百万円と増収増益を見込んでいる。「不動産事業」における販売戸数は586戸(前期比72戸減)を計画しており、戸数では前期比で減少するものの、利益極大化のために販売決定を遅らせたことや都心の優良物件が含まれていることにより増収増益を確保する見通しである。なお、販売計画586戸は既に契約済みとなっていることから、建設工期の遅れ等による期ずれがない限り、達成の可能性は極めて高いと判断できる。
4. 今後の方向性
同社の成長戦略は、既存事業の拡大を軸としつつ、ストックビジネス(自社保有の賃貸収益物件等)や子会社によるBtoC事業(マンション管理及び賃貸業等)の拡大により、事業ポートフォリオの拡充と財務基盤の安定化を図るものである。特に、既存事業については、都心での用地価格が高騰しているなかで、将来リスクも念頭に入れつつ、これまで以上に選別的な用地取得に取り組み、事業環境や景気変動に柔軟に対応しながら、持続的な成長を目指す方針である。また、「サステナビリティ基本方針」を制定し、持続可能な社会実現への貢献を企業価値の向上に結び付けていく姿勢を明確に示しており、パートナーとの様々な価値共創にも意欲的である。
■Key Points
・2023年6月期上期は下期偏重の予算編成により減収減益となったが、売上高・利益ともに計画どおりに推移
・将来に向けても都心好立地の用地を積極的に購入し、新たに8件の用地取得を実現
・2023年6月期業績予想を据え置き、都心の優良物件の売却等により増収増益を確保する見通し
・今後は既存事業の拡大に加え、パートナーとの様々な価値共創の可能性を含めた、事業ポートフォリオの拡充により持続的な成長を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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