■要約
イー・ガーディアン<6050>は、eコマース(EC)やSNS、ソーシャルゲームの運営者向けに、監視や顧客サポートなどを中心に、サイバーセキュリティからデバッグ、運用までをワンストップで提供する総合ネットセキュリティ企業である。1998年にコンテンツプロバイダとして誕生し、インターネット業界の創成期に様々な新事業を手掛けるなか2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、「イー・ガーディアン株式会社」に商号変更した。2010年に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場してからは、人材派遣業、デバッグ事業、ネットセキュリティコンサルティング事業、クラウド型サイバーセキュリティ事業等をM&Aで獲得し、“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立した。海外展開においてはE-Guardian Philippines(2017年設立)が拡大中であり、2021年にはE-Guardian Vietnamを設立。最近ではクラウド型セキュリティサービスの(株)グレスアベイルを子会社化し(2019年)、2020年には(株)CARTA HOLDINGS(旧 サイバー・コミュニケーションズ(株))とネット広告関連業務BPOを行う合弁会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立したほか、ソフトウェア型WAF※のNo.1企業である(株)ジェイピー・セキュアを完全子会社化するなど、新分野を強化している。2022年9月末現在でグループ会社5社、主な事業所で国内11拠点、海外2拠点を持ち、2,441名の従業員(うち臨時従業員数2,053名)を抱える企業グループとなっている。2016年9月に東証1部に昇格、2022年4月の東証再編に際してプライム市場に移行した。
※WAF:Web Application Firewallの略。Webアプリ向けの攻撃からWebサイトを保護するシステム。
1. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポート業務であり売上高の57.1%を占める。ゲームサポート業務(売上構成比17.7%)、アド・プロセス業務(同12.1%)、サイバーセキュリティ業務(同5.6%)が続く。その他業務はハードウェアに対するデバッグ業務などである(同7.5%)。
2. 業績動向
2022年9月期通期の連結業績は、売上高が前期比18.3%増の11,752百万円、営業利益が同15.4%増の2,272百万円、経常利益が同13.4%増の2,314百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同55.5%増の1,689百万円と大幅な増収増益となり、売上高で初めて100億円を突破した。増収をけん引したのは、前期比で27.0%増と大幅増だったソーシャルサポート業務、同25.2%増のアド・プロセス業務である。利益面では、営業利益で前期比15.4%増と各利益で過去最高益を達成した。増収効果による売上総利益の増加が、5センター(大阪、東京、仙台、八王子、ベトナム)の拡張や移転を含む費用・投資を上回った形である。
2023年9月期通期の連結業績は、売上高が前期比9.5%増の12,870百万円、営業利益が同8.2%増の2,460百万円、経常利益が同8.5%増の2,510百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.2%増の1,710百万円と、売上高・営業利益ともに安定的な成長を予想する。2022年9月にリリースしたクラウド型WAFサービスを梃子に新規顧客獲得を目指すとともに、一気通貫のサービス展開により、提案機会を最大化する方針である。通期の売上高成長率は前期比9.5%増であり、過去3年間の年平均成長率21.6%と比較して抑えた予想である。また、営業利益に関しても、前期比8.2%増と、過去3年間の年平均成長率24.9%に対して低めの予想である。以上のことから、弊社では、同社予想数値は最低限の目標としての意味合いが強く、大きな波乱がない限り、売上高・各利益ともに予想を上回ってくると考えている。
3. 成長戦略
同社は、サイバーセキュリティ領域を次代の成長分野と捉えており、脆弱性診断(セキュリティ上の問題となりうる脆弱性を検査)、WAF、SOC(Security Operation Center:24時間365日サイバー攻撃検出や分析を行う)などの商品・サービスメニューを一気通貫で提供できる企業として市場開拓を進める戦略である。2022年9月、子会社であるEGセキュアソリューションズ(株)は、純国産ソフトウェア型WAF「SiteGuardシリーズ」から、新たにクラウド型WAF「SiteGuard Cloud Edition」の販売を開始した。これまでどおりの信頼と実績を持つWebセキュリティが、より簡単に、より手頃な価格(サブスクリプション)で導入できるため、ライトユーザー層を新規に取り込むことが期待できる。サイバーセキュリティ業界では、クラウド型モデルを開始しているサイバーセキュリティクラウド<4493>が上場するなど、クラウド型のビジネスモデルが注目されている。
4. 株主還元策
同社は当面、長期的な企業価値向上のため事業投資に優先配分するとともに、株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、持続的増配にも努めていく方針である。2022年9月期は1株当たり配当金が年24円(10円増配)、配当性向は14.3%と好調な業績を背景に大幅増配とし、2013年9月期から10期連続の増配を達成した。2023年9月期は1株当たり配当金26円(2円増配)、配当性向15.2%を予想する。利益の継続的な成長とともに近年は配当性向も向上しており(過去3年間で4.9ポイント上昇)、早い増配ペースが期待できる。
■Key Points
・2022年9月期は、売上高で初めて100億円を突破。売上高・営業利益ともに8年連続の2ケタ成長
・2023年9月期通期は売上高128億円、経常利益25億円を予想。総合ネットセキュリティ企業としての知名度・ブランドの向上に着手
・サイバーセキュリティ業務戦略:2022年9月にクラウド型WAFをリリース。サイバーセキュリティ業務を一気通貫でサービス提案できる強みを生かして事業拡大を目指す
・2022年9月期は大幅増配、10期連続増配を達成。利益成長と配当性向の向上により早い増配ペースが期待できる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<NS>
イー・ガーディアン<6050>は、eコマース(EC)やSNS、ソーシャルゲームの運営者向けに、監視や顧客サポートなどを中心に、サイバーセキュリティからデバッグ、運用までをワンストップで提供する総合ネットセキュリティ企業である。1998年にコンテンツプロバイダとして誕生し、インターネット業界の創成期に様々な新事業を手掛けるなか2005年に掲示板投稿監視事業に一本化し、「イー・ガーディアン株式会社」に商号変更した。2010年に東京証券取引所(以下、東証)マザーズに上場してからは、人材派遣業、デバッグ事業、ネットセキュリティコンサルティング事業、クラウド型サイバーセキュリティ事業等をM&Aで獲得し、“総合ネットセキュリティ企業”としての基盤を確立した。海外展開においてはE-Guardian Philippines(2017年設立)が拡大中であり、2021年にはE-Guardian Vietnamを設立。最近ではクラウド型セキュリティサービスの(株)グレスアベイルを子会社化し(2019年)、2020年には(株)CARTA HOLDINGS(旧 サイバー・コミュニケーションズ(株))とネット広告関連業務BPOを行う合弁会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立したほか、ソフトウェア型WAF※のNo.1企業である(株)ジェイピー・セキュアを完全子会社化するなど、新分野を強化している。2022年9月末現在でグループ会社5社、主な事業所で国内11拠点、海外2拠点を持ち、2,441名の従業員(うち臨時従業員数2,053名)を抱える企業グループとなっている。2016年9月に東証1部に昇格、2022年4月の東証再編に際してプライム市場に移行した。
※WAF:Web Application Firewallの略。Webアプリ向けの攻撃からWebサイトを保護するシステム。
1. 事業概要
売上高の主力はソーシャルサポート業務であり売上高の57.1%を占める。ゲームサポート業務(売上構成比17.7%)、アド・プロセス業務(同12.1%)、サイバーセキュリティ業務(同5.6%)が続く。その他業務はハードウェアに対するデバッグ業務などである(同7.5%)。
2. 業績動向
2022年9月期通期の連結業績は、売上高が前期比18.3%増の11,752百万円、営業利益が同15.4%増の2,272百万円、経常利益が同13.4%増の2,314百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同55.5%増の1,689百万円と大幅な増収増益となり、売上高で初めて100億円を突破した。増収をけん引したのは、前期比で27.0%増と大幅増だったソーシャルサポート業務、同25.2%増のアド・プロセス業務である。利益面では、営業利益で前期比15.4%増と各利益で過去最高益を達成した。増収効果による売上総利益の増加が、5センター(大阪、東京、仙台、八王子、ベトナム)の拡張や移転を含む費用・投資を上回った形である。
2023年9月期通期の連結業績は、売上高が前期比9.5%増の12,870百万円、営業利益が同8.2%増の2,460百万円、経常利益が同8.5%増の2,510百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.2%増の1,710百万円と、売上高・営業利益ともに安定的な成長を予想する。2022年9月にリリースしたクラウド型WAFサービスを梃子に新規顧客獲得を目指すとともに、一気通貫のサービス展開により、提案機会を最大化する方針である。通期の売上高成長率は前期比9.5%増であり、過去3年間の年平均成長率21.6%と比較して抑えた予想である。また、営業利益に関しても、前期比8.2%増と、過去3年間の年平均成長率24.9%に対して低めの予想である。以上のことから、弊社では、同社予想数値は最低限の目標としての意味合いが強く、大きな波乱がない限り、売上高・各利益ともに予想を上回ってくると考えている。
3. 成長戦略
同社は、サイバーセキュリティ領域を次代の成長分野と捉えており、脆弱性診断(セキュリティ上の問題となりうる脆弱性を検査)、WAF、SOC(Security Operation Center:24時間365日サイバー攻撃検出や分析を行う)などの商品・サービスメニューを一気通貫で提供できる企業として市場開拓を進める戦略である。2022年9月、子会社であるEGセキュアソリューションズ(株)は、純国産ソフトウェア型WAF「SiteGuardシリーズ」から、新たにクラウド型WAF「SiteGuard Cloud Edition」の販売を開始した。これまでどおりの信頼と実績を持つWebセキュリティが、より簡単に、より手頃な価格(サブスクリプション)で導入できるため、ライトユーザー層を新規に取り込むことが期待できる。サイバーセキュリティ業界では、クラウド型モデルを開始しているサイバーセキュリティクラウド<4493>が上場するなど、クラウド型のビジネスモデルが注目されている。
4. 株主還元策
同社は当面、長期的な企業価値向上のため事業投資に優先配分するとともに、株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、持続的増配にも努めていく方針である。2022年9月期は1株当たり配当金が年24円(10円増配)、配当性向は14.3%と好調な業績を背景に大幅増配とし、2013年9月期から10期連続の増配を達成した。2023年9月期は1株当たり配当金26円(2円増配)、配当性向15.2%を予想する。利益の継続的な成長とともに近年は配当性向も向上しており(過去3年間で4.9ポイント上昇)、早い増配ペースが期待できる。
■Key Points
・2022年9月期は、売上高で初めて100億円を突破。売上高・営業利益ともに8年連続の2ケタ成長
・2023年9月期通期は売上高128億円、経常利益25億円を予想。総合ネットセキュリティ企業としての知名度・ブランドの向上に着手
・サイバーセキュリティ業務戦略:2022年9月にクラウド型WAFをリリース。サイバーセキュリティ業務を一気通貫でサービス提案できる強みを生かして事業拡大を目指す
・2022年9月期は大幅増配、10期連続増配を達成。利益成長と配当性向の向上により早い増配ペースが期待できる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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