【IRアナリストレポート】日進工具(6157)

著者:鈴木 行生
投稿:2022/12/01 11:04

~超硬小径エンドミルで業界No.1、新開発センターで市場開拓を加速~

・今上期の営業利益は前年同期比-14%の減益となった。部品不足による自動車生産の影響が出ている。この傾向は下期も続こう。よって、2023年3月期の会社計画は下方修正され、営業利益で1790百万円(同-15%)を見込んでいる。半導体や電子部品の需要にも一巡感が出ている。原材料高、エネルギー高のコストアップに対して、11月より製品価格の値上げを実施している。4Qには寄与してこようが、自社努力も必要である。

・5軸マシニングセンタ用3枚刃ボールエンドミルの新製品から、「NS Connect(コネクト)」というスマホによるWebサイトとの連動を開始した。加工条件や加工事例を手軽に見ることができる。利便性が高いので、今後広げていく方向にある。

・開発面では、コーティングにおける「無限プレミアムPlus」の応用範囲を拡大している。直近では、9月に無限コーティングプレミアムPlus高硬度鋼加工用のMHDSH445(4枚刃)、MHDSH645(6枚刃)を発売した。

・新製品は、①より固いものを削る、②より長持ちする、③より高い精度を出すことが基本であり、削り刃を増やして、コーティングで摩耗を減らすという方向にある。最先端の精密加工に焦点を当てている。

・日本機械工具工業会より、2022年度の「環境特別賞」を受賞した。GHG(温暖化ガス)排出量削減の実績が評価された。仙台工場を中心とした小集団活動「オレンジFC活動」の継続が成果を上げており、生産性の向上とコスト低減に結びついている。

・9月に、米国シカゴで4年ぶりに催された工作機械展示会「IMTS2022」に出展した。自動車、メディカル、宇宙関連などの企業にアプローチした。デトロイトに設立したNS TOOL USAの活動も本格化し、現地に在庫センター機能を持たせる予定である。これまで海外売上高に占める米国の比率は6%と低かったが、今後数年で大きく伸びよう。

・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。需要が好転すれば、業績向上に弾みがついてこよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場での高収益に引き続き注目したい。

目次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 需要回復の遅れと原材料高から業績は下方修正
5.企業評価 競争力を強化し、高収益へ復帰

日進工具 <6157>
企業レーティング
株価
(2022年11月30日)
1127円
時価総額 282億円
(25百万株)
PBR 1.72倍
ROE 7.3%
PER 23.2倍
配当利回り 2.0%
総資産 18136百万円
純資産 16592百万円
自己資本比率 90.3%
BPS 656.4円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.3 7402 1481 1534 973 39.0 10.0
2016.3 8382 1914 1954 1342 53.7 12.5
2017.3 8825 2013 2026 1420 56.8 20.0
2018.3 9767 2685 2733 1903 76.1 22.5
2019.3 10476 2879 2894 1970 78.8 22.5
2020.3 9531 2219 2231 1545 61.8 22.5
2021.3 8100 1512 1712 1214 48.6 17.5
2022.3 9524 2111 2156 1522 60.9 22.5
2023.3(予) 9370 1790 1790 1210 48.6 22.5
2024.3(予) 10000 2000 2000 1360 54.6 22.5

(2022.9ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2017年1月に1:2、2021年4月に1:2の株式分割を実施。2022.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。

企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/niltusinnkougu202211.pdf

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

関連銘柄

銘柄 株価 前日比
734.0
(12/03)
-6.0
(-0.81%)