【IRアナリストレポート】アステナホールディングス(8095)

著者:鈴木 行生
投稿:2022/11/24 12:33

~医薬・ヘルスケア、ファインケミカルへ事業変革が本格化~

【ポイント】
・今2022年11月期は営業利益で前年同期比-60%減と、大幅減益になろう。要因は3つある。①CMCを担うスペラファーマの新規需要開拓が遅れ、既存分野の落ち込みをカバーできないこと、②ジェネリック薬品の製造で生産性の低下を招いたこと、③円安も含めた原料・資源・エネルギー高がコスト負担として響くことによる。

・主力の医薬品原料とジェネリック医薬品で、新たな先行投資が必要になっている。業績は来期から回復に向かうが、そのテンポは従来の計画よりも緩やかなものになろう。中長期ビジョンで目指す方向に変更はないが、具体的な実行戦略は見直しとなろう。

・中長期ビジョンAstena 2030“Diversify for Tomorrow.”では、CMC(スペラファーマ)のプラットフォームを軸に、新たなニッチトップを目指す。2020年に買収したスペラファーマをコアに、医薬品の開発・製造(CDMO)では、塗り薬に加えて注射剤分野へ展開できよう。これまでのM&Aを軸とした投資額は全体で約110億円、のれんの償却を入れても営業利益の拡大余地は大きい。

・1)抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体などAPI(有効成分)分野の強化、2)CMC研究開発受託事業の拡大、3)パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、4)シルバー世代に強みを持つ化粧品分野の広がりなどをリード役に、今後も事業投資が活発化しよう。商社から研究開発型製造機能へのシフトを進めており、製造比率は40%以上に上昇しよう。

・今期の落ち込みが大きいので、今後の回復パターンを見直す必要がある。2024年11月期までの3ヵ年計画で売上高600億円、営業利益38億円、ROE 8.9%を目標としていたが、営業利益で23億円が順当なところで、過去のピーク利益水準には復帰できよう。ビジネスモデルの変革に、新規需要が乗ってくれば、回復のピッチが早まろう。まずはPBR1.0倍が実現できるような市場開拓に注目したい。

目次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み スペラファーマ買収を機に持株会社化を推進
3.中期経営計画 新10年ビジョンで収益力の向上を目指す
4.当面の業績 先行投資が必要に
5.企業評価 画期的なビジネスモデルの変革

アステナホールディングス <8095>
企業レーティング
株価
(2022年11月22日)
426円
時価総額 174億円
(40.77百万株)
PBR 0.62倍
ROE 4.1%
PER 15.4倍
配当利回り 4.2%
総資本 62862百万円
純資産 27123百万円
自己資本比率 43.0%
BPS 683.1円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.11 55422 559 694 -143 -4.3 6.0
2016.11 55121 977 1071 8 0.3 6.0
2017.11 57387 1571 1778 1241 37.9 7.5
2018.11 60083 1849 2000 1414 43.8 10.5
2019.11 61647 2121 2318 1533 47.0 13.0
2020.11 65341 2035 1968 1983 60.3 16.0
2021.11 72322 2233 2420 1736 46.9 18.0
2022.11(予) 50000 900 1000 1100 27.6 18.0
2023.11(予) 53000 1200 1200 800 20.2 18.0

(2022.8ベース)

(注)(予)はアナリスト予想。ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2021年7月に第三者割当新株予約権によるファンナンス、発行株式数672万株(19.9%の希薄化)を完了。

企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/asutenaHD202211.pdf

(開示)日本ベル投資研究所は、事業変革に関する実態と手続きの詳細を分析するために、当社株式10000株を少数株主として中長期的に所有している。〔アナリストレポートの原則についてはこちら

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配信元: みんかぶ株式コラム

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