[資源・新興国通貨11/7~11のポイント&注目通貨]メキシコ中銀会合に注目! メキシコペソが反応しそう

著者:八代和也
投稿:2022/11/07 15:31

今週のポイント

今週(11/7- )の米ドル/カナダドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは、米ドルの動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。

市場では、12月13-14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅について0.50%と0.75%で見方が割れています。11月10日の米10月CPI(消費者物価指数)の結果を受けて、市場の見方が変化するかに注目です。0.75%の利上げ観測が強まれば、米ドルが全般的に堅調に推移しそう。米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わり、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下落圧力が加わる可能性があります。対米ドルでカナダドルや豪ドル、NZドルが下落する場合、カナダドル/円や豪ドル/円、NZドル/円は上値が重くなるかもしれません。

中国国家衛生健康委員会は11月5日、「ゼロコロナ政策を堅持する」と改めて表明。市場で浮上していた“中国はゼロコロナ政策を近く緩和する”との観測を否定しました。ゼロコロナ政策は景気の下押し要因であるため、市場では中国景気をめぐる懸念が強まるかもしれません。リスクオフ(リスク回避)の動きが強まって米ドルや円の上昇要因になる可能性があります。

メキシコペソは、10日のBOM(メキシコ中銀)政策会合が材料になりそう。会合では、今後の利上げペースについてのヒントが示されるかどうかに注目です。

今週の注目通貨ペア(1): <豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.10000NZドル>

豪ドル/NZドルは11月4日に一時1.08811NZドルへと下落し、4月28日以来、約6カ月ぶりの安値をつけました。

足もとの豪ドル/NZドル下落の主な要因として、RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策スタンスの違いが挙げられます。

RBNZは10月5日の政策会合で0.50%利上げすることを決定。市場では、次回11月23日の会合でさらに0.75%利上げするとの見方が有力です。

一方、RBAは10月の会合で利上げ幅をそれまでの0.50%から0.25%へと縮小しました。さらには、豪州のインフレが加速した(※)にもかかわらず、11月1日の会合では利上げ幅を0.25%に維持しました。市場では、次回12月6日の会合で0.25%利上げするとの見方が有力です。

(※)豪州の7-9月期CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比7.3%と、32年ぶりの高い伸びを記録し、トリム平均値は同6.1%と、03年の統計開始以降で最も高い伸びとなりました。RBAのインフレ目標は2~3%です。

豪ドル/NZドルは10月以降の下落ペースが速いため、目先はいったん反発することも考えられます。ただ、RBAとRBNZの金融政策スタンスの差を考えると、反発したとしてもいずれ再び下値を試す展開になりそうです。豪ドル/NZドルの目先のメドとして、下値が1.08248NZドル(4/25安値)、上値は200日移動平均線(4日時点で1.10036NZドル)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア(2): <メキシコペソ/円 予想レンジ:7.200円~7.800円>

11月10日にBOM(メキシコ中銀)の政策会合が開かれます。その結果がメキシコペソの動向に影響を与えそうです。

BOMは前回9月29日で0.75%の利上げを行うことを決定。政策金利を8.50%から9.25%へと引き上げました。利上げは11会合連続、0.75%の利上げは3会合連続です。

メキシコの10月前半のCPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比8.53%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同8.39%でした。総合指数の上昇率は9月前半の8.76%から鈍化したものの、BOMのインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を依然として大きく上回っており、コア指数の上昇率は9月前半の8.27%から加速しました。

インフレ圧力の強さが再確認されたことで、BOMは10日の会合で政策金利をさらに引き上げることを決定するとみられ、利上げ幅は直近3会合と同じく0.75%になりそうです。その通りの結果になれば、BOMの声明で今後の利上げペースについてのヒントが示されるかどうかに注目です。声明が利上げペース鈍化の可能性を示す内容になれば、メキシコペソが軟化しそう。メキシコペソ/円は、米ドル/円の動向にも影響を受けるものの、軟調に推移する可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想