■成長戦略
1. 成長戦略における基本方針
壽屋<7809>は中期経営計画を公表していないが、成長戦略における基本方針として1)自社IP拡充に向けた投資・育成、2)海外展開・EC機能の強化、3)サプライチェーンの拡充、4)プラモデル・フィギュアに続く新領域の確立、5)経営基盤の強化と人的資本投資の拡充、を掲げている。
1)自社IP拡充に向けた投資・育成では、美少女・ロボットカテゴリーにおいて長期的にキャラクターを投下できるシリーズを創り出し、他メディアを活用したメディアミックス展開によるビジネスモデルの確立を目指す。これらを可能にする社内外のリソース確保やケイパビリティの底上げを図る。同社が有力とする自社IPは、「フレームアームズ」「フレームアームズ・ガール」「メガミデバイス」「創彩少女庭園」「ヘキサギア」「アルカナディア」である。
2)海外展開・EC機能の強化では、海外における新たな顧客の獲得に向けて、中国や米国など海外のディストリビューターとの関係強化、インドや中南米など営業未開拓市場への流通網拡大、マーケティング活動強化、ショールーム出店、ECサイト機能拡充を図る。さらに、海外展開強化・ECサイト機能拡充を見据えた人材の採用と定着に向けて各種諸制度の整備も推進する。
3)サプライチェーンの拡充では、現在のクオリティーを維持・向上しながら、販売数量及び商品数の増加に向けて、既存の協力会社(製造工場・原型師)とのさらなる関係強化と、有力な新規取引先の開拓を進める。さらに、高品質な商品を安定的に供給できる体制の整備に取り組む。なお新規の製造工場・原型師の開拓については、地政学リスクや為替リスクなどに鑑みて、国内の製造工場も視野に入れる。
4)プラモデル・フィギュアに続く新領域の確立では、プラモデル・フィギュア開発時のデジタルデータ活用や「高品質の商品をゼロから創り出す」強みを生かして、新領域の事業分野への参入やプラモデル・フィギュアに誘引するビジネスモデルの確立を推進する。プラモデル「フレームアームズ・ガール」シリーズやプラモデル「メガミデバイス」シリーズなど、自社IP活用の領域・可能性を広げるために継続的な投資を行うとともに、グローバルで多様なパートナーとの協業によってAR・VR等デジタルコンテンツへの転用や他社へのライセンス供与も推進する。特に、メタバース関連事業参入に向けてパートナー開拓や商品開発に着手する方針としている。
5)経営基盤の強化と人的資本投資の拡充では、経営管理の高度化(管理指標集計の自動化・効率化)を見据えた基幹系システムのリプレイス、ECサイトや開発環境におけるセキュリティレベルの向上、階層別・職種別・テーマ別育成プログラムの整備、これら育成システムに連動する新人事制度導入による人的資本投資の拡充を推進する。
同社は、他社IP製品と自社オリジナルIP製品の強化・拡大を推進するとともに、現在のフィギュアやプラモデルにとどまらず、より大きなフィールドとしてエンターテインメント分野全般を扱う企業を目指すとしている。そして、アバターやデジタルフィギュアなどVR・AR等の技術を活用して、新たな「遊び」を創造するデジタル事業への展開を推進する方針だ。エンターテインメント市場においては今後、VR・AR等の技術によってデジタル化の進展が加速することが予想される。同社にとっても新たな「遊び」の創造を推進することよって、事業領域が大いに広がる可能性が高まるだろう。このような積極的な事業展開によって同社の中長期成長を期待したい。
VR・AR技術と連携
2. VR・AR技術と連携させた新商品・新サービス
2020年11月には、新たな事業領域として、VR・AR等の技術と連携させた新しい商品・サービスをパートナー企業との協業によって提供し、新たな「遊び」を創造するデジタル事業を展開すると発表している。VR分野では、VR空間の衣・食・住のうち衣の分野の「アバター」を開発する。AR分野では、(株)Gugenkaが提供するAR技術と連携し、好きな場所に3DCGで作られたデジタルフィギュアを飾れるアプリケーション「HoloModels」で提供する。
なおアバター関連としては、2019年12月に「アバターちゃん」シリーズで3Dアバターに参入し、2022年3月にはファッション機能を充実させたハイエンド3Dアバターブランド「サバンナストリート」シリーズを発売し、2022年6月には初心者向けアバターとして「プレタコンポジッタ」シリーズを発売した。今後も多様なニーズに向き合った商品ラインナップを展開する方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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1. 成長戦略における基本方針
壽屋<7809>は中期経営計画を公表していないが、成長戦略における基本方針として1)自社IP拡充に向けた投資・育成、2)海外展開・EC機能の強化、3)サプライチェーンの拡充、4)プラモデル・フィギュアに続く新領域の確立、5)経営基盤の強化と人的資本投資の拡充、を掲げている。
1)自社IP拡充に向けた投資・育成では、美少女・ロボットカテゴリーにおいて長期的にキャラクターを投下できるシリーズを創り出し、他メディアを活用したメディアミックス展開によるビジネスモデルの確立を目指す。これらを可能にする社内外のリソース確保やケイパビリティの底上げを図る。同社が有力とする自社IPは、「フレームアームズ」「フレームアームズ・ガール」「メガミデバイス」「創彩少女庭園」「ヘキサギア」「アルカナディア」である。
2)海外展開・EC機能の強化では、海外における新たな顧客の獲得に向けて、中国や米国など海外のディストリビューターとの関係強化、インドや中南米など営業未開拓市場への流通網拡大、マーケティング活動強化、ショールーム出店、ECサイト機能拡充を図る。さらに、海外展開強化・ECサイト機能拡充を見据えた人材の採用と定着に向けて各種諸制度の整備も推進する。
3)サプライチェーンの拡充では、現在のクオリティーを維持・向上しながら、販売数量及び商品数の増加に向けて、既存の協力会社(製造工場・原型師)とのさらなる関係強化と、有力な新規取引先の開拓を進める。さらに、高品質な商品を安定的に供給できる体制の整備に取り組む。なお新規の製造工場・原型師の開拓については、地政学リスクや為替リスクなどに鑑みて、国内の製造工場も視野に入れる。
4)プラモデル・フィギュアに続く新領域の確立では、プラモデル・フィギュア開発時のデジタルデータ活用や「高品質の商品をゼロから創り出す」強みを生かして、新領域の事業分野への参入やプラモデル・フィギュアに誘引するビジネスモデルの確立を推進する。プラモデル「フレームアームズ・ガール」シリーズやプラモデル「メガミデバイス」シリーズなど、自社IP活用の領域・可能性を広げるために継続的な投資を行うとともに、グローバルで多様なパートナーとの協業によってAR・VR等デジタルコンテンツへの転用や他社へのライセンス供与も推進する。特に、メタバース関連事業参入に向けてパートナー開拓や商品開発に着手する方針としている。
5)経営基盤の強化と人的資本投資の拡充では、経営管理の高度化(管理指標集計の自動化・効率化)を見据えた基幹系システムのリプレイス、ECサイトや開発環境におけるセキュリティレベルの向上、階層別・職種別・テーマ別育成プログラムの整備、これら育成システムに連動する新人事制度導入による人的資本投資の拡充を推進する。
同社は、他社IP製品と自社オリジナルIP製品の強化・拡大を推進するとともに、現在のフィギュアやプラモデルにとどまらず、より大きなフィールドとしてエンターテインメント分野全般を扱う企業を目指すとしている。そして、アバターやデジタルフィギュアなどVR・AR等の技術を活用して、新たな「遊び」を創造するデジタル事業への展開を推進する方針だ。エンターテインメント市場においては今後、VR・AR等の技術によってデジタル化の進展が加速することが予想される。同社にとっても新たな「遊び」の創造を推進することよって、事業領域が大いに広がる可能性が高まるだろう。このような積極的な事業展開によって同社の中長期成長を期待したい。
VR・AR技術と連携
2. VR・AR技術と連携させた新商品・新サービス
2020年11月には、新たな事業領域として、VR・AR等の技術と連携させた新しい商品・サービスをパートナー企業との協業によって提供し、新たな「遊び」を創造するデジタル事業を展開すると発表している。VR分野では、VR空間の衣・食・住のうち衣の分野の「アバター」を開発する。AR分野では、(株)Gugenkaが提供するAR技術と連携し、好きな場所に3DCGで作られたデジタルフィギュアを飾れるアプリケーション「HoloModels」で提供する。
なおアバター関連としては、2019年12月に「アバターちゃん」シリーズで3Dアバターに参入し、2022年3月にはファッション機能を充実させたハイエンド3Dアバターブランド「サバンナストリート」シリーズを発売し、2022年6月には初心者向けアバターとして「プレタコンポジッタ」シリーズを発売した。今後も多様なニーズに向き合った商品ラインナップを展開する方針としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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