■業績動向
1. 2022年12月期第2四半期の連結業績
サカタインクス<4633>の2022年12月期第2四半期の連結業績(収益認識会計基準適用も、損益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比16.8%増の103,533百万円、営業利益が同59.8%減の2,028百万円、経常利益が同57.2%減の2,503百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同40.6%減の2,400百万円となった。売上面では、インキ販売数量の増加、機能性材料の拡販、販売価格の改定、為替の円安効果などにより2ケタ増収となった。利益面では、想定以上の原材料価格高騰や米州及び欧州における人件費・物流費・ユーティリティコストの上昇に販売価格改定が追いつかず、各利益は大幅減益となった。売上総利益は前年同期比3.4%減となり、売上総利益率は18.4%となり同3.9ポイント低下した。販管費は同16.0%増加したが、販管費比率は16.5%となり同0.1ポイント低下した。営業外収益では持分法投資利益が211百万円減少し、東洋インキSCホールディングスとの資本提携解消に伴い、特別利益として投資有価証券売却益1,442百万円を計上した。
売上高及び営業利益の要因別増減額は以下のとおりである。営業利益(前年同期比30.2億円減益)の要因別増減を見ると、増益要因はインキ単価で64.7億円、インキ数量で10.2億円、機材で0.6億円、為替で1.6億円、減益要因はインキコストで104.3億円、機能性材料で1.0億円、その他で0.4億円、調整額で1.6億円となった。販売価格改定を進めたが、コスト上昇に追いつかなかった。
なお、期中平均為替レートは1USドル=122.89円(前年同期は1USドル=107.69円)で、為替換算影響排除後ベースでは売上高は8.1%増収、営業利益が62.9%減益、経常利益が59.5%減益、親会社株主に帰属する四半期純利益が42.5%減益となった。また、前回予想(2022年5月13日付で親会社株主に帰属する四半期純利益を1,000百万円上方修正して、売上高96,800百万円、営業利益2,700百万円、経常利益3,350百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益3,200百万円)との比較で見れば、売上高は7.0%上回ったものの、営業利益は24.9%、経常利益は25.3%、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.0%それぞれ下回った。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が49,008百万円で営業利益が1,495百万円、第2四半期は売上高が54,525百万円で営業利益が533百万円となった。経済活動活発化に伴う需要増と拡販、価格改定に加えて、為替の円安進行(第1四半期は1USドル=116.20円、第2四半期は1USドル=129.57円)も寄与して売上高は増加基調だが、原材料価格や諸経費(物流費・人件費など)のさらなる上昇により、営業利益は第2四半期に大きく落ち込む形となった。
2. セグメント別動向
(1) 印刷インキ・機材(日本)
印刷インキ・機材(日本)は売上高が前年同期比2.0%増の24,918百万円、営業利益が80.0%減の164百万円となった。売上面は、広告需要低迷やデジタル化進展などで新聞・オフセットインキが減少し、印刷製版用材料・機械販売も低調となったが、内食需要拡大やコンビニ需要回復などで軟包材用グラビアインキが増加、加工食品や青果物の需要拡大で段ボール用フレキソインキが増加、紙袋の需要回復で紙袋用フレキソインキが増加し、販売価格改定も寄与して増収となった。利益面は、新聞・オフセットインキの減少や原材料価格高騰の影響で減益となった。
(2) 印刷インキ(アジア)
印刷インキ(アジア)は売上高が前年同期比22.6%増の22,241百万円、営業利益が同58.8%減の502百万円となった。売上面は、中国が上海ロックダウンの影響で減少したが、インドネシアやベトナムなどで主力のパッケージ関連グラビアインキの拡販が進み、インドにおける印刷情報関連もコロナ禍による落ち込みからの回復が続いた。全体として販売数量増加、販売価格改定効果、円安効果などで大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰に販売価格改定が追いつかず大幅減益となった。
(3) 印刷インキ(米州)
印刷インキ(米州)は売上高が前年同期比34.7%増の35,490百万円、営業利益が同59.9%減の659百万円となった。売上面は、旺盛な需要も背景として、環境配慮型製品を中心とするパッケージ関連(フィルム用フレキソ・グラビアインキ、紙器用途UVオフセットインキ)や、環境負荷軽減などを背景とするアルミ缶需要の高まりで缶用メタルインキの拡販が進展した。全体として販売数量増加、販売価格改定効果、円安効果などで大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰、さらに人件費・物流費の上昇に販売価格改定が追いつかず大幅減益となった。
(4) 印刷インキ(欧州)
印刷インキ(欧州)は売上高が前年同期比17.1%増の9,372百万円、営業利益が347百万円の損失(前年同期は47百万円の利益)となった。売上面は、環境配慮型製品を中心とするパッケージ関連(フィルム用フレキソ・グラビアインキ、紙器用途UVオフセットインキ)や、環境負荷軽減などを背景とするアルミ缶需要の高まりで缶用メタルインキの拡販が進展した。全体として販売数量増加、販売価格改定効果、円安効果などにより大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰、さらに人件費・物流費・ユーティリティコストの上昇に販売価格改定が追いつかず大幅減益となった。
(5) 機能性材料
機能性材料は売上高が15.0%増の前年同期比7,768百万円、営業利益が同8.6%減の847百万円となった。カラーフィルター用顔料分散液がパネルディスプレイの需要減の影響で減少したが、コロナ禍からの広告需要・オフィス需要の回復でインクジェットインキやトナーの販売数量が増加した。トナーは欧米での拡販も寄与した。さらに販売価格改定効果や円安効果も寄与して大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰の影響で減益となった。ただし高付加価値製品の拡販効果などで、減益幅が他のセグメントに比べて小幅にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<YM>
1. 2022年12月期第2四半期の連結業績
サカタインクス<4633>の2022年12月期第2四半期の連結業績(収益認識会計基準適用も、損益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比16.8%増の103,533百万円、営業利益が同59.8%減の2,028百万円、経常利益が同57.2%減の2,503百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同40.6%減の2,400百万円となった。売上面では、インキ販売数量の増加、機能性材料の拡販、販売価格の改定、為替の円安効果などにより2ケタ増収となった。利益面では、想定以上の原材料価格高騰や米州及び欧州における人件費・物流費・ユーティリティコストの上昇に販売価格改定が追いつかず、各利益は大幅減益となった。売上総利益は前年同期比3.4%減となり、売上総利益率は18.4%となり同3.9ポイント低下した。販管費は同16.0%増加したが、販管費比率は16.5%となり同0.1ポイント低下した。営業外収益では持分法投資利益が211百万円減少し、東洋インキSCホールディングスとの資本提携解消に伴い、特別利益として投資有価証券売却益1,442百万円を計上した。
売上高及び営業利益の要因別増減額は以下のとおりである。営業利益(前年同期比30.2億円減益)の要因別増減を見ると、増益要因はインキ単価で64.7億円、インキ数量で10.2億円、機材で0.6億円、為替で1.6億円、減益要因はインキコストで104.3億円、機能性材料で1.0億円、その他で0.4億円、調整額で1.6億円となった。販売価格改定を進めたが、コスト上昇に追いつかなかった。
なお、期中平均為替レートは1USドル=122.89円(前年同期は1USドル=107.69円)で、為替換算影響排除後ベースでは売上高は8.1%増収、営業利益が62.9%減益、経常利益が59.5%減益、親会社株主に帰属する四半期純利益が42.5%減益となった。また、前回予想(2022年5月13日付で親会社株主に帰属する四半期純利益を1,000百万円上方修正して、売上高96,800百万円、営業利益2,700百万円、経常利益3,350百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益3,200百万円)との比較で見れば、売上高は7.0%上回ったものの、営業利益は24.9%、経常利益は25.3%、親会社株主に帰属する四半期純利益は25.0%それぞれ下回った。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高が49,008百万円で営業利益が1,495百万円、第2四半期は売上高が54,525百万円で営業利益が533百万円となった。経済活動活発化に伴う需要増と拡販、価格改定に加えて、為替の円安進行(第1四半期は1USドル=116.20円、第2四半期は1USドル=129.57円)も寄与して売上高は増加基調だが、原材料価格や諸経費(物流費・人件費など)のさらなる上昇により、営業利益は第2四半期に大きく落ち込む形となった。
2. セグメント別動向
(1) 印刷インキ・機材(日本)
印刷インキ・機材(日本)は売上高が前年同期比2.0%増の24,918百万円、営業利益が80.0%減の164百万円となった。売上面は、広告需要低迷やデジタル化進展などで新聞・オフセットインキが減少し、印刷製版用材料・機械販売も低調となったが、内食需要拡大やコンビニ需要回復などで軟包材用グラビアインキが増加、加工食品や青果物の需要拡大で段ボール用フレキソインキが増加、紙袋の需要回復で紙袋用フレキソインキが増加し、販売価格改定も寄与して増収となった。利益面は、新聞・オフセットインキの減少や原材料価格高騰の影響で減益となった。
(2) 印刷インキ(アジア)
印刷インキ(アジア)は売上高が前年同期比22.6%増の22,241百万円、営業利益が同58.8%減の502百万円となった。売上面は、中国が上海ロックダウンの影響で減少したが、インドネシアやベトナムなどで主力のパッケージ関連グラビアインキの拡販が進み、インドにおける印刷情報関連もコロナ禍による落ち込みからの回復が続いた。全体として販売数量増加、販売価格改定効果、円安効果などで大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰に販売価格改定が追いつかず大幅減益となった。
(3) 印刷インキ(米州)
印刷インキ(米州)は売上高が前年同期比34.7%増の35,490百万円、営業利益が同59.9%減の659百万円となった。売上面は、旺盛な需要も背景として、環境配慮型製品を中心とするパッケージ関連(フィルム用フレキソ・グラビアインキ、紙器用途UVオフセットインキ)や、環境負荷軽減などを背景とするアルミ缶需要の高まりで缶用メタルインキの拡販が進展した。全体として販売数量増加、販売価格改定効果、円安効果などで大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰、さらに人件費・物流費の上昇に販売価格改定が追いつかず大幅減益となった。
(4) 印刷インキ(欧州)
印刷インキ(欧州)は売上高が前年同期比17.1%増の9,372百万円、営業利益が347百万円の損失(前年同期は47百万円の利益)となった。売上面は、環境配慮型製品を中心とするパッケージ関連(フィルム用フレキソ・グラビアインキ、紙器用途UVオフセットインキ)や、環境負荷軽減などを背景とするアルミ缶需要の高まりで缶用メタルインキの拡販が進展した。全体として販売数量増加、販売価格改定効果、円安効果などにより大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰、さらに人件費・物流費・ユーティリティコストの上昇に販売価格改定が追いつかず大幅減益となった。
(5) 機能性材料
機能性材料は売上高が15.0%増の前年同期比7,768百万円、営業利益が同8.6%減の847百万円となった。カラーフィルター用顔料分散液がパネルディスプレイの需要減の影響で減少したが、コロナ禍からの広告需要・オフィス需要の回復でインクジェットインキやトナーの販売数量が増加した。トナーは欧米での拡販も寄与した。さらに販売価格改定効果や円安効果も寄与して大幅増収となった。利益面は、原材料価格高騰の影響で減益となった。ただし高付加価値製品の拡販効果などで、減益幅が他のセグメントに比べて小幅にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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