LeTech、大型案件処分により減収減益 第三者割当増資の資金調達によって物件開発を加速させ業績回復を図る
目次
平野哲司氏(以下、平野):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の平野です。株式会社LeTechの2022年7月期決算概況、および2023年7月期の見通しに関する説明会を始めます。
今回は新型コロナウイルス感染拡大に備え、感染リスクを低下させるためウェビナーでの決算説明会とさせていただいております。本日は、スライドの3項目についてご説明していきます。
会社概要
LeTechの会社概要です。当社は2000年に創業し、2018年に東証マザーズ市場、現在のグロース市場に上場しました。昨年、商号を株式会社リーガル不動産から株式会社LeTechに変更し、マネジメントについてはスライドで紹介している4名の取締役で行っています。
LeTechの特徴・強み
特徴・強みは、変わることのない、我々にとって力の源泉と考えているところです。すなわち、法的知識に基づく柔軟かつ迅速な企画・開発力、総合不動産デベロッパーとしてのハイブリッドな事業戦略、またDXの推進による高い公共性、利便性、迅速性などといった新たな価値を創造しています。
地域、用途、規模に関わらず、不動産価値を最大化・最適化させる提案力と、大阪・東京それぞれの事業環境を見極めた最適な事業戦略、そして変化する事業環境に対して自らも変化させる柔軟性を強みとしています。
事業概要(セグメント区分別)
事業概要は不動産事業を中心として、ソリューション、賃貸、その他事業の3つのセグメント事業を展開しています。
事業領域
DXの推進により、ソリューション・賃貸・その他の事業セグメントを各事業領域へ拡大しています。
YANUSY事業の概要
YANUSY事業を3つのセグメントの根本として、真ん中に据えるというコンセプトに会社を作り変えているところです。
LEGAL SOLUTION事業
LEGAL SOLUTION事業もスライドのとおり逐次展開しています。
OTHERS
その他事業についても逐次展開しています。
2022年7月期 決算ハイライト
2022年7月期の決算概況です。2022年7月期の主なトピックとしては、「LEGALAND」10棟のバルク販売契約の締結や、新ブランド「LEGALAND+」の第1棟目の竣工、そしてインバウンド向けの大型開発案件を処分しました。
このインバウンド向け大型開発案件の売却損として28億3,600万円を計上しました。多額の売却損の計上により、当期純損失は46億8,800万円となり、残念ながら創業以来初の赤字決算となりました。有利子負債を大幅に圧縮したものの、当期純損失の計上により、自己資本比率が0.3パーセントに減少しました。その一方で、経費を圧縮し、販管費全体で前期比で6億9,400万円削減しました。
「LEGALAND」10棟のバルク販売契約を締結
すでに主なトピックの1つとしてお伝えしていますが、2022年2月に我々は、「LEGALAND」10棟のバルク販売契約を締結しました。主力商品である「LEGALAND」シリーズは、引き続きマーケットから高く評価されています。
このうち2物件は、すでに2022年7月期に売上計上しています。2022年7月期の「LEGALAND」販売件数は9棟で、バルク販売以外でも着実に販売件数を伸ばしています。
新ブランド『LEGALAND+』 第1棟目が竣工
先ほど触れた新ブランド「LEGALAND+」の第1棟目が竣工したわけですが、同シリーズはこれまでの「LEGALAND」の良さを引き継ぎつつ、モダニズム建築の次の一手を担うべく、IoTを含むさまざまなプラスワンを吹き込んでいます。
1棟目となった「LEGALAND+ 難波南」は、すべての居住空間がインターネットにつながるなど、ライフスタイルがさらにスマートになるというのがコンセプトです。IoTとポータルアプリを一体化することで、居住者にとってより住みやすい物件に仕上がりました。
2022年7月期 実績サマリー
実績のサマリーです。売上高は2021年7月期に介護事業を譲渡したため、前年同期比で減収となりました。そしてインバウンド向け大型開発案件の売却損28億3,600万円を計上したことで、各段階利益が大きく減益となっています。
2022年7月期 セグメントの状況
セグメント別の状況です。不動産ソリューション事業は、「LEGALAND」の販売を着実に積み重ねることができました。しかし、大型開発案件の売却損により前年同期比で増収減益となりました。
不動産賃貸事業は長期的な収益の引き合いの状況を考慮し、不動産物件を売却しました。それによって保有物件が減少したため、賃料収入が減収し、セグメント利益も減益となっています。
その他の事業は、前事業年度末に介護事業を事業譲渡したため、売上のボリュームが減少し、前年同期比で減収減益となりました。
2022年7月期 経常利益の増減要因分析
2022年7月期の経常利益の増減要因です。不動産ソリューション事業の大型開発案件処分の影響により、前年同期比で減益というところからのスタートとなります。
さらに賃貸事業、その他事業についても減益となりましたが、人件費、経費、販売管理費等の削減を積極的に進めたため、販管費は6億9,400万円減少、そしてその他金融支出等の減少もあり、2022年7月期の経常利益はマイナス39億5,700万円となっています。
2022年7月期 財務状況
2022年7月期の財務状況については、大型開発案件の処分により有利子負債は減少しましたが、自己資本比率は0.3パーセントに低下しました。なお、2022年9月30日、第三者割当増資実行により純資産は30億円増加する予定です。
コアブランド:LEGALANDの開発実績
我々のコアブランド「LEGALAND」シリーズの開発実績も100棟近くになっており、富裕層の方や、大手外資系ファンドからも高い評価をいただきながら販売実績を伸ばしています。
案件種類・販売先別売上高構成比
2022年7月期の案件種類・販売先別売上高の構成比です。開発物件の売却が12件で構成比は約33パーセントで、既存物件のバリューアップ・その他は16件です。合計28件のうち「LEGALAND」が9件で、約23パーセントが「LEGALAND」の売上となっています。
地域別売上高構成比
地域別売上高です。大型開発案件を処分したことで、大阪の売上に占める構成比は72.5パーセントになり、かなり大きい比率を占めました。今期以降は、この比率が五分五分に近づくと見込んでいます。
不動産賃貸事業:物件種類別保有内訳
不動産賃貸事業です。現在収益物件を13棟保有し、賃料収入を得ています。いずれも高稼働で推移しています。
不動産賃貸事業:FM事業・PM事業の状況
FM(ファシリティマネジメント)事業およびPM(プロパティマネジメント)事業の状況です。賃貸セグメントの中のFM事業では、不動産物件の原状回復工事やリノベーション工事業を展開をしています。
2022年7月期は、前年比で受注件数が増加したものの、売上高は微減となりました。新型コロナウイルスの影響により、オーナーさまからの経費削減の要請に応じ、一件当たりの工事ボリュームが下がったことで、売上高が下がったという状況です。
PM事業は2021年7月期より、収益不動産の管理事業の拡充を目指し、専門部門として立ち上げました。2022年7月期は順調に管理受託件数を伸ばしており、売却後の「LEGALAND」も管理受託を行うことで、不動産ソリューション事業との循環効果を生んでいます。
2023年7月期の事業方針
2023年7月期の見通しです。
今期の事業方針として、早期に業績の回復および財務安全性を高めることに注力し、3つの戦略テーマを中心に事業を進めていきます。収縮と転換、多極化、事業ポートフォリオの最適化という戦略テーマをもとに、コロナ禍でも堅調な「LEGALAND」をマーケットリーダーへ押し上げていきます。
東京都心10区などの重点エリアの物件を積極的に購入していきます。大阪・東京以外の都市圏でも、マーケット動向を注視しながら機動的な営業戦略を駆使し、優良物件を購入して収益率を高めていきます。インバウンド減少の影響を受けたホテル物件の処分、不動産DXの収益化によって利益の下支えを展開し、不動産事業の拡大を支援していきます。
資本業務提携契約の締結
2022年8月29日に、株式会社キーストーン・パートナースとの資本業務提携契約を締結しました。第三者割当増資により、総額30億円の資金調達を予定しています。本資金調達は9月26日の臨時株主総会決議を前提とし、9月30日を払込予定としています。
キーストーン・パートナースとの間では、投資案件情報の紹介や、共同投資、ファイナンスサポート、投資家の紹介などの領域でパートナーシップを結び、共に成長発展できるよう、手を携えて事業を展開していきたいと考えています。
2023年7月期 損益計算書
2023年7月期の損益計算書です。2023年7月期は黒字化を絶対目標としながら、翌期以降に向けた商品作りを進めていきます。第三者割当増資による調達資金は「LEGALAND」を主体とした不動産開発に充当します。
観光関連マーケットは徐々に回復しています。円安等の動向もあり、海外投資家も活発に動き出しています。ホテル物件は2023年7月期中に売却する計画を進めています。
財務基盤の強化・自己資本の推移
2022年9月30日に予定する第三者割当増資によって、自己資本比率を回復させます。2023年7月期は有利子負債の圧縮や、期間利益の蓄積によって財務基盤の安定化を図ります。
2023年7月期は、自己資本比率16パーセントを目指します。キーストーン・パートナースとさまざまな資金調達の方法を検討しながら、早期に自己資本比率20パーセントを達成していきます。
LEGALAND開発の加速
柱である「LEGALAND」シリーズの開発を加速させます。2023年7月期は「LEGALAND」12棟の売却、売上総額72億円を目標としています。不動産開発における諸経費の支払いに第三者割当増資による調達資金を充当し、「LEGALAND」を主体とした翌期以降の資産作り、在庫作りを加速させていきます。
そして、キーストーン・パートナースのファイナンスサポートにより、資金調達のコスト改善を行います。これは利益率、収益性の向上に寄与するものと確信しています。
大手デベロッパーとの共同事業の促進
大手デベロッパーとの共同事業も実績を積み重ねています。引き続きこのような共同事業を積極的に進めていき、開発リスクの分散と裾野の拡大を行う考えです。大阪地盤の企業として、特に関西圏で共同事業が進行中です。情報網を活用しながら、協業先との関係を強化していきます。
例えばサンヨーホームズと「LEGALAND+京町堀」の開発を行っています。関電不動産開発との共同事業である「シエリア茨木西中条」「シエリア茨木東中条」も、現在好評分譲中です。
PM事業推進による循環型事業
PM事業による循環型事業も、さらに拡大していかなければなりません。「LEGALAND」を中心とした、当社が開発後に販売した物件でも、売却後の管理業務を受託することで、販売して終了ではなく継続的な管理収入を獲得し、循環型事業を構築していきます。これにより強固なストックビジネスを積み上げていく計画です。
特に「LEGALAND」においては、過去売却物件及び2023年の7月期売却物件に対する管理業務の受注がすでに見込まれているため、さらなる拡大を図っていけると考えています。
YANUSY/原状回復業務DX
当社が開発するポータルサイト「YANUSY」についてご説明します。「YANUSY」のノウハウを積み上げ、業界ガイドライン準拠のAI機能を実装した原状回復工事用の業務DXを開発し、サービスを展開するべく作業を進めています。
業界ガイドライン準拠での借主負担額の自動判定、エリアや管理会社等ごとに対応した見積、レポートの自動生成など、さまざまなサービスを提供できるよう開発を進めています。
YANUSY/富裕層向け不動産プラットフォーム
新しく富裕層向けの不動産プラットフォームを構築し、IFA法人、士業の方々にサービスを開放していきます。大手IFAのファーストパートナーズと事業提携し、不動産プラットフォームの開発に着手しました。今秋からトライアルサービスを稼働させ、年内に本格的にサービスをスタートさせていく予定です。
プラットフォームの提供価値として、不動産会社はマーケットに流通していない売却物件情報を入手できます。また、IFAが有する超富裕層・富裕層との接点の獲得が可能になります。つまりプラットフォームの利用により、新たなマーケットの提供が可能になるということです。
富裕層の方々にとっては、複数の不動産会社の提案を比較・選択できるサービスになります。提案する不動産会社や担当者の実力、実績などの評価を可視化することで、不動産取引が透明化され、大きな価値を提供できると考えています。
YANUSY事業の進展
YANUSY事業はスタート以来着々と進展し、会員数もすでに1万2,000名を超えています。これだけ多くの会員の方々にさまざまなサービスを開発・提供していくことが「YANUSY」の使命だと思っています。
サステナビリティ活動
社会活動にも目を向け、色々なかたちで地域や将来の世代につなげていこうという取り組みも行ってきています。
以上で、株式会社LeTech2022年7月期決算概況および2023年7月期の見通しに関する説明会を終了させていただきます。みなさま、ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:増資資金を活用した用地取得について
質問者:2023年7月期に売却を見込んでいる「LEGALAND」の販売売上のうち、増資資金を活用してこれから用地取得を行う案件はあるのでしょうか?
平野:2023年7月期の売上に含まれる「LEGALAND」の売上は12棟ありますが、これらはすでに開発中の物件のため、用地の取得は終わっています。増資資金を活用するということであれば、それで用地取得を積極的に進めるのですが、「LEGALAND」の開発期間は概ね1年半から2年程度ですので、来期以降の売上に寄与することになると思います。
質疑応答:目標の件数に対して売上高が伸びている要因について
質問者:2023年7月期は「LEGALAND」が12件と、72億円の目標の件数に対して売上高が伸びていますが、要因は何でしょうか?
平野:今期については「LEGALAND」と、先ほどご説明した「LEGALAND+」がけっこう大きめのサイズのものでして、こちらの売却も計画に組み込んでいます。したがって、その1つ1つに比較的大型の案件が複数含まれており、1件当たりの売上高が上がっているという結果です。
質疑応答:大阪エリアの売上の推移について
質問者:2022年7月期実績は大阪エリアの売上が7割ですが、今後もこのように推移するのでしょうか?
平野:大型開発案件の処分を行いましたので、前期の2022年7月期については、構成比が少しいびつになりました。1案件の売上のボリュームが非常に大きいものだったため、大阪エリアでの売上増加になっています。ちなみに、今期はだいたい半々ぐらいです。来期、再来期と進む中で、「LEGALAND」の開発推進を強めていきますので、東京のウェイトが増加すると見ています。
質疑応答:「LEGALAND」の売却件数について
質問者:2022年7月期は「LEGALAND」は9件の販売、翌期は12件の予定ですが、年々「LEGALAND」の売却が増えていくのでしょうか? また、業績が好調だった頃はどのくらいだったのでしょうか?
平野:基本的に東京では「LEGALAND」の販売数を増やしていきたいということで進めています。しかしながら、マーケットの状況によっては、販売を抑えるシチュエーションもあるかもしれません。ですので、常にマーケットの状況を注視するということは必要かと思っています。販売実績については、過去も年間10件くらいの販売をしてきていますので、安定した収益源になっています。
質疑応答:「YANUSY」事業の成果の見通しについて
質問者:社名変更を行いました。不動産テック企業として「YANUSY」事業を推進していると理解していますが、具体的な成果の見通しはあるのでしょうか?
平野:「YANUSY」のプラットフォームでは、先ほどご説明したいくつかのマネタイズを本格化していこうと思っており、今期から実際に少しずつ事業化を図っていきます。当面はパートナー企業への送客ビジネスや、1万2,000人を超えたとお伝えした「YANUSY」の会員向けの不動産の開発コンサルや仲介からスタートしていきます。
並行して会員向けのサービスも順次開発を進めており、プラットフォーム全体としての価値を高めていく計画です。先ほどご説明したようなサービスを近々リリースする予定にしており、詳細はまた別途公表するつもりですので、少しお待ちいただきたいと思っています。
質疑応答:不動産プラットフォームの提供について
質問者:8月に社外公表された不動産プラットフォームはいつどのように提供されるのでしょうか?
平野:先ほど少しご説明しましたが、ほぼ開発を終了しつつあり、今月か来月にはこのプラットフォームのトライアル利用をスタートさせることができそうです。トライアルの段階では、7名のIFAに参画していただき、サービスについて検証します。
すでにIFA経由で10件、総額40億円規模の不動産の売却依頼をいただいています。このプラットフォームを年内に本格的にスタートさせて、80名のIFAに参画していただき、大手の仲介会社をはじめ、不動産仲介業界のパートナー企業にも魅力を感じていただけるのではないかと思っています。
来年の3月から4月ぐらいまでにはプラットフォームとしての機能や、いろいろなものをしっかり検証し確立して、さらに多くのパートナーや「YANUSY」会員にも機能を広げ、大きなビジネスに育てていきたいと考えていますので、ぜひ期待していただきたいと思います。
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