■スカラ<4845>の今後の見通し
(4) EC事業
EC事業の売上収益は前期比14.8%増の1,900百万円、営業利益は同12.9%増の270百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。新たな取り組みとして、強固なセキュリティを完備したパスワードレスログインソリューションや、Android端末向けアプリの開発を進めている。また、買取査定や発送処理の生産性向上につながる、ディープラーニング技術を活用した画像認識機能の本格導入に向けたテストも実施している。これらの取り組みによって、会員数の拡大と収益性の向上を図っていく。会員数については、2022年6月期の188千人から2023年6月期に250千人、2025年6月期には400千人と、トレーディングカードゲームのECショップ最大手としてさらなる成長を目指す。
事業規模の拡大に向けては、リアル店舗の開設も検討しているようだ。リアル店舗ではメーカーから直接トレーディングカードを仕入れることができ、品揃えが充実し販売機会の増大が見込めるためだ。また、将来的には、同社グループの教育コンテンツに関連したカードゲームの制作についても視野に入れている。
(5) 保険事業
保険事業の売上収益は前期比198.4%増の1,350百万円、営業損失は140百万円(前期は28百万円の損失)を見込んでいる。通年で寄与することから売上収益は前期比増収となるが、契約件数の増加を背景に前年同期比でも増収となる見通しだ。一方、営業損失については前年同期比で縮小する計画となっている。運用効率化に向けてのシステムを導入するなどにより生産性の向上につなげ、2024年6月期中に単月ベースでの黒字化を予定している。
(6) 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業の売上収益は前期比166.1%増の550百万円、営業損失は210百万円(前期は866百万円の損失)を見込む。売上収益については、「逆プロポ」及び新たに立ち上げた「逆プロポ」派生サービス(コンシェルジュ、ツアー、Learning)が売上貢献するほか、同社が持つM&Aのノウハウを生かした新サービスの寄与を予定している。利益面では損失が続くものの、先行費用が減少し一時費用もなくなることから、損失額は縮小する計画となっている。
「逆プロポ」については、2020年11月のサービス開始以降、認知度も向上してきたことから募集企業や参画自治体も徐々に増加している。2023年6月期のマッチング成約件数は前期比9件増の15件、マッチングをきっかけとする受託案件は前期並みの3件程度を予定している。企業と自治体が協働して社会課題の解決に取り組むプロジェクトは今後も増加する見通しであることから、「逆プロポ」をマッチングプラットフォームとしてさらに強化し、2025年6月期にマッチング成約件数30件、マッチングをきっかけとする受託案件数30件、マッチングした地方公共団体数100団体(延べ数)を目指す。
直近のトピックスとしては、2022年4月に、「逆プロポ」の派生サービスとして「逆プロポ・コンシェルジュ」をローンチした。公民連携に関して自治体が抱えている困り事を担当のコンシェルジュが聞き、課題解決に積極的な企業※と情報連携することで課題を解決に導く。自治体が自前で公民連携課などを設置する場合と比較し、20分の1から50分の1のコストに低減できる。2022年7月には、静岡県磐田市から磐田市首都圏連携コーディネーター業務を受託するなど、早速実績も出ている。
※ソーシャル・エックスの代表取締役2名が虎ノ門インキュベーションセンターARCHのメンターを務めており、そこに集う大企業100社の新規事業開発部門へ情報発信をし、プロジェクトデザインなど企業とのリアルなつながりを提供する。
また、2022年5月にローンチした「逆プロポ・Learning」は、企業が取り組む社会課題解決型の新規事業開発を「官民共創」という新たな手法を使って推進するためのノウハウを学ぶ、企業向けの研修サービスとなる。これまで手掛けてきた「逆プロポ」の顧客企業から「担当者のみならず、経営陣や企画部門向けにも研修として広く展開してほしい」という要望があり、これに応えたサービスとなる。同年6月にローンチした「逆プロポ・ツアー」は、社会課題解決型の新規事業開発において、「自社の強み」がどのような「社会課題」と掛け合わせられるかを社会課題に精通した自治体とディスカッションし、実際の現場を見ながら解像度を高めていきたいという企業の要望や、自治体からの「自分たちでは気付かない課題や魅力を企業に見つけてほしい」「企業の力を借りて社会課題を解決したい」という要望に応えたサービスとなる。「逆プロポ・ツアー」に参加することで、企画段階から自治体と共創し、その後の実証実験までスピーディかつスムーズに行うことを目指している。
M&A支援サービスでは、2022年6月に共創型M&Aアドバイザリー事業を開始した。M&A戦略を推進していきたいが、社内にM&Aのノウハウがないために踏み切れない企業は多く、こうした企業に対して単なる仲介ではなくアドバイザーかつ共創パートナーの立場でM&Aをサポートする。完全成功報酬型のアドバイザリーサービスで、共創思想に基づき共同出資するケースや、IRコンサルティングを通じたエクイティストーリーの構築支援、自社運用ファンドを通じた資金支援など、グループの各種サービスを顧客ニーズに合わせて提供していく。
さらに、2022年7月には実務支援型M&A推進サービス「特命M&A部」を開始した。社内に経験豊富なメンバーがいない、あるいはほかの業務で忙殺されてM&A業務に携わる時間がない企業に対して、同社の経験豊富なメンバーをM&A専任チームとして派遣し、M&Aに関する戦略立案からクロージング、PMIまでをサポートする。M&Aに関するBPOサービスと言える。中堅企業やベンチャー企業からの問い合わせも多いようで、今後の売上貢献が期待される。なお、同社のM&A事業部は現在7~8名体制であるが、状況を見ながら体制を強化していくものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(4) EC事業
EC事業の売上収益は前期比14.8%増の1,900百万円、営業利益は同12.9%増の270百万円と2ケタ増収増益が続く見通し。新たな取り組みとして、強固なセキュリティを完備したパスワードレスログインソリューションや、Android端末向けアプリの開発を進めている。また、買取査定や発送処理の生産性向上につながる、ディープラーニング技術を活用した画像認識機能の本格導入に向けたテストも実施している。これらの取り組みによって、会員数の拡大と収益性の向上を図っていく。会員数については、2022年6月期の188千人から2023年6月期に250千人、2025年6月期には400千人と、トレーディングカードゲームのECショップ最大手としてさらなる成長を目指す。
事業規模の拡大に向けては、リアル店舗の開設も検討しているようだ。リアル店舗ではメーカーから直接トレーディングカードを仕入れることができ、品揃えが充実し販売機会の増大が見込めるためだ。また、将来的には、同社グループの教育コンテンツに関連したカードゲームの制作についても視野に入れている。
(5) 保険事業
保険事業の売上収益は前期比198.4%増の1,350百万円、営業損失は140百万円(前期は28百万円の損失)を見込んでいる。通年で寄与することから売上収益は前期比増収となるが、契約件数の増加を背景に前年同期比でも増収となる見通しだ。一方、営業損失については前年同期比で縮小する計画となっている。運用効率化に向けてのシステムを導入するなどにより生産性の向上につなげ、2024年6月期中に単月ベースでの黒字化を予定している。
(6) 投資・インキュベーション事業
投資・インキュベーション事業の売上収益は前期比166.1%増の550百万円、営業損失は210百万円(前期は866百万円の損失)を見込む。売上収益については、「逆プロポ」及び新たに立ち上げた「逆プロポ」派生サービス(コンシェルジュ、ツアー、Learning)が売上貢献するほか、同社が持つM&Aのノウハウを生かした新サービスの寄与を予定している。利益面では損失が続くものの、先行費用が減少し一時費用もなくなることから、損失額は縮小する計画となっている。
「逆プロポ」については、2020年11月のサービス開始以降、認知度も向上してきたことから募集企業や参画自治体も徐々に増加している。2023年6月期のマッチング成約件数は前期比9件増の15件、マッチングをきっかけとする受託案件は前期並みの3件程度を予定している。企業と自治体が協働して社会課題の解決に取り組むプロジェクトは今後も増加する見通しであることから、「逆プロポ」をマッチングプラットフォームとしてさらに強化し、2025年6月期にマッチング成約件数30件、マッチングをきっかけとする受託案件数30件、マッチングした地方公共団体数100団体(延べ数)を目指す。
直近のトピックスとしては、2022年4月に、「逆プロポ」の派生サービスとして「逆プロポ・コンシェルジュ」をローンチした。公民連携に関して自治体が抱えている困り事を担当のコンシェルジュが聞き、課題解決に積極的な企業※と情報連携することで課題を解決に導く。自治体が自前で公民連携課などを設置する場合と比較し、20分の1から50分の1のコストに低減できる。2022年7月には、静岡県磐田市から磐田市首都圏連携コーディネーター業務を受託するなど、早速実績も出ている。
※ソーシャル・エックスの代表取締役2名が虎ノ門インキュベーションセンターARCHのメンターを務めており、そこに集う大企業100社の新規事業開発部門へ情報発信をし、プロジェクトデザインなど企業とのリアルなつながりを提供する。
また、2022年5月にローンチした「逆プロポ・Learning」は、企業が取り組む社会課題解決型の新規事業開発を「官民共創」という新たな手法を使って推進するためのノウハウを学ぶ、企業向けの研修サービスとなる。これまで手掛けてきた「逆プロポ」の顧客企業から「担当者のみならず、経営陣や企画部門向けにも研修として広く展開してほしい」という要望があり、これに応えたサービスとなる。同年6月にローンチした「逆プロポ・ツアー」は、社会課題解決型の新規事業開発において、「自社の強み」がどのような「社会課題」と掛け合わせられるかを社会課題に精通した自治体とディスカッションし、実際の現場を見ながら解像度を高めていきたいという企業の要望や、自治体からの「自分たちでは気付かない課題や魅力を企業に見つけてほしい」「企業の力を借りて社会課題を解決したい」という要望に応えたサービスとなる。「逆プロポ・ツアー」に参加することで、企画段階から自治体と共創し、その後の実証実験までスピーディかつスムーズに行うことを目指している。
M&A支援サービスでは、2022年6月に共創型M&Aアドバイザリー事業を開始した。M&A戦略を推進していきたいが、社内にM&Aのノウハウがないために踏み切れない企業は多く、こうした企業に対して単なる仲介ではなくアドバイザーかつ共創パートナーの立場でM&Aをサポートする。完全成功報酬型のアドバイザリーサービスで、共創思想に基づき共同出資するケースや、IRコンサルティングを通じたエクイティストーリーの構築支援、自社運用ファンドを通じた資金支援など、グループの各種サービスを顧客ニーズに合わせて提供していく。
さらに、2022年7月には実務支援型M&A推進サービス「特命M&A部」を開始した。社内に経験豊富なメンバーがいない、あるいはほかの業務で忙殺されてM&A業務に携わる時間がない企業に対して、同社の経験豊富なメンバーをM&A専任チームとして派遣し、M&Aに関する戦略立案からクロージング、PMIまでをサポートする。M&Aに関するBPOサービスと言える。中堅企業やベンチャー企業からの問い合わせも多いようで、今後の売上貢献が期待される。なお、同社のM&A事業部は現在7~8名体制であるが、状況を見ながら体制を強化していくものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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