サイバネット Research Memo(5):CAE分野の経験と技術力を基盤としたソリューション力が強み

配信元:フィスコ
投稿:2022/09/01 15:25
■会社概要

4. 強みと事業リスク
サイバネットシステム<4312>の強みは以下の3点にまとめることができる。

(1) 経験に支えられた高度なノウハウ
CAEシミュレーション技術によって、ものづくりの研究開発や設計開発を36年以上にわたって支援してきた豊富な実績、積み重ねてきたノウハウや高度で広範にわたる技術力が財産となっており、他社には真似のできないソリューションを提供できることが強みとなっている。

(2) 幅広い専門分野とグローバルなパートナー網及び顧客基盤
CAEソフトウェアの最大手であるAnsysを筆頭に、国内外の有力ベンダー35社以上と提携し、80種類以上の製品の販売・サポートを行っているため、顧客の抱える様々な課題に対して、複数のソフトウェアやノウハウを組み合わせて最適なソリューションを提供できることが強みとなっている。また、顧客からのフィードバックを開発元ベンダーに伝えることで当該ベンダーは製品の改良に生かすことができ、顧客・提携先の双方と強い関係を構築できている点も強みと言える。

同社は国内外に14の連結子会社を展開し、グローバル企業を中心に約2,600の企業及び500の大学・研究機関に製品・サービスを提供するなど、幅広い顧客基盤を構築していることも強みと言える。

(3) 安定性が高い収益構造と業界環境
同社の売上高の過半は、既存顧客から得られるライセンス更新料で占められているため、収益の安定性が高いことも強みの1つと言える。さらに、CAE業界は競合が比較的少ないため、価格競争が起きにくい業界環境にあることも特徴だ。企業にとって研究開発は競争力の源泉であることから、景気が多少悪化したとしても大きく需要が冷え込むことはない。こうした状況が同社の安定性の高い収益につながっていると考えられる。

なお、CAEソフトウェアの販売代理店ビジネスにおける競合企業としては、Ansysの販売代理店である(株)IDAJや伊藤忠テクノソリューションズ<4739>、フランスのダッソーの販売代理店であるアルゴグラフィックス<7595>、ドイツのシーメンスなどの製品を取り扱っている電通国際情報サービス(ISID)<4812>などが挙げられる。

(4) リスク要因
リスク要因としては、販売代理店ビジネスが売上高の70%以上を占めていることから、これら販売代理店との契約が終了した場合に業績へのマイナス影響が発生する点が挙げられる。実際に、Synopsysとの販売代理店契約終了により、2022年12月期第2四半期累計業績は2ケタ減収減益となった。開発ベンダーとの販売代理店契約は、原則として非独占かつ短期間で更新されている。契約が終了となるケースとしては、開発元の販売戦略がM&Aや経営者の交代等によって変わってしまうケースなどが想定される。なお、Synopsysとの販売代理店契約が終了となった理由は、Synopsysが全世界で販売形態を代理店販売から直販方式に切り替えたことによる。

また、同社はこうした事業リスクを軽減するため、自社開発製品及びエンジニアリングサービス等のソリューションサービスを育成していくほか、代理店ビジネスについても有望な開発ベンダーを探索し、製品ラインナップを拡充する方針である。なお、同社の主要取引先であるAnsysについては、日本法人を自社で開設するなかで同社を優良販売パートナーとして位置付け、良好な関係を構築している。このため、現時点で契約が解除されるリスクは極めて低いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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