■今後の見通し
1. 2023年3月期の業績見通し
G-7ホールディングス<7508>の2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.8%増の180,000百万円、営業利益で同3.4%増の7,700百万円、経常利益で同1.6%増の8,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.7%増の5,400百万円と増収増益が続く見通し。
事業セグメント別では引き続き業務スーパー事業やオートバックス・車関連事業、こだわり食品・プライベートブランド事業で増収増益を見込んでいる。一方で、「めぐみの郷」や「miniピアゴ」については不採算店舗の整理を進めていくことから減収となるものの、損益面ではプラス要因として寄与するものと見られる。
2023年3月期の出店計画については前期末比35店舗増の635店舗(退店分は含まず)を計画している。2021年5月に発表した中期経営計画のなかでは、年間70~100店舗の新規出店を目標としていたが、昨今の建設資材の値上がりによって出店費用が従前の1.5倍以上に膨らんでいること※、電力費の値上がりによる店舗運営コストの上昇等に照らし、保守的な計画とした。また、「めぐみの郷」「リコス」については退店も進めていくことから、実際の期末店舗数は10~20店舗増にとどまる可能性もあると弊社では見ている。一方で、同社はM&A戦略を積極的に進めていく方針を示しており、変動要因となる可能性がある。2023年3月期の投資額としては100億円(うち、M&Aで50億円)を計画している。
※オートバックス店舗であれば、従前は1店舗当たり投資額が1.2億円程度だったが、直近は2億円強に膨らんでいる。
業務スーパー事業は10店舗超のペースで新規出店を継続
2. 事業セグメント別見通し
(1) オートバックス・車関連事業
オートバックス・車関連事業のうち、主力のG-7・オート・サービスは増収増益を見込んでいる。既存店舗での売上拡大が増収増益達成のカギを握ることとなる。原材料費の上昇によってタイヤや各種カー用品の値上げが見込まれるなど市場環境は決して良いとは言えない状況にあるものの、コロナ禍が収束し行楽シーズンや帰省等でドライブ需要が回復すれば来店客数の増加による販売増が期待できる。
新業態の「FIELD SEVEN」については新規出店の予定はなく、既存4店舗の収益化に取り組んでいく。現状は「オートバックス」店舗内に出店する形態となっているが、今後はショッピングモールなど大型商業施設内への出店や、ロードサイドに単独店舗で出店することも検討していく。
「バイクワールド」はコロナ禍を契機に自動二輪車の需要が堅調に推移していることから、4店舗の新規出店を計画している。いずれも「バイク王」とのコラボ店舗となり、2023年3月期も増収増益を見込んでいる。
また、海外の「オートバックス」「バイクワールド」については、2022年3月期に出店予定だった店舗を2022年6月に各1店舗出店し、合計で6店舗となる。業績への影響は軽微だが、将来的に東南アジア市場における自動車・バイク用品の需要は拡大していく見通しで、そのための基盤づくりを進めていく。自動車輸出販売事業については、主力のマレーシア向けに加えて南アフリカ向けが伸び始めており、2023年3月期も堅調な業績を見込んでいる。
(2) 業務スーパー事業
業務スーパー事業は前期比1ケタ台の増収増益を見込んでいる。新規出店は12店舗を計画しており、このうち7店舗については物件も確定済みとなっている。引き続き九州圏、首都圏、北海道で出店していくほか、相対的に店舗数の少なかった愛知県での出店も注力していく方針となっている。また、顧客の利便性向上を図るため、セミセルフレジやキャッシュレス決済の導入も順次進めていく方針だ。
(3) 精肉事業
精肉事業の売上高は前期比1ケタ増収となるものの、利益ベースでは減益が続く可能性もあると見ている。輸入牛肉の価格が高止まりしている状況にあり、国産牛に切り替えてはいるものの仕入高の上昇分をすべて価格転嫁することは難しいためだ。売上総利益率の低下により上期は減益が続く見通しで、下期は今後の仕入価格の状況次第となる。出店計画については、「お肉のてらばやし」を新規に5店舗出店し、アンデス食品事業部については現状維持の予定となっている。
(4) その他事業
その他事業は減収増益となる見通し。「miniピアゴ」「めぐみの郷」の不採算店舗を整理することにより減収となるが、損益面では改善要因となる。
「miniピアゴ」については新規出店が2店舗、退店数については5月までに4店舗が決定しており、今後も状況を見て判断していくことになる。なお、店舗名については2023年3月期中にすべて「リコス」に変更していく予定だ。売上高は122億円と2期連続減収となるが、営業利益は数千万円の利益に転換する計画となっている。収益改善施策として不採算店舗を整理していくほか、商品戦略の見直しや生産性の向上に取り組んでいく。商品の品揃えについては、従来NB(ナショナルブランド)商品とユニーのPB商品を販売していたが、今後はG7ジャパンフードサービスで開発製造するPB商品やグループ会社の商品(精肉、青果物)を取り揃えていくことで販売アップを狙う。また、商品廃棄ロスの削減にも継続的に取り組んでいく。現状の廃棄率は売上高の約2%となっており、これを「業務スーパー」並みの水準まで引き下げる。そのほか、商品の発注システムの見直しや外国人スタッフの教育を行い、将来的にはセルフレジシステムの導入による店舗当たり人件費の抑制にも取り組んでいく考えだ。「リコス」については首都圏で100店舗体制を確立し収益力が向上した段階で、名古屋など新規エリアへの進出も検討していくことにしている。
「めぐみの郷」については、買取販売方式の中部圏・首都圏の店舗で収益低迷が続いていることから、いったん不採算となっている店舗を整理していく方向で検討している。まずは上期中に中部圏の6店舗すべてを撤退すべく準備を進めている。一方、関西圏では5店舗の出店を計画している。関西圏では委託販売方式を採用しているため、商品廃棄ロスのリスクがなく安定した収益を確保できるためだ。業績面では買取販売方針の店舗が減少するため減収となるものの、利益面では増益に転じる見込みだ。
G7ジャパンフードサービスは、引き続き地域のこだわり食品の発掘と百貨店・専門店など顧客先の開拓に取り組んでいくほか、冷凍食品や菓子類等のPB商品の開発を積極的に進めていくことで増収増益を目指す。また、女性向け健康体操教室「カーブス」は、M&Aにより神奈川県内で4店舗の取得を見込んでおり、既存店舗での会員獲得も含めて増収増益が続く見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2023年3月期の業績見通し
G-7ホールディングス<7508>の2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比6.8%増の180,000百万円、営業利益で同3.4%増の7,700百万円、経常利益で同1.6%増の8,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同2.7%増の5,400百万円と増収増益が続く見通し。
事業セグメント別では引き続き業務スーパー事業やオートバックス・車関連事業、こだわり食品・プライベートブランド事業で増収増益を見込んでいる。一方で、「めぐみの郷」や「miniピアゴ」については不採算店舗の整理を進めていくことから減収となるものの、損益面ではプラス要因として寄与するものと見られる。
2023年3月期の出店計画については前期末比35店舗増の635店舗(退店分は含まず)を計画している。2021年5月に発表した中期経営計画のなかでは、年間70~100店舗の新規出店を目標としていたが、昨今の建設資材の値上がりによって出店費用が従前の1.5倍以上に膨らんでいること※、電力費の値上がりによる店舗運営コストの上昇等に照らし、保守的な計画とした。また、「めぐみの郷」「リコス」については退店も進めていくことから、実際の期末店舗数は10~20店舗増にとどまる可能性もあると弊社では見ている。一方で、同社はM&A戦略を積極的に進めていく方針を示しており、変動要因となる可能性がある。2023年3月期の投資額としては100億円(うち、M&Aで50億円)を計画している。
※オートバックス店舗であれば、従前は1店舗当たり投資額が1.2億円程度だったが、直近は2億円強に膨らんでいる。
業務スーパー事業は10店舗超のペースで新規出店を継続
2. 事業セグメント別見通し
(1) オートバックス・車関連事業
オートバックス・車関連事業のうち、主力のG-7・オート・サービスは増収増益を見込んでいる。既存店舗での売上拡大が増収増益達成のカギを握ることとなる。原材料費の上昇によってタイヤや各種カー用品の値上げが見込まれるなど市場環境は決して良いとは言えない状況にあるものの、コロナ禍が収束し行楽シーズンや帰省等でドライブ需要が回復すれば来店客数の増加による販売増が期待できる。
新業態の「FIELD SEVEN」については新規出店の予定はなく、既存4店舗の収益化に取り組んでいく。現状は「オートバックス」店舗内に出店する形態となっているが、今後はショッピングモールなど大型商業施設内への出店や、ロードサイドに単独店舗で出店することも検討していく。
「バイクワールド」はコロナ禍を契機に自動二輪車の需要が堅調に推移していることから、4店舗の新規出店を計画している。いずれも「バイク王」とのコラボ店舗となり、2023年3月期も増収増益を見込んでいる。
また、海外の「オートバックス」「バイクワールド」については、2022年3月期に出店予定だった店舗を2022年6月に各1店舗出店し、合計で6店舗となる。業績への影響は軽微だが、将来的に東南アジア市場における自動車・バイク用品の需要は拡大していく見通しで、そのための基盤づくりを進めていく。自動車輸出販売事業については、主力のマレーシア向けに加えて南アフリカ向けが伸び始めており、2023年3月期も堅調な業績を見込んでいる。
(2) 業務スーパー事業
業務スーパー事業は前期比1ケタ台の増収増益を見込んでいる。新規出店は12店舗を計画しており、このうち7店舗については物件も確定済みとなっている。引き続き九州圏、首都圏、北海道で出店していくほか、相対的に店舗数の少なかった愛知県での出店も注力していく方針となっている。また、顧客の利便性向上を図るため、セミセルフレジやキャッシュレス決済の導入も順次進めていく方針だ。
(3) 精肉事業
精肉事業の売上高は前期比1ケタ増収となるものの、利益ベースでは減益が続く可能性もあると見ている。輸入牛肉の価格が高止まりしている状況にあり、国産牛に切り替えてはいるものの仕入高の上昇分をすべて価格転嫁することは難しいためだ。売上総利益率の低下により上期は減益が続く見通しで、下期は今後の仕入価格の状況次第となる。出店計画については、「お肉のてらばやし」を新規に5店舗出店し、アンデス食品事業部については現状維持の予定となっている。
(4) その他事業
その他事業は減収増益となる見通し。「miniピアゴ」「めぐみの郷」の不採算店舗を整理することにより減収となるが、損益面では改善要因となる。
「miniピアゴ」については新規出店が2店舗、退店数については5月までに4店舗が決定しており、今後も状況を見て判断していくことになる。なお、店舗名については2023年3月期中にすべて「リコス」に変更していく予定だ。売上高は122億円と2期連続減収となるが、営業利益は数千万円の利益に転換する計画となっている。収益改善施策として不採算店舗を整理していくほか、商品戦略の見直しや生産性の向上に取り組んでいく。商品の品揃えについては、従来NB(ナショナルブランド)商品とユニーのPB商品を販売していたが、今後はG7ジャパンフードサービスで開発製造するPB商品やグループ会社の商品(精肉、青果物)を取り揃えていくことで販売アップを狙う。また、商品廃棄ロスの削減にも継続的に取り組んでいく。現状の廃棄率は売上高の約2%となっており、これを「業務スーパー」並みの水準まで引き下げる。そのほか、商品の発注システムの見直しや外国人スタッフの教育を行い、将来的にはセルフレジシステムの導入による店舗当たり人件費の抑制にも取り組んでいく考えだ。「リコス」については首都圏で100店舗体制を確立し収益力が向上した段階で、名古屋など新規エリアへの進出も検討していくことにしている。
「めぐみの郷」については、買取販売方式の中部圏・首都圏の店舗で収益低迷が続いていることから、いったん不採算となっている店舗を整理していく方向で検討している。まずは上期中に中部圏の6店舗すべてを撤退すべく準備を進めている。一方、関西圏では5店舗の出店を計画している。関西圏では委託販売方式を採用しているため、商品廃棄ロスのリスクがなく安定した収益を確保できるためだ。業績面では買取販売方針の店舗が減少するため減収となるものの、利益面では増益に転じる見込みだ。
G7ジャパンフードサービスは、引き続き地域のこだわり食品の発掘と百貨店・専門店など顧客先の開拓に取り組んでいくほか、冷凍食品や菓子類等のPB商品の開発を積極的に進めていくことで増収増益を目指す。また、女性向け健康体操教室「カーブス」は、M&Aにより神奈川県内で4店舗の取得を見込んでおり、既存店舗での会員獲得も含めて増収増益が続く見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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