■リソー教育<4714>の業績動向
2. セグメント別動向
(1) 学習塾事業
学習塾事業の売上高は前期比16.3%増の15,830百万円と7期連続増収となり、営業利益は同759.1%増の1,234百万円と2期ぶりの増益に転じ、過去最高業績を更新した。増収要因は、新規開校や既存校における生徒数の増加に加えて、2021年4月より約5%の値上げを実施したことなどによる生徒当たり売上単価の上昇が挙げられる。利益面では、増収効果によって新規出校や拡大リニューアル費用の増加を吸収し大幅増益となった。
2022年2月期における新規出校は、「TOMAS」4校(3月1校、5月1校、7月2校)、「メディックTOMAS」2校(4月2校)、「インターTOMAS」1校(3月1校)の合計7校で、このほか「TOMAS」既存校の拡大リニューアルを4校(3月、4月、6月、7月に各1校)実施した。2022年2月末の校舎数は合計で103校(学習塾93校、英会話10校)となり、生徒数は前期末比4.0%増の15,263人となった。新設校の生徒獲得状況も好調に推移しているようで、同社の徹底した感染防止対策によって安心・安全な学習環境を整備し、対面型授業で高品質な教育サービスを提供するという考え方が、多くの生徒や保護者から支持されているものと考えられる。
(2) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業の売上高は前期比8.3%増の5,147百万円と2期ぶりの増収に転じたものの、営業利益は同1.4%減の353百万円と2期連続の減益となった。新規出校等による生徒数の増加が増収要因となった。一方、利益面では第2四半期累計では増益だったものの、下期に生徒数の伸びが減速したことが響いて若干ながら減益となった。第4四半期に地方都市でコロナ禍の影響が出たほか、2022年3月から新たに開始した「メディック名門会」の開校準備費用を計上したことも減益要因となった。
「メディック名門会」とは、高卒生を対象とした完全個別指導の医学部受験専門予備校となる。カリキュラムサポーターによる勉強全般の実行支援や、ティーチングアシスタント・現役医学部生による問題演習支援に加えて、学生寮を完備しコンシェルジュによる生活管理・メンタルサポート、モチベーションフォローを行うなど、志望校合格に向けてフルサポート体制で徹底的にバックアップするサービスを提供することが特徴だ。従来は高卒生も「名門会」で受講していたが、コンシェルジュサービスを加えサービスの特徴を明確に訴求していくことで生徒数の拡大を目指す。
2022年2月期における新規出校は、「名門会」で2校(7月2校)、「TOMEIKAI」で2校(4月、6月各1校)、拡大リニューアルは「名門会」で1校(5月)、「TOMEIKAI」で1校(3月)実施した。2022年2月末の校舎数は「名門会」35校、「TOMEIKAI」12校となり、生徒数は合計で前期末比4.2%増の3,951人となった。また、外出に不安があり通塾できない生徒や地方及び海外在住生徒への学習対応として、2021年2月期よりオンラインでの個別指導サービスを開始しており(生徒数は100名以上)、講師の活動拠点として下北沢オンラインセンター(東京都)を新たに設立している。
(3) 幼児教育事業
幼児教育事業の売上高は前期比24.0%増の6,003百万円、営業利益は同59.9%増の1,180百万円と2期ぶりの増益に転じ、過去最高業績を更新した。売上高は新規開校に伴う生徒数の増加に加えて、「伸芽会」で2020年4月~5月にかけて約1ヶ月間完全休校を実施した反動増や、2021年4月から約5%の料金値上げを実施したことなどが増収要因となった。利益面でも、増収効果により新規開校費用等の増加を吸収し増益となった。「伸芽会」については幼稚園の受験が10月、11月に実施されるため、12月以降に生徒が入れ変わるタイミングとなるが、2022年2月期はコロナ禍が再拡大した時期と重なったため、第4四半期(2021年12月~2022年2月)の入会生徒数が伸び悩んだ。また、2022年4月に開校した「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」の開設準備費用を第4四半期に計上したこともあり、下期だけで見ると増収減益となっている。ただ、生徒数の伸び悩みについては一時的なもので、4月以降は生徒数も伸びてくると同社では見ている。
2022年2月期における新規出校は、「伸芽会」で1校(5月)、「伸芽’Sクラブ」の学童で2校(4月、9月)、託児で1校(4月)をそれぞれ開校し、「伸芽会」で拡大リニューアルを1校(3月)実施した。2022年2月末の校舎数は「伸芽会」で24校、「伸芽’Sクラブ学童」で17校、「伸芽’Sクラブ託児」で7校となっている。また、生徒数については合計で前期末比0.7%増の4,022人となった。
(4) 学校内個別指導事業
学校内個別指導事業の売上高は前期比50.4%増の2,022百万円と2期ぶりに増収に転じ、営業利益も36百万円(前期は272百万円の損失)と黒字に転換した。前期は2020年3月から5月にかけて学校が休校となったことで「スクールTOMAS」も休業となり収益悪化の要因となったが、2022年2月期は学校が通常運営体制に戻ったことや導入契約校数の増加並びに導入校における利用学年の拡大が増収要因となった。導入初年度は1学年からスタートし、状況を見て利用学年を広げていくケースが一般的となっている。利益面では、増収効果に加えてオンライン英会話事業の完全外注化による固定費削減効果(年間で1億円程度)が増益要因となった。
導入契約校数については、前期末の70校から2022年2月末は107校と順調に拡大した。2021年6月にKDDI まとめてオフィスと業務提携を行い、相互に顧客を紹介することで導入契約校数の拡大を進めていく取り組みを開始した。提携効果によって下期に数校程度の契約に結び付いたようだ。KDDI まとめてオフィスは、タブレット端末や通信ネットワーク装置等のICT機器とオンライン教育サービスなどのソフトを組み合わせたICT教育ソリューションを全国の約250の学校に導入しており、教育サービスの1つとして「スクールTOMAS」の導入提案を進めている。「スクールTOMAS」の場合、学校内での完全1対1の個別指導サービスに、「atama+」等のAI教材やインターネット教材を組み合わせて提供できることが強みとなっており、私立学校からの問い合わせも増加傾向となっている。
(5) 人格情操合宿教育事業
人格情操合宿教育事業の売上高は前期比55.9%増の990百万円、営業損失は39百万円(前期は144百万円の損失)となった。前期はコロナ禍で情操分野を育む体験型ツアーを一定期間自粛したほか、「TOMAS体操スクール」「TOMASサッカースクール」についても2020年4月から5月にかけて完全休校としたことで収益が大きく落ち込んだが、2022年2月期は体験型ツアーの開催数も回復したことで増収となった。ただ、コロナ禍前の2020年2月期は売上高で1,669百万円、営業利益で79百万円あったことを考えると、回復は限定的なものにとどまったと言える。
2022年2月期の新規開校は、「TOMAS体操スクール」で1校(9月)となり、2022年2月末のスクール数は「TOMAS体操スクール」「TOMASサッカースクール」ともに8校となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. セグメント別動向
(1) 学習塾事業
学習塾事業の売上高は前期比16.3%増の15,830百万円と7期連続増収となり、営業利益は同759.1%増の1,234百万円と2期ぶりの増益に転じ、過去最高業績を更新した。増収要因は、新規開校や既存校における生徒数の増加に加えて、2021年4月より約5%の値上げを実施したことなどによる生徒当たり売上単価の上昇が挙げられる。利益面では、増収効果によって新規出校や拡大リニューアル費用の増加を吸収し大幅増益となった。
2022年2月期における新規出校は、「TOMAS」4校(3月1校、5月1校、7月2校)、「メディックTOMAS」2校(4月2校)、「インターTOMAS」1校(3月1校)の合計7校で、このほか「TOMAS」既存校の拡大リニューアルを4校(3月、4月、6月、7月に各1校)実施した。2022年2月末の校舎数は合計で103校(学習塾93校、英会話10校)となり、生徒数は前期末比4.0%増の15,263人となった。新設校の生徒獲得状況も好調に推移しているようで、同社の徹底した感染防止対策によって安心・安全な学習環境を整備し、対面型授業で高品質な教育サービスを提供するという考え方が、多くの生徒や保護者から支持されているものと考えられる。
(2) 家庭教師派遣教育事業
家庭教師派遣教育事業の売上高は前期比8.3%増の5,147百万円と2期ぶりの増収に転じたものの、営業利益は同1.4%減の353百万円と2期連続の減益となった。新規出校等による生徒数の増加が増収要因となった。一方、利益面では第2四半期累計では増益だったものの、下期に生徒数の伸びが減速したことが響いて若干ながら減益となった。第4四半期に地方都市でコロナ禍の影響が出たほか、2022年3月から新たに開始した「メディック名門会」の開校準備費用を計上したことも減益要因となった。
「メディック名門会」とは、高卒生を対象とした完全個別指導の医学部受験専門予備校となる。カリキュラムサポーターによる勉強全般の実行支援や、ティーチングアシスタント・現役医学部生による問題演習支援に加えて、学生寮を完備しコンシェルジュによる生活管理・メンタルサポート、モチベーションフォローを行うなど、志望校合格に向けてフルサポート体制で徹底的にバックアップするサービスを提供することが特徴だ。従来は高卒生も「名門会」で受講していたが、コンシェルジュサービスを加えサービスの特徴を明確に訴求していくことで生徒数の拡大を目指す。
2022年2月期における新規出校は、「名門会」で2校(7月2校)、「TOMEIKAI」で2校(4月、6月各1校)、拡大リニューアルは「名門会」で1校(5月)、「TOMEIKAI」で1校(3月)実施した。2022年2月末の校舎数は「名門会」35校、「TOMEIKAI」12校となり、生徒数は合計で前期末比4.2%増の3,951人となった。また、外出に不安があり通塾できない生徒や地方及び海外在住生徒への学習対応として、2021年2月期よりオンラインでの個別指導サービスを開始しており(生徒数は100名以上)、講師の活動拠点として下北沢オンラインセンター(東京都)を新たに設立している。
(3) 幼児教育事業
幼児教育事業の売上高は前期比24.0%増の6,003百万円、営業利益は同59.9%増の1,180百万円と2期ぶりの増益に転じ、過去最高業績を更新した。売上高は新規開校に伴う生徒数の増加に加えて、「伸芽会」で2020年4月~5月にかけて約1ヶ月間完全休校を実施した反動増や、2021年4月から約5%の料金値上げを実施したことなどが増収要因となった。利益面でも、増収効果により新規開校費用等の増加を吸収し増益となった。「伸芽会」については幼稚園の受験が10月、11月に実施されるため、12月以降に生徒が入れ変わるタイミングとなるが、2022年2月期はコロナ禍が再拡大した時期と重なったため、第4四半期(2021年12月~2022年2月)の入会生徒数が伸び悩んだ。また、2022年4月に開校した「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」の開設準備費用を第4四半期に計上したこともあり、下期だけで見ると増収減益となっている。ただ、生徒数の伸び悩みについては一時的なもので、4月以降は生徒数も伸びてくると同社では見ている。
2022年2月期における新規出校は、「伸芽会」で1校(5月)、「伸芽’Sクラブ」の学童で2校(4月、9月)、託児で1校(4月)をそれぞれ開校し、「伸芽会」で拡大リニューアルを1校(3月)実施した。2022年2月末の校舎数は「伸芽会」で24校、「伸芽’Sクラブ学童」で17校、「伸芽’Sクラブ託児」で7校となっている。また、生徒数については合計で前期末比0.7%増の4,022人となった。
(4) 学校内個別指導事業
学校内個別指導事業の売上高は前期比50.4%増の2,022百万円と2期ぶりに増収に転じ、営業利益も36百万円(前期は272百万円の損失)と黒字に転換した。前期は2020年3月から5月にかけて学校が休校となったことで「スクールTOMAS」も休業となり収益悪化の要因となったが、2022年2月期は学校が通常運営体制に戻ったことや導入契約校数の増加並びに導入校における利用学年の拡大が増収要因となった。導入初年度は1学年からスタートし、状況を見て利用学年を広げていくケースが一般的となっている。利益面では、増収効果に加えてオンライン英会話事業の完全外注化による固定費削減効果(年間で1億円程度)が増益要因となった。
導入契約校数については、前期末の70校から2022年2月末は107校と順調に拡大した。2021年6月にKDDI まとめてオフィスと業務提携を行い、相互に顧客を紹介することで導入契約校数の拡大を進めていく取り組みを開始した。提携効果によって下期に数校程度の契約に結び付いたようだ。KDDI まとめてオフィスは、タブレット端末や通信ネットワーク装置等のICT機器とオンライン教育サービスなどのソフトを組み合わせたICT教育ソリューションを全国の約250の学校に導入しており、教育サービスの1つとして「スクールTOMAS」の導入提案を進めている。「スクールTOMAS」の場合、学校内での完全1対1の個別指導サービスに、「atama+」等のAI教材やインターネット教材を組み合わせて提供できることが強みとなっており、私立学校からの問い合わせも増加傾向となっている。
(5) 人格情操合宿教育事業
人格情操合宿教育事業の売上高は前期比55.9%増の990百万円、営業損失は39百万円(前期は144百万円の損失)となった。前期はコロナ禍で情操分野を育む体験型ツアーを一定期間自粛したほか、「TOMAS体操スクール」「TOMASサッカースクール」についても2020年4月から5月にかけて完全休校としたことで収益が大きく落ち込んだが、2022年2月期は体験型ツアーの開催数も回復したことで増収となった。ただ、コロナ禍前の2020年2月期は売上高で1,669百万円、営業利益で79百万円あったことを考えると、回復は限定的なものにとどまったと言える。
2022年2月期の新規開校は、「TOMAS体操スクール」で1校(9月)となり、2022年2月末のスクール数は「TOMAS体操スクール」「TOMASサッカースクール」ともに8校となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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