「一方向への動意は微妙」…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2022/05/23 10:55

◆ 金利/リスクの綱引き - “127円台”で膠着


“インフレ高進→企業収益悪化”への思惑を背景に、“リスク回避姿勢”は継続しています。
このためNYダウは一時“600ドル超の急落”を見せる中、逃避資金流入から米10年債利回りは“再び低下(→2.77%)”しています。
これが重く圧し掛かり、ドル円は“上値の重さ”を引きずっています。

一方で「米0.50%利上げは当分継続」との見方は根強く、実際にブラード・セントルイス連銀総裁は『年内に政策金利を3.5%まで引き上げるべき』と発言しています。
このため「日米金利格差拡大」をテーマとした「ドル買いフロー」も継続しており、これが下値を支える要因として機能し続けています。
こうして「上値は重いが、下値も堅い」を地で往く動きとなる中、“127円後半(終値は127.880円)”で膠着したまま、先週末の取引を終えています。

◆ 主だった米経済指標が不在となるだけに…?


「日米金融当局の立ち位置の違い」は何ら変わっていないものの、「6月/7月の米0.50%利上げ」はほぼ織り込まれています。
このため「9月の米0.50%利上げ」への思惑でも新たに台頭しない限り、金利面での“ドル買い”が強まる展開は想定しづらいところです。
一方でNYダウは“(短期的な)下落往き過ぎ”の域に到達しているだけに、これを調整する動きが入らないとも限りません。
そうなると為替相場においても、“巻き戻し”は必至と見るのが妥当です。

主だった米経済指標が不在となる中、本日は「米株式/米債券利回り動向」を睨みながらの展開が想定されますが、本日に関しては「一方向への動意は微妙」との認識を持ちながら、神経質なマーケットと対峙したいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:128.688(5/9~5/19の38.2%戻し、5/17~5/19の61.8%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値4:128.408(5/17~5/19の50%戻し)
上値3:128.302(5/20高値、ピボット1stレジスタンス)
上値2:128.112(-1σ)
上値1:128.000(大台)
前営業日終値:127.880
下値1:127.588(5/20安値後の押し目)
下値2:127.496(5/20安値、5/19~5/20の61.8%押し水準、ピボット1stサポート)
下値3:127.333(5/19~5/20の76.4%押し)
下値4:127.043(5/19安値、大台、-2σ、ピボット2ndサポート)
下値5:126.923(4/27安値)

《10:35》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想