今週のポイント
ウクライナ情勢や主要国の株価動向には要注意。ウクライナ情勢が一段と緊迫化する、あるいは主要国の株価が大きく下落すれば、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まり、円高や米ドル高(対円以外)が進む可能性があります。円高や米ドル高はとりわけ、投資家のリスク意識の変化を反映しやすい対豪ドルや対NZドルで進みやすいかもしれません。
TCMB(トルコ中銀)は17日に政策会合を開きます。TCMBは1月20日の前回会合で政策金利を14.00%に据え置くことを決定。21年9月に開始した利下げサイクルをいったん停止しました。政策金利は今回も14.00%に据え置かれるとみられます。その通りの結果となり、また声明でTCMBの今後の金融政策について新たな手掛かりが提供されなければ、トルコリラに大きな反応はなさそうです。前回会合時の声明は、インフレについて「ベース効果に加え、持続可能な物価と金融の安定のためにとられた措置を背景に、ディスインフレ(インフレ率の鈍化)のプロセスが始まると予想している」とし、「最近の政策決定(利下げ)の累積効果を監視する」と表明しました。
BOM(メキシコ中銀)は10日に政策会合を開き、0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を5.50%から6.00%へと引き上げました。利上げは6会合連続。0.50%の利上げの決定は4対1で下され、エスキベル副総裁が前回(21/12/16)に続いて0.25%の利上げを主張しました。
BOMでは、ロドリゲス氏が1月1日に新たに総裁に就任しました。新総裁のもとで初めて行われた会合で、BOMは前回と同様に0.50%の利上げを行ったうえ、ハト派と目されていたロドリゲス総裁は0.50%の利上げを支持しました。これは総裁が交代してもBOMのタカ派的な姿勢は変わらないことを示唆しています。
メキシコの1月CPIは総合指数が前年比7.07%、コア指数は同6.21%。総合指数の上昇率は21年12月(7.36%)から鈍化したものの、コア指数(21年12月は5.94%)は01年9月以来、20年4カ月ぶりの高い伸びを記録しました。インフレ圧力の強さを考えれば、BOMは3月24日の次回会合で利上げを行い、その後も利上げを続けそうです。リスクオフには注意が必要なものの、利上げ観測に支えられてメキシコペソ/円は底固く推移する可能性があります。
今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000~1.08000NZドル>
ロウRBA(豪中銀)総裁は2日、「豪経済が力強く推移するなら、22年中に利上げを行う可能性がある」と述べ、初めて年内の利上げに言及。続いて11日の議会証言で「政策金利について(利上げを)決定する前に、あと2回CPI(消費者物価指数)統計(の結果)を見るのが良いだろう」と語り、利上げ開始の時期についての手がかりを新たに示しました。
豪州の21年10-12月期のCPIトリム平均値は前年比2.6%と、14年4-6月期以降初めて7月RBAのインフレ目標(2~3%)の中央値である2.5%を上回りました。1-3月期のCPIは4月27日、4-6月期のCPIは7月27日に発表されるため、RBAは早ければ8月2日の会合で利上げを行うとの見方ができます。
一方で市場では、6月にも利上げが行われるとの観測があります。2月17日に発表される豪州の1月雇用統計が良好な結果になれば、早期の利上げ観測が市場で強まるとみられます。その場合には豪ドル/NZドルは堅調に推移し、1.08072NZドル(21/6/18高値)に接近する可能性があります。
今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:89.000円~92.000円>
原油価格が堅調に推移しています。米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)は11日に一時1バレル=94ドル台後半へと上昇し、14年9月以来の高値を更新。足もとの原油高の主因として、ウクライナ情勢をめぐる懸念が挙げられます。ロシアがウクライナに侵攻すれば欧州や米国はロシアに経済制裁を科し、ロシアからの原油や天然ガスの供給が減少するとの観測です。
原油はカナダの主要な輸出品であり、原油価格の上昇はカナダドルにとってプラス材料。原油高がさらに進めば、カナダドル/円は堅調に推移しそうです。
一方で、ウクライナ情勢や主要国の株価動向には注意が必要です。ウクライナ情勢が一段と緊迫化する、あるいは主要国の株価が大きく下落する場合、リスクオフ(リスク回避)による円高圧力が強まる可能性があるからです。カナダドル/円は、200日移動平均線(14日時点で89.369円)が下値メドです。
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