“堅調”だが、“決め手に欠ける”…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2022/02/07 11:29

◆ “ポジティブ・サプライズ” - 米雇用統計


注目の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が“予想を大きく上回り(予想:+15.0万人/結果:+46.7万人)”ました。
平均時給も“予想以上(予想:+5.2%/結果:+5.7%)”であり、「米金融正常化」への思惑がさらに増す格好となりました。
こうして“ドル買い”は進行し、一時“115.425円”へと上値を伸ばす場面が見られました。

もっとも前日の「ECBの変節(ラガルド総裁のタカ派発言)」にて“ユーロ買い”も継続しており、先週末はこちらが“パフォーマンスで上回り”ました。
このため“ドル買い一辺倒”といった展開にはなっておらず、米10年債利回りが一時“1.93%”に達したにもかかわらず、“115.201円”に押し戻されて取引を終えています。

◆ 「何か別の要因」が欲しいが・・・?


「完全雇用に近づいている」ことが示されたことを考えれば、「米3月利上げは0.25%→0.50%」を織り込みにかかる展開は、容易に想定されるところです。
そうなると“金利選好→ドル買い”がさらに促されると可能性も、十分に想定されるところです。

一方で前記“ユーロ買い(戻し)”も継続していますので、“ドル買い一辺倒”は想定しづらいと見るのが自然です。
そうなると金利面では“ドル買い”が先行しやすいが、同時に“上値が重い”を露呈してもおかしくありません。
そうなると「何か別の要因」が欲しいところです。

◆ それでも“リスク回避”は台頭しづらいだけに・・・!?


ただし金利上昇局面においても、先週末は「米株安が限定的」となりました。
また「北京オリンピック開催中」という情勢を踏まえれば、「ウクライナ情勢も悪化しづらい」と見るのが妥当です。
そうなると「何か別の要因」が見当たらず、“明確な方向性”は定まりづらいということになります。

イベント通過による安堵感もあり、目先は“金利選好→ドル買い”が進行しやすいとは考えます。
それでも“過度な上値期待”は、もうしばらく避けておいた方がいいのかもしれませんね。
もっとも“崩れる”といって展開は、全くといっていいほど想定しておりませんが・・・。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:115.848(1/10高値)
上値4:115.783(ピボット2ndレジスタンス)
上値3:115.682(1/28高値、+2σ)
上値2:115.590(1/31高値)
上値1:115.425(2/4高値、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:115.201(+1σ)
下値1:115.000(大台)
下値2:114.908(日足・一目均衡表基準線、2/2~2/4の38.2%押し、ピボット1stサポート)
下値3:114.776(2/4安値、2/2~2/4の50%押し、日足・一目均衡表転換線、週足・一目均衡表転換線)
下値4:114.627(2/2~2/4の61.8%押し、20日移動平均線)
下値5:114.405(50日移動平均線、ピボット2ndサポート)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想