エムアップ Research Memo(6):ファンクラブサイトを軸に安定した業績や財務基盤を維持(1)

配信元:フィスコ
投稿:2022/02/04 15:36
エムアップホールディングス<3661>の決算動向

1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、売上高は2018年3月期まで伸び悩んできた。主力の(携帯)コンテンツ事業において、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行や「着うた」を中心とした音楽コンテンツの急激な縮小などが業績の足を引っ張る要因となるなかで、ファンクラブサイトを中心とするコアな会員基盤が業績の底支えになってきたものの、新規サイトの獲得ペースが鈍化したことが伸び悩みの原因である。ただ、2019年3月期から2期連続で業績が大きく拡大したのは、EMTGの完全子会社化により、ファンクラブサイト数や会員基盤がおおむね倍増し、「コンテンツ事業」や「EC事業」の底上げにつながったほか、新たに「電子チケット事業」が加わったことが上乗せ要因となっている。なお、コロナ禍の影響を受けた2021年3月期についても、「EC事業」の伸びなどにより増収を確保した。

また、損益面では、営業利益率は2015年3月期まで14%前後の高い水準で推移してきた。2016年3月期の営業利益率の低下は、商品在庫一掃に伴う商品評価減及び本社移転、倉庫移管等に伴う一時的な費用などによるものである。また、2018年3月期以降も、新規事業への先行投資(VR事業や電子チケット事業等)やM&A費用などにより営業利益率は低調に推移してきた。ただ、2020年3月期については、増収による収益の底上げや一時的な費用の解消などにより営業利益率の一定の改善を図ると、2021年3月期の営業利益率は9.0%の水準にまで回復してきた。

財務面では、設備投資等の必要がない事業特性から無借金経営を続けており、財務基盤の安定性を示す自己資本比率は高い水準で推移してきた。2019年3月期に大きく低下したのは、EMTGの連結化に伴う総資産の拡大によるものである。ただ、無借金であることや流動比率が高い水準を維持していることなどから、財務基盤の安全性に懸念はない。一方、資本効率性を示すROEについては、2018年3月期に利益率の低下に伴って落ち込んだものの、2020年3月期以降は10%を超える水準で推移している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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