“不意に揺れ動く”を警戒しながら…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2021/12/14 10:58

◆ オミクロン株への認識修正 - 113円前半に押し戻される


注目のFOMCを控えて様子見ムードが漂う中、昨日は「新型コロナの変異株(オミクロン株)への楽観論」が修正されました。
「感染力は高いが、重症化リスクは低い」との認識を元にした“リスク選好(少なくともリスク回避の巻き戻し)”が先週より持ち込まれましたが、これが巻き戻されたからです。

 『英国で初のオミクロン感染者が死亡』

この報道を機に、投資家のリスク許容度は反転しました。
逃避資金が流入した米10年債利回りは“急低下(一時1.41%)”、一方で流出した米株式は“下落(NYダウは320ドル安)”する中、ドル円も“押し下げられて(113.721円→113.370円)”いきました。

もっともイベント前ということもあり、“新たなポジション構築”は手控えられています。
このため“一方向への動意”も限定されやすく、崩れるには至っておりません。
またリスク回避は“円買い”のみならず“ドル買い”にも作用するものですので、“綱引き(円買い⇔ドル買い)”となっている印象もあります。
こうして“方向感定まらず”は続いており、“113.50-60円”水準へと緩やかに押し戻され、昨日の取引を終えています。

◆ イメージは“ドル買い”に傾斜しやすいが…?


先週末の米CPI(前年比+6.8%は39年ぶりの高水準)を見る限り、「テーパリングのペースアップ」「利上げ時期の前倒し」が意識されやすいのは否めないところです。
一方で“事前予想の範囲内”ということもありますが、その米CPI発表後には“巻き戻し(ドル売り)”が目立ちました。
つまりある程度は“織り込み済”と見るのが自然な状況下、前記“新たなポジション構築”は手控えられやすいという事実があります。
そうなると流動性低下から“不意に揺れ動く”はあっても、“一方向への動意”は想定しづらいということに…?

オーダー状況を見ると、“113.80-114.00円”にはドル売りオーダーが、“113.30-00円”にはドル買いオーダーが、まとまった規模で展開していると聞き及びます。
「オミクロン株への思惑」にて“不意に揺れ動く”は警戒しつつも、本日も“当該レンジ内での揺れ動き”と見たいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン


上値5:114.266(ピボットハイブレイクアウト)
上値4:114.023(11/24~11/30の50%戻し、日足・一目均衡表基準線、週足・一目均衡表転換線、大台、ピボット2ndレジスタンス)
上値3:113.953(11/29高値、12/8高値)
上値2:113.808(12/9-10高値、20日移動平均線、ピボット1stレジスタンス)
上値1:113.721(12/13高値、50日移動平均線)
前営業日終値:113.579
下値1:113.306(ピボット1stサポート)
下値2:113.220(12/10-13安値、日足・一目均衡表先行スパン上限/転換線)
下値3:113.094(-1σ、11/30~12/8の61.8%押し)
下値4:113.000(大台、ピボット2ndサポート)
下値5:112.811(12/6安値、ピボットローブレイクアウト)

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想