今週のポイント
主要国の株価動向や新型コロナウイルスのオミクロン株をめぐる報道に注目です。主要国株価が軟調に推移するなどしてリスクオフが強まる場合、豪ドルやNZドルなど投資家のリスク意識の変化(リスクオン/オフ)を反映しやすい通貨や新興国通貨には下押し圧力が加わりやすいとみられます。
7日にRBA(豪中銀)の政策会合、8日にBOC(カナダ中銀)の政策会合が開かれます。豪ドルやカナダドルについては各中銀の会合結果も材料になる可能性があります。
TCMB(トルコ中銀)が1日と3日に為替介入(外貨売り/トルコリラ買い)を実施しました。TCMBによるさらなる為替介入への警戒感からトルコリラ/円は目先下げ渋る可能性があるものの、為替介入はあくまで一時しのぎの措置です。TCMBが利上げを行わない限り、トルコリラ/円はいずれ過去最安値(11/30につけた7.831円)を更新するとみられます。
今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.02800NZドル~1.05000NZドル>
7日のRBA(豪中銀)の会合では、政策金利は0.10%に据え置かれそうです。また、「少なくとも22年2月半ばまで週40億豪ドルのペースで豪国債を買い入れる」との方針も維持するとみられます。
その通りの結果になれば、RBAの声明の内容に注目。声明では、インフレや賃金の伸びに関する見解やフォワードガイダンス(将来の金融政策の方針を前もって示すこと)が焦点になりそうです。11月2日の前回会合時の声明は、「インフレ率は上昇しているものの、基調的には依然として低い」、「賃金の伸びは緩やかなものにとどまる」と指摘。フォワードガイダンスは、「利上げの条件を満たすには、ある程度の時間がかかる」でした。賃金の伸びなどに関する見解やフォワードガイダンスが前回からほとんど変化がないなど、声明がRBAの利上げはまだ先との印象を与える内容になれば、豪ドル/NZドルは軟調に推移する可能性があります。
豪ドル/NZドルのメドとして、下値が1.02806NZドル(9/16安値)、上値は1.05224NZドル(10/29高値)が挙げられます。
今週の注目通貨ペア②:<カナダドル/円 予想レンジ:85.000円~91.700円>
カナダドル/円は3日に一時87.680円へと下落。約2カ月ぶりの安値をつけました。軟調な原油価格(カナダドル安材料)や新型コロナウイルスのオミクロン株への懸念(リスクオフ、円高材料)が、カナダドル/円に対する下押し圧力となりました。
カナダドル/円は引き続き、原油価格(米WTI原油先物など)の動向やオミクロン株に関する報道に影響を受けやすいとみられます。原油価格が下落する、あるいはリスクオフが強まる場合、カナダドル/円は軟調な展開になりそうです。
一方で、BOC(カナダ中銀)が8日に政策会合を開きます。政策金利は0.25%に据え置かれるとみられ、声明の内容に注目です。声明では、インフレに関する見解やフォワードガイダンスが焦点になりそうです。10月27日の会合時の声明は、インフレについて「物価を押し上げている主因であるエネルギー価格の上昇と供給上のボトルネックは予想していたよりも強く、より持続している」と指摘。経済のスラック(需給の緩み)が吸収される時期(≒利上げ開始時期)は22年半ばとの見通しを示しました。
8日の声明でインフレを警戒する姿勢を強める、あるいは利上げの開始時期を前倒しすれば、原油安やリスクオフが進んだとしても、カナダドル/円はそれほど下落しない可能性があります。
カナダドル/円は84.891円(9/20安値)が下値メド、上値は91.649円(11/10高値)がメドです。
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