キャリアリンク Research Memo(3):BPO関連の新規受注が好調に推移し、期初計画を上回る増収増益を達成

配信元:フィスコ
投稿:2021/12/02 15:03
■業績動向

1. 2022年3月期第2四半期累計業績の概要
キャリアリンク<6070>の2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比16.3%増の16,239百万円、営業利益で同8.1%増の1,406百万円、経常利益で同6.1%増の1,421百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同2.4%増の956百万円といずれも期初計画(売上高15,150百万円、営業利益1,100百万円)を上回る増収増益となり、第2四半期累計として過去最高業績を連続更新した。

売上高は、コロナ禍の影響により営業系人材サービス事業が前年同期比20.6%減と低迷したものの、主力の事務系人材サービス事業が同17.5%増と好調を持続したほか、製造系人材サービス事業も同24.7%増と回復に転じたことにより増収となった。また、計画比では、官公庁及び大手BPO事業者等からの新規BPO案件並びに新規一般事務案件の受注が想定以上に増加したことが上振れ要因となった。

営業利益の増減要因を見ると、売上高の増加に伴う売上総利益の増加で551百万円の増益となり、販管費の増加445百万円を吸収した。売上総利益率は当初、前年同期の水準を下回ると見ていたがBPO案件の受注が想定以上に増加したこともあり、前年同期の21.7%から22.0%に上昇した。一方、販管費率は前年同期の12.3%から13.4%に上昇し、営業利益率の低下要因となった。販管費の主な増加要因は、派遣スタッフの採用費増加に加えて、今後の成長基盤構築に向けた中核人材の採用強化に伴う人件費及び採用費の増加、並びにDX化推進費用の増加等が挙げられる。特に、派遣スタッフの採用費については、前年同期が緊急事態宣言下でのサービス業の休業が相次ぐなかで効率的な募集が実施できた反動もあって増加している。営業利益の計画比上振れ要因は、売上高の増加と売上総利益率の改善によるもので、販管費はおおむね計画の範囲内で推移した。なお、2022年3月期第2四半期末の連結従業員数(臨時社員含む)は、前年同期比69名増加の798名となっている。

四半期ベースの業績推移を見ると、2022年3月期第2四半期はマイナンバー関連のBPO案件が増加したことなどにより、売上高で前年同期比13.3%増の8,529百万円と四半期ベースで過去最高を更新したが、営業利益は同13.9%減の667百万円と減益に転じた。これは、前年同期は事務系人材サービス事業において好採算のスポット案件が多く、2022年3月期第2四半期は売上総利益率が前年同期比で低下した一方で、前述の理由によって販管費が増加したことにより収益が悪化したことなどが要因となっている。また、2022年3月期第1四半期との比較においても、ほぼ同様の理由で減益となっている。


官公庁及び大手BPO事業者向けの新規受注案件増加により、BPO関連事業部門の高成長が続く

2. 事業セグメント別の動向
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前年同期比17.5%増の13,695百万円、営業利益は同8.8%増の1,352百万円となった。BPO関連事業部門において、官公庁及び大手BPO事業者等からの新規受注が引き続き好調に推移したことが増収要因となった。また、利益面では派遣スタッフや中核人材の採用費、DX化推進費用が増加したものの、増収に伴う売上総利益の増加により増益となった。

事業部門別の動向を見ると、BPO関連事業部門の売上高は前年同期比23.0%増の9,105百万円となった。新規取引先開拓に努めた結果、官公庁及び大手BPO事業者等からの新規受注が好調に推移した。官公庁関連ではマイナンバー・マイナポイント関連業務が引き続き増加したほか、自治体の基幹業務やスポット案件等も増加し、BPO事業者経由を含めると同部門の6割強を占め、増収要因の大半を占めた。なお、BPOサービスを提供する自治体は60ヶ所を超えている。

CRM関連事業部門の売上高は前年同期比5.0%増の1,876百万円と2年ぶりに増収に転じた。新規取引先の開拓や既存取引先のシェア拡大に取り組んだことで受注量が回復した。業種別では、金融業界向けが堅調に推移したほか、その他業界向けも総じて回復傾向となった。

一般事務事業部門の売上高は前年同期比9.9%増の2,713百万円と拡大基調が続いた。受注量がコロナ禍前の水準まで回復していない取引先も一部あるものの、官公庁からの新規受注が好調に推移したほか、金融機関向け派遣案件も堅調に推移した。

(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前年同期比24.7%増の1,858百万円、営業利益は同513.2%増の51百万円となった。コロナ禍の影響により前年同期は受注が低迷したものの、2022年3月期第2四半期累計では製造加工部門のほぼ全取引先において受注量が前年同期を上回ったほか、食品加工部門においてもコロナ禍前の水準まで受注量が回復したことにより、半期ベースで過去最高売上高を更新した。利益面では増収効果で増益となり、営業利益率も前年同期の0.6%から2.8%に上昇した。なお、2021年8月に新たな事業拠点として四日市営業所(三重県)を開設しており、採用費などの増加もあり、営業費用の増加等もあって2021年2月期下期比較では若干減益となっている。

(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は前年同期比20.6%減の538百万円、営業損失は8百万円(前年同期は38百万円の利益)となった。再度の緊急事態宣言の発令に伴い、主要な営業開拓先である飲食業や小売業者等が再び営業を自粛したことにより、同社も営業活動の自粛や制限を強いられたことが影響した。また、利益面では販管費の削減等に取り組んだものの、減収が響いて損失を計上した。四半期ベースの推移を見ると、第1四半期は売上高で310百万円、営業利益で7百万円だったのに対して、第2四半期は売上高で227百万円、営業損失で15百万円と大きく落ち込んでいる。

(4) その他
その他はJBSの子会社である東京自動車管理における自動車管理事業となる。売上高は前年同期比8.8%増の147百万円と増加した一方で、営業利益は運転手の要員増による人件費の増加等により、同1.5%減の10百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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