■要約
日本システムウエア<9739>は、1966年創業の独立系ITソリューションプロバイダで、技術者が従業員の9割近くを占めるエンジニア集団である。ITソリューション、サービスソリューション、プロダクトソリューションの3つのソリューション事業を展開し、そのシナジーを生かしたIoT※1とAIを軸に、顧客が求めるDX※2の実現を支援できるバックボーンを持つことが同社の大きな強みである。同社では、これらの強みを最大限に生かして今後の成長戦略につなげる方針だ。
※1 Internet of Thingsの略。家電製品やセンサーなど様々なモノをネットワークに接続し、情報収集だけでなく遠隔監視や制御を行い、商品開発やマーケティングに活用すること。
※2 Digital Transformationの略でデジタル変革のこと。企業が新たなデジタル技術を活用してビジネスモデルを創出し、ビジネスプロセスを変えていく事業変革の取り組み。
1. 2022年3月期第2四半期累計の業績概要
2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高20,548百万円(前年同期比15.8%増)、営業利益2,161百万円(同23.9%増)と、大幅な増収増益となった。計画比では、売上高は7.0%、営業利益は20.1%上回る好決算となり、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が続く厳しい経営環境ながらも、IT業界全体への底堅い需要にも支えられた。特に、ITソリューションセグメントで官公庁・団体向けシステム開発や小売業向け機器販売が堅調に推移したことに加え、高収益案件が寄与し大幅な増益となり、同社の好業績をけん引した。プロダクトソリューションセグメントでは、組込み開発事業における通信分野や設備分野を中心に伸長し、高水準を維持しながらも前期の高収益案件の反動等の影響により、利益は横ばいにとどまった。また、サービスソリューションセグメントでは、クラウド・インフラサービスを中心に増収となったが、事業拡大に向けた体制強化のための先行投資などにより減益となった。自己資本比率は73.2%(2021年3月期は72.3%)に上昇し、引き続き極めて高い財務の健全性を維持している。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期通期の連結業績については期初計画を据え置き、売上高42,000百万円(前期比6.9%増)、営業利益4,300百万円(同2.4%増)としている。DXの進展や、コロナ禍の影響により急速に浸透した新しい働き方や事業活動に関連する需要拡大が引き続き見込まれる状況を追い風に、顧客のDX実現のベストパートナーを目指して戦略投資を継続し、さらなる成長に向け経営基盤の強化に取り組む方針だ。例年、期初は保守的な予想を発表しているうえ、第2四半期までの好決算を考慮すると、最終的には計画を上回る増益となる可能性が高いと弊社では見ている。なお、1株当たり配当金については、前期同額の年間配当40円(中間配当20円、期末配当20円)を予定している。厳しい経営環境のなかでも安定的な配当を継続していることは、株主還元にも配慮する経営判断と評価できる。また、2022年4月に移行が予定されている東京証券取引所(以下、東証)の新市場区分としてプライム市場を選択し、申請することを発表しているが、プライム市場の上場維持基準に適合していることを確認済みである。
3. 中期経営計画
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)では、「DX FIRST」をスローガンに顧客のDX実現に貢献することで、同社自体の「価値創造企業への変革」を実行していく方針である。最終年度である2022年3月期の重点施策として同社は、ITソリューションセグメントでは製造業向けERPや流通業向けシステムなどを組み合わせた各種ソリューション展開など、サービスソリューションセグメントでは最新テクノロジーを生かしたDXソリューションやサービス展開など、プロダクトソリューションセグメントでは5G(第5世代移動通信システム)/ローカル5G技術の展開などを計画している。策定当初の数値目標は2022年3月期に売上高430億円、営業利益40億円、うちDX関連売上高は100億円への拡大を計画していたものの、2022年3月期の業績予想では、売上高は中期経営計画目標にやや届かないものの420億円を目指し、営業利益は中期経営計画目標を上回る見通しだ。また、DX関連の売上高は2020年3月期の約28億円から2021年3月期には約40億円、2022年3月期第2四半期累計では約25億円まで拡大している。2022年3月期下期は業種に特化したIoT/AI関連サービスの拡充、ローカル5G関連の強化などにより、通期でDX関連の売上高100億円の目標達成を目指す。
■Key Points
・3つのソリューション事業を展開し、そのシナジーを生かしたIoTとAIを軸に顧客のDX実現を支援できるバックボーンが強み
・ 2022年3月期第2四半期累計決算は、コロナ禍の厳しい経営環境ながらも売上高は計画比7.0%、営業利益も20.1%上回って着地、上期ベースで過去最高を記録
・2022年3月期は期初の計画を維持し、戦略投資を継続してさらなる成長に向け経営基盤の強化に取り組むことで増収増益を見込むが保守的な予想。東証の新市場区分としてはプライム市場を選択
・中期経営計画では「DX FIRST」をスローガンに、2022年3月期に売上高430億円(うちDX関連は100億円)、営業利益40億円を目指す。重点施策の推進により、おおむね目標達成の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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日本システムウエア<9739>は、1966年創業の独立系ITソリューションプロバイダで、技術者が従業員の9割近くを占めるエンジニア集団である。ITソリューション、サービスソリューション、プロダクトソリューションの3つのソリューション事業を展開し、そのシナジーを生かしたIoT※1とAIを軸に、顧客が求めるDX※2の実現を支援できるバックボーンを持つことが同社の大きな強みである。同社では、これらの強みを最大限に生かして今後の成長戦略につなげる方針だ。
※1 Internet of Thingsの略。家電製品やセンサーなど様々なモノをネットワークに接続し、情報収集だけでなく遠隔監視や制御を行い、商品開発やマーケティングに活用すること。
※2 Digital Transformationの略でデジタル変革のこと。企業が新たなデジタル技術を活用してビジネスモデルを創出し、ビジネスプロセスを変えていく事業変革の取り組み。
1. 2022年3月期第2四半期累計の業績概要
2022年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高20,548百万円(前年同期比15.8%増)、営業利益2,161百万円(同23.9%増)と、大幅な増収増益となった。計画比では、売上高は7.0%、営業利益は20.1%上回る好決算となり、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)が続く厳しい経営環境ながらも、IT業界全体への底堅い需要にも支えられた。特に、ITソリューションセグメントで官公庁・団体向けシステム開発や小売業向け機器販売が堅調に推移したことに加え、高収益案件が寄与し大幅な増益となり、同社の好業績をけん引した。プロダクトソリューションセグメントでは、組込み開発事業における通信分野や設備分野を中心に伸長し、高水準を維持しながらも前期の高収益案件の反動等の影響により、利益は横ばいにとどまった。また、サービスソリューションセグメントでは、クラウド・インフラサービスを中心に増収となったが、事業拡大に向けた体制強化のための先行投資などにより減益となった。自己資本比率は73.2%(2021年3月期は72.3%)に上昇し、引き続き極めて高い財務の健全性を維持している。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期通期の連結業績については期初計画を据え置き、売上高42,000百万円(前期比6.9%増)、営業利益4,300百万円(同2.4%増)としている。DXの進展や、コロナ禍の影響により急速に浸透した新しい働き方や事業活動に関連する需要拡大が引き続き見込まれる状況を追い風に、顧客のDX実現のベストパートナーを目指して戦略投資を継続し、さらなる成長に向け経営基盤の強化に取り組む方針だ。例年、期初は保守的な予想を発表しているうえ、第2四半期までの好決算を考慮すると、最終的には計画を上回る増益となる可能性が高いと弊社では見ている。なお、1株当たり配当金については、前期同額の年間配当40円(中間配当20円、期末配当20円)を予定している。厳しい経営環境のなかでも安定的な配当を継続していることは、株主還元にも配慮する経営判断と評価できる。また、2022年4月に移行が予定されている東京証券取引所(以下、東証)の新市場区分としてプライム市場を選択し、申請することを発表しているが、プライム市場の上場維持基準に適合していることを確認済みである。
3. 中期経営計画
中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)では、「DX FIRST」をスローガンに顧客のDX実現に貢献することで、同社自体の「価値創造企業への変革」を実行していく方針である。最終年度である2022年3月期の重点施策として同社は、ITソリューションセグメントでは製造業向けERPや流通業向けシステムなどを組み合わせた各種ソリューション展開など、サービスソリューションセグメントでは最新テクノロジーを生かしたDXソリューションやサービス展開など、プロダクトソリューションセグメントでは5G(第5世代移動通信システム)/ローカル5G技術の展開などを計画している。策定当初の数値目標は2022年3月期に売上高430億円、営業利益40億円、うちDX関連売上高は100億円への拡大を計画していたものの、2022年3月期の業績予想では、売上高は中期経営計画目標にやや届かないものの420億円を目指し、営業利益は中期経営計画目標を上回る見通しだ。また、DX関連の売上高は2020年3月期の約28億円から2021年3月期には約40億円、2022年3月期第2四半期累計では約25億円まで拡大している。2022年3月期下期は業種に特化したIoT/AI関連サービスの拡充、ローカル5G関連の強化などにより、通期でDX関連の売上高100億円の目標達成を目指す。
■Key Points
・3つのソリューション事業を展開し、そのシナジーを生かしたIoTとAIを軸に顧客のDX実現を支援できるバックボーンが強み
・ 2022年3月期第2四半期累計決算は、コロナ禍の厳しい経営環境ながらも売上高は計画比7.0%、営業利益も20.1%上回って着地、上期ベースで過去最高を記録
・2022年3月期は期初の計画を維持し、戦略投資を継続してさらなる成長に向け経営基盤の強化に取り組むことで増収増益を見込むが保守的な予想。東証の新市場区分としてはプライム市場を選択
・中期経営計画では「DX FIRST」をスローガンに、2022年3月期に売上高430億円(うちDX関連は100億円)、営業利益40億円を目指す。重点施策の推進により、おおむね目標達成の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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