NSW Research Memo(7):中計最終年度の2025年3月期は、売上高・営業利益で過去最高更新の見通し

配信元:フィスコ
投稿:2024/12/17 13:07
*13:07JST NSW Research Memo(7):中計最終年度の2025年3月期は、売上高・営業利益で過去最高更新の見通し ■NSW<9739>の今後の見通し

● 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の情報サービス産業界においてはAIの進化に伴うDXのさらなる加速や、日々高度化するサイバー攻撃に対するセキュリティ強化関連投資など、堅調な需要が見込まれる一方で、円安による原価高騰の影響や外資系IT企業の積極的な対日投資による競争激化、少子高齢化に伴う労働力確保の難しさなど、今後の見通しにはネガティブな材料も散見される。このような状況の下、同社グループは中期経営計画の最終年度を迎えて、長年蓄積したノウハウにAIをはじめとする新たな技術を取り入れ、より先進的な開発事業を進めるとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいる。

2025年3月期の連結業績は期初予想を据え置き、売上高52,000百万円(前期比3.4%増)、営業利益6,000百万円(同2.3%増)、経常利益6,050百万円(同1.8%増)、親会社に帰属する当期純利益4,175百万円(同2.6%減)と、売上高及び営業利益は13期連続となる増収増益で、過去最高更新の見通しだ。前期の実績・伸び率に比べて慎重な計画であるが、経営環境の不透明さを織り込んでいるためだ。そのため、営業利益率も11.5%と同0.2ポイントの低下を見込んでいる。当期純利益の減少予想は、前期の特別利益(土地売却益)がなくなるための反動減である。中間期決算での通期予想進捗率は、売上高は46.8%、営業利益も45.9%に留まったが、同社では従来より案件が期末に終了するものが多いことから下期偏重の決算であり、期初には保守的な予想を発表する傾向が強いことから、2025年3月期通期についても計画を達成する可能性が高いと弊社では見ている。

セグメント別では、エンタープライズソリューションは、売上高16,800百万円(前期比0.6%増)、営業利益2,220百万円(同9.0%減)と増収減益を計画し、営業利益率は13.2%(同1.4ポイント低下)を見込んでいる。ただ、減益は業務の一部をサービスソリューションに移す組織改編に伴うもので、実力ベースでは横ばいの予想だ。サービスソリューションは、売上高15,300百万円(同9.4%増)、営業利益1,010百万円(同137.6%増)と増収増益を計画し、営業利益率は6.6%(同3.6ポイント上昇)を見込んでいる。受注は好調で売上は増収が見込まれ、不採算案件への対応が中間期までで完了し、正常な状態に戻ることで、稼働率を上げて大幅増益を計画する。ただ、新サービス展開のための先行投資的な要素も多いことから、引き続き利益率は他セグメントに比べて低水準に留まる見通しだ。

エンベデッドソリューションは、売上高10,700百万円(同0.5%増)、営業利益1,520百万円(同4.9%減)、営業利益率14.2%(同0.8ポイント低下)とおおむね横ばいの予想だ。またデバイスソリューションは、売上高9,200百万円(同2.7%増)、営業利益1,250百万円(同10.7%減)、営業利益率13.6%(同2.0ポイント低下)を予想する。両セグメントでは、受注残を着実に売上につなげ、生産性向上により高い利益率を維持する計画だ。デバイスソリューションでは、専門性が高い半導体分野の人材不足対策として、東南アジアを中心に海外活用やパートナー連携を拡大し、海外企業からの案件獲得も目指して新規開拓を進めている。ただ、パートナー開拓のための販管費がかかり、効率性改善には時間を要することから、減益を予想している。

営業利益の通期計画に対する中間期の進捗率は、エンタープライズソリューションが48.8%、エンベデッドソリューションが53.8%、デバイスソリューションが49.1%であり、下期偏重の決算になることを考えると順調に推移していると言える。一方、サービスソリューションの進捗率は23.8%に留まり、高いハードルではあるが、下期には不採算案件の影響がなくなることから、稼働率を上げて目標を達成する考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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