S&P500月例レポート(21年11月配信)<後編>

<中編>の続き

インデックス・レビュー

◇S&P 500指数

 S&P 500指数は10月に6.91%上昇して4605.38で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス7.01%)。9月は4307.54で終え、4.76%の下落(同マイナス4.65%)となり、8月は4522.68で終え、2.90%の上昇でした(同プラス3.04%)。過去3ヵ月では4.78%上昇(同プラス5.13%)、年初来では22.61%上昇(同プラス24.04%)、過去1年間では40.84%上昇(同プラス42.91%)、コロナ危機前の2月19日の終値での高値からは36.01%上昇(同プラス39.77%)して月を終えました。

 ダウ平均は5.84%上昇の3万5819.56ドルで月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス5.93%)。なお、9月は3万3843.93ドルで終え、4.29%の下落(同マイナス4.20%)、過去3ヵ月では2.53%上昇(同プラス3.00%)、年初来では17.03%上昇(同プラス18.77%)、過去1年間では35.16%上昇(同プラス37.73%)しました。

 S&P500指数の10月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は9月の0.99%から0.97%に低下し(8月は0.64%)、年初来では0.95%となりました(9月末時点は0.97%)。2020年は1.73%と2019年の0.85%から上昇し、2018年は1.21%、2017年は0.51%(1962年以来の最低)でした。出来高は前月比10%増加した9月から7%減少(営業日数調整後)、前年同月比では28%減少し、過去1年間でも14%減少しました。10月の前日比で1%以上変動した日数は21営業日中4日となりました(上昇が3日、下落が1日、9月は21営業日中上昇が1日、下落が3日)。年初来では前日比で1%以上変動した日数は42日(上昇が26日、下落が16日)、2%以上変動した日数は4日(上昇が1日、下落が3日)となりました。2020年は1%以上変動した日数が109日(上昇が64日、下落が45日)、2019年は37日(上昇が22日、下落が15日)でした。

 10月は21営業日中7日で日中の変動率が1%以上となり(9月は21営業日中10日)、3%以上変動した営業日はありませんでした(9月も0日)。年初来では1%以上の変動が76日、3%以上の変動が2日となりました。2020年は1%以上の変動が158日(11月末時点は154日)、3%以上の変動が34日(同34日)、2019年はそれぞれ73日と1日、危機に見舞われた2008年はそれぞれ228日(253営業日中)と75日でした。

 10月は11セクターが揃って上昇し、9月の1セクター、8月の10セクターを上回りました。一般消費財のパフォーマンスが最高で、10月は10.91%上昇、過去3ヵ月間では10.22%上昇、年初来では21.74%上昇しました。生活必需品は10月に3.71%上昇、過去3ヵ月間では0.32%上昇、年初来では6.43%上昇しました。エネルギーが僅差でそれに続き、9月の12.89%上昇(騰落率首位)の後で、10月は10.18%上昇、過去3ヵ月間では16.95%上昇、年初来では52.44%上昇と、S&P500指数のセクターの中で騰落率首位となっています(ただし、2019年末比では唯一下落しているセクターで、4.44%下落)。情報技術もS&P500指数をアウトパフォームし、10月は8.12%上昇、過去3ヵ月間では5.32%上昇、年初来では23.81%上昇しました。金融は7.12%上昇、過去3ヵ月間では10.25%上昇、年初来では36.43%上昇しました。コミュニケーションサービスが2.64%の上昇で10月の騰落率最下位となりました。フェイスブックの下落が下押し要因となったためで、同社は2021年11月1日から、社名をメタ・プラットフォームズに変更します。同セクターは過去3ヵ月間では0.67%上昇、年初来では23.98%上昇しました。

 10月は9月から一転、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を大幅に上回りました。10月の値上がり銘柄数は381銘柄(平均上昇率は8.23%)と、9月の105銘柄(同5.93%)と8月の325銘柄(同5.45%)を上回りました。10%以上上昇した銘柄数も124銘柄(同14.97%)と、9月の18銘柄(同16.48%)、8月の37銘柄(同13.74%)から増加しました。3銘柄が25%以上上昇しました(同41.58%。9月は1銘柄で同36.94%、8月はゼロ)。

 一方、値下がり銘柄数は124銘柄(平均下落率は4.16%)と、9月の400銘柄(同6.50%)、8月の179銘柄(同3.93%)から減少しました。10月の10%以上下落した銘柄数も9銘柄(同11.00%)と、9月の70銘柄(同11.90%)、8月の12銘柄(同13.64%)から減少しました。25%以上下落した銘柄は5月~9月と同様にありませんでした。過去3ヵ月間でも、9月から一転して値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回りました。値上がり銘柄数は297銘柄(平均上昇率は10.73%)と、9月末時点の233銘柄(同6.85%)、8月末時点の284銘柄(同12.47%)から増加した一方、値下がり銘柄数は208銘柄(平均下落率は7.39%)と、9月末時点の272銘柄(同7.46%)、8月末時点の220銘柄(同8.06%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数は123銘柄(平均上昇率は19.02%)と、9月末時点の49銘柄(同17.22%)から増加し、10%以上下落した銘柄は51銘柄(平均下落率は15.50%)と、9月末時点の75銘柄(同14.95%)から減少しました。24銘柄が25%以上上昇した一方(9月末時点は7銘柄)、3銘柄が25%以上下落しました(同4銘柄)。

 年初来では、値上がり銘柄数は417銘柄(平均上昇率は30.79%)と、9月末時点の399銘柄(同24.25%)から増加した一方、値下がり銘柄数は87銘柄(平均下落率は9.89%)と9月末時点の105銘柄(同8.69%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数は339銘柄(平均上昇率は36.83%)と、9月末時点の306銘柄(同30.20%)から増加し、10%以上値下がりした銘柄数も33銘柄(平均下落率は19.06%)と、9月末時点の30銘柄(同18.78%)から増加しました。219銘柄が25%以上上昇し(9月末時点は149銘柄)、7銘柄が25%以上下落しました(同6銘柄)。

◇世界の株式市場

 低調ではあったものの結果的に上昇した7月、幅広く上昇した8月、下落した9月の後に(9月は相場が下落する月として知られています)、世界の株式市場は10月に再び上昇に転じました。グローバル市場は10月に4.65%と大きく上昇し、9月の4.08%の下落を取り戻しました。米国がアウトパフォームし、世界の株式市場は9月から一転し、上昇した市場数が下落した市場数を大幅に上回りました。新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大が続く中(そして現時点で新たな変異株であるデルタプラスが米国にも広がる恐れがあります)、米国はブースター接種を承認、開始しましたが、(米国では)多くの国民が接種を忌避しました。10月は50市場中41市場が上昇し、9月の19市場から増加したものの、8月の44市場は下回りました(7月は25市場、6月は20市場、5月は36市場)。

 S&Pグローバル総合指数は9月に4.08%下落したのち(米国の4.63%下落を除くと3.34%下落)、10月は4.65%上昇しました(米国の6.64%上昇を除くと2.02%上昇)。8月は2.35%の上昇(米国の2.73%上昇を除くと1.84%上昇)、7月は0.32%の上昇(米国の1.68%上昇を除くと1.46%下落)でした。過去3ヵ月間では、世界の株式市場は2.72%上昇(米国の4.47%上昇を除くと0.42%上昇)しました。年初来では15.12%の上昇で、米国の21.69%上昇を除くと7.07%上昇しました。過去1年間では35.96%上昇し、米国の42.26%上昇を除くと28.06%の上昇となっています。より長期では、米国のパフォーマンスが突出していました。過去2年間では、グローバル市場は39.26%上昇しましたが、米国の53.62%上昇を除くと23.09%の上昇でした。過去3年間ではグローバル市場は52.87%上昇し、米国の70.89%上昇を除くと33.10%の上昇でした。2020年11月3日の米大統領選挙以降では、グローバル市場は31.84%上昇しましたが、米国の37.86%上昇を除くと24.29%の上昇でした。

 S&Pグローバル総合指数の時価総額は10月に3兆5840億ドル増加しました(9月は1兆9680億ドル減)。米国以外の市場の時価総額は6430億ドル増加(同3990億ドル減)、米国市場は2兆9410億ドル増加しました(同1兆5690億ドル減)。10月は11セクターすべてが上昇し、セクター間のばらつきは縮小しました(9月は1セクターが上昇、8月は9セクターが上昇)。パフォーマンスが最高のセクター(一般消費財、6.85%上昇)と最低のセクター(コミュニケ―ションサービス、1.69%上昇)の騰落率の差は5.16%となり、9月の16.57%、8月の9.23%から縮小しました。

 新興国市場は10月に0.92%上昇しました。9月は3.42%の大幅下落(8月は2.69%の上昇)でした。過去3ヵ月間では0.09%の上昇、年初来では1.08%の上昇、過去1年間では16.56%の上昇となりました。過去2年間では21.48%上昇、過去3年間では34.72%上昇しています。10月は25市場中18市場が上昇しました(9月は8市場が上昇、8月は22市場が上昇)。

 パフォーマンスが最高となったのはペルーで10月は14.30%上昇し、過去3ヵ月間では11.14%上昇、年初来では17.10%下落しました。2番目はエジプトで10月は10.72%上昇し、過去3ヵ月間では11.64%上昇、年初来では9.21%上昇しました。3番目はインドネシアで10月は7.13%上昇し、過去3ヵ月間では16.81%上昇、年初来では0.44%上昇しました。

 パフォーマンスが最低だったのは10月もブラジルで、9月の13.95%下落の後、10月は10.77%下落し、過去3ヵ月間では25.18%下落、年初来では24.44%下落しました。これに続いたのがチリで10月は6.97%下落し、過去3ヵ月間では11.23%下落、年初来では17.34%下落しました。3番目がチェコで10月は1.22%下落し、過去3ヵ月間では8.93%上昇、年初来では2.34%上昇しました。

 先進国市場は8月の2.31%上昇、9月の4.17%下落の後、10月は全体で5.11%上昇しました。米国を除くと2.40%の上昇(9月は3.32%下落、8月は1.55%上昇)でした。過去3ヵ月間では3.06%上昇、米国を除くと0.54%上昇、年初来では17.03%上昇、米国を除くと9.24%上昇となりました。過去1年間では38.66%上昇、米国を除くと32.42%上昇、過去2年間では41.67%上昇、米国を除くと23.76%上昇、過去3年間では55.39%上昇、米国を除くと32.49%上昇となりました。

 10月は25市場中23市場が上昇し、9月の2市場(8月は22市場)を上回りました。パフォーマンスが最高となったのはカナダで、10月は7.26%上昇し、過去3ヵ月間では4.54%上昇、年初来では24.40%上昇しました。2番目はスウェーデンで10月は6.83%上昇し、過去3ヵ月間では1.45%下落、年初来では16.34%上昇しました。3番目は米国で10月は6.64%上昇し、過去3ヵ月間では4.47%上昇、年初来では21.69%上昇しました。

 パフォーマンスが最低だったのは日本で10月は3.44%下落し、過去3ヵ月間では1.14%上昇、年初来では0.50%上昇しました。これに続いたのが韓国で1.81%下落し、過去3ヵ月間では9.11%下落、年初来では7.35%下落しました。3番目はフィンランドで10月は0.59%上昇し、過去3ヵ月間では6.49%下落、年初来では10.39%上昇しました。

 注目すべき点として、英国は10月に3.36%上昇し、過去3ヵ月間では0.70%上昇、年初来では12.54%上昇しました。ドイツは10月に2.03%上昇し、過去3カ月間では2.48%の下落、年初来では4.90%の上昇となりました。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム