【IRアナリストレポート】日進工具(6157)

著者:鈴木 行生
投稿:2021/11/09 10:56

~超硬小径エンドミルで業界No.1、新開発センターで市場開拓を加速~

・9月に、米国デトロイトに営業販売拠点を開設することを公表した。将来は工具の在庫センター機能も持たせる。これまで米国の売上比率は6%と低かったが、医療機器分野を主力として、精密加工の需要拡大が見込める。今後数年で大きく伸びよう。

・半導体不足や部品不足による自動車の影響はあるものの、業績はコロナ前の水準に戻りつつある。当社が得意とする精密加工分野の需要が拡大していることによる。今期の営業利益は会社計画の1920百万円(前期比+26.9%)を上回る公算が高い。来期は収益力が一段と上向いてこよう。

・半導体関連、電子部品関連、スマホ関連とも需要は上向いている。前期の在庫調整も一巡し、在庫の積み増しが必要になっている。生産面ではプラスに働いており、仙台工場の操業度は上がっている。新型コロナウイルスの余波は続くが、新しい精密加工の分野が本格化しつつある。EV(電気自動車)やFCV(水素燃料電池車)も有望である。

・2020年3月に本格稼働した新開発センター(投資額13億円)は、先進的な免震・制震構造を取り入れたオールラウンドの免震構造である。実際2021年2月、3月の地震の時にはその効果を如何なく発揮した。次の工場新設の時には、この技術が活かされよう。

・6月に新製品5軸MC加工用3枚刃ボールエンドミル(MSBSH330-5X)を発売した。3軸より5軸の方が多様な加工ができるが制御が難しく、3枚刃で精度が出せるようにした。これが評価されて、今年の超モノづくり部品大賞「機械・ロボット部品賞」を受賞した。

・後藤社長の経営哲学は、利益率重視で規模は追わない。顧客が新製品の加工方法を開発している段階から関わっていく。コーティングを強化した新製品、業界トップのCBN(立方晶窒化ホウ素)小径エンドミルの用途は広がっている。PCD(ダイヤモンド焼結体)のエンドミルも、鏡面加工の分野などで市場開拓が広がっている。

・目標とする売上高経常利益率20%は前期でも確保した。来期は業績回復に弾みがついて、経常利益率も24%が見込めよう。グローバルな競争力は高まっている。ニッチな市場で高収益を実現する企業として引き続き注目したい。

目 次
1.特色 超硬小径エンドミルで業界トップ
2.強み 一貫した集中と差異化で攻める
3.中期経営戦略 ユニークな精密・微細加工技術で内外の新市場を開拓
4.当面の業績 来期に向けて業績回復が本格化
5.企業評価 競争力を強化し、高収益への復帰

日進工具 <6157>
企業レーティング
株価
(2021年11月8日)
1584円
時価総額 397億円
(25百万株)
PBR 2.54倍
ROE 9.5%
PER 26.4倍
配当利回り 1.3%
総資産 17448百万円
純資産 15854百万円
自己資本比率 89.6%
BPS 624.7円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2014.3 6418 1069 1107 694 27.8 7.5
2015.3 7402 1481 1534 973 39.0 10.0
2016.3 8382 1914 1954 1342 53.7 12.5
2017.3 8825 2013 2026 1420 56.8 20.0
2018.3 9767 2685 2733 1903 76.1 22.5
2019.3 10476 2879 2894 1970 78.8 22.5
2020.3 9531 2219 2231 1545 61.8 22.5
2021.3 8100 1512 1712 1214 48.6 17.5
2022.3(予) 9600 2200 2200 1500 59.9 20.0
2022.3(予) 10300 2500 2500 1700 67.9 23.0

(2021.9ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2014年10月に1:2、2017年1月に1:2、2021年4月に1:2の株式分割を実施。2016.3期以前のEPS、配当は修正ベース。2014.3期は60周年記念配(5円相当)、2017.3期は2部上場記念配(5円)、2018.3期は1部上場記念配(5円)を含む。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/niltusinnkougu202111.pdf
 

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配信元: みんかぶ株式コラム

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