メキシコペソ/円、ハロウィン買いが奏功するか

著者:津田隆光
投稿:2021/10/29 12:06

足もとは原油価格下落に伴う動き

メキシコペソ/円・日足・複合チャート
メキシコペソ/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】パラボリック・SAR(≒5.558円)に達する(=下落する)か否か
【見通し①】SARタッチなら、「5.522円」付近までの下押しも
【見通し②】SAR未達なら、「5.700円」付近までの上昇も視野
【投資戦略アイデア】打診買い、押し目買い

メキシコペソ/円の目先の注目ポイントとして見ていた「BB(ボリンジャーバンド)・+2σライン(≒5.530円※)突破成否」ですが、同日の終値ベースで上抜け突破の動きとなりました。その後、20日および21日に直近高値となる「5.645円」を付けた後、足もとではWTI原油価格が下落したこともあり、同価格と相関性の高いメキシコペソ/円も同様に下押しフローとなっています。(※10/15時点基準値)

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足の上方にあること、3) ローソク足の下方に青色雲(=サポート帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして、4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が縮小し、ADXが右肩下がり推移になっている(上図赤色点線丸印)ことから、メキシコペソ/円・日足チャートでは、「上昇トレンド一服」→「下値固め」の時間帯であると判断します。

目先の注目ポイントは、パラボリック・SAR(≒5.558円、上図黄色矢印)にローソク足が達する(=下落する)か否か。

筆者が予想する、今後の見通しは以下の通りです。(見通し①、②)


[見通し①]
これからの時間にかけて、ローソク足がSARに達した(=下落した)場合は、「SARの売りサインへの転換」→「もう一段の下押し」となりそうです。当該ケースでは、「+DI>-DIのさらなる乖離縮小」も伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA(≒5.522円、上図Ⓐ)付近までの下押しを予想します。ただし、現時点では先行スパンの上下辺(先行1・2スパン)に乖離(=強い下値サポート帯)があることから、その下値余地はある程度限定的と言えるでしょう。

[見通し②]
一方で、ローソク足がSARに未達となった場合は、「SARの買いサイン継続」→「反発フロー」となりそうです。当該ケースでは、「+DI>-DIの乖離拡大」および「ADXの右肩上がり推移」も伴いながら、BB・+2σライン(≒5.700円、上図Ⓑ)付近までの上昇フローも視野に入りそうです。


上記見通し①および②を概括すると、今後のメキシコペソ/円は、打診買い、ないしは押し目買いが奏功しそうです。

『黄金の180日ルール』『ハロウィンルール』について

対円資源国通貨 指数チャート[2020/8/3-2021/8/31]
対円資源国通貨 指数チャート[2020/8/3-2021/8/31]出所:マネースクエア「ヒストリカルデータ」より作成

そんな中、季節的アノマリーである『黄金の180日(半年)ルール』または『ハロウィンルール』と呼ばれる『10月末買い、翌年4月末売り』について、昨年の同期間(2020/10-2021/4、上図黄色四角枠)におけるメキシコペソ/円の動きを見ると、他の通貨ペアと同様、当該ルールが奏功したことが見て取れます。

これを以て、今般の当該ルールも必ず当てはまるという結論には至りませんが、上述したテクニカル的な要素とともに、ここもとの各国中銀による金融政策スタンスの相違(=ここでは、メキシコ中銀[BOM]と日銀[BOJ]の金融政策スタンスの乖離)、そして、季節的なアノマリーをベースに、メキシコペソ/円の時宜的な買い場探しを行うのも一案と言えるでしょう。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想