[資源・新興国通貨10/18~22のポイント&注目通貨]トルコリラ/円:TCMB会合に注目!

著者:八代和也
投稿:2021/10/18 15:54

今週のポイント

15日にカナダドル/円は15年12月以来、メキシコペソ/円は20年2月以来の高値をつけました。足もとのカナダドル/円やメキシコペソ/円の主な要因として、円が全般的に売られていることのほか、原油価格の上昇が挙げられます。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物の11月物は15日、1バレル=82ドル台へと上昇。中心限月としては2014年10月以来、7年ぶりの高値を記録しました。

カナダやメキシコは産油国のため、原油価格の上昇はカナダドルやメキシコペソにとってプラス材料です。原油高が一段と進めば、カナダドル/円やメキシコペソ/円はさらに上昇する可能性があります。

市場では、SARB(南アフリカ中銀)は11月にも利上げするとの観測が浮上しています。20日の南アフリカの9月CPI(消費者物価指数)が市場予想(本稿執筆時点で前年比5.0%)を上回る結果になれば、利上げ観測が高まって南アフリカランド/円の支援材料になる可能性があります。

NZの7-9月期CPIの強い結果を受け、RBNZ(NZ中銀)の11月利上げ観測が市場で一段と高まりそうです。利上げ観測に支えられてNZドルは堅調に推移しそうです。

TCMB(トルコ中銀)は21日に政策会合を開きます。その結果がトルコリラの今後の動向に影響を与える可能性があります。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.03000NZドル~1.06000NZドル>

18日にNZの7-9月期CPI(消費者物価指数)が発表され、結果は前年比4.9%でした。CPI上昇率は4-6月期の3.3%から加速し、2011年4-6月期以来の強い伸びを記録。RBNZ(NZ中銀)のインフレ目標(1~3%)を一段と上振れました。

RBNZは10月6日の会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を0.25%から0.50%へと引き上げました。7-9月期のCPIでインフレ圧力の強さが再確認されたことを受け、RBNZは11月の次回会合で追加利上げに踏み切るとの観測が市場で一段と高まりそうです。

一方、RBA(豪中銀)は政策金利を当面据え置く(現在の政策金利は0.10%)とみられます。RBAとRBNZの金融政策の方向性の違いが市場で改めて意識されて、豪ドル/NZドルは軟調に推移する可能性があります。豪ドル/NZドルの目先のメドとして、下値が1.02806NZドル(9/16安値)、上値は1.06065NZドル(10/12&13高値)が挙げられます。

今週の注目通貨ペア②:<トルコリラ/円 予想レンジ:11.500円~13.000円>

トルコリラは先週(10/11-15)、対米ドルで過去最安値を更新し、対円(トルコリラ/円)では20年11月以来の安値をつけました。TCMB(トルコ中銀)の金融政策委員会のメンバー3人をエルドアン大統領が解任したことを受け、TCMBの独立性をめぐる懸念が高まったことが、トルコリラ安の主な要因です。

TCMBは9月の政策会合で1.00%の利下げを行うことを決定。10月21日の会合では、追加利下げに踏み切るとみられます。エルドアン大統領が求める利下げに反対する政策メンバーは、今回の解任によっていなくなったと考えられるためです。

21日のTCMB会合における焦点は、“利下げの有無”よりも“利下げ幅”になりそうです。市場予想の1.00%を上回る幅の利下げが決定されれば、トルコリラ/円は一段と下押しするとみられます。トルコリラ/円は11.998円(20年11月につけた過去最安値)を割り込む可能性があります。

TCMBが政策金利を据え置けばサプライズとなり、トルコリラ/円は上昇しそうです。ただし、エルドアン大統領の対応には要注意。カブジュオール総裁を解任する可能性もあり、その場合にはTCMBの独立性をめぐる懸念が一段と高まってトルコリラ/円は下落すると考えられます。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想