[資源・新興国通貨9/13~17のポイント&注目通貨]豪雇用統計やNZ・GDPに要注目

著者:八代和也
投稿:2021/09/13 15:24

今週のポイント

今週(9/13- )は、豪州の8月雇用統計やNZの4-6月期GDPが発表されます。それらの結果に豪ドル/NZドルが反応しそうです(後述)。

カナダの総選挙が9月20日に行われます。世論調査では、与党・自由党と最大野党・保守党の支持率は拮抗しており、総選挙をめぐり不透明感が高まっています。今後発表される各種世論調査などで、不透明感が一段と高まる場合、カナダドル/円は上値が重い展開になりそうです。

カブジュオールTCMB(トルコ中銀)総裁は8日、「新型コロナウイルスの感染拡大を受けた異例の状況で、コアインフレ率の重要性が増している」と語りました。

TCMBの現在の政策金利は19.00%。TCMBは過去数カ月間、会合時の声明で「政策金利はインフレ率を上回る水準に設定する」と表明してきました。トルコの8月CPI(消費者物価指数)上昇率は前年比19.25%。一方でコアCPIは同16.76%と、上昇率は2カ月連続で鈍化しました。

カブジュオール総裁の上述の発言は、TCMBがインフレ指標として重視する指標を“総合CPIからコアCPIへとシフトする”ことを示唆しています。それはTCMBが利上げする可能性がかなり低くなったことを示すとともに、早期に利下げを開始する可能性があることを示すものと言えそうです。市場では9月23日の次回会合で利下げするとの観測が浮上しており、トルコリラ/円には下押し圧力が加わりやすいとみられます。

今週の注目通貨ペア①:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.02500NZドル~1.04500NZドル>

RBA(豪中銀)は7日の政策会合で「豪国債の買い入れ額を予定通り週40億豪ドルへと減額する」と発表。一方で、債券を週40億豪ドル買い入れる期間を「少なくとも22年2月半ばまで」とし、8月の会合時に示した「少なくとも21年11月半ばまで」から3カ月間延長しました。これは債券買い入れ額のさらなる減額の時期が遠のくことを示唆しており、ハト派的と言えそうです。政策金利については、2024年までは利上げの条件は満たされないとの見通しを維持しました。

一方、RBNZ(NZ中銀)は年内に利上げを開始する可能性を示しています。足もとの豪ドル/NZドルの下落は、こうしたRBAとRBNZの金融政策の方向性の違いが主因です。

16日に豪州の8月雇用統計とNZの4-6月期GDP(国内総生産)が発表されます。本稿執筆時点の市場予想は、豪失業率が5.0%、NZのGDPが前期比1.1%です。シドニーなどでのロックダウン(都市封鎖)の影響によって失業率は7月の4.6%から上昇(悪化)するとみられる一方、NZのGDPは2四半期連続でプラスになると予想されています。豪雇用統計が弱い結果となり、NZのGDPが強い結果になれば、豪ドル/NZドルは下値を試す展開になりそうです。

今週の注目通貨ペア②:<メキシコペソ/円 予想レンジ:5.400円~5.600円>

メキシコ中銀の政策金利とメキシコのCPI
メキシコ中銀の政策金利とメキシコのCPI出所:リフィニティブより作成

9日に発表されたメキシコの8月CPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比5.59%と、上昇率は7月の5.81%から鈍化。ただ、BOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%)の許容レンジ上限である4%を6カ月連続で上回りました。また、コア指数は前年比4.78%と、7月の4.66%から加速し、2017年12月以来の強い伸びを記録しました。

BOMは6月と8月の2会合連続で利上げを実施。現在の政策金利は4.50%です。CPI統計でインフレ圧力の強さが再確認されたことで、BOMは9月30日の次回政策会合で追加利上げに踏み切る可能性があります。追加利上げ観測はメキシコペソ/円の支援材料になりそうです。

メキシコペソ/円は原油価格(米WTI原油先物など)の動向に影響を受けやすいという特徴もあります。米WTI原油先物は過去2週間あまりにわたっておおむね1バレル=67~71ドルのレンジで上下動を繰り返しており、目先の方向感を失っています。もみ合いの期間が長くなっている分、レンジの上下いずれかを抜ければ、その方向へ勢いが加速する可能性があります。WTI原油先物の上昇はメキシコペソ/円の上昇要因と考えられます。

メキシコペソ/円の目先のメドとして、下値が200日移動平均線(13日時点で5.358円)、上値は5.597円(7/2&5高値)が挙げられます。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想