明日の株式相場に向けて=金融DX関連に流れ込む投資マネー

配信元:みんかぶ
著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/08/24 17:00
明日の株式相場に向けて=金融DX関連に流れ込む投資マネー  きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比237円高の2万7732円と続伸。2万7000円台後半から2万8000円台にかけて戻り売り圧力の強いゾーンだが、きょうは売り板の厚さにもひるまず、高値圏でしたたかに売り物を吸収した。引け際に駆け込み的に売りが出てきて上げ幅を縮小したが、大引けは2万7700円台で、25日移動平均線の上で着地したことはポジティブ評価できる。

 もっとも、ここからの値運びが重要となる。というのは6月中旬以降の調整局面では、日経平均は25日線の上に顔を出しては下放れる展開を繰り返し、下値切り下げトレンドを形成してきた。きょう上回った25日線を足場に下値を切り上げていけるかどうかがカギを握る。27日のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演は、テーパリングに関するコメントに身構える感じではなくなっているが、油断は禁物となる。

 「マザーズ市場は売りが一巡したように見えるが、まだ底入れムードには遠い」(ネット証券大手アナリスト)という。同証券が出しているマザーズの信用評価損益率は直近でマイナス24%強。東証1部を合わせた全市場合算ベースではマイナス11.5%で、“ちゃぶついている”程度のイメージだが、マザーズに特化している個人投資家にとっては、依然として投げ売りを誘発する寸前の厳しい状態が続いていることが分かる。

 ひとつのバロメーターとしては、マザーズ銘柄ではないが、ソフトバンクグループ<9984.T>の動向がやはり注目されるところだ。ソフトバンクGの1800万株近い信用買い残がどういう形で解消されるかがポイントとなる。ちなみに、19年11月末に2700万株台まで信用買い残を膨らませたことがあったが、これは20年2月にかけての株価上昇過程で半減させた経緯がある。株高のプロセスで買い残を減少させる展開に持っていければ全体相場も波乱は起こらない理屈となる。

 個別株は引き続きAI関連の一角を含めデジタルトランスフォーメーション(DX)のテーマで括られる銘柄群が強い。そのなかSHIFT<3697.T>の上げ足が鮮烈だ。銀行を主要顧客に法人向けソフトウェアの動作確認や品質検査を手掛けるが、企業のDX投資の恩恵で好採算案件が積み上がり収益が押し上げられている。PERは200倍台だが投資マネーの攻勢は緩むことがなく、最高値圏をひた走る。

 同社は2014年11月の上場で初値は6000円だが、その後1対5の株式分割を実施しているため分割後修正値では1200円となる。これに対しきょうは2万4000円台を突破したため、「ダブル・テンバガー」達成となった。成長期待の高さもさることながら、青空圏で戻り売り圧力から解放されており、信用買い残も枯れた状態で需給関係の良さが魅力。更に、ややブラックな切り口ながら「足もとではみずほ関連特需の思惑もある」と市場関係者。同社株は投資資金も考慮して観賞用としておくのが無難だが、いずれにせよデジタル庁始動を目前にDX関連には幅広くアンテナを張っておくところか。

 前日取り上げたアイエックス・ナレッジ<9753.T>TDCソフト<4687.T>は「みずほ関連特需」の思惑は横に置くとしても、金融DXの本流に乗る銘柄として継続注目。このほかアイティフォー<4743.T>ニーズウェル<3992.T>などもマークしておきたい。デジタル庁関連ということであれば、官公庁向けで実績が高いフォーカスシステムズ<4662.T>も面白い存在となる。

 このほかDX関連以外では、ゲーム関連株の一角でグリー<3632.T>が静かに年初来高値圏に浮上。アバター時代の先駆けとなるメタバース事業の将来性に着目。また、成果報酬型のインターネット広告を展開するレントラックス<6045.T>も下値切り上げ波動に力強さがあり、押し目買いを基本に投資対象として魅力がある。

 あすのスケジュールでは、6月の景気動向指数改定値が後場取引時間中に内閣府から発表される。海外では8月の独Ifo景況感指数、7月の米耐久財受注など。また、米国ではセールスフォース・ドットコム<CRM>の21年5~7月期決算が予定されている。(銀)

出所:MINKABU PRESS
配信元: みんかぶ

関連銘柄

銘柄名称 株価 前日比
100000018
37,657.37
(09:36)
+28.88
(+0.07%)